2012年10月15日

『体育館の殺人』(青崎有吾著、東京創元社刊)

『体育館の殺人』(青崎有吾著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

第22回鮎川哲也賞受賞作

風ヶ丘高校の旧体育館で、放送部部長が何者かに刺殺された。放課直後で激しい雨が降り、現場は密室状態だった!?早めに授業が終わり体育館にいた唯一の人物、女子卓球部の部長の犯行だと、警察は決めてかかるが……。死体発見現場にいあわせた卓球部員・柚乃は、嫌疑をかけられた部長のために、学内随一の天才・裏染天馬に真相の解明を頼んだ。なぜか校内で暮らしているという、アニメオタクの駄目人間に──。しかしなぜ彼は校内に住んでいるんだろう? 「エラリー・クイーンを彷彿とさせる論理展開+学園ミステリ」で贈る、21歳の新鋭のデビュー作。
(東京創元社公式HPより)


<感想>

第22回鮎川哲也賞受賞作です。

「第22回鮎川哲也賞」決定!!栄冠は青崎有吾先生『体育館の殺人』に!!

早速、読んでみました。
その感想は……バッチリ管理人の好みであります!!
オススメ!!

此処からかなり突っ込んだネタバレに入ります。
未読の方は本作を先に読んだ方が絶対にイイです、注意!!


まず、注目したいのはプロローグ。
アレには二重の意味を持たせていますね。
「犯人の狙い」と「犯人から見た邪魔者」をどちらともとれるように描いています。
この捉え方次第で犯人自体が変わって来る。
此処で、管理人はミスリードされてしまいました。
特に「暗い空の下」との表現が秀逸。
夜ともとれるし、曇天の空ともとれる。
あれでプロローグの時間軸があの日だと思ってしまう。
けれど、実際は……。

そして、プロローグに呼応したエピローグ。
其処で黒幕の存在が明かされ、プロローグの真の意味も明かされる。
第5章時点で指摘された犯人でもプロローグがそのまま通用したことで、納得していた管理人はガツンとやられました。

さらに、本作は文体こそ柔らかいものの、完全なる本格。
黒傘のロジック、DVDのロジック、雨に濡れずに脱出した方法など、本格ファンも満足出来る筈。
いずれも魅力的な論理展開となっています。
ロジックの信奉者ならば読んで損はない作品と言えるでしょう。

主人公を含め、設定こそ尖っているもののキャラ自体は些か弱いかとも思われますが、徹頭徹尾、論理で固められており、本格ファンは必見と言っても良いのではないでしょうか。

<ネタバレあらすじ>

ここからネタバレあらすじになります。
本作は論理的な伏線が多い為、あらすじにするにあたりかなり端折っています。
注意!!


犯人は1人、計画の成功を確信していた。
邪魔者には退場して貰わなければならない。
そして、「あれ」を手に入れるのだ……。
自身の計画の素晴らしさに笑いを堪えつつ、犯人は壁の向こうに居る朝島を思い浮かべた。
6月某日―――暗い空の下、計画は実行に移された。

その日、天気は雨であった。
卓球部員の柚乃は雨に濡れながら早苗と共に体育館へと向かった。
体育館には、卓球部部長・佐野、演劇部部長・梶原、同顧問・増村たちが居た。
彼らによれば、放送部部長・朝島も館内に居るらしい。

そう……朝島は館内に居た。
但し、死体となってである。
柚乃たちは朝島の死体を発見してしまうのであった。

こうして、警察が捜査を開始。
そこで意外な事実が明らかになる。
朝島が殺害された当時、その周辺には人目があり「密室」だったのだ!!

そんな中、容疑が佐野にかかってしまう。
佐野を救いたい柚乃は学内随一の天才・裏染天馬に助けを求めることに。
学内テストでは生徒会長である正木、副会長である八橋千鶴を抑え1位の人物である。
ところが、彼はオタクであった。

こうして、柚乃は独特な裏染に振り回される。
だが、裏染は確かに天才であった。

彼が辿り着いた事実とは―――。

裏染はDVDとビデオの切り替えから、犯人が朝島が所持していたDVDを奪う為に犯行に出たと推理。
さらに、雨が降っていたにも関わらず濡れずに脱出出来た点から、演劇部が運び出したリアカーに紛れて脱出したと密室についても看破する。
これに加え、犯行時刻から容疑者を篩いにかける。

導き出された犯人の正体は生徒会長の正木であった。
正木は試験問題を盗み出す現場を朝島の手でDVDに撮影されており、これが露見することを恐れ朝島を殺害したのであった。
「邪魔な朝島」を「DVDを奪う為」に殺害したのだ。
正木が逮捕され事件は終わったかに思われたが……。

翌朝、副会長・八橋千鶴を新聞部に呼び出した裏染。
裏染は事件の黒幕が八橋千鶴であると指摘する。
内申書の為に生徒会長になる野心を抱いていた八橋は、正木が邪魔であった。
そこで正木を排除する為に、意図的に情報を流し試験問題を正木に盗ませた。
そして、これまた意図的に情報を流し、その現場を放送部の朝島に押さえさせたのだ。

八橋千鶴は1人、計画の成功を確信していた。
邪魔者(正木)には退場して貰わなければならない。
そして、「あれ(生徒会長の座)」を手に入れるのだ……。
自身の計画の素晴らしさに笑いを堪えつつ、八橋千鶴は壁の向こうでカメラを構え、正木の犯行現場を押さえようと隠れている朝島を思い浮かべた。
6月某日(朝島殺害よりも過去)―――暗い空(夜空)の下、計画は実行に移された。

朝島が映像を公開しても良し、正木が口封じに朝島を殺害しても良し。
どちらにしろ、正木は生徒会長の座を追われることになるだろう。
そして、正木は朝島殺害を選択したのである―――。

裏染の告発を八橋は笑いながら認める。
具体的な証拠が何1つ残っていないからこその余裕である。
裏染の存在など歯牙にもかけていないのだ。

だが、次に裏染が差し出した物を見て八橋は顔色を変える。
裏染の手にはボイスレコーダーが握られていた。
これまでの会話はすべて録音されていたのである―――エンド。

「体育館の殺人」です!!
体育館の殺人





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