ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
誰も知らなかったガリレオ、ここに登場!
姉を見殺しにされ、天涯孤独となった青年が企てた計画。愛弟子に対し、湯川が取った驚愕の行動とは――ガリレオ短篇の最高傑作!
8月刊行の『虚像の道化師 ガリレオ7』を読まれた東野圭吾ファン、ガリレオシリーズファンのみなさん。驚かれることと思いますが、早くも次なるガリレオ新作をお届けすることとなりました。“誰も知らなかったガリレオ”の登場です。『虚像の道化師』を書き終えた時点で、今後ガリレオの短編を書くことはない、とまで思っていた東野さんが、「小説の神様というやつの気まぐれをたっぷり思い知らされた」という作品。絶対のおすすめです。(BY)
(文藝春秋社公式HPより)
<感想>
『虚像の道化師』に次ぐガリレオシリーズ第8弾、短編集です。
収録作品は次の4作。
お客相手に透視能力を見せていた女性の真実を明かす『透視す』。
再起を目指す野球選手を描いた『曲球る』。
姉とテレパシーで交信できると主張する女性の真意とは……『念波る』。
愛弟子の復讐を湯川は如何に止めるのか―――『猛射つ』。
全体的に人情派となった湯川の意外な一面が覗けるラインナップとなっています。
特に最後の『猛射つ』は中編といって良いボリュームで読み応えあり。
ただ、全体的にストーリーよりも湯川というキャラに依存している感が強いか。
もっとも、これは長期シリーズ化した作品としては正しいスタイルと言えるでしょう。
その意味で本作もまたファン必読と言える筈。
管理人的には特に印象に残った『念波る』が良かったですね。
<ネタバレあらすじ>
【透視す】
ホステスのアイが殺害された。
アイには透視能力があったそうだが……。
湯川はこれを赤外線とコールドリーディングによる誘導と見抜く。
だが、犯人・西畑はこれを本当の力だと信じてしまった。
その上で知られたと思い込んだ自身の不正を口封じすべくアイを殺害してしまったのだ。
そして、アイの技術は反目していたとされていた継母への思慕の念から来るものであった―――エンド。
【曲球る】
野球選手の柳原は再起をかけ、奮闘していた。
これに力を貸すこととなった湯川。
だが、結局は本人の意志の力が大きい。
湯川は柳原の亡き妻の想いを彼に伝えることで本当の意味で奮起させる。
柳原は無事、再起するのであった。
【念波る】
春菜にはテレパシー能力があるらしい。
彼女の姉・若菜が何者かに襲撃され意識不明の重体となった。
その襲撃者の顔を姉とのテレパシーで教えられたと主張したのだ。
現に遠く離れた地に居ながら、姉が襲撃されたことをテレパシーで知り連絡を入れていた。
それもこれも、姉を想うがゆえの力とのことだったが……。
普段ならば「テレパシーなど存在しない」と断定したであろう湯川は、今回に限り何故かこれを認めてしまう。
戸惑う草薙をよそに湯川が認めた理由とは!?
湯川は「春菜にはテレパシー能力はない」と結論づけていた。
その上で、能力を認めたのは若菜襲撃犯を炙り出す為であった。
実は春菜は早くから若菜が襲撃される可能性に思い当たっており、連日連絡を入れていた。
若菜が襲撃された日に連絡をが取れたのも、連日連絡を入れた日の1日だったからに過ぎなかった。
そして、春菜は若菜の夫を疑っていた。
若菜の夫が人を雇ったのではないか……それを見極める為にテレパシー能力を主張したのだ。
湯川は姉想いである筈の春菜がわざわざ能力を実証すべく湯川を訪ねたことで、何か事情があると察しこの芝居に協力したのだ。
その甲斐あって、若菜の夫の犯行は立証された。
後日、春菜は若菜が回復したと予見した。
湯川は否定するが、草薙のもとへは若菜の回復の報が届く。
やはり、テレパシーはあるのであろうか?
【猛射つ】
湯川の教え子・古芝が、湯川が教えたレールガンにより殺人を計画する。
すべては敵討ちに起因していた。
湯川はこれを自身の指導不足と感じ、先回りしてレールガンのコントロールを奪う。
その上で「どうしても復讐したければ、師として自分が代わりに手を汚す」と主張。
湯川の本気を知った古芝は復讐を断念するのであった―――エンド。
【探偵ガリレオシリーズ】
・容疑者Xの献身(文春文庫版)&映画版
・『ガリレオの苦悩』(東野圭吾著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『聖女の救済』(東野圭吾著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「真夏の方程式」(東野圭吾著、文芸春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『虚像の道化師 ガリレオ7』(東野圭吾著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・2夜連続ガリレオSP「ドラマレジェンド ガリレオエピソードΦ」(12月28日放送分)ネタバレ批評(レビュー)
◆関連過去記事
【東野圭吾先生原作ドラマ関連】
・金曜プレステージ「東野圭吾3週連続スペシャル 11文字の殺人 あの日恋人はなぜ殺されたのか?無人島より殺意を込めて…11文字に込められた悲しき殺意!クルーズツアーで何が起きたのか?」(6月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・金曜プレステージ「東野圭吾・3週連続スペシャル第二弾!“ブルータスの心臓” 完全犯罪殺人リレー バトンは死体!大阪〜名古屋〜東京をつなぐトリックと殺意!悪女に翻弄されるエリート研究者の運命は!?」(6月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・金曜プレステージ「東野圭吾・3週連続スペシャル第三弾!“回廊亭殺人事件” 最愛の恋人を殺され復讐の鬼と化した女…整形で顔を変え巨額遺産をめぐり欲望渦巻く一族に潜入!愛を奪った犯人は誰なのか?」(6月24日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・金曜プレステージ 東野圭吾スペシャル 探偵倶楽部「大ヒット原作ドラマ化!名探偵最強コンビ誕生!大物社長突然の失踪に隠されたセレブ一族の醜い骨肉の争い…消える死体…驚愕密室トリックを暴け!」(10月22日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・「流星の絆」(TBS系、2008年)
・土曜ドラマスペシャル「使命と魂のリミット(前編) 病院に届く謎の脅迫状…犯人の狙いは?」(11月5日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ドラマスペシャル「使命と魂のリミット(後編) 極限状況の大手術!結末に待つものは?」(11月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・日曜洋画劇場「特別企画 ミステリースペシャル さまよう刃 地上波初!娘を奪われた父の復讐 電話が告げる真犯人!衝撃の結末」(8月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・木曜劇場「東野圭吾ミステリーズ」(フジテレビ系、2012年)まとめ
【東野圭吾先生著作ネタバレ書評(レビュー)】
・「探偵倶楽部」(東野圭吾著、角川書店刊)
・「白夜行」(東野圭吾著、集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「幻夜」(東野圭吾著、集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「殺意取扱説明書(毒笑小説より)」(東野圭吾著、集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「夜明けの街で」(東野圭吾著、角川書店刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「11文字の殺人」(東野圭吾著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「ブルータスの心臓」(東野圭吾著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「回廊亭殺人事件」(東野圭吾著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「ゲームの名は誘拐」(東野圭吾著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『秘密』(東野圭吾著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『犯人のいない殺人の夜』(東野圭吾著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『マスカレード・ホテル』(東野圭吾著、集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『使命と魂のリミット』(東野圭吾著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『分身』(東野圭吾著、集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『プラチナデータ』(東野圭吾著、幻冬舎刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『怪しい人びと』(東野圭吾著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『あの頃の誰か』(東野圭吾著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『さまよう刃』(東野圭吾著、角川書店刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『東野圭吾公式ガイド 読者1万人が選んだ東野作品人気ランキング発表』(東野圭吾作家生活25周年祭り実行委員会編、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
【探偵ガリレオシリーズ】
・容疑者Xの献身(文春文庫版)&映画版
・「真夏の方程式」(東野圭吾著、文芸春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『虚像の道化師 ガリレオ7』(東野圭吾著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・2夜連続ガリレオSP「ドラマレジェンド ガリレオエピソードΦ」(12月28日放送分)ネタバレ批評(レビュー)
【加賀恭一郎シリーズ】関連過去記事
・シリーズ7作目「赤い指」ネタバレ書評(レビュー)はこちら。
「赤い指」(東野圭吾著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ8作目「新参者」ネタバレ書評(レビュー)はこちら。
「新参者」(東野圭吾著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ9作目「麒麟の翼」ネタバレ書評(レビュー)はこちら。
「麒麟の翼」(東野圭吾著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・ドラマ版「新参者」ネタバレ批評(レビュー)はこちら。
「新参者」(TBS、2010年)
・ドラマ版「赤い指」ネタバレ批評(レビュー)はこちら。
東野圭吾ミステリー 新春ドラマ特別企画「赤い指 シリーズ人気No.1ドラマ化最愛の人が殺人を犯したら!?加賀が解く涙の連鎖・家族の絆とは “新参者”加賀恭一郎再び!」(1月3日放送)ネタバレ批評(レビュー)
【その他】
・米国版「容疑者Xの献身」発売される!!タイトルは「The Devotion of Suspect X」!!
・韓国版『白夜行』遂に上陸!!2012年1月7日(土)日本公開!!
・東野圭吾先生「人気作品ランキング」中間結果発表!!
・東野圭吾先生が中国でブームに!?
・東野圭吾先生「容疑者Xの献身」が上海で舞台化!!
・東野圭吾先生原作『浪花少年探偵団シリーズ』(講談社刊)がTBS系月曜20時枠にてドラマ化決定!!
・「エドガー賞 最優秀小説(作品)賞」受賞作発表、モー・ヘイダー『Gone(ゴーン)』に!!
・東野圭吾先生原作の映画版『麒麟の翼』『夜明けの街で』『さまよう刃』が台湾にて2012年4月20日より公開!!
・東野圭吾先生『容疑者Xの献身』がエドガー賞候補に!!気になる結果は2012年4月26日!!でも、何故2012年の今なのか、知りたいと思いませんか!?
・東野圭吾先生『プラチナデータ』(幻冬舎刊)が映画化!!公開は2013年を予定!!
・フジテレビ系列木曜劇場にて東野圭吾先生原作作品を続々ドラマ化!!その名も「東野圭吾ミステリーズ」!!
・東野圭吾先生『○笑小説』シリーズから3本の短編が実写ドラマ化!!
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