<あらすじ>
東京の郊外で、小学生による万引き事件が発生した夜、身元不明のデリヘル嬢が他殺体で発見される。
数日後、弁護士の巽志郎(三浦友和)は、秘書の野村真知子(あき竹城)に無理やり連れ出された社会人ラグビーの試合で、真知子の甥が所属するクラブのエース、沢口和也(中林大樹)の母・香織(床嶋佳子)と出会う。しかし、グランドに和也の姿はなかった。和也は試合直前、車で事故を起こし病院に救急搬送されていたのだ。緊急連絡を受け狼狽する香織を、巽はタクシーで病院へ送り届ける。
和也の事故原因は、デリヘル嬢殺害の容疑を掛けられた和也が、警察の制止を振り切り無理にアクセルを踏み込んだことにあった。夫を亡くしている香織にとって、和也はたった一人の家族。愛する息子を意識不明の重体にさせられ憤る香織は、誤認捜査で警察を訴える覚悟を決める。しかし、そのためには和也の無実を証明しなければならない。巽は香織の覚悟を受け止め、弁護を引き受けることにする。
時を同じく、巽はアシスタントの三枝美穂(坂下千里子)の知人、堀井佳子(映美くらら)から、コンビニの店員を暴行で訴えたいとの依頼を受けていた。小学生の息子・翼(原田一輝)は、デリヘル嬢が殺害された夜にコンビニで万引きを働き、追いかけてきた店員の瀬戸口光昭(柳憂怜)に暴力を振るわれたのだという。セレブで勝ち気な母親に覇気のない息子。しかも、冷静に考えれば非は万引きを働いた息子の翼にあるとあって、巽はどうも気乗りしない。
そんなこともあり、巽は先に和也の容疑を調べ始める。警察は、デリヘル嬢の死亡推定時刻に、和也が一緒にラブホテルにいたという証拠を入手していた。女の身元も、凶器となったナイフの行方もいまだ不明だったが、警察から逃げたという事実を勘案すれば極めて不利な状況に変わりはなかった。美穂の調べでは、和也の職場での評判は高く、上司の娘との結婚も決まっていたというのだが…。
巽は、デリヘル嬢の死体が発見された郊外の現場にも足を運ぶ。死体の上半身は、側溝の重い蓋に被われた部分に引きずり込まれていた。和也がそんな工作を施すには、側溝が小さすぎると巽が見立てているところに、万引き事件も調べるようにと真知子から催促の電話がかかってくる。
意外なことに、遺体発見現場とコンビニは至近距離にあった。店員の瀬戸口に会った巽は、万引きが翼一人ではなくグループによる犯行と知る。さらに、正義を振りかざす瀬戸口から、翼を捕まえた際、痴漢撃退用のスプレーを掛けられ目を痛めたと、逆に被害を訴えられてしまう。
その夜、巽は塾から帰ってきた翼と話をする。翼は、塾の仲間からイジメを受けていた。万引きも仲間に強要されてのことらしい。悪い連中とは関わるなとアドバイスする巽。だが、「どうしたら、弱い人間が強い人間に勝てるのか?」と問われ、巽は答えあぐねてしまう…。
そんな中、ついにデリヘル嬢の身元が松本里奈(菜葉菜)と判明する。また、里奈のルームメイトから、里奈が大事に保管していたという金庫を巽は入手する。中身は小さなアルバムで、古く色あせた家族写真が綴じられていた。
さらに調査を進めた巽は、里奈がデリヘル嬢のマリアとして親しかったという送迎運転手の鈴木健一(おかやまはじめ)に接触する。鈴木は事件直後に仕事を辞めていたが、事件当夜、里奈がいつもと違う行動を取ったという貴重な証言を巽に告げる。また、里奈は護身用にナイフを持ち歩いていたとも。
少しずつ、事件のパズルがそろい始める中、自宅訪問を約束していた佳子から突然、告訴の依頼を取り消すという連絡が入る。不審に思った巽は自宅を訪ねてみるが、佳子は取りつく島もない。
その帰路、巽は里奈の遺体が発見された現場で、瀬戸口に遭遇する。佳子が告訴しないと知らされた瀬戸口は、「やっぱり正義は勝っちゃうね!」と上機嫌。ところが翌朝、その瀬戸口が里奈と同じ手口、同じ側溝で、他殺体となって発見されてしまう!
(土曜ワイド劇場公式HPより)
では、続きから(一部、あらすじと重複あり)……
里奈に続き、瀬戸口が殺害されてしまった。
連続殺人と思われたことで、入院中の和也の疑いは薄くなる。
とはいえ、瀬戸口が里奈の死について何かを握っていたのではないかと考え、悔しがる巽。
ところが、事務所に戻った巽は留守番電話に録音された瀬戸口からのメッセージに気付く。
「ああ、俺さぁ。この間、訊かれた女性殺害について彼女と待ち合わせしていた男の姿を目撃しててさぁ。これ、言おうかなぁ……どうしようかなぁ。う〜〜〜ん、あのね。中年の小太りの男と会って……えっ、何?ギャアーッ!!」
其処には瀬戸口が何者かに殺害される状況がリアルタイムに録音されていた。
瀬戸口が遺した「中年の小太りの男」、その正体に巽は心当たりがあった。
送迎運転手の鈴木健一である。
こうして巽は鈴木を告発するが、鈴木は既に逮捕されていた。
鈴木は里奈の顧客で社会的地位のある人物を里奈のスケジュール帳を用い脅迫していたらしい。
この罪が露見したのだ。
鈴木は何処で里奈のスケジュール帳を手に入れたのか?
さらに、瀬戸口の遺した証言から里奈殺害についても容疑が向くことに。
ところが、鈴木は脅迫については認めるが里奈殺害は否定。
里奈殺害当日、手帳を車内に忘れた里奈に瀬戸口の勤めるコンビニに呼び出されたらしい。
其処で手帳を渡したところ、里奈は写真だけを回収し手帳をくれたのだそうだ。
里奈の所持品に写真があったことを思い出した巽は事務所に駆け戻る。
ところが、写真は香織の手で荼毘に付されてしまった。
香織によれば、里奈の供養になるかと思ったとのことだが……。
里奈の知人から、写真が里奈の過去に関わる物だったらしいことが判明。
しかも、ある殺人事件に関連する品だそうだ。
こうして里奈の過去を追った巽は20年前に里奈と和也が幼馴染であった事実を突き止める。
しかも、香織の夫であり和也の父である茂木が謎の転落死を遂げていた。
瀬戸口の殺害方法が里奈と異なっていたことで小笠原は和也へと改めて容疑を向ける。
そんな中、和也が意識を回復した。
巽は和也に自身の推理をぶつける。
20年前、父殺害に母・香織が関与しているのではと疑っていた和也。
それゆえ、その事実は和也にとってタブーであった。
自然、真相を知る里奈とは疎遠になった。
そして現在、東京へと出て来た和也は其処で里奈と出会う。
もちろん、互いにそれとは知らない。
和也にとっては遊びに過ぎなかったが、里奈は和也に好意を抱いていた。
そして里奈殺害の当日、里奈は和也が幼馴染の茂木和也であることに気付いた。
あくまで否定する和也に、里奈は証拠として例の写真を持ち出そうとする。
鈴木をコンビニに呼び出すと、写真を回収した。
写真を和也に見せた里奈は自身の好意を告げ、受け容れるよう迫る。
だが、和也はあくまでこれを拒否。
そこで、里奈は茂木を香織が殺したと明らかにすると脅迫。
これに激高した和也に殺害されたのであった。
これを聞いた和也は「違う」と繰り返す。
「20年前の事件の犯人は……」
「和也!!」
何かを告白しようとした和也を香織が押し留める。
あくまで和也の犯行を否定する香織だが……。
瀬戸口が殺害された当日に和也の意識が戻っていたことを科学的に立証する巽。
和也は香織が主張する1日前から意識を取り戻していたのだ。
つまり、香織は事前に和也から事の真相を聞き出し、対処することも出来たこととなる。
その中で、里奈殺害と瀬戸口に目撃された……この事実を香織に伝えたのではないか。
「瀬戸口は防犯スプレーで目をやられていて、実際には何も目撃していなかったんですよ」
無関係の人間を殺したことを強調し揺さぶる巽。
遂には「瀬戸口を殺害したのはあなたですね?」と香織に迫る。
ところが、其処へ思わぬ急報が!!
なんと、翼が里奈と瀬戸口殺害を認め出頭してしまったのだ。
慌てて駆け付けた巽は、変わり果てた堀井佳子の姿を見ることに。
どうやら、何者かに暴力を奮われたらしい。
翼は酷いイジメを受けていた。
小笠原は、このストレスから翼が母親を虐待し、近隣で頻発していた猫虐待も彼の仕業だと考えるが……。
翼から真相を聞き出そうとする巽だが、翼は口を開こうとしない。
巽は翼の犯行をどうしても信じられない。
あの夜、瀬戸口に追われた翼は側溝に隠れた。
其処へ上から里奈の死体が降って来た。
翼は側溝に里奈の死体を引き摺り込んだ。
弱者として強者に対抗するためにナイフが欲しかったのだ。
以上のことを想像する巽。
そんな巽に香織から瀬戸口殺害に用いられた凶器と手紙が届く。
香織は翼が罪に問われようとしていたことを知り、真実を明かそうと決めたらしい。
香織が死を覚悟していると察した巽は香織を追う。
20年前、夫・茂木から暴力を奮われた香織は耐え切れず夫殺害を決意する。
だが、実行できなかった。
しかし、香織に代わり和也が父を手に掛けてしまった。
これを遠目に目撃した里奈は香織の犯行と誤解したのだ。
そして、現在。
里奈が殺害され和也に容疑がかかった。
当初こそ和也の無実を信じていた香織だが、和也が里奈を殺害したことを確信してしまう。
そこで、和也を守るべく彼の犯行に繋がる写真などの証拠を隠滅。
目撃者であると勘違いした瀬戸口も殺害したのだ。
一方、佳子への暴力と猫虐待犯の正体が明らかになった。
犯人は、翼の父である道彦だった。
会社でのストレスを晴らしていたそうだ。
これを知った息子の翼が、母を守り父を止めるべく警察の介入を狙い自首したのだ。
巽は香織に追いつくと、この事実を伝える。
これを聞いた香織は母を想う子の気持ちを察し、生きることにする。
香織は自ら出頭することに。
巽は和也同様に香織の弁護も引き受ける。
その翌日、事務所にて寛ぐ美穂と真知子。
「親が子を、子が親を守ったんですね。あれ、そう言えば先生は?」不思議がる美穂。
「ちょっと、寄るところがあるんですって」意味ありげに真知子。
てっきり、競馬場かと思いきや……。
その頃、当の巽の姿は翼と共にあった。
「翼君、君には人には守るものがあれば強くなれると教わったよ」呟く巽。
数日後、今度こそは競馬場に現れる巽と真知子。
真知子は「志郎」で「4―6」の馬券を購入。
「まさか、当たるまい」と面白がっていた巽だが、これが当たってしまう!!
「やったー」と大喜びする2人。
ところが、真知子が手にしていた当たり馬券が風に飛ばされて―――エンド。
<感想>
「はみだし弁護士・巽志郎」シリーズ第12弾。
原作なし、オリジナル作品です。
前作は2011年4月16日に放送されているので、実に1年半ぶりの新作となりました。
前作については過去記事もありますね、興味のある方はどうぞ!!
・土曜ワイド劇場「はみだし弁護士・巽志郎(11)〜愛娘を惨殺された父親と狂気の復讐!犯罪者に仕立てられた不良と母の情愛、美人デザイナー殺人事件の驚愕の真実を暴け!!〜」(4月16日放送)ネタバレ批評(レビュー)
では、ドラマ感想を!!
功罪相半ば……と言ったところでしょうか。
良い点、悪い点、両方ありますね。
まず、良い点。
雰囲気がいつも通りで良かったですね。
ラストにて、いつもどおり競馬場かと思いきや……みたいな捻りがあって良かった。
次に、悪い点。
「親を想う子、子を想う親」とのテーマでしたが、翼はともかく、香織と和也を肯定するのは無理がある気がするなぁ……。
とはいえ、劇中でも決して前向きな肯定で無かった点は救いですが。
どちらかといえば、香織と和也の「親を想う子、子を想う親」の関係は裏番組の「踊る大捜査線 ザ・ムービー」の「青島を刺した容疑者の母親」的な感じだし。
ある意味、裏番組も同じテーマでしたね。
それと、放送時間延長の影響かテンポが悪く感じた点もあり。
やっぱり間延びしている気がする……。
では、総評。
功罪相半ばとは言え、なかなか楽しめた気はします。
何より印象に残ったのが瀬戸口の断末魔「えっ、何?ギャーッ!!」でした。
あれを留守電で聞く設定がなんともシュールでしたね。
それにしても、瀬戸口役の役者さん柳憂怜さんだったんですね……驚きました。
瀬戸口のキャラ、インパクトありました。
シリーズ13作目も期待!!
<キャスト>
巽 志郎:三浦友和
野村真知子:あき竹城
三枝美穂:坂下千里子
沢口香織:床嶋佳子
小笠原正平:今井雅之
堀井佳子:映美くらら
鈴木健一:おかやまはじめ
瀬戸口光昭:柳 憂怜
沢口和也:中林大樹
松本里奈:菜葉菜 ほか
(敬称略、順不同、公式HPより)
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