2012年10月10日

『弦楽器、打楽器とチェレスタのための殺人』第1話(麻耶雄嵩著、光文社刊『小説宝石』2012年10月号掲載)

『弦楽器、打楽器とチェレスタのための殺人』第1話(麻耶雄嵩著、光文社刊『小説宝石』2012年10月号掲載)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

名探偵・木更津悠也がバラバラ死体の謎に挑む!
待望の新連載スタート!!
(光文社公式HPより)


<感想>

木更津モノの最新作が連載開始されました。
掲載誌は『小説宝石』さん。

現状で既にバラバラ殺人事件が発生。
この犯人に木更津が挑みます。

では、ついでに管理人もこの謎に挑みたく思います。
ここからは仮説を述べる為にネタバレのオンパレードとなります。
仮説が正しいか正しくないかは不明ですが、本作未読の方は注意すること!!

まず、推理の前に気にかかった点を挙げて行きましょう。

・岡野は西町恵が好き。
・西町恵には恋人が居る。
・被害者・福住は朝霞という恋人がいながら浮気していた。

この3点からおぼろげながら浮かび上がるのは「西町恵の恋人が福住なのではないか」と仮説。

次に「何故、岡野と恵の勤務するコンビニにわざわざ犯人は現れた」のか?
木更津はアリバイ工作の為と推理していますが、それだけではないと思われます。
むしろ、当事者ではないと思われている岡野と西町恵も関係者なのではないでしょうか。
そう考えると先述した「福住と恵が恋人ではないか」との仮説も意味ありげに。

さらに、コンビニに残されたのが手首だったこともポイントです。
これが死後切断されたものか、生存中に切断されたものかによっても何パターンか考えられます。

で、これを踏まえて推理。
岡野と恵の勤務するコンビニが登場したことに意味があるとすれば、このいずれかが犯人である可能性を踏まえるべきでしょう。
特に「福住と恵が恋人同士だった」と仮定すると、動機も生じます。

とりあえず、いくつかパターンを挙げて行きましょう。

ます、「岡野犯人説」。
動機は「愛する恵の恋人を殺害し、彼女を手に入れる為」。
この場合、バラバラ死体を落としたと思われる人物は無関係。
その人物を恵と共に目撃したことを利用し、アリバイ作りを目論んだ。
岡野は勤務に入る前に福住を殺害、バラバラにすると遺棄現場に手首を除き放置した。
その上で手首のみ所持しておき、利用する機会を見計らっていた。
勤務中も手首を所持しておき、20時の出来事を利用し勤務明けに手首を持ち出しアリバイ作りを狙った。
怪しい人物が犯人と思われている限り、岡野には容疑は向かない。

次に「恵犯人説」。
動機は「交際していたと思っていた福住に弄ばれていたことへの復讐」。
こちらも、バラバラ死体を落としたとされる人物は無関係。
岡野が手首を拾うことを予期し、事前に店外に遺棄しておいた。
あとは岡野と同じ。

でもって、意外性を狙ったのが次の説。
怪しい人物は「福住自身」だった場合。
あくまでコンビニで発見されたのが手首だったことに注目。
手首ならば『ソウルケイジ』のように覚悟しておけば事前に切断したとの設定も可能。
これが生前に切り落とされた物として、福住自身がコンビニに運んだとの説。
ただ、この説は必然性と説得力に欠ける。

そして、「村雲朝霞犯人説」。
でも、これだと木更津の推理で終わっちゃうからなぁ……。
それとも次回以降にさらに詰める推理が見られるか。

う〜〜〜ん、この中では「岡野」か「西町恵」説かな。
タイトル『弦楽器、打楽器とチェレスタのための殺人』にも意味がある筈だが……。
これは第2話も目が離せません。

<ネタバレあらすじ>

コンビニでバイトに勤しむ岡野は先輩店員である西町恵に恋心を募らせていた。
とはいえ、この想いは明かされることはないだろう。
何故なら、西町恵には既に恋人が居たのだから。
それでも、岡野は恵と共に居られる時間が本当に嬉しかった。

以上のような些か複雑な想いを抱えながらも業務をこなす岡野。
ちょうど来客が無くなったこともあって、恵と会話を交わす。

20時の到来を店内放送が報せる。

と、店の外で見るからに怪しい人物が荷物を取り落とし地面にばら撒いてしまった。
新聞紙に包まれた何かが地面と衝突、周囲に甲高い音が響き渡り、それとなく目を惹かれる。
怪しい人物は慌てて拾い集めるとそのまま去って行った―――。

バイト交代の時刻となった。
岡野は引継ぎする恵をよそにゴミを片付けるべく店外へと向かい、新聞紙に包まれたソレを拾った。
どうやら、先の人物が拾い損ねたようだ。
どうするべきか……苦笑しながらソレを手に店内へと戻ると、恵の態度が一変した。

岡野を目にして何かに怯えた表情を向けている。
恵の態度に戸惑う岡野は手元のソレを改めて見て絶叫した―――ソレの正体は新聞に包まれた人間の手首だったのである。

数日後、編集者から依頼されていた長編に致命的な欠陥が見つかり焦りを募らせた香月。
気晴らしとヒントを求めて木更津探偵事務所を訪れる。

木更津は事件の調査を手がけていた―――バラバラ殺人事件である。
バラバラ殺人ながら被害者の遺体が1箇所に遺棄されていたことで話題となっていた。

木更津への依頼者は学生寮を営む村雲。
村雲によれば、バラバラ殺人の被害者は福住という男子学生。
その福住と村雲の娘・朝霞が交際しており、最近になって福住の浮気が原因で揉めていた。
そこで福住殺害の容疑が朝霞にかかったのだ。
村雲は朝霞を助けるべく木更津を頼ったのである。

依頼を引き受けた木更津は調査を開始。
岡野が20時に発見した手首が福住の手首であったことを知る。
さらに、朝霞が21時から学生寮の映画鑑賞会に参加していたことも確認する。

ここから犯人の行動は次のように推理された。

福住を殺害した犯人は死体をバラバラにし持ち運んだ。
岡野の勤務するコンビニ前で、バラバラ死体を取り落す。
手首を拾い忘れ、そのまま現場へ向かい残りの遺体を遺棄した。

これが正しければ、死体遺棄現場から学生寮へ向かっていては21時には間に合わない。
従って朝霞は犯人ではない。

だが、木更津はこの推理を否定する。
犯人のとった行動が不可解であること……そして、岡野が聞いた甲高い音に注目したのだ。
もしも、20時時点で落とした物がすべて本当のバラバラ死体だったのならば甲高い音などする筈がない。
すなわち、その時点で落とした物は手首を除き偽物の死体だったのだ。
初めから手首を残すつもりだったとしたら。

そのような工作をする必要はただひとつ―――アリバイ工作だ。
つまり、「コンビニから死体遺棄現場」と思われていた犯人の行動が「死体遺棄現場からコンビニ」の順番となり、20時以降のアリバイは無意味となる。

木更津は寧ろ21時以降にアリバイを持つ人物こそが疑わしいと主張するのだった―――2話に続く。

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