<登場人物一覧>
アカネ:轢き逃げに遭い実日会総合病院に入院。記憶を喪失しているようだ。前作のアカネと同一人物?
多岐川:実日会総合病院の外科医。アカネの手術を担当。眼鏡着用。
米山:実日会総合病院の看護師長。
宮本:実日会総合病院の研修医。
拓人:子供。実日会総合病院の入院患者。
桐島いつき:若手の看護師。2話より登場。同話にて被害者に。
川越修:実日会総合病院院長。65歳。眼鏡着用。2話より登場。
川越学:修の息子。医師。5話より登場。
原田真菜:いつきの同僚看護師。4話より登場。
刑事:1話で登場。轢き逃げ事件を追っている。
<最終話ネタバレあらすじ>
〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜
轢き逃げ事故に遭った少女が実日会総合病院に運び込まれた。
少女は身許を示すような品を所持しておらず、ハンカチにあった刺繍からアカネという名前を与えられる。
アカネは意識を取り戻すが、記憶を喪っていた。
そんなアカネに近付く入院患者の少年・拓人。
彼によれば、実日会総合病院は「幽霊病院」らしいが……。
車椅子により動けるようになったアカネは、看護師の桐島いつきが何者かと逢引している現場を目撃する。
翌朝、当の桐島いつきが謎の転落死を遂げるのだった。
桐島いつきの死の真相に幽霊が関わっているとの噂も飛び出す。
しかも、次なる轢き逃げ事故の被害者が死亡した夜にアカネと多岐川は幽霊を目撃する。
幽霊は消え、謎だけが残された。
さらにアカネも何者かに命を狙われてしまう。
幽霊騒動はアカネと拓人によるものであった。
その目的は桐島いつき殺害犯を炙り出すこと。
そして、アカネが指摘した犯人は―――看護師長・米山であった。
だが、まだ事件には意外な事実が……。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
桐島いつき殺害犯として、米山が逮捕された。
多岐川は連行される米山を眺めながら「病院は人の命を救うところ、死なせてはいけないんだ!!」と力強く主張する。
これを聞いたアカネは「多岐川先生の想い、分かりました」と微笑む。
そんなアカネが次に口にした言葉は宮本を大いに驚かせた。
「だから、轢き逃げを繰り返していたんですね。多岐川先生」
そう、アカネを含み頻発していた連続轢き逃げ事件の犯人は多岐川だったのだ。
最初から知っていたと語るアカネ。
アカネは記憶を失ったとされていたが、すべて演技であった。
アカネは自身を轢き逃げした多岐川の姿をはっきり目にしていた。
その上で、当の多岐川が担当医となった為に、身を守るべく記憶喪失を装ったのだ。
さらに幽霊騒動を仕掛け、桐島いつき殺害について調べたのも、多岐川の真意を探る為だったらしい。
そして、その目的は達成された。
アカネが語る多岐川の動機とは―――代理ミュンヒハウゼン症候群であった。
病院で命を救うこと、つまりは多岐川が命を救うこと。
多岐川は自身で患者を救うことで全能感を得ていた。
これを確実に、かつ多く得る為に自身で轢き逃げを起こすと、その被害者を救っていたのだ。
「これまでは間違いなく救えていた。救えなかったのは直近の1件だけだ」と主張する多岐川。
その1件も、通報したにも関わらず救急車の到着が遅れたことが原因だと自身を弁護する。
これを聞いた宮本は激怒。
「何を言っているんですか?あなたが轢き逃げしなければ死なずにすんだ命でしょう。第一、助けたと言ったって精神的な傷はあるし、身体的に残る傷もあるんですよ!!」
さらに「あなたを尊敬していた自分が恥ずかしい」とまで口にする。
自身を慕っていた宮本に此処まで批難された多岐川は「自身が病気である」と告げると罪を償うことを伝えるのであった。
宮本は居たたまれずその場を去る。
残されたアカネは多岐川に病室まで車椅子を押すよう依頼。
「僕は君を殺そうとしたのに、君は不思議な娘だな……」
多岐川は感嘆とも呆れともつかぬ感想を洩らすとアカネの依頼に応じるのであった……。
こうして、多岐川は逮捕された。
「神の手」と称された多岐川の真相が明らかになったことで、患者の多くは実日会総合病院を去った。
院長たちは奔走しているが、病院自体が何処まで保つか分からないらしい。
そんなある日、宮本はある患者を追いかけていた。
「やっぱり、行ってしまうんだね……」
彼が声をかけたのは、松葉杖も痛々しいアカネ。
事件が解決したので、誰にも告げずに去ろうとしていたのだ。
「う〜〜〜ん、治療費は多岐川先生にお願いしてくれる?」アカネがおどける。
「それは無理……いや、いいよ。それくらいはしないとね」別れの寂しさに耐え、無理に笑顔を作る宮本。
これを聞いたアカネは再び、前へと進み始める。
「そう言えば……アカネって本名なの?」
その背中に問いかける宮本。
アカネからの返事はない―――『狙われた病室(監禁探偵2)』了。
<感想>
2010年8月に『漫画サンデー』で連載されていた『監禁探偵』の続編です。
原作&作画は前作同様、我孫子武丸先生原作、西崎泰正先生画。
2013年の映画化も発表されました。
『監禁探偵』ネタバレ批評(レビュー)はこちら。
・「監禁探偵」(我孫子武丸原作、西崎泰正画)まとめ
遂に、最終話を迎えました。
作中では「桐島いつき殺害」、「幽霊騒動」、「轢き逃げ事件」、「アカネ襲撃」と4つの事件が発生。
このうち、8話にて「幽霊騒動」の犯人が。
9話にて「桐島いつき殺害」と「アカネ襲撃」の犯人が明らかになっています。
今回は「轢き逃げ事件」の犯人が明らかになりました。
犯人の正体は……多岐川医師でした。
初回の疑惑が的中していたワケですね。
動機についても過去に述べていましたね。
管理人的には、なんとか正解に辿り着けたと言っても良いでしょう。
そして、病院を去り行くアカネ。
それを見送る宮本。
事件が探偵を呼び、探偵が事件を呼ぶ。
事件が終われば探偵は去るものとはいえ、何処か寂しいですね。
さらに、アカネが本名かどうか最後まで明かされませんでした。
これにより、続編の存在も期待出来そうです。
ちなみに『狙われた病室』ですが、2012年12月にコミックス発売予定とのこと。
映画化と合わせて注目です!!
それにしても、アカネが病室から逃げ出すことも出来ず記憶喪失状態であったなら、身体的、精神的2重の意味で『監禁探偵』のタイトル通りだったと思うと、今の自由行動状態は些か勿体ない感もあるなぁ……。
そして、我孫子武丸先生といえば『狼と兎のゲーム』が『メフィスト』(講談社刊)にて連載中。
さらに先に述べた通り、原作を担当された前作『監禁探偵』が映画化されるとのこと。
こちらも要チェック!!
・【噂は事実だった】『監禁探偵』映画化発表される!!
◆「狙われた病室」関連過去記事
・『狙われた病室(監禁探偵2)』1話(我孫子武丸原作、西崎泰正画、実業之日本社刊『漫画サンデー』連載)ネタバレ批評(レビュー)
・『狙われた病室(監禁探偵2)』2話(我孫子武丸原作、西崎泰正画、実業之日本社刊『漫画サンデー』連載)ネタバレ批評(レビュー)
・『狙われた病室(監禁探偵2)』3話(我孫子武丸原作、西崎泰正画、実業之日本社刊『漫画サンデー』連載)ネタバレ批評(レビュー)
・『狙われた病室(監禁探偵2)』4話(我孫子武丸原作、西崎泰正画、実業之日本社刊『漫画サンデー』連載)ネタバレ批評(レビュー)
・【容疑者絞りました】『狙われた病室(監禁探偵2)』5話(我孫子武丸原作、西崎泰正画、実業之日本社刊『漫画サンデー』連載)ネタバレ批評(レビュー)
・『狙われた病室(監禁探偵2)』6話(我孫子武丸原作、西崎泰正画、実業之日本社刊『漫画サンデー』連載)ネタバレ批評(レビュー)
・『狙われた病室(監禁探偵2)』7話(我孫子武丸原作、西崎泰正画、実業之日本社刊『漫画サンデー』連載)ネタバレ批評(レビュー)
・『狙われた病室(監禁探偵2)』8話(我孫子武丸原作、西崎泰正画、実業之日本社刊『漫画サンデー』連載)ネタバレ批評(レビュー)
・『狙われた病室(監禁探偵2)』9話(我孫子武丸原作、西崎泰正画、実業之日本社刊『漫画サンデー』連載)ネタバレ批評(レビュー)
◆関連過去記事
・「狼と兎のゲーム(第1回)」(我孫子武丸著、講談社メフィスト連載)ネタバレ書評(レビュー)
・「狼と兎のゲーム(第2回)」(我孫子武丸著、講談社メフィスト連載)ネタバレ書評(レビュー)
・『狼と兎のゲーム(第3回)』(我孫子武丸著、講談社メフィスト連載)ネタバレ書評(レビュー)
・『狼と兎のゲーム(第4回)』(我孫子武丸著、講談社メフィスト連載)ネタバレ書評(レビュー)
・[速水三兄妹シリーズ]
「8の殺人」(講談社)ネタバレ書評(レビュー)
・『夏に消えた少女』(我孫子武丸著、新潮社『Mystery Seller(ミステリーセラー)』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『里親面接』(我孫子武丸著、光文社刊『小説宝石』2012年10月号掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・「監禁探偵」(我孫子武丸原作、西崎泰正画)まとめ
・探偵Xからの挑戦状!「記憶のアリバイ」(11月18日)本放送ネタバレ批評(レビュー)
・探偵Xからの挑戦状!「記憶のアリバイ」解決篇(11月25日放送分)ネタバレ批評(レビュー)
・「TRICK×LOGIC(トリックロジック)」5話「亡霊ハムレット」推理にチャレンジ&発売からほぼ一週間が経過して……
(我孫子先生担当の「盗まれたフィギュア」について推理)
◆我孫子武丸先生のその他の作品はこちら。
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