2012年10月12日

「空が灰色だから」49話「不謹慎なそれ」(2012年10月11日掲載)ネタバレ批評(レビュー)

第3巻の発売も近付く阿部共実先生「空が灰色だから」(秋田書店)。
ネット上で話題となっており、1・2巻は今も順調に版を重ねているとの情報も流れています。
1巻が赤色、2巻が黄色、3巻が青色ということで「虹の7色」をイメージしているのでしょうか。
とはいえ、是非とも7巻以上続いて欲しい作品です。

実際、読んでみると不思議な魅力を持つ本作。
面白いものを読んだら語らずにはいられない管理人にとって、十分に語るべき対象となる作品であります。

というわけで、2012年10月11日に掲載された49話「不謹慎なそれ」のあらすじをまとめておきます。

これを読んで興味を持たれた方は、是非「週刊少年チャンピオン」本誌連載とコミックスにもチャレンジして貰えればオススメした甲斐があるかもしれません。
直に本作を目にして貰えればその不思議な魅力をご理解頂けるかと思います。

では、本作の魅力を出来る限りお伝えするべくネタバレ批評(レビュー)です。

◆2012年10月11日「週刊少年チャンピオン」掲載 49話「不謹慎なそれ」

どこか女性的な雰囲気を醸し出す、線の細い少年・菜野くん。
彼は常におどおどしていることから、イジメラレっ子であった。
今日も数人に囲まれ難癖をつけられていたが……。

其処に思わぬ助け舟が!!
現れたのは有名な不良少年の甲賀。
甲賀は菜野を助け出す。
いじめっ子は彼が相手と知ると、血相を変えて逃げ出した。

喜ぶ菜野だが、今度は当の甲賀に凄まれてしまう。
甲賀は菜野に女装することを強要。
嫌がる菜野だが、断ることが出来ない。
結局、女装することに。

この日以降、甲賀は毎日のように女性用のコスプレ衣装を持参しては菜野に着ることを強要する。
菜野は嫌がりながらも着用させ続けられることに。

ある日、甲賀はバニースーツの衣装を手にぼんやりと考え込んでいた。
(さすがにこれはヤバいかなぁ……)
どうやら、菜野に着せようと企んでいるらしい。

と、当の菜野が何名ものイジメっ子に囲まれていた。
どうやら、吊し上げられているようだ。

これを目にした甲賀は思わず走り出すと、あっという間に蹴散らすのであった。
「俺のものに手を出してるんじゃねぇ!!」
逃げ去り行くイジメっ子の背中に凄む甲賀。

そんな甲賀を見て菜野は泣き出す。
甲賀もまた菜野にとっては嫌なことを強要する意味でイジメっ子と変わらなかったのだ。

これを聞いた甲賀は大きなショックを受ける。
実は甲賀は特に菜野を苛めているつもりはなかった。
荒くれ者で知られる甲賀の趣味は衣装制作であった。
着たら可愛いだろうなぁ……と自身で思う衣装を作る趣味だったのだ。

だが、この趣味は不良で知られる甲賀にとって誰にも理解されないもの。
悶々とした日々を送っていた。
そんなある日、菜野を見かけ電気が走った。
(こいつに俺の作った衣装を着せたい!!)
そう思った甲賀は影ながら菜野を見詰めていたのだった。
そしてあの日、遂に声をかけたのである。

これを聞いた菜野は甲賀の気持ちを汲み、ある条件を飲めばバニースーツを着ても良いと譲歩する。
その条件とは甲賀も衣装を身に着けること。
甲賀は渋々この条件を受け入れる。

こうして、甲賀と菜野はバニースーツ姿を披露することに。
甲賀はどこかぎこちなく、菜野はと言えば怖いぐらいに似合っている。

譲歩した甲賀に菜野は語る。
菜野は特に衣装を着ることに抵抗はなかった、むしろ喜んでいた。
菜野が嫌がっていたのは、衣装を身に着けることでなかなか甲賀が帰宅を許してくれないことであった。

「だって、門限に遅れるから……」
頬を染めながら告げる菜野は、門限さえ守ってくれれば今後も衣装のモデルになることを了承するであった。
そんな菜野の姿にこちらも頬を染める甲賀―――エンド。

<感想>

2012年10月11日掲載の49話「不謹慎なそれ」です。

まさに「不謹慎なそれ」ですね。
どちらかといえば危うい友情ともとれるアブノーマルな世界が爆発です。

男性でありながらヒロイン気質の菜野。
荒くれ者で知られながら衣装作りが趣味だった繊細な甲賀。
この2人の世界が繰り広げられました。
甲賀を男性的な人物と捉えるか、あるいは衣装制作やそれを他者に着飾ることを趣味としている点で女性的と捉えるかによって、本話の視点も変わって来そうですね。

本編ラストにて、互いに理解しあった2人。
後日談が気になるのは管理人だけでしょうか?

そんな「空が灰色だから」は「週刊少年チャンピオン」に連載中の漫画。
読むと心がざわついて何処となく落ち着かなくなる作風。

この間から何となく感じていたのですが、本作は過去に「週刊少年チャンピオン」にて連載されていた倉島圭先生「24のひとみ」にテイストが似ていますね。

従来の枠に囚われない世界観は両者の特徴と言えるでしょう。
その味は、古典部シリーズ『氷菓』のアニメ化で話題の米澤穂信先生の著作『儚い羊たちの祝宴』に通じるモノがありそうです。

『儚い羊たちの祝宴』(米澤穂信著、新潮社刊)ネタバレ批評(レビュー)

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