2012年11月17日

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録 69話「螺旋の骨董品店」(「月刊少年マガジン」2012年12月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録 69話「螺旋の骨董品店」(「月刊少年マガジン」2012年12月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
森羅:主人公。C.M.B.の指輪の主。多大な影響力を持つ。
七瀬:森羅のパートナー。身体を動かすことが得意。

河原崎:犬塚の友人であり弁護士、今回の依頼人。
犬塚:被害者。螺旋骨董品店の主人。
菅原:犬塚殺害の容疑者。
井ノ口:犬塚の店のアルバイト。
稲崎:犬塚の店の常連。

弁護士・河原崎からの依頼を引き受けた森羅。
河原崎によれば、彼の友人である骨董品店店主の犬塚が菅原という青年に殺害されたらしい。
だが、河原崎には本当に菅原が犯人なのか自信が無く、これを突き止めて欲しいと云うのだ。

殺害現場は犬塚が経営する骨董品店。
ところが、この骨董品店が一味違う。
なんと、壁の仕切りが螺旋状に配されていたのだ。

通路程度の幅が犬塚が殺害された最奥のレジまで続いていた。
気分はちょっとした迷路である。
最奥のレジ、その背後にはアンモナイトの化石が壁に掛けられていた。
森羅によれば本物らしい。

ちなみに店に並べられている品は、アンモナイトの化石を除きすべて偽物。
なんでも、河原崎の知る犬塚は鑑定眼に欠け、よく偽物を掴まされていた為らしい。
しかも、犬塚は1人暮らしの老人宅をボランティアで訪問していたそうだ。

殺害当日の犬塚の店には、アルバイト店員・井ノ口や常連で呉服店店主・稲崎が居た。
彼らによれば、事件発生時の状況は次のとおりである。

その日、「どうせ偽物ばかりで商売にもならない」ことを知っていた井ノ口は店の表でサボっていた。
其処へほぼ唯一の常連と呼んで差し支えない稲崎が訪れた。
以前から犬塚に依頼していた置時計が入手出来たと聞きつけた為である。
この際、井ノ口が稲崎に訪問着を設えたいと申し出て、その話で些か盛り上がった。

相変わらず暇そうな犬塚の店内に入った稲崎は置時計を確認する。
ところが、当の置時計はプラスチック製。
どう考えても偽物である。
「またかよ〜〜〜」とこぼしたところ、「本物ならその値段では買えないよ」と普段と変わらない台詞が店の奥から帰って来た。

やれやれ……と溜息を吐いたところで、店の表で騒ぎが起きた。
そちらへ向かうと菅原が騒いでいたそうだ。
菅原は「祖母から騙し盗った掛け軸を返せ!!」と怒鳴り込んで来ていたのだ。
「この店がそうだな!?」と確認するや、店内へと駆け込んだ菅原だったが……。

何か起こってはマズイと考えた稲崎が慌てて後を追い、追い付いたところ犬塚が殺害されていたそうだ。
この間、店内から出た人物は1人も居ない。
つまり、菅原しか犯人は居ないことになるが……。

菅原はあくまで犯行を否定しているらしい。

菅原が訪問していた老人宅の写真を眺めた森羅。
それが狙ったように一軒家であることに気付く。

森羅は事件解決の報酬にアンモナイトの化石を望む。
しぶしぶこれを認める河原崎。
これを聞いた森羅の口から「驚異の部屋へご案内します」との宣言が!!

関係者を集めた森羅。

まず、犬塚の店が何故、螺旋で構成されているかについて触れる。
そのヒントはアンモナイトにあるらしい。

アンモナイトが背負った殻には空気が入った空洞部分がある。
それと同じようにこの店にも表からは確認出来ない空洞スペースが存在しているのだ。
それは例のアンモナイトの化石の後ろに存在していた。

店舗にはアンモナイトの化石以外はすべて偽物ばかりであった。
偽物を騙されて掴まされるにしても確率的にありえない。
つまり、意図的に偽物を店頭に飾り立てていたに過ぎない。

では、隠されたスペースにある物は……そう、本物の骨董品の数々である。
「あっ、これ婆ちゃんの掛け軸!!」
菅原が叫ぶ、その視線の先には一幅の掛け軸が。

犬塚には店と同様に裏の顔があった。
ボランティア先の老人宅から骨董品を盗み出していたのだ。
一軒家ばかりだったのは、比較的裕福な家庭を狙った為である。

犯人が犬塚を殺害したのはこのコレクションを奪う為だったと指摘。
この事実を知っている人間こそが犯人だと告げる。

菅原は「この店がそうだな!?」と確認したように店の裏の顔を知らない。
つまり、無実である。

一方、バイトの井ノ口は従業員だけに知っていた可能性がある。
そして、閑古鳥が鳴く店で働きながら訪問着を新調すると語っていた。
この資金は何処から出るのか?

そう、犯人は井ノ口であった。
井ノ口は稲崎が螺旋状の仕切りで姿が見えないことを利用し、空洞スペースを通過し犬塚を殺害したのだった。

こうして事件は解決したのであった―――エンド。

<感想>

「月刊少年マガジン」2012年12月号掲載分「69話 螺旋の骨董品店」です。
今回は「館モノ」のように特殊設定状況下で殺人事件となりました。

それにしても、稲崎は命拾いしていますね。
菅原が来ることは犯人の想定外の筈。
となれば、あの流れだと被害者に最後に会ったのは稲崎となり、彼しか犯行の機会が失われてしまう。
つまり、井ノ口の当初の予定は稲崎を犯人に仕立て上げる予定だったことになります。
稲崎については置時計の件で来店が確定しているのもそれを裏付けるでしょう。

ただ、だとすると「訪問着の新調」について井ノ口が稲崎に依頼したのは矛盾するんだよなぁ。
もしかして、井ノ口は其処まで考えていなかったのか?
ここらが物凄くモヤモヤします。

それと、犬塚についてはあれだけ派手に立ち回っていたら悪評が立っていてもおかしくないと思うけどなぁ。
こちらもモヤモヤ。

今回はちょっとトリックありきのモヤモヤ回でした。
次回に期待!!

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