日本で100番目に早い(たぶん)、「相棒season11(eleven)」第2話「オークション」(10月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)。
<ネタバレあらすじ>
ヘッドホンで音楽を楽しむ右京(水谷豊)。
その隣では、スマホでオセロゲームに興じる甲斐(成宮寛貴)の姿があった。
だが、その表情は自身の世界に耽溺する右京と異なり、苛立ちを隠せない。
遂に、堪りかねた甲斐は「仕事がないんですか?」と右京に喰ってかかる。
そんな甲斐に右京は印刷された名刺を受け取りに行くお使いを命ずる。
これまた、不貞腐れる甲斐。
そんな甲斐の待ち望んだ仕事が向こうからやって来た。
甲斐の元上司である中根署・捜査一係の堀江(山口良一)が、一流オークションハウス「ホワイトグラブズ」の代表取締役、坂巻百合子(岡まゆみ)の依頼を持ち込んだのだ。
なんでも、紛失したとされるジャズピアニストのエド・クレメンスの腕を探してほしいらしい。
腕と言っても70年代にアメリカジャズ界を席巻、夭折したクレメンスが、自らの腕をかたどり作成された石膏製の物。
とはいえ、百合子によれば5日後のオークションの目玉になるほど貴重な物だそうだ。
特に良い解決法があるワケでもない。
困った甲斐は百合子に「マスコミに呼びかけてみては」と提案。
百合子もあっさりとこれに同意する。
数日後、新聞やテレビなどでは連日クレメンスの腕紛失事件を報道。
評論家の守屋はエドの腕の歴史的意義について力説し、「当初は1000万円だった予想落札価格が3000万円に急騰した」と述べる。
内村と中園に呼び出される右京。
2人は右京が甲斐を特命に招いた理由が「甲斐峰秋の保護を受ける為だ」と邪推。
右京を責めるが、右京は平気な顔で「その手がありましたか」と大きく頷くのであった。
一方、甲斐もまた自身が右京に指名された理由に悩んでいた。
そこへ角田課長が登場。
甲斐の悩みを「そりゃ、簡単だよ」と切って捨てる。
「代々の相棒がな、亀山薫に神戸尊。つまり、“か”から始まり“る”で終わる法則があるから」
この角田の返答に頭を抱える甲斐。
そんな折、特命係に腕が見つかったとの連絡が入る。
相沢義明(山本まなぶ)という男が六本木から乗車したタクシーの車内で発見したらしい。
何故か、発見から届け出まで数日かかったことに疑問を抱く甲斐だったが……。
その目の前で腕の帰還を喜んだ坂巻は相沢に謝礼金を手渡す。
この経緯を聞いた右京は、24時間以内に届けないと報労金などを受け取る権利を失うと指摘。
相沢が謝礼金を受け取ったこと自体が違法であると主張。
これを受けた甲斐は相沢と連絡を取ろうとするが、相沢が警察署で書いた自宅の電話番号や住所は出鱈目だったことが判明する。
さらに、当の相沢が他殺体で発見されて……。
相沢の死因は撲殺。
凶器は金属パイプだが、犯人の指紋は検出されなかった。
そして、上着のポケットから甲斐の名刺が発見された。
坂巻と立ち会った際に相沢に渡したものだ。
捜査に関わった伊丹たちは、相沢との関係を確認すべく甲斐に聴取を。
しかし、甲斐は峰秋の息子である。
距離感に悩む伊丹たち。
ところが、逆に甲斐から「一課が理想だったんです!!」と感激され、満更でもない。
「困ったら俺のところに来いよ」芹沢はちゃっかり自己アピールも忘れない。
事件を知り、現場へ向かった右京と甲斐。
甲斐と初対面となる米沢は、角田課長と同じネタを語ろうとして露骨に避けられてしまう。
米沢によれば、現場には四角い箱上のもの、ジュラルミンケースが置かれていた形跡。
さらに蓋らしきものが置かれていた痕跡もあった。
どうやら、何かの箱を開けた状態で置いてあったらしい。
相沢が所持していた9月18日のタクシーの領収書から、乗車したタクシー会社に確認をとった右京たち。
運転手によれば、坂巻は後に並んでいた客に車を譲っていたそうだ。
さらに、坂巻は「ホワイトグラブズ」手前で降車したらしい。
その直後、待ち構えていたかのように相沢がタクシーを拾ったのだそうだ。
何者かの作為を感じ取る右京と甲斐。
早速、「ホワイトグラブズ」へ向かう。
骨董担当スペシャリスト・川浪の案内で坂巻の部屋へ。
そこで、「ホワイトグラブズ」1番の目利きとされる富塚と出会う。
坂巻によれば「ホワイトグラブズ」にて扱う商品はほぼすべて富塚が選んだ品らしい。
甲斐は坂巻に、今回のエドの腕紛失が売値を上げる為の狂言であると指摘。
何故、わざわざタクシーを利用していたのかと問い詰める。
途中で降りた理由についても問うが。
これに「タクシーを利用したのは急いでいたからに過ぎない」と答える坂巻。
さらに「途中で降りたのは、通用口の方が近かったから」と述べる。
あくまで余裕である。
今度はこれを聞いていた右京が乗り出すことに。
「急いでいたにも関わらず人に車を譲り、結果、車載カメラの無いタクシーに乗ったんですね」と指摘。
「蝋人形の首を電車に忘れて価格が高騰したエピソードもありましたねぇ、もちろん、ご存知でしょう?」
さらに追及する。
これには坂巻も堪らない。
仕事を理由にその場を逃げ出してしまう。
「ホワイトグラブズ」を出た右京たち。
坂巻社長の狂言に協力した相沢が、この事実をネタに坂巻を脅迫した為に殺害された―――との説をとる甲斐。
だが、右京はこれを「安易」だと断言する。
ムッとした甲斐は「乗らないんですか?」と尋ねるタクシー運転手の問いにも答えない。
相沢の所持品からガーゼらしき物体が発見。
さらに、相沢が過去に相沢不動産開発の経営者であったことも判明。
他に、相沢の所持品から「劇場版・時効間近」が発見される。
どうやら、2005年に公開された映画のようだ。
つまり、7年前の映画である。
その協同出資者の欄には坂巻と相沢の名があった。
同じ頃、「ホワイトグラブズ」を張り込んでいた甲斐は自身がムキになっていることを自覚し、溜息を吐いていた。
と、そこへ評論家の守屋が現れる。
これに慌てた様子の川浪が駆け寄り、そのまま場所を変えることに。
2人の会話を盗み聞く甲斐。
「勝手に来ないでください」川浪が守屋を責める。
「オークションより前に腕を買い取ってくれと言ったのはあんただろ」逆に非難する守屋。
「もう、あれは無理だ。戻って来てしまった」川浪の言葉。
「実物にこの手で触れて、あれは芸術だと分かった」どうにも諦めきれない様子の守屋。
「無理です、あれはオークションの目玉ですから」
「いいのか?死んだ相沢と坂巻が組んでいたことを明かすぞ!!」
どうしても無理だと繰り返す川浪に守屋は最後通告を突きつける。
だが、川浪は譲らない。
そのまま席を立つ守屋。
甲斐は残った川浪に接触、ここで得た情報を後に伊丹たち一課に教える。
川浪は坂巻と相沢の狂言を知り、守屋にエドの腕を買い取らせようとしていたのだ。
川浪は相沢の居場所を守屋に教えたが、相沢は守屋を拒否したらしい。
伊丹たちは守屋こそが相沢を殺害したと判断するが……。
ここに右京が登場。
守屋の動機は何か―――と疑問を呈する。
相沢が殺害されたのは、既にエドの腕を坂巻に返却した後だったのだ。
腕欲しさの犯行は成立しえない。
右京の忠告も聞かず伊丹たちは守屋を聴取。
守屋は「殺人などしていない」と犯行を否定する。
同じ頃、美術館にて峰秋の姿があった。
奥村土牛の絵の前である。
峰秋の隣には右京も居る。
峰秋は「息子を特命係に招いた理由は何か?」と尋ねる。
「あくまで人柄に興味を持ったんですよ」と応じる右京。
「ほぅ……」と納得したのかしないのか、息を吐く峰秋に右京は何事か依頼を……。
翌日、「ホワイトグラブズ」。
参加者の中には甲斐と悦子が居た。
どうやら、悦子の伝手で参加したらしい。
甲斐は参加者の中から守屋を見つけると、じっと睨み付けるが……。
蓄音機などが次々と落札されて行く中、遂に「エド・クレメンスの腕」が出品される。
1000万円から開始され、どんどんと値が吊り上って行く。
参加者は「何処まで値が上がるんだ!?」と驚愕。
ついには守屋が2500万円を提示する。
甲斐は「守屋が腕に執着するのは犯行の証拠が残されているからに違いない」と呟く。
3000万円、3200万円と値が上がる中、甲斐は3500万円を提示。
守屋と甲斐が値を競り合うことに。
「払えるワケないでしょ……」言葉を失う悦子に、甲斐は「退職金などから払うよ」とあくまで退かない。
4000万円を超え、守屋により5100万円がコールされた。
これには甲斐も俯くしかない。
守屋に落札されるのか……。
「ビッティング、6000万円!!」
響き渡る声、その主は……誰あろう右京である。
流石の守屋も諦めるかと思いきや……。
「まだまだぁ!!」
思わぬ執念を見せ、遂に落札する。
其処へ伊丹たちが突入する。
彼らの狙いはエドの腕である。
「やれやれ、令状がギリギリ間に合いました」呟く右京。
右京がオークションに参加したのは令状取得までの時間稼ぎだったらしい。
「守屋が犯人だったんですよね。で、あれが証拠」腕を指さす甲斐。
「肝心なところを勘違いしていますね」と右京。
坂巻の部屋へ移動した右京たち。
右京は「ホワイトグラブズ」の名誉に関わる重大な事件であると声高に述べる。
右京は、ジュラルミンケースの痕跡が腕を納めたケースと同じ物であると判明したと告げる。
しかも、殺害当時蓋が外れていたことから、血痕が付着していると断定。
調べる為に米沢は腕に試薬を吹きかけようとする。
「おい、やめろ!!」守屋と川浪はこれを止めようとする。
ところが、坂巻と富塚は何故か冷静だ。
「止めようとしませんでしたね。やっぱり、これは本物ではありませんね」
坂巻たちの様子を確認した右京は推理を口にする。
値を吊り上げるべく相沢を巻き込み、腕の紛失騒動を演出した坂巻。
計画では、そのまま相沢から腕が返却される筈であった。
ところが、一時的に預かるだけの筈だった相沢は、自身の取分に満足しなかった。
腕を複製し偽物を返却すると、本物と引き換えに落札代金と同額を要求したのだ。
相沢の所持品から発見されたガーゼは複製を作る際に用いたものであった。
その技術は相沢が出資者となった「劇場版・時効間近」のスタッフが提供したそうだ。
では、相沢を殺害した犯人は誰か?
凶器は現場にあった鉄パイプ。
場当たり的な犯行である。
ところが、犯人の指紋は検出されなかった。
犯人は手袋をしていたのだ。
場当たり的な犯行でありながら指紋を隠すことが出来た。
つまり、犯人は常に手袋を着用する人物。
いつどこで掘り出し物を見つけても、対処できるように手袋を常備している人物。
全員の眼が富塚に集中する。
「違う、私じゃぁ……」喘ぐように否定する富塚。
そんな富塚を相手にしない右京は、米沢にエド・クレメンスの腕を徹底的に調べるよう指示する。
「に、偽物に6100万円を支払ったのか……」
ショックを受けた守屋はこれを破壊しようとする。
ところが、川浪がそれを必死に押し留める。
この様子を目にした右京は「やっぱり」と呟く。
「皆さん、何故、川浪さんがこのような行動をとったか分かりますか?」
考えられる可能性は2つ。
1つ、川浪は何も知らずに未だ腕に愛着を抱いていたから。
2つ、犯人がオークション前に偽物と本物をすり替えたから。
右京は2番目こそが川浪の行動の理由だと断定する。
つまり、今此処に在るエド・クレメンスの腕は本物なのだ!!
「犯人はあなたですね!!」
右京は犯人を川浪と指摘する。
名指しされた川浪は膝をつく。
「なんで本物と偽物をすり替えたんですか?だって、証拠になるじゃないですか」
これに疑問を抱く甲斐。
川浪はすべてを語り始める。
坂巻たちの「やらせ」を知った川浪は、守屋に相沢からの回収を依頼した。
だが、守屋は失敗。
仕方なく直接交渉を図った川浪。
ところが、相沢はこれを拒否すると共にさらに1000万円の口止め料を要求した。
あくまで、オークション前には返却しないとの腹積もりである。
これに川浪は激怒、相沢を殺害してしまったのだ。
「偽物を出品するなんて許せなかった!!」
プロとして、オークションに偽物が並ぶことは許せない。
それこそが、川浪が相沢を殺害した動機であったのだ。
こうして事件は解決。
「ホワイトグラブズ」を後にする右京、甲斐、米沢。
「君は無理しますね、もしも守屋さんが下りていたらどうするつもりだったんですか?」
「そのときは優しい上司にお願いしますよ」
右京の問いに答えつつ、1人先を歩く甲斐。
「それにしても、守屋さんが腕を壊そうとするとは……」米沢が感想を洩らす。
「計算違いでした、僕も無理をしていたようです」自戒する右京。
「似た者同士ですねぇ」米沢の視線が甲斐の背中を捉える。
「彼もいつまで続くか……」右京が呟く―――2話了。
<感想>
シーズン11(eleven)第2話。
脚本は戸田山雅司さん。
さて、今回はというと……。
新相棒・甲斐の立ち位置を絡めつつ、そのキャラ設定を明かすストーリー展開が良かったですね。
新レギュラーである悦子や峰秋も意外な登場の仕方でした。
ちなみに、今回を見た限りでは、右京と甲斐は「教師と生徒の関係(師弟関係)」に近いように感じました。
テーマ的には「川浪が何故、相沢を殺害したか」ということで「ホワイダニット」かな。
そして、「職業的なプライドが殺人動機」とのパターンは「相棒」でも何度か取り上げられていますが、今回は特にスマートに描かれていたような気がします。
「目に見えないプロのプライド」が「目に見える本物の腕」の形で表現されたこと。
さらに、「本物」と「偽物」のすり替えという視覚的に理解し易い行動が絡んでいたのも大きかったのかも。
川浪はプロのオークショニアだったんですね。
プロでありながら誇りを捨てた坂巻たちと対照的に描かれていた点が印象的でした。
今回、一番被害を蒙ったのは守屋かなぁ。
本当だったら3000万円で落札だったのに、甲斐と右京の登場で価額が倍に。
これは、泣かざるをえまい。
しかも、腕の為に殺人まで……いわくがついたが、こちらはある意味どうなんだろうか。
そう言えば、右京がさりげなく「カイト」呼びしてましたね。
「おっ!?」と思いました。
それと、今回はオークションということで「蝶」の回を思い出しました。
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率直に言うと今回はスマートにまとまってて良かったと思います。
カイトがもし落札してたら仲のよろしくないオヤジに頭を下げて金借りるのかなとも思いましたが・・・
オークションと言えばアゲハの回ありましたね。懐かしい・・・
来週はボクシングが題材でカイトが体を張るらしいですが・・・
神戸くんはあまり体を張らなかったので、新相棒が若さもありながら体を張るところは楽しみでもありますね。
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
スマートにまとまってましたよね。
好感持てました。
カイトが落札した場合も見てみたかった気も。
そして、「オークション」で「相棒」と言えば、あの「アゲハ」の回は外せないでしょう。
各相棒の特徴をきちんとストーリー展開に活かして貰うことは、物語の活性化にも繋がると思うので、来週も期待ですね(^O^)/!!