2012年10月26日

「名探偵マーニー」第11話「ブリット」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「名探偵マーニー」第11話「ブリット」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

第11話登場人物一覧:
マーニー:主人公にして名探偵。本名は真音(マリオン)。
ロイド(パパ):ロイド探偵事務所所長にしてマーニーの保護者。元刑事らしい(3話)。

光輪:往年のヒーロー「ブリット」を演じた俳優。現在では病を患っている。
安崎良則:映画会社の社長。
安崎みどり:良則の娘。

これまでの登場人物については過去記事リンクの後に記載しています。

<ネタバレあらすじ>

自宅で寛ぐマーニーの前で父・ロイドが訝しげな表情でテレビを目にしている。
興味を持ったマーニーが覗き込んで見ると、ロイドが視ていたのは往年の特撮ヒーロー「ブリット」が活躍する当時のフィルムであった。
「CGじゃないんだね」
「そりゃそうだ」
ほぉ……と感心するマーニーに明かなジェネレーションギャップを感じるロイド。
「でも、なんで今これを視てんの?」
疑問を抱いた様子のマーニーに、説明する必要を感じたロイドは慌てて事情を語り出す。
どうやら、ロイドが引き受けた次の依頼に関わって来るらしい。

ロイドによれば大手映画会社が往年のヒーロー「ブリット」を主役にした新作映画を制作することになったそうだ。
そこで当時のブリット役を演じていた俳優の光輪を捜して欲しいとの依頼がロイドのもとに舞い込んだのだ。
なんでも、大手の下請け仕事らしいが……光輪の居場所は既に分かっているらしい。

「大手なのに出張費用をケチったんだね」つい感想を洩らすマーニー。
「居場所自体は分かっているんだが問題があってね……」と何やら言い淀むロイド。

そんなロイドの様子が気にかかったマーニーは乗りかかった船とばかりに同行を申し出る。
こうなると、マーニーは梃子でも動かない。
「お前は母さんに似てるなぁ」思わずぼやくロイド。

早速、光輪のもとへ向かった2人。
そこでマーニーはロイドの言葉の意味を知ることになる。

光輪は怪しげな銀の皿を頭から被ると「奴らが来る、奴らが来る」と繰り返していたのだ。
それどころか、マーニーにも皿を被るように強要。
さもなければ「姫も居なくなってしまった。次は君だ」と主張する。
近所の住人によれば、半年ほど前からこの状態が続いているそうだ。
困り果てたロイドは強制的に光輪を入院させることに。
依頼人にどう報告するべきか頭を抱えるロイド。

そんなロイドの傍らでマーニーは光輪が語っていた「姫」の意味を考えていた。
そこで光輪について調べ始める。

一方、光輪について「現状から考えて、映画出演は無理です」と報告するロイド。
ところが、依頼主の安崎良則は「無理でもいいから連れて来い」と目的に合わない無茶苦茶な指示を出す。

その間にも光輪について調べ続けるマーニー。
光輪は将来を期待された俳優であった。
大きな仕事が決まっていたが「ブリット」役に変更となったそうだ。
最初こそ、腐っていた光輪だが生来真面目な性格もあり「ブリット」役に打ち込むと、自分の物にしたらしい。
「ブリット」役の後はプッツリと俳優の仕事からは姿を消し、漁師や工事現場などで働きつつ、住所を転々としつつ生きていたそうだ。
特に生活するには困らないだけの資金も貯めているようだが、それが何故、今のような状況になってしまったのか?

光輪の変化は半年前から始まっている。
そして、失われた姫……。
マーニーが辿り着いた真相とは!?

光輪の病室を訪ねたマーニーは、光輪が何と戦っていたかを解き明かす。

「ブリット」役に一心に打ち込んだ光輪。
そんな光輪は、「ブリット」のファンだと言う安崎の娘・みどりと親しくなった。
互いに好意を抱くようになる2人だが……。

そんなある日、みどりの境遇が一変する。
彼女に結婚話が持ち込まれたのだ。
相手は資産家の男性。
父である良則はみどりを介し、資金援助を目的にしているようだ。
明かな政略結婚であった。
悩むみどりたったが……ある出来事が彼女を傷付ける。

なんと、婚約者はみどりに興味を持っていなかった。
みどりはあくまで飾りに過ぎず、映画会社社長の娘婿の地位を利用し女優を食い物にしようとしていたのだ。
しかも、それは父・良則も承知の上。
それどころか、これを支持し斡旋の手筈すら整えていた。

この事実を知ったみどりは、光輪と共に駆け落ちしてしまう。

以来、光輪はみどりを守りつつ、安崎良則の追っ手から逃げ続ける生活を送ることとなった。
そして、そのみどりが半年前に亡くなっていたのだ。
光輪の語る姫とはみどりのことであった。

「あなた自身がヒーローだったんですね」
マーニーの目の前にてベッドに横たわる老人、彼こそはその人生を賭けて1人の女性を守った本物のヒーロー「ブリット」その人であった―――エンド。

<感想>

「フランケン・ふらん」で知られる木々津克久先生が、2010年の「ヘレンesp」以来2年ぶりとなる「週刊少年チャンピオン」本誌への連載を開始されました!!
連載作品のタイトルは「名探偵マーニー」。

今回はその第11話「ブリット」です。
なんとも言えない切ない物語ですね。
ヒーローとは決して華やかなモノでは無い。

他の誰でもなく、一生を賭けてただ1人の女性を守り抜いた事実は間違いなくヒーローと呼んでいいでしょう。
少なくともみどりにとっては光輪は「ヒーロー」と言えます。

ただ、光輪もみどりも互いに傍に居ながらも、籍も入れていなかったようですし、子供が居た形跡もないことが気になります。
みどり自身も光輪を巻き込んだことを後悔することもあったのではないでしょうか。
数十年に渡る2人のドラマを想像すると胸に来ます。

そして、みどりを失い1人残されてしまった光輪。
現在の光輪の様子から推察するに、光輪とみどりの間には確かに恋愛感情があったように思えます。
それだけに孤独は辛い筈。
しかし、だからこそ孤高のヒーローらしいのかもしれません。

それにしても、安崎は何故未だに光輪を追うのでしょうか。
ロイドが大手から下請けされたように、既に光輪の居所は筒抜け。
従って、その生活状況も分かっていると思うべきで、だとすればみどりの死も理解している筈。
既に光輪を追う理由も無いと思いますが……。
そもそも、みどりをそんなに可愛がっていなかったようなので政略結婚に失敗し数十年が経過した時点で、やはり追う理由は失われているような……。
純粋に「ブリット」制作に必要というワケでもなさそうですし……謎だ。

それと、最終的なロイドの判断が気になりますね。
光輪を安崎に引き渡すのか否か。
この結末は明かされず、読者に委ねられるのでしょうか。

此処で結論。
誰かにとって別の誰かはヒーローになることが出来る。
そして、あなたもまた誰かにとってのヒーローなのです!!
全体的に今回も満足いく回だったと言えるでしょう!!

木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。

木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!

さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。

「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。

衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。

既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。

◆「名探偵マーニー」関連過去記事
「名探偵マーニー」第1話から10話まで(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)まとめ

◆関連過去記事
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これまでの登場人物一覧:

【ロイド探偵社】
マーニー:主人公にして名探偵。本名は真音(マリオン)。
ロイド(パパ):ロイド探偵事務所所長にしてマーニーの保護者。元刑事らしい(3話)。
母親:マーニーの母親、不在。事情があるらしい(1話)。
エリオット:マーニーの愛猫。

【学校関係者】
若島津ゆりか:マーニーの友人。4話、5話、9話、10話に登場。
前花:マーニーの友人。
那智先輩:学校のヒーロー。2話、4話で登場。
白鳥:マーニーの先輩、白鳥財閥の令嬢。1話、7話で登場。
累:白鳥の友人、1話にて登場。
香坂:生徒会書記、2年生。7話で登場。
宮島小百合:マーニーの学校に勤務する教師、10話より登場。

【警察】
毛利刑事:ロイドの後輩刑事。3話で登場。

【再登場しそうなゲスト】
亜羽:ロイドの過去の依頼人。3話で登場。
片岡:大学生、4話で登場。
村枝紗平:政財界のフィクサー。ロイドによれば「黒い噂」で知られる有名人らしい。8話で登場。
野宮真理:ニュース番組の人気キャスター。9話で登場。
舟木真治:宮島の初恋の相手、10話より登場。
光輪:往年のヒーロー「ブリット」を演じた俳優。現在では病を患っている。11話で登場。

【その他ゲスト】
西郷:那智の親友。2話で登場。
徳吉すばる:亜羽の同僚。3話で登場。
望月楓:ラクロス部のイケメン。6話で登場。
謎の女性:望月の周辺に現れた謎の女性。6話で登場。
亀井:村枝の文通相手。8話で登場。
安崎良則:映画会社の社長。11話で登場。
安崎みどり:良則の娘。故人。11話で登場。

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