2012年10月24日

「Q.E.D.証明終了(「月刊少年マガジン+(プラス)」2012年4号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス)」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了(「月刊少年マガジン+(プラス)」2012年4号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス)」連載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
燈馬想:言わずと知れた主人公。
水原可奈:言わずと知れたヒロイン。

江成姫子:通称「クイーン」、ミステリ同好会会長。
長家幸六:通称「ホームズ」、ミステリ同好会会員。
盛田織里:通称「モルダー」、ミステリ同好会会員。

勝野常男:ミステリ同好会が目撃した殺人者。
木長:世界的に成功したジャズマン。被害者。

深夜、とある公園に人だかりが……その中心には江成、長家、盛田たちミステリ同好会の面々の姿。
その傍らには頭を抱えた様子の刑事が1人。

「これは殺人事件ですよ」
江成は、ベンチに横たわる中年の男性を指し示すと、それがさも当然であるように刑事に主張する。
この言葉を聞いた刑事は困惑を深める。

何故なら、ベンチに横たわった男性は高鼾をかいていた。
単なる酔っ払いの居眠りに過ぎなかったからである。

「そう見えて、死んでいるのかも……」未だ自説に拘る江成。
「あのねぇ、君たちイタズラで通報は困るよ」
江成たちミステリ同好会の面々は至って真面目なのだが、それが刑事に伝わる筈もない。

こうして、ミステリ同好会の面々はこっぴどくお叱りを受けることとなった。
結局、顧問から厳重注意され、部室も1週間取り上げられることとなった。
「この間に騒ぎを起こしたら廃部にする」とのキツイお達し付きである。

その夜、宇宙人と交渉することで地位の回復を図ろうとする盛田の提案で、屋外へ天体観測に出掛けた面々。
ところが、そこで髭面の男が眼鏡の男を絞殺する現場を目撃してしまう。

早速、通報しようとする同好会だが、既に1度失敗を犯している。
2度目も失敗すれば、廃部の危機が現実となってしまう。
とはいえ、見過ごせないと判断した江成は匿名で通報することに。
あわよくば、犯人が逮捕され事件が確定した後に目撃者として名乗り出る算段である。

そこへ通報を受けた警察が到着。
担当刑事は例の公園で迷惑をかけてしまった彼だ。
これは言い出しづらくなってしまった……と悩む同好会。

そんな中、加害者である髭面の男が連行されて来る。
どうやら、殺害現場の建物の持ち主で勝野常男という名前らしい。
勝野は近くの喫茶で食事をしていたらしく、死体処理の時間も無かった筈だった。
「これなら早期に事件も解決、すぐに名乗り出なければ」と準備する同好会だったが……。

死体を捜すべく建物の内部へと入った刑事たち。
そこには異様な光景が!!
中には何もなく、ただ楽器ケースと墓標らしき十字架が突っ立っていたのだ。

まずは勝野立ち会いのもと、ケースの中身を確認しようとする。
ところが、勝野は猛烈に抵抗を示す。
遂には警官を突き飛ばし、公務執行妨害とまで言われるが……。

そこまでしたにも関わらず、ケースの中にはチューバが入っているのみ。
「大事なものなんだ」と繰り返す勝野に、ケースを返却する刑事。

次に調べるべきは墓標らしい十字架である。
今度も邪魔されては堪らない、刑事の指示で勝野はそのままケースを手に屋外へ。

一方、十字架の下を掘り返してみたところ、出て来たのは怪しげなアートの人型。
だが、どう見ても死体ではない。
さらに深く広く掘り返してみるが……結局、何も出て来なかった。
「またも、ガセだったのか」と肩を落とす刑事たち。
この様子を見ていた同好会は「確かに殺人が行われた筈なのに、死体は何処へ消えたのか」と不思議がる。

しかし、迂闊に関われば廃部の危機である。
モヤモヤを抱えつつ、その場は引き下がることに。
その後ろでは、勝野が公務執行妨害で警察に連行されていた……。

それから数日後、ミステリ同好会メンバーにとって未だにモヤモヤは解消されない。
こんなときは、想と可奈の出番である。
相談を受けた想は「被害者はこんな顔ではなかったか」とある写真を見せる。
それは世界的ジャズマン・木長の写真であった。
これを見たミステリ同好会メンバーは被害者が木長であることを認める。
木長は例の騒動から2日後に、河川敷で死体が発見されていた。
報道では死因は不明とされていたが……。

こうして、想は事件解決に動く。
まず、可奈による調査が開始。

木長と勝野がジャズ仲間だったこと。
ところが、アメリカの大手プロモーターから声がかかった際に、勝野は「どうせ失敗する」と日本に残り、木長だけがチャレンジし成功したこと。
これを勝野が「自分たちの成功を木長が盗んだ」と恨んでいたことまで突き止める。

ところが、当の勝野にはアリバイがあった。
木長の死亡推定時刻と思われる日には、例の騒動直後の公務執行妨害で1日中、拘束されていたのだ。
ミステリ同好会が目撃した事件が実際に存在しない限り、勝野には木長殺害は不可能である。

一方、想は刑事が1度ガセネタに踊らされたにも関わらず、何故、再度通報を信用したのか気にかけていた。
その理由は同じ内容について、別の通報が2件届けられたからだったらしいが……。

その頃、ミステリ同好会は自身の信念をこれ以上曲げられないと、目撃したことを証言しようとしていた。
このままでは、廃部の危険性が高いにも関わらずである。
これを聞いた想は事件解決に向かう最後の一手を打つ。

関係者を一同に集めた想。
其処で自らの推理を述べて行く。

あの日、ミステリ同好会が目撃したものは事実であった。
木長を絞殺した勝野は、木長の死体を建物の陰に隠した。
その後、匿名で自らの犯行を通報。
警察の到着を待ちながら、喫茶店で食事していた。

さて、警察が到着し建物の中へ。
中にはあらかじめ用意しておいた楽器ケースと十字架の墓標が。
まず、中身を確認されたら困るかのような素振りで楽器ケースへと注意を惹く。
同時に暴力により公務執行妨害となっておく。
ここで、ケースの中を確認されるがこの時点では変哲のないチューバである。

次に十字架の墓標を調べる際に、追い出されるように仕向ける。
ケースを手に追い出されると、木長の死体が隠してある建物の陰へ。
チューバを取り出し、木長の死体を折り畳んで収納。
チューバ自体はその場で潰し、痕跡を消す。
後は死体入りのケースを車に積み、公務執行妨害の取調を受けることでアリバイを成立させるとの寸法である。

これを聞き「証拠がない」と言い張る勝野。
想は木長の死体が隠されていたとされる建物の陰へと彼を連れ出す。
其処には血の跡が……。

「おいおい、こんなのある筈がない。木長は絞殺されたんだぜ!!」勝ち誇る勝野。
だが、想は彼の言葉を認めた上で。
「それが分かったからこそ、犯人なんです」と主張する。

何故なら、木長の死因は不明とされていたからである。
それが分かるのは犯人以外にはありえない。
血痕も想の罠であった。

「俺もアメリカにさえ渡っていれば……」
罪を認めた勝野の悲嘆の声が虚しく響き渡る。

こうして勝野は逮捕された。
ミステリ同好会は部室も取り戻し、廃部危機も免れた。
今は、勝野の犯行について目撃証言を法廷で口にする日を心待ちにしているようだ。
雄姿を記録に残すと、カメラまで用意する気合いの入れようである。

これを眺める可奈はポツリと呟く。
「法廷って撮影禁止だよね」
想は頷くしか出来ないのであった―――エンド。

<感想>

「月刊少年マガジン+」2012年4号掲載分です。

ミステリ同好会がまたも登場。
準レギュラーとして縦横無尽に活躍しました。
テーマ的には「プライドを捨てた者に成功は無い」、あるいは「可能性を信じる者のみが成功する可能性も持つ」と言ったところでしょうか。

今回はテーマ的には良かったのですが、トリック的に無理がありましたね。

チューバケースに詰められたとしても、その後に描写されていたような姿勢で遺棄することは死後硬直を考えると不可能な気がします。
つまり、膝を抱えた状態での遺棄しか不可能。
これでは、遺体を何処に隠していたかが逆に露見することになるでしょう。
さらに、死斑の状態から検死でトリックの存在にも気付かれそう。

それと、作中描写の混雑具合だと勝野が木長の死体をチューバケースに詰め替える姿は野次馬に目撃される可能性が高いでしょう。
そして何より、ミステリ同好会メンバーが目撃した事件通りだと木長の死体を隠す場所がないような……。

そもそも、木長を事前に別の場所で殺害していたと判断されれば、勝野のアリバイ工作自体も意味が無いし。

全体的にテーマがなかなか良かっただけに、トリックの粗さが印象に残りました。
次回に期待です!!

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