2012年11月02日

「名探偵マーニー」第12話「オジイチャン」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「名探偵マーニー」第12話「オジイチャン」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

第12話登場人物一覧:
マーニー:主人公にして名探偵。本名は真音(マリオン)。
ロイド(パパ):ロイド探偵事務所所長にしてマーニーの保護者。元刑事らしい(3話)。

鈴村蝶子:カーディガンズ(6話参照)の1人、今回の依頼人。12話で登場。
鈴村都:蝶子の妹。12話で登場。

これまでの登場人物については過去記事リンクの後に記載しています。

<ネタバレあらすじ>

帰宅したロイドの言葉にマーニーは驚いた。
なんでも、ロイドが見知らぬ女学生に尾行されたらしい。
途中で撒くことに成功したと語るロイドだが、不安は拭えない様子。

翌日、学校でマーニーはカーディガンズ(望月の取り巻き、6話参照)の1人・鈴村蝶子から依頼を受ける。
依頼内容は「昨日、街で見かけた男性を捜して欲しい」とのもの。
蝶子が街を歩いていた際にその男性を見つけ、尾行したが撒かれてしまったらしい。
特徴を聞けば聞くほどロイドに似ている……「まさか」と思うマーニーだが引き受けることに。

当のロイドにも確認したところ、やはり、ロイドを尾行していたのは蝶子で間違いないようだ。

「私、一目見てあなたが……」よろめく蝶子。
「待ちたまえ、君。私には妻子が……」戸惑うロイド。

そんな光景が頭に浮かび、悶えるマーニー。
だが、果たして本当にそうなのだろうか?
記憶を探ったマーニーは、蝶子が「私の一家は代々、早婚の気があって……」と語っていたことを思い出す。
こうなれば家族の平穏の為にも、なんとしてでも確認してみなければ!!

こっそりと蝶子の家庭環境について調べたマーニー、蝶子には妹が1人居るらしい。
そして、ある推論に辿り着くことに。

数日後、ロイドと蝶子を引き合わせたマーニー。
蝶子はロイドを一目見るなり「やっぱりソックリだ」と断言。
自宅へ連れて行く。

自宅では蝶子の母がロイドを見るなり言葉を失い立ち尽くしてしまう。
一体、何に驚いているのか?

その理由はすぐに判明した。
ロイドは近頃亡くなった蝶子の祖父にソックリだったのだ。
蝶子が尾行したのも、これが原因らしい。

そして、蝶子はそんなロイドに頼みがあった。
幼い妹・都の為に祖父の振りをして欲しいと言う。
都は祖父の死を信じられないでいた。

これを引き受けたロイドは都と対面。
都はロイドを見るなり「おじいちゃん!!」と大喜び、甘えて離さない。

1日が終わりを迎えた。
蝶子はロイドに「今後も暇な時で良いので祖父の振りをしてくれないか」と頼む。
これに対し、果たしてそれが都の為になるのか悩むロイド。
ロイドは過去のマーニーを思い出し、これが最善ではないのではないかと考えたのだ。
ロイドの言葉を聞いたマーニーも共に思い悩む。

「そんなことしなくていいよ!!」
其処へ幼い子供の声がかかる、都である。
都は幼いながらにロイドが祖父ではないことに気付いていた。
そして、祖父とはもう2度と会えないことも。

ロイドの仕種が自身の知るソレとはかけ離れていたと語る都。
ロイドの容姿が似ているだけにとても悲しくなると訴える。

都は都なりにしっかり祖父の死という現実に向き合い乗り越えようとしている。
これを知ったロイドは蝶子の依頼を断ることに決めるのであった―――エンド。

<感想>

「フランケン・ふらん」で知られる木々津克久先生が、2010年の「ヘレンesp」以来2年ぶりとなる「週刊少年チャンピオン」本誌への連載を開始されました!!
連載作品のタイトルは「名探偵マーニー」。

今回はその第12話「オジイチャン」です。
「君子、豹変す」「男子、3日会わざれば刮目して見よ」ですね。
「子供だ子供だ」と周囲が思っていても、当の子供もまた成長している。
決して、事実を隠し庇い立てすることが、その子の為になるとは限らない―――そんなテーマでしょうか。

それにしても、導入部のミスリードには騙されました。
蝶子がロイドに恋することは無いにしても、サブタイトルから蝶子自身がロイドを亡き祖父のように慕う展開かと思いきや!!

それにしても気になるのは、ロイドの過去回想シーンで登場したマーニーの様子。
一見した限りでは、誰かの遺体の前のようにも見えます。
これと、ロイド自体がマーニーと今回の都が似た状況であると述べていることを考え合せると……。
マーニーはロイドの実子ではない可能性もありそう。

となると、こんな粗筋が考えられそう。

マーニーの実父は何かの事件に巻き込まれ落命。
マーニーの母はマーニー同様に負けん気が強い。
そこで、夫の仇を追うべく、娘・マーニーを夫の同僚であるロイドに預けた?

以上、妄想となりますがどうだろう?
これは、今後の展開からも目が離せそうにないな。

木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。

木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!

さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。

「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。

衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。

既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。

◆「名探偵マーニー」関連過去記事
「名探偵マーニー」第1話から10話まで(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)まとめ

「名探偵マーニー」第11話「ブリット」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

◆関連過去記事
「フランケン・ふらん 最終話(最終回) Dream」ネタバレ批評(レビュー)

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「ヴァンパイア・アナライズ (チャンピオンRED 7月号掲載)」(木々津克久著、秋田書店刊)ネタバレ批評(レビュー)

これまでの登場人物一覧:

【ロイド探偵社】
マーニー:主人公にして名探偵。本名は真音(マリオン)。
ロイド(パパ):ロイド探偵事務所所長にしてマーニーの保護者。元刑事らしい(3話)。
母親:マーニーの母親、不在。事情があるらしい(1話)。
エリオット:マーニーの愛猫。

【学校関係者】
若島津ゆりか:マーニーの友人。4話、5話、9話、10話に登場。
前花:マーニーの友人。
那智先輩:学校のヒーロー。2話、4話で登場。
白鳥:マーニーの先輩、白鳥財閥の令嬢。1話、7話で登場。
累:白鳥の友人、1話にて登場。
香坂:生徒会書記、2年生。7話で登場。
宮島小百合:マーニーの学校に勤務する教師、10話より登場。
鈴村蝶子:カーディガンズの1人、今回の依頼人。12話で登場。

【警察】
毛利刑事:ロイドの後輩刑事。3話で登場。

【再登場しそうなゲスト】
亜羽:ロイドの過去の依頼人。3話で登場。
片岡:大学生、4話で登場。
村枝紗平:政財界のフィクサー。ロイドによれば「黒い噂」で知られる有名人らしい。8話で登場。
野宮真理:ニュース番組の人気キャスター。9話で登場。
舟木真治:宮島の初恋の相手、10話より登場。
光輪:往年のヒーロー「ブリット」を演じた俳優。現在では病を患っている。11話で登場。
鈴村都:蝶子の妹。12話で登場。

【その他ゲスト】
西郷:那智の親友。2話で登場。
徳吉すばる:亜羽の同僚。3話で登場。
望月楓:ラクロス部のイケメン。6話で登場。
謎の女性:望月の周辺に現れた謎の女性。6話で登場。
亀井:村枝の文通相手。8話で登場。
安崎良則:映画会社の社長。11話で登場。
安崎みどり:良則の娘。故人。11話で登場。

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