<28話あらすじ>
〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜〜
エル文化大学に通う女子大生・原田愛理はシャーロッキアン。
同じくシャーロッキアン(ホームズ譚の実在を信じる熱狂的なファン)である車教授と親交を結ぶことに。
ここから愛理の見つけて来た謎に車が挑むとの名コンビが結成された。
やがて、愛理と車教授の間には愛が芽生える。
だが、車は亡き妻を想うばかりに素直になれない。
そんな中、愛理が病気の為に倒れてしまう。
此処に至り、車は愛理への気持ちを告白。
2人は相思相愛の仲になるのであった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
病気療養から帰って来た愛理。
早速、バイト先の書店へと復帰の報告へ。
そのまま、バイトを開始することに。
ところが、愛理が店を休んでいる間に愛理の先輩である鈴木が結婚していた。
今では、花丘と姓が変わったそうだ。
新婚として幸せそうな花丘は、夫が自分に優しく、勿体ない相手とまで口にする。
その様子を見た愛理はこれを祝福することに。
ところが数日後、早くも花丘が浮かぬ顔を。
なんでも、夫から遠まわしに料理を批判されたらしい。
事情を尋ねる愛理。
花丘によれば次のようである。
ある夜、花丘は夫に何が食べたいか尋ねた。
すると、カレーが食べたいと答えたのだそうだ。
花丘は実は料理が苦手。
とはいえ、カレーならば料理できる。
夫なりに気を遣ってくれているのだろうと奮起することに。
気合いを入れて料理本を買い込むと、本格的な羊肉のカレーを作ったのだそうだ。
これを口にした夫は一言呟いた。
「何か妙な薬でも入れているんじゃないだろうね?」と。
確かに花丘の夫の言葉は新妻の手料理に対するものとは思えぬ非常識ぶりである。
だが、愛理は花丘の夫が「シャーロッキアンだとすれば、驚くに値しない」と説明。
『白銀号事件(銀星号事件)』にて「食事にアヘンが混ぜられていた」逸話を例に引き「羊肉と聞けば薬」と連想したのだろうと告げる。
これを聞いた花丘は夫の蔵書に『ホームズ全集』が揃っていたことを思い出す。
納得した花丘は微笑みながら常の彼女に戻るのだが……。
数日後、花丘はまたも浮かぬ顔に。
あのときは愛理の説明に納得していたが、同じようなことが起こったらしい。
今回も発端はカレーである。
前回の反省を踏まえ、本格的なスパイスに拘ったチキンカレーを作った花丘。
ところが、夫は口にするなり「肉は古くないだろうね?」と尋ねたのだそうだ。
前回に続き、今回もである。
花丘は夫が自分を愛しておらず、遠まわしに批判しているのだと悲嘆に暮れる。
今度ばかりは愛理も説明をつけられない。
愛理は「夫婦なのだから直接尋ねてみたらどうか」と提案。
しかし、花丘は「夫婦は所詮、他人。打ち明けられないこともあるだろうし、我慢するわ」としか答えない。
夫婦とはそんなものなのだろうか?
疑問に思った愛理はある人に助力を求めることを決める。
辿り着いた先は「エル文化大学」、其処にはあの人が居るのだ―――29話に続く。
<感想>
シャーロッキアンの意外な真実を縦軸に、車教授と愛理の関係を横軸に置いた作品「シャーロッキアン!」が堂々の完結から半年ほどで帰って来ました。
新シーズンの再開です!!
ナンバリング自体は前シーズンからの引き継ぎということで最終回となった27話の次、28話となりました。
サブタイトルは「カレーの問題」、前後篇の前編です。
花丘の夫は花丘が主張するように妻が嫌いなワケではない、むしろ花丘を愛しているのだと思われます。
その証拠は、「羊肉のカレー」が『白銀号事件』からの引用だとすると、「チキンカレー」は『海軍条約文書事件』からの引用だと思われるから。
確か『海軍条約文書事件』には、早朝の来客に対しハドスン夫人がチキンカレーを作る描写があった筈です。
さらに「チキンカレー」を食べたホームズが「(急な来客にも関わらずチキンカレーを作った)ハドスン夫人の工夫」を褒め称える描写もあった筈。
おそらく、これを用いて来るものと思われるので。
たぶん、花丘の夫は妻の努力をハドスン夫人と重ねることで遠回しに肯定しているのでしょう。
その一方で、花岡の夫には「寧ろ自然体の妻が好きなので気取らずに料理が苦手であることを打ち明けて欲しい」といった要望がありそうな気もする。
ところが、妻は料理が苦手であることを隠し、本格的なカレーに拘る。
夫としては努力を認めた上で、飾らない彼女らしい家庭の味が食べたいと伝えているともとれるかな。
こうなると、花丘は自分にコンプレックスがあり、それが夫との間に壁となっているのが一番の問題と言えそう。
これを後篇で如何に解決するかがポイントか。
そして、いよいよ次回は「車教授」が登場。
「シャーロッキアン」としてどう花丘夫妻の仲をとりもつのか注目です!!
ちなみに「ホームズ」と「料理」といえば、「朝日新聞出版」より『シャーロック・ホームズ家の料理読本』という本が文庫化されています。
<あらすじ>
ベーカー街221B。ここで名探偵ホームズとワトソンのため、長年料理の腕をふるってきた下宿の女主人・ハドソン夫人が、引退後、彼らの好きだった料理のレシピと、当時の思い出を語る。二人が好きだったビールのスープ、スコットランド・ヤードの警部たちに出したマコロン・ガトー、ホームズが旅に出るときのお弁当に必ず入れるチーズと玉ねぎのパイ、イギリスならではの臓物料理の数々。『シャーロック・ホームズ』のパスティーシュ小説のようでありながら、ヴィクトリア朝全盛期のロンドンの食文化・風俗の貴重な記録でもあるユニークな一冊。
(公式HPより)
なかなか興味深い一冊と言えそう。
他に面白いところだと、「ホームズ」と「チキン」と言えば、青森には「シャモロック・ホームズ」という「シャーロック・ホームズ」をもじった軍鶏のブランドが存在。
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◆関連過去記事
・1話から27話までのまとめです。
「シャーロッキアン!」(池田邦彦著、双葉社刊「漫画アクション」連載)まとめ
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