<あらすじ>
東京の閑静な住宅街にある稲村家に、ザンバラ頭に黒縁メガネ、流行とは縁遠い出で立ちの無愛想な家政婦、河野信子(米倉涼子)が派遣されてくる。
稲村家には夫の稲村達也(段田安則)と妻の春子(余貴美子)、中学一年生から六歳までの育ち盛りの三人の男の子、そして達也の母・繁子(野際陽子)が同居していた。
信子を出迎えた春子はいかにも医者の妻といった上品な印象だったが、体面ばかりを気にする春子の本質をすぐに見抜いた信子は、上流階級然としたその態度に早くも嫌悪感を抱く。
逆に春子は、信子が魅力的な女性でないことにホッとしていた。夫や思春期を迎えた息子に、美しい女性を近づけたくないという妻として、母としての思いなのか、それとも、いつの頃からか自分の中に芽生えはじめた、若くて美しい女性への嫉妬を恐れてなのか…。だが、本当の信子は、人の目をひきつけるほどの美女だった。美しすぎる容姿になぜか強烈なコンプレックスを抱く信子は、わざと美貌を隠すために変装していたのだ。
信子は、春子だけでなく、稲村家全体にはびこる問題をすぐに知ることになる。家庭内のことには無頓着で浮気の疑いも濃い達也、わがままで不躾な子どもたち、家族にないがしろにされている繁子(野際陽子)。社会的には幸福な家族を装っている稲村家の恥部ともいえる実情を知った信子は、信子の冴えない外見や家政婦という職業を内心で嗤っている春子や、あからさまに蔑む子どもたちへの復讐心を抱き始める。
最初こそ信子を歓迎した春子だが、次第に信子の言動に薄気味悪さを感じるようになると、突然、信子に盗難癖があると難癖をつけ解雇を宣告。これに、内なる怒りを爆発させた信子は、すでに握っていた家族の弱みにつけ入り、居座りを決める。そうまでして居心地の悪い環境に身を置く信子の目的とは…。
(公式HPより)
では、続きから(一部、あらすじと重複あり)……
その類稀なる美貌を隠し、家政婦として働く河野信子。
今回の信子の仕事先は稲村家。
大学教授・稲村達也とその妻・春子、2人の間に健三郎など子供が3人、そして祖母の繁子が主な家族である。
ちなみに妻の春子には実妹に寿子が居る。
この家庭にはそれぞれ秘密があった。
達也は浮気。
春子は横柄で人を見下す性格の持ち主。
健三郎たちは不躾に育っていた。
繁子は家庭内で顧みられることがなく、孤独であった。
信子は春子の人を見下す性格を嫌い、陰からこの家庭に嫌がらせをし始める。
健三郎を利用し繁子に火傷を負わせると入院させた。
カレーを作れば塩を多めに加えた。
こうして、意趣返しをしていた信子だが……。
達也が浮気相手と共に熱海に宿泊した。
信子はこの事実を突き止めると、どう利用するか考えることに。
そして、達也が熱海から戻って来て数日後―――ある報道が為された。
なんと達也の宿泊先でチフス患者が出たのだ。
信子は当局に「達也が感染しているかもしれない」と密告の投書を行う。
その翌日、春子の実妹・寿子がチフスを発症する。
これが意味するところは1つ。
寿子もまた熱海に宿泊したのだ。
つまり、寿子こそが達也の浮気相手だったのである。
意外な浮気相手の正体に信子は驚くことに。
それは、春子自身も同様であった。
取り乱した春子は信子と激しく衝突する。
繁子が退院した。
同時に春子の口から、信子の美貌と暗躍が繁子に知れた。
繁子は「もう充分でしょう」と信子を促す。
信子は稲村家を去ることを決める。
ところが、不意に刑事が稲村家にやって来る。
信子の投書について事実確認に訪れたのだ。
達也は進退窮まってしまうが……。
信子は稲村家を救う覚悟を決める。
投書が自らの手によるものであることを認めると、投書自体が稲村家への嫌がらせであると告げたのだ。
こうして、投書の信憑性が覆されたことで「投書は根拠のない嘘」として処理されることになった。
稲村家は家庭崩壊の危機を免れたのだ。
その夜、信子は稲村家を退去する。
そんな信子に春子は「美貌を隠す理由」について尋ねる。
信子が容姿を隠すことには理由があった。
その美貌のあまり、夫からありもせぬ浮気の疑惑をかけられ暴力を受け続けたのだ。
暴力は日増しにエスカレートし、遂に信子は入院。
その間に「このままではお前を殺してしまう」と言い置いて夫は逃げてしまった。
後に、夫は平凡な容姿の女性と結婚し幸せな家庭を築いたそうだ。
このことがトラウマとなり、信子は人前に容姿を曝さないようになったのだ。
今回の騒動がきっかけで達也と春子は少しだけ互いに優しくなれた。
信子は家政婦協会へと戻って行く―――エンド。
<感想>
原作は松本清張著『熱い空気』(文藝春秋社刊)。
過去記事にてネタバレ書評(レビュー)がありますね。
・『熱い空気』(松本清張著、文芸春秋社刊『事故―別冊黒い画集1』収録)ネタバレ書評(レビュー)
現在、絶賛、体調不良中の管理人です。
完全に風邪気味でして、頭がぼーっとしています。
そんな中の視聴なので、把握しきれていないかもしれないです。
こんな状態での感想となりますが、先週の『十万分の一の偶然』が良かっただけに、こちらは微妙だったかなぁ。
まず、本作には2つのストーリーが内包されていると思われます。
1つ目「原作に忠実なイヤミス路線」。
2つ目「信子が美貌を隠していた理由などのオリジナル要素」。
この2つがすこぶる相性が悪い。
なんだか無理に2つの話を1つに合わせたような気がする。
「2つ目が1つ目にどう貢献していたか」が不明瞭なのが原因かも。
端的に言えば「オリジナル要素に必然性が一切なく、本筋から浮いていた」印象。
「美貌」についてのオリジナル要素を加えるならば、もっと原作部分を大胆に改変しても良かったかもしれない。
基本、原作に忠実なドラマ化こそ好ましい(でないと、原作ものをドラマ化する意味が無い!!)と思っている管理人ですが、オリジナル要素がそれ単体で成立しない上に捕捉ですらなく蛇足となるならば不要だと思う。
今回のドラマは、たぶん「信子の暗躍を通じて、稲村家が前向きにまとまった」とのオチだと思うが、あまりに唐突過ぎて分かり辛い。
「信子の暗躍部分」と「稲村家の回復」が乖離し過ぎている。
これもすべて、先の「2つのストーリーの和合性の無さ」に起因しているのかもしれないなぁ。
あくまで個人的な意見だけど、信子の容姿設定を活かすならばそれをメインにおいたストーリーにすべきだった気がする。
例えば、家政婦先の妻が夫に暴力を振るわれており、それを信子が自身の境遇と重ね合わせるとか。
その点で、今回のドラマ化はあまり楽しめなかった。
松本清張先生といえば、その著作『寒流』もTBS系にて2013年1月14日にドラマ放送が決定しており、こちらも目が離せません。
・『寒流』(松本清張著、新潮社刊『黒い画集』収録)ネタバレ書評(レビュー)
・松本清張先生『寒流』(新潮社刊『黒い画集』収録)ドラマ版の放送日決定!!2013年1月14日とのこと!!
<キャスト>
河野 信子(32)…米倉 涼子
協栄家政婦会所属の派遣家政婦。バツイチの独り身。類まれなる美貌の持ち主であるが、過去のトラウマからその美貌をウィッグやメガネで隠している。他人の家庭の不幸を見つけることが何よりの楽しみ。
稲村 春子(45)…余貴美子
稲村家の妻。世間体ばかりを気にする体裁屋で、表向きは物わかりの良い上流家庭の奥様を演じているが、実際は貧乏性で見栄を張っているだけ。子どもを甘やかし放題で躾もせず、姑との折り合いも悪い。
稲村 達也(48)…段田安則
大学病院の内科部長。いかにも医者らしく、生真面目な堅物。書斎に置かれた本の位置などに妙に神経質な面もあるが、家族のことなどには無頓着。妻の尻に敷かれたふりをして、実は隠れて不倫している。
稲村 繁子(70)…野際陽子
達也の母。家の奥の隠居部屋に閉じこもって余生を送っている。春子との折り合いが悪い。
細川 寿子…高岡早紀
春子の妹。姉に比べて気立てが良く、明るい。姉と仲がよく、デパートに出かけては姉の愚痴や相談に乗っている。
(公式HPより、順不同、敬称略)
◆松本清張先生関連過去記事
【小説】
・「霧の旗」(松本清張著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「書道教授」(松本清張著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「球形の荒野」(松本清張著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『寒流』(松本清張著、新潮社刊『黒い画集』収録)ネタバレ書評(レビュー)
・『市長死す』(松本清張著、光文社刊『青春の彷徨』収録)ネタバレ書評(レビュー)
・『熱い空気』(松本清張著、文芸春秋社刊『事故―別冊黒い画集1』収録)ネタバレ書評(レビュー)
・『波の塔 上下』(松本清張著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『危険な斜面』(松本清張著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『疑惑』(松本清張著、文藝春秋社刊)ネタバレ批評(レビュー)
・『十万分の一の偶然』(松本清張著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『事故』(松本清張著、文芸春秋社刊『事故―別冊黒い画集1』収録)ネタバレ書評(レビュー)
・松本清張先生原作「砂の器」が5回目のテレビドラマ化決定。テレビ朝日制作、主演は玉木宏さん!!&「砂の器」ネタバレあらすじ
【ドラマ】
・月曜ゴールデン特別企画 松本清張生誕100年スペシャル「中央流沙」(12月14日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・月曜ゴールデン特別企画 松本清張生誕100年記念スペシャルドラマ『火と汐』(12月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・松本清張ドラマスペシャル「顔」(12月29日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・金曜プレステージ「松本清張ドラマスペシャル 山峡の章」(1月29日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・生誕100年記念作 松本清張ドラマスペシャル〜霧の旗「歌舞伎界のプリンスが現代劇初主演!原作と異なる衝撃のラスト!魔性の女3人に振り回される傲慢敏腕弁護士誰もが陥る心の闇と罠の先に待つ真実の幸せとは?真犯人は誰?」(3月16日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・金曜プレステージ 文化庁芸術祭参加作品 松本清張2夜連続SP球形の荒野・前編「連続殺人の裏に隠された昭和史の光と影〜奈良古寺に残る亡霊の筆跡!」(11月26日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜プレミアム 松本清張2夜連続SP球形の荒野・後編「昭和39年東京オリンピック開催日にすべての謎は明かされる!刑事も涙した戦争で引き裂かれた父娘の結末」(11月27日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・サスペンス特別企画「砂の器〜松本清張の最高傑作遂に放送へ!秋田−東京−伊勢−出雲、日本縦断3000キロの殺人捜査!!操車場の死体とカメダの謎!?二人の刑事が追う宿命…」(9月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)
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・水曜ミステリー9「松本清張企画最終章 聞かなかった場所〜謎に満ちた夫の急死!燃える山鹿灯籠が暴く愛人との密会…女性官僚が堕ちた獣道(3週連続松本清張特別企画“聞かなかった場所” 夫に愛人が?女性官僚が堕ちた罠…俳句に隠された密会の屋敷)」(11月16日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・松本清張没後20年特別企画『市長死す 死体になるまでの5日間に市長が見たものは何か?日記に隠された市長の意外な一面が驚くべき真実を浮かび上がらせる!たった一行の文章に秘められた誰も知らない12年前の出来事…53年ぶりに隠れた名作を映像化!』(4月3日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・松本清張没後20年特別企画「ドラマスペシャル 波の塔 汚職官僚連続殺人!!捜査検事に仕掛けられた女の罠!?“点と線”に続く大ベストセラーを完全映像化!東京〜京都〜富士、証言者を追う1000キロの旅衝撃の結末」(6月23日放送)ネタバレ批評(レビュー)
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・金曜プレステージ 松本清張没後20年特別企画第3弾「疑惑 夫殺しの疑いをかけられた若き悪妻はシロかクロか?個性派女性弁護士が史上最強の悪女と闘う〜無実だったら覚えていろ!衝撃の真相とは」(11月9日放送)ネタバレ批評(レビュー)
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・テレビ朝日開局55周年記念 松本清張没後20年 2週連続ドラマスペシャル「十万分の一の偶然〜激突!事故か殺人か!?東名高速四重衝突!!一枚の写真が暴く赤い火の玉の謎…結婚目前に消えた娘〜父の追跡」(12月15日放送)ネタバレ批評(レビュー)
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結果先伸ばしですよね?
という
これ結果的に達也がチフスを発症させたらアウトだよね?から始まり寿子はニュースを見てないの?と思ったり達也が寿子に連絡取りなよと思ったり寿子病院でバラしたりしないのかなとかチフス関連が若干モヤモヤしたり
でも達也は医者だから職場でなんとかするんでしょうか
だけどチフス疑いあるのに家族で寿司とか本当に怖いと思ったり
いえ自分がチフスに詳しくないからそう思ってしまったんです
イヤミスにするなら徹底的にして欲しかったなと
結局信子は元夫の家族をストーキングしてましたし、そこ変わらないなら春子と別れてからほくそ笑むぐらいしたらイヤミスになるかなと思いました
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
確かに、結果を先延ばしにしたとの印象が拭えませんね。
やっぱり、オリジナル部分が合わなかったような気がします。