2012年11月16日

「名探偵マーニー」第14話「虫のしらせ」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「名探偵マーニー」第14話「虫のしらせ」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

第14話登場人物一覧:
マーニー:主人公にして名探偵。本名は真音(マリオン)。
ロイド(パパ):ロイド探偵事務所所長にしてマーニーの保護者。元刑事らしい(3話)。

若島津ゆりか:マーニーの友人。4話、5話、9話、10話、14話に登場。
ゆりかの祖父:幽斉の中学時代の同級生、緊急入院してしまう。
河野幽斉:祖父の中学時代の同級生。同窓会の主催者。
幽斉の妻:幽斉とは犬猿の仲。

これまでの登場人物については過去記事リンクの後に記載しています。

<ネタバレあらすじ>

マーニーの親友・若島津ゆりかの祖父が入院した。
報せによれば、危険な状態らしい。
1週間前に中学校の同窓会があり、それに参加したときは元気だったんだけど……と、祖父の健康状態の急変が腑に落ちない様子のゆりか。

取り敢えず、見舞いの為に入院先を訪れたゆりか。
ところが、祖父はピンピンしていた。
それどころか何処か不機嫌そうだったそうだが……。

矢先、ロイド探偵事務所にも異変が―――依頼が次々とキャンセルされたのだ。
もしや何か良からぬ評判が1人歩きしているのではないか……不安に駆られるロイド。
父の様子を看過できなかったマーニーは、調査に乗り出す。

ところが、ロイド探偵事務所の評判はきめ細かなケアなどで知られ上々であった。

こうなると、キャンセルした依頼者自体に理由が隠されているに違いない。
キャンセルした依頼者は全員がゆりかの祖父と同年代であった。
これに先のゆりかの祖父のエピソードを思い出したマーニーはある推理に辿り着く。

数日後、ゆりか宛に祖父から連絡が入る。
またも、体調を崩しているらしいとのことであった。
退院直後だけに不安を募らせるゆりか。
マーニーはこれに同行することに。

ゆりかの祖父宅を訪れたマーニーたち。
玄関へと向かうゆりかだが、マーニーは先に裏庭へ回ることを提案する。
これに従ったゆりかが目にしたものとは!?

元気な祖父の姿であった。
それどころか、ゆりかの到着を今や遅しと苛立っている様子。
病院へのお見舞いのときと同じである。

改めて、玄関から訪問したマーニーたち。
すると、祖父は畳に倒れ込むと胸を押さえ苦しみ始める。
もちろん、演技である。

だが、裏庭から実情を確認してしまったマーニーたちにとっては驚くことではない。
実は……と先に裏庭から祖父の安否を確認してしまったことを明かすマーニーたち。
マーニーはそのまま、何故、ゆりかの祖父がこのような行為に至ったかについて真相を語り始める。

きっかけは1週間前にゆりかの祖父が参加した中学校の同窓会にあった。
この主催者は河野幽斉という名の男性。
ところが、この幽斉が途中で発作を起こし倒れてしまった。

騒然とする周囲の中で、裸のまま駆け寄る人影があった。
それこそ、幽斉の妻だった。
幽斉の妻は粗暴と野蛮を体現したような人物で、あまり評判が良くなかった。
幽斉自身とも犬猿の仲で、反目すらしていたそうだ。

そんな妻だったが、入浴途中にも関わらず幽斉の危急を知るや取る物も取り敢えずそのまま駆け付けたのだ。
正直、幽斉の妻の姿それ自体は、正視に耐えるものではなかったそうだ。
だが、服を着ることも忘れ、夫のもとに駆け付け、大粒の涙を流すその姿を目にした同窓会の参加者たちは皆が皆、考えさせられた。
自分にもあんな風に悲しんでくれる人が居るのだろうか―――と。

だからこそ、それを試すべくゆりかの祖父は病気の狂言を行ったのだ。
そして、ロイドへの依頼者たちも誰かが自分たちを心配してくれるかどうかに期待した。
だが、ギリギリで恥ずかしくなって取り止めたのであった。

ゆりかの祖父は語る。
「彼女の姿はとても褒められたものでは無かったよ。だが、彼女の行動自体はとても美しかった」と―――エンド。

<感想>

「フランケン・ふらん」で知られる木々津克久先生が、2010年の「ヘレンesp」以来2年ぶりとなる「週刊少年チャンピオン」本誌への連載を開始されました!!
連載作品のタイトルは「名探偵マーニー」。

今回はその第14話「虫のしらせ」です。

人間の情に訴える物語ですね。
ミステリ的にはゆりかの祖父や依頼人たちが「何故、あの行動を取ったのか」とのことで「ハウダニット」の範疇に属すると思います。
同時に「彼らに共通する想いは何か」との意味で「ミッシングリンクもの」とも言えるでしょう。

幽斉と妻が不仲なのは、ホストである幽斉が1人で同窓会を仕切っていた点でも伺えます。
妻が同窓生でない可能性もありますが、普通は自宅を会場としているだけに挨拶だけでも顔を出すだろうし。
少なくとも入浴していることはないんではないでしょうか。
そんな彼女が夫の急を聞き、身繕いすることも忘れ駆け付けた。
この事実に皆が皆、感動したが故にあの結果となったのでしょう。

人間誰しもが抱える不安を上手く表現した作品だったと思います。

それにしても、ゆりかの祖父はなかなかやりますね。
他人と身内の違いこそあれ、ロイドに対して依頼を取り下げた他の人々に比べ、それを実行に移すとは……。
流石、ゆりかの祖父と言うべきか。侮れません。

ちなみに、遂にマーニーのコミックス1巻の発売が判明。
これでいつでもマーニーの活躍を読むことが出来ます。
興味のある方は本記事下部アマゾンさんリンクよりどうぞ!!

木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。

木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!

さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。

「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。

衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。

既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。

◆「名探偵マーニー」関連過去記事
「名探偵マーニー」第1話から10話まで(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)まとめ

「名探偵マーニー」第11話「ブリット」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

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「名探偵マーニー」第13話「双子」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

◆関連過去記事
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「鋏女(チャンピオンRED 5月号掲載)」ネタバレ批評(レビュー)

「ヴァンパイア・アナライズ (チャンピオンRED 7月号掲載)」(木々津克久著、秋田書店刊)ネタバレ批評(レビュー)

これまでの登場人物一覧:

【ロイド探偵社】
マーニー:主人公にして名探偵。本名は真音(マリオン)。
ロイド(パパ):ロイド探偵事務所所長にしてマーニーの保護者。元刑事らしい(3話)。
母親:マーニーの母親、不在。事情があるらしい(1話)。
エリオット:マーニーの愛猫。

【学校関係者】
若島津ゆりか:マーニーの友人。4話、5話、9話、10話、14話に登場。
前花:マーニーの友人。
那智先輩:学校のヒーロー。2話、4話で登場。
白鳥:マーニーの先輩、白鳥財閥の令嬢。1話、7話、13話で登場。
累:白鳥の友人、1話にて登場。
香坂:生徒会書記、2年生。7話で登場。
宮島小百合:マーニーの学校に勤務する教師、10話より登場。
鈴村蝶子:カーディガンズの1人。12話で登場。
黒屋明彦:雪彦の双子の兄、社交的。13話に登場。
黒屋雪彦:明彦の双子の弟、内向的。13話に登場。

【警察】
毛利刑事:ロイドの後輩刑事。3話で登場。

【再登場しそうなゲスト】
亜羽:ロイドの過去の依頼人。3話で登場。
片岡:大学生、4話で登場。
村枝紗平:政財界のフィクサー。ロイドによれば「黒い噂」で知られる有名人らしい。8話で登場。
野宮真理:ニュース番組の人気キャスター。9話で登場。
舟木真治:宮島の初恋の相手、10話より登場。
光輪:往年のヒーロー「ブリット」を演じた俳優。現在では病を患っている。11話で登場。
鈴村都:蝶子の妹。12話で登場。

【その他ゲスト】
西郷:那智の親友。2話で登場。
徳吉すばる:亜羽の同僚。3話で登場。
望月楓:ラクロス部のイケメン。6話で登場。
謎の女性:望月の周辺に現れた謎の女性。6話で登場。
亀井:村枝の文通相手。8話で登場。
安崎良則:映画会社の社長。11話で登場。
安崎みどり:良則の娘。故人。11話で登場。

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