2012年11月13日

『償い』(矢口敦子著、幻冬舎刊)

『償い』(矢口敦子著、幻冬舎刊)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>
・単行本版
東京のベット・タウンで社会的弱者ばかりを狙った連続ナイフ殺人事件が発生した。その街で絶望しながら生きるホームレスは、15歳の少年が犯人ではないかと疑い、真相を探るうちに彼の心の深い闇に辿り着く。感動の長編ミステリ。著者は平成9年に「人形になる」で女流新人賞を受賞。

・文庫版
医師からホームレスになった日高は、流れ着いた郊外の街で、連続殺人事件を調べることになる。そしてかつて、自分が命を救った15歳の少年が犯人ではないかと疑うが……。感動の長篇ミステリ。
(幻冬舎公式HPより)


<感想>

NHKさんのBSプレアミムにてドラマ化されるとのことで、早速読んでみました。

【ドラマ】矢口敦子先生『償い』(幻冬舎刊)がNHK・BSプレアミムにてドラマ化!!

う〜〜〜ん、正直どうかなぁ……。
ラスト近辺で、無理に話をまとめた感もある。
正直、あれで真人がどうこうなるとは思えないのだが……。

それと読んでいて、設定等で浦沢直樹先生『MONSTER』を思い出した。

テンマがヨハンを救った(日高が真人を救った)こと。
ヨハンの心の闇(真人の心の闇)。
ヨハンは直接手を下さない(真人は直接手を下さない)。

などなど、本作との共通点は意外と多い。
ちなみに『MONSTER』は1994年連載開始。
本書『償い』は2001年単行本発売。

設定が似通うのは割とあるんだけど、本作よりも『MONSTER』の方が好みかな。

<ネタバレあらすじ>

元医師の日高は妻子を失ったことで、傷心を抱え放浪を始めた。
そして、行き着いたその街で日高は事件に巻き込まれた。
街では殺人事件が発生していたのである。

日高は医師時代に事件に巻き込まれ瀕死となっていた真人という少年を救っていた。
その真人が事件に関わっているのでは……との疑いを抱く日高。
真人を救わなければ、事件は起きず犠牲者は出なかったのだろうか……思い悩んだ日高は遂に真人と対峙することに。

真人は意外な形で事件に関わっていた。
真人は口にする「僕が死を運んだのだ」と。
真人は事件に巻き込まれ命を落としかけて以来、周囲からも奇異の目で見られ疎まれるようになっていた。
さらに親からも虐待を受けるようになっていた。

このことが契機となり、真人は周囲を観察し死を望む者、殺意を持つ者の背中を押していたのだ。
それにより、真人は自殺者や殺人者を生んでいた。

街で起こった事件も夕子などの犯行であったのだ。
その夕子も真人により自殺するよう促され、自殺してしまっていた。

「日高が自分を救ったからこそ多くの人が死んだのだ」言い募る真人に、日高は罪の意識から自殺を考えてしまう。
だが、日高はこれこそが真人の手口であると気付く。
抵抗した日高は逆に真人の心の闇を取り除こうと語りかける。

真人は誰からも愛されていないことが心の傷となっていた。
そんな真人に日高は自分が救った責任を取り、お前を見守ってやると告げる。
孤独を抱えていた真人は日高に心を開くのであった―――エンド。

◆関連過去記事
【ドラマ】矢口敦子先生『償い』(幻冬舎刊)がNHK・BSプレアミムにてドラマ化!!

「償い (幻冬舎文庫)」です!!
償い (幻冬舎文庫)



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posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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