2012年12月06日

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録 70話「4枚目の鏝絵」(「月刊少年マガジン」2013年1月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録 70話「4枚目の鏝絵」(「月刊少年マガジン」2013年1月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
森羅:主人公。C.M.B.の指輪の主。多大な影響力を持つ。
七瀬:森羅のパートナー。身体を動かすことが得意。

森重:美術ライター。
古場:杏次郎の研究家。
杏次郎:鏝絵の名人。故人。

森羅のもとへ美術ライターの森重が依頼に訪れた。
杏次郎が制作したとされる「4枚目の鏝絵」に纏わる呪いについて解明して欲しいらしい。

鏝絵とは漆喰を用いて表現されるレリーフのこと。
杏次郎はその名人として知られていたが、彼が手がけたとされる4枚目の鏝絵と共に謎の焼死を遂げていた。

森重はこの杏次郎の鏝絵について本を書き出版しようとしているらしい。

ところが、森重に先駆けた杏次郎の研究家たちは揃いも揃って謎の怪我を負っていた。
以来、研究家の間ではいつしかこれを「杏次郎の呪い」と呼び怖れるようになった。
この謎を森羅に解き明かして欲しいらしい。

この依頼を受けた森羅。
森重からは杏次郎の研究家として古場という男性が詳しいだろうとの紹介が。

早速、古場のもとを訪れた森羅たち。
ところが、古場は呪いの噂を恐れて口を開こうとしない。
止むなく森羅は「呪いを恐れるのならば、これまでの研究資料を譲って下さい。焼却します」と挑発する。
これを受け発奮した古場は、自身の調べた「4枚目の鏝絵」についてのエピソードを明かす。

4枚目の鏝絵と杏次郎については次のようなエピソードが残されていた。
なんでも高名な依頼主が杏次郎の噂を聞きつけ4枚の鏝絵を依頼。
杏次郎はこれを受けて、これまた当代随一とされた花魁をモデルに3枚まで完成させた。
ところが、ここで制作ペースが極端に落ちた。
それでもようやく、残る1枚を完成させたとの報が杏次郎から依頼主にもたらされた。
依頼主は4枚目を1目みようと欲したが杏次郎はこれを拒否。
その1週間後、杏次郎のアトリエから出火。
4枚目の鏝絵は跡形もなく焼け落ちたのだそうだ。
焼け跡からは杏次郎と花魁の焼死体のみが発見されたと言う。
これに対し、依頼主は何故か沈黙を貫いた。
さらに、誰もその4枚目の鏝絵を目にした者はなく、実在さえ疑われていたが……。

このエピソードを語って聞かせた数日後、古場は階段から転落し負傷、入院してしまう。
やはり、杏次郎の呪いなのか?

ここで遂に森羅の口から「驚異の部屋(ヴァンダー・カンマー)をご案内します」との決め台詞が!!

数時間後、杏次郎についての調査結果をまとめた資料を運ぶ森羅。
その背後から不審なバイクが近付いて行く。

バイクは森羅に接近すると、エンジンを全開!!
森羅の資料を奪い走り去る……筈だった。

ところが、バイクの進行方向上には七瀬の姿。
哀れ、バイクのひったくり犯は七瀬にノックアウトされてしまう。

バイクのひったくり犯、その正体は―――森重であった。
「杏次郎の呪い」は森重が行った人為的な物だったのだ。

では、森重は何故、そんなことをしなければならなかったのか?
それは他の研究家にある事実を突き止められることを恐れたからであった。
今回の森羅への依頼も「杏次郎の呪い」を怖れるあまり口を閉ざしてしまった古場がどれだけ真相に近付いているか確認する為だったのだ。
結果、古場は真相からは遠く離れており、怪我をさせるに留まったらしい。

そこまでして、森重が隠そうとした“ある事実”とは!?
森羅が突き止めた真相は驚愕するものであった。

花魁をモデルに4枚の鏝絵を制作していた杏次郎。
3枚までは完成したが、どれも完成度に納得出来ないでいた。
女性の丸みを帯びた肌を鏝絵で表現出来なかったのだ。
思い悩んだ杏次郎は遂に禁断の領域に踏み込む。

モデルとなった花魁を殺害し、壁に塗り込め自身の作品としたのである。
もちろん、誰にも見せることは出来ない。
それを肴に1週間ほど完成度を楽しむと、死体が腐敗してきたことを契機に放火したのだった。
だから、4枚目の鏝絵は跡形もなく消え去り、後には杏次郎と花魁の死体のみが残された。
依頼者は杏次郎の行動に気付いたために闇に葬ったのだ。

森重はこの事実に気付いていた。
これが明るみに出れば杏次郎の鏝絵が否定されてしまう。
そうなれば、本の出版自体が不可能になる。
そこで、この事実を隠そうと真相に辿り着きそうな人物を負傷させ妨害していたのだ。

「なんとか黙っていてくれないか……杏次郎の犯行は時効だろ。本を出す為なんだよ。第一、誰も困らないじゃないか!!」
森重は「杏次郎の殺人」について沈黙し続けるよう必死に森羅に頼み込む。

そんな森重に森羅は―――。

「当時の杏次郎さんも、今のあなたと同じ顔をしていた筈です」
森羅の視線の先には、目を見開き鬼気迫る表情をした森重の姿が―――エンド。

<感想>

「月刊少年マガジン」2013年1月号掲載分「70話 4枚目の鏝絵」です。

今回のエピソードを読んで、芥川龍之介『地獄変』を思い出しました。
芸術を追い求めた結果、人の死さえも代償に求める……エゴの極地と言えるでしょう。
倫理的に間違いなく否定されるべき所業であります。

しかし、これが「芸術至上主義」の立場に立つならば、それこそが1つの道を究めようとする者の究極なのかもしれない。
陶磁器でも「赤い釉薬」を出す為に人血を以て充てたとのエピソードもあるし。

もっとも、管理人みたいな一般人にとってはやはりそれは理解し難い。
あくまで「それだけの覚悟を以て事に当たるべし」程度が限界かな。
実行は無理だわ。

ただ『地獄変』の良秀に比べると、杏次郎はともかく森重は単なる出世欲かなぁ……という気もする。
いろいろ考えてしまうなぁ。

次回にも期待!!

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