2012年12月01日

「空が灰色だから」51話「僕と交流しよう」(2012年11月29日掲載)ネタバレ批評(レビュー)

第4巻の発売も近付く阿部共実先生「空が灰色だから」(秋田書店)。
ネット上で話題となっており、1・2巻は今も順調に版を重ねているとの情報も流れています。
1巻が赤色、2巻が黄色、3巻が青色ということで「虹の7色」をイメージしているのでしょうか。
とはいえ、是非とも7巻以上続いて欲しい作品です。

実際、読んでみると不思議な魅力を持つ本作。
面白いものを読んだら語らずにはいられない管理人にとって、十分に語るべき対象となる作品であります。

というわけで、2012年11月29日に掲載された51話「僕と交流しよう」のあらすじをまとめておきます。

これを読んで興味を持たれた方は、是非「週刊少年チャンピオン」本誌連載とコミックスにもチャレンジして貰えればオススメした甲斐があるかもしれません。
直に本作を目にして貰えればその不思議な魅力をご理解頂けるかと思います。

では、本作の魅力を出来る限りお伝えするべくネタバレ批評(レビュー)です。

◆2012年11月29日「週刊少年チャンピオン」掲載 51話「僕と交流しよう」

バイトに勤しむ女性・亀村にはある悩みがあった。
彼女には恋人と呼べる存在が居なかったのだ。
そして、彼女を女性として見てくれる男性にも未だ出会えていなかった。

彼氏が欲しい……いや、せめて女性として見てくれる男性が欲しい。
そんな亀村の願いも虚しく、声をかけて来た男性が居たと思えば亀村の背後の同僚が目当てだったり、バイト先の男どもは皆、可愛い子ぶりっ子の後輩狙いだったり……と亀村は常に傷心と焦りを抱えていた。

そんなある日のこと。

「あの、これ落としましたよ」
亀村が落としたハンカチを拾い上げ渡そうとした男性が1人。
まさに白馬の王子様……と思いきや、相手は小学生であった。

だが、亀村には相手の小学生男子に見覚えがあった。
「もしかして、慎君?」
そう、相手は亀村と同じ自治会に所属する少年・慎だったのだ。

こうして、亀村と慎は再会した。

慎とは亀村が高校時代に良く世話をした関係である。
当時、慎は亀村を慕っており「おね〜〜〜ちゃん、好き〜〜〜」と甘えて来ていたものだ。
今、思い返せばあれだけ異性からアプローチされたのは慎以外に記憶にない。

聞けば、慎は西中学校への進学を目指していると言う。
西中学校と言えば、エリート校。
亀村の脳裏に慎の「好き〜〜〜」との言葉が蘇る。

もしかして、もしかしたら、この子を自分のものに出来るのではないか。
そしたら、将来は……薔薇色だ!!

さりげなく慎の自身への好意を確認する亀村。
「うん、今も好きだよ!!」
あっさりと答える慎。
「そう言えば、同じクラスにある女子が居てさ……」
亀村と比較して誰かを思い出したのだろうか、慎は不満を口にする。

これは脈ありだ!!
思わずその場で小躍りしたくなる亀村。

ところが、慎は悩みがあると語り出す。
なんでも、親の言いつけで欲しいゲームが買えないらしい。
慎の表情を見ていた亀村は、ついついゲームを買い与えてしまう。
大喜びする慎は、必ずこのお金は返すからと繰り返す。

慎の態度を見て、心底、良かったと考える亀村だったが……。

そんな2人の前に慎と同い年と思われる少女が現れる。
「うっ、吉永……」
慎が洩らした声にこの少女こそが先程、慎が貶した少女であると知る亀村。

「なになに?この人、慎君のお母さん?」
興味深そうに眺める吉永という少女。
慎は顔を真っ赤に染めながら……。
「そんなのも分からないのかよ、この人は近所のお姉ちゃんだよ!!」
力強く主張する。

その姿は言葉とは裏腹に完全に好意を示していて……。
愕然とする亀村。
その目の前でさらに追い打ちが。

「ほら、これやるよ!!」
無造作に慎が差し出したのはあのゲーム。

「わぁ、嬉しい。私、これが欲しかったんだ!!」
先の慎同様に喜ぶ吉永。

「そんなの知らねぇよ。でも、良かったな」
言葉はきついが、顔を綻ばせる慎。

その様子を傍で眺めていた亀村は「終わった……」と呟く。
慎は吉永へのプレゼントとしてゲームを欲していたのだ。
決して自分の為では無かった。
どう考えても、慎は吉永が好きなのだ。

ハイテンションから一転、燃え尽きた亀村に慎は「ありがとう!!ゲーム代は必ず返すから」と繰り返す。
だが、今の亀村にその言葉は届かない。

帰宅した亀村。
「あたし、何やってるんだろ……」
目に涙を浮かべると、1人呟くのであった―――エンド。

<感想>

2012年11月29日掲載の51話「僕と交流しよう」です。

これまた心に来るわぁ〜〜〜。
1人相撲の末に自滅した亀村。
その傷心は、深いものとなりました。

自身が傷付かないよう、普段から諦めモードで生きて来た亀村にとって、慎は甘い夢でありました。
のぼせ上った亀村は、高みから吉永の登場で冷水をぶっかけられた挙句、転落し大怪我を負うことに。

しかも、それが10以上も年下の少年だったことが拍車をかけました。
さらに、その少年・慎が「ゲーム代は必ず返すから」と割と律儀なところもこれにさらなる拍車を。

吉永が登場しなかったとしても、大人としての自制を取り戻せば、たちまち反省会となるのは自明の理だし。
これも考えれば、傷は深いでしょうねぇ。

当初、てっきり慎が亀村に貢がさせるべく手練手管を用いているのかと疑っていただけに、この結末は余計に胸に来るなぁ。
慎の側に悪気が無く、純粋なだけに亀村への破壊力は増したな。

それにしても、意識せずにこれだけのことが出来た慎。
ある意味、天性の貢がせ屋と言えそう。
将来が恐ろしい子ですね。

さて、「空が灰色だから」ですが、4巻が発売決定。
さらに同時発売される「阿部共実短編集(仮)」の正式タイトルも判明。
「大好きが虫はタダシくんの 阿部共実短編集」だそうです。
もうタイトルからしてやる気満々です。

確実に言えることは短編集には「大好きが虫はタダシくんの」が収録されるってこと。
これに前回の「あつい冬」もついてくる。
うわあぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。

そんな「空が灰色だから」は「週刊少年チャンピオン」に連載中の漫画。
読むと心がざわついて何処となく落ち着かなくなる作風。

この間から何となく感じていたのですが、本作は過去に「週刊少年チャンピオン」にて連載されていた倉島圭先生「24のひとみ」にテイストが似ていますね。

従来の枠に囚われない世界観は両者の特徴と言えるでしょう。
その味は、古典部シリーズ『氷菓』のアニメ化で話題の米澤穂信先生の著作『儚い羊たちの祝宴』に通じるモノがありそうです。

『儚い羊たちの祝宴』(米澤穂信著、新潮社刊)ネタバレ批評(レビュー)

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