ネタバレあります、注意!!
第16話登場人物一覧:
マーニー:主人公にして名探偵。本名は真音(マリオン)。
ロイド(パパ):ロイド探偵事務所所長にしてマーニーの保護者。元刑事らしい(3話)。
若島津ゆりか:マーニーの友人。4話、5話、9話、10話、14話、16話に登場。
白鳥:マーニーの先輩、白鳥財閥の令嬢。1話、7話、13話、16話で登場。
那智先輩:学校のヒーロー。2話、4話、16話で登場。
露島:新聞部部長。自腹でニュースサイトを運営し多大な影響力を持つ。
吉沢:新聞部員の1人。
これまでの登場人物については過去記事リンクの後に記載しています。
<ネタバレあらすじ>
その日、マーニーの学校では体育祭が行われていた。
気乗りがしないものの、学校行事をサボるわけにもいかずそれなりに参加していたマーニー。
そんなマーニーの目に、体育祭の様子を熱心に撮影する一団の姿が飛び込んで来る。
ゆりかによれば、彼らは新聞部の面々。
その活動は校内に留まらず、各界の著名人と交流したニュースサイトを運営していることで隠然たる力を誇っているらしい。
そうこうしている間にも彼らは撮影を続けて行く。
後日、マーニーはゆりかからある情報を得る。
なんと、体育祭での生徒の様子を写したブロマイドがネットで取引されていたのだ。
女子生徒や人気の高い那智などはかなり高額で取引されていた。
其処にはマーニーたちのブロマイドも存在しており、何故かマーニーの方が値段が高かったことでゆりかは不貞腐れる。
とはいえ、こればかりは理由も分からない以上、どうしようもない。
適当にとりなすマーニー。
と、そのブロマイド群に際どい姿の白鳥の写真を発見。
嫌な予感が……。
直後にその予感は的中。
自身の写真を見咎めた白鳥により、事件の犯人を捕まえるよう依頼が入る。
あまりの剣幕に慌てたマーニーは1も2もなく引き受けることに。
ブロマイドの枚数の多さから、体育祭の中で堂々と撮影出来た者が犯人であると考えたマーニー。
第一容疑者は新聞部だ。
新聞部を訪れたマーニーは部長の露島に疑惑をつきつける。
だが、露島は部が撮影した写真とブロマイドに使用された写真が別の物であることを指摘。
疑うならば、部で撮影した写真すべてを確認してくれて構わないとまで発言する。
本人の許可も出たことで確認するマーニー。
確かに同じ写真は1枚もない。
だが、どう考えても新聞部以外に容疑者はいない。
露島以外の部員の中に犯人がいると考えることに。
と、露島と会話していたマーニーは、新聞部のニュースサイトが露島個人の努力の賜物であり、何処からも料金を徴収しない為に、露島が経費を自腹で負担していることを知る。
何処となく動機が見えて来たマーニーだが……。
一方、ブロマイドの内容はエスカレート。
遂には怪しげな台詞付きで販売されたり、カードゲーム紛いのものまで現れる始末。
マーニーなどは「普段ぼんやりしているが、ある種の強者には効果を発揮する」などと紹介文が添付されていた。
急ぐ必要性を感じたマーニーは、露島の協力を得て罠を仕掛けることに。
露島の呼びかけで部室に呼び出された新聞部員の面々。
彼らの前には机を挟んで腰かけた露島のみ。
マーニーは無線で露島に指示を出していた。
確かに新聞部が撮影した写真には、ブロマイドと同じ物は一枚も無かった。
だが、撮影角度や構図が似通っていた物は多数存在していたのだ。
つまり、犯人は部活用のカメラとは別にもう1台個人用のカメラを用意し、販売目的で撮影していたことになる。
やはり、新聞部員の中に犯人は居るのだ。
まずは、アレを見せて下さいと指示を出すマーニー。
露島が取り出したアレを目にした部員たちは一斉に顔色を変える。
中には露骨に「気持ち悪い」と反応を示す者や、吐き気を催す者まで現れた。
そのアレの正体は……露島のブロマイドであった。
しかも、露骨に修正と耽美系の台詞が入ったかなり危険な代物である。
ところが、不快を訴える者が多い中でただ1人、顔を赤らめた者が居た。
新聞部員の1人・吉沢である。
この反応をカメラ越しに確認していたマーニーは、犯人が吉沢であると断言する。
全校生徒の姿が販売されていたブロマイド。
しかし、ただ1人だけ販売されていない生徒が居たのである。
それが露島であった。
吉沢は露島を愛するあまり、彼の役に立とうとニュースサイトの運営費を稼ぎ出そうとしていたのだ。
だが、愛する露島だけは販売対象に出来なかったのである。
吉沢の犯行が明らかになったことに動揺する露島。
マーニーは吉沢以外の部員を引き取らせるよう指示を出すと、「もうこんなことをしなくてもいいんだ」と露島を通じて告げさせる。
これに泣き出してしまう吉沢。
吉沢の涙を見た露島は何をしていいのか分からず取り乱す。
そんな露島に「静かに肩を抱き締めなさい」と伝えるマーニー。
これを実行した露島と吉沢は良い雰囲気に。
「あ〜〜〜あ、なんでこんなことしてるかなぁ……」
そんな2人の様子を覗かされているマーニーは、自身がキューピッド役を演じさせられたことに溜息を吐くのであった―――エンド。
<感想>
「フランケン・ふらん」で知られる木々津克久先生が、2010年の「ヘレンesp」以来2年ぶりとなる「週刊少年チャンピオン」本誌への連載を開始されました!!
連載作品のタイトルは「名探偵マーニー」。
今回はその第16話「商売上手」です。
なんと、16話はコミックス1巻発売を記念してセンターカラーでの登場。
さらに、17話も同時掲載されました。
世に言う二本立てという奴ですね。
そして、これが2本揃って読むことで落差を発揮しているんだなぁ。
16話を読まれた方は17話も目にして欲しい。
でもって、その16話。
確かに、犯人が商品に付加価値をつけて売りさばく様は「商売上手」のそれでしたね。
そして、吉沢はブロマイド販売経由との超遠回しかつ意図しない告白の結果、見事露島を射止めることが出来たのでした。
これまた意外な商売上手か。
秘めた想いが動機とのことで「ハウダニット」的な物語でした。
ただ、1点だけ疑問が残るんだよなぁ……。
本来ならば、露島だけではなく吉沢のブロマイドも販売されていない筈。
何故なら、自身が撮影者である以上、自分を撮影することは出来ないので。
ところが、マーニーは「露島だけ販売されていなかった」としている。
吉沢は自分の写真も撮影し販売対象に混ぜたのかなぁ……ここが謎だ。
さらに、露島以外の新聞部員も撮影した上で販売対象にしたってことなのかな?
撮影される側ならともかく、撮影する側の新聞部員をそれと知られず撮影するのはかなり難しいような……。
まぁ、目的としていることを考えれば上記の謎は些細なことに過ぎないのですが。
今回もテーマ的に面白かったので、アリだと思います。
次回も期待出来そうです。
ちなみに、上にもある通りマーニーのコミックス1巻の発売が判明。
これでいつでもマーニーの活躍を読むことが出来ます。
興味のある方は本記事下部アマゾンさんリンクよりどうぞ!!
木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。
・木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!
さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。
「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。
衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。
既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。
◆「名探偵マーニー」関連過去記事
・「名探偵マーニー」第1話から10話まで(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)まとめ
・「名探偵マーニー」第11話「ブリット」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「名探偵マーニー」第12話「オジイチャン」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「名探偵マーニー」第13話「双子」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「名探偵マーニー」第14話「虫のしらせ」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「名探偵マーニー」第15話「NTR」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
◆関連過去記事
・「フランケン・ふらん 最終話(最終回) Dream」ネタバレ批評(レビュー)
・「フランケン・ふらん 59話 BestFriend」ネタバレ批評(レビュー)
・「Phase20」(木々津克久作、「チャンピオンRED 2012年1月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)
・「鋏女(チャンピオンRED 5月号掲載)」ネタバレ批評(レビュー)
・「ヴァンパイア・アナライズ (チャンピオンRED 7月号掲載)」(木々津克久著、秋田書店刊)ネタバレ批評(レビュー)
これまでの登場人物一覧:
【ロイド探偵社】
マーニー:主人公にして名探偵。本名は真音(マリオン)。
ロイド(パパ):ロイド探偵事務所所長にしてマーニーの保護者。元刑事らしい(3話)。
母親:マーニーの母親、不在。事情があるらしい(1話)。
エリオット:マーニーの愛猫。
【学校関係者】
若島津ゆりか:マーニーの友人。4話、5話、9話、10話、14話、16話に登場。
前花:マーニーの友人。
那智先輩:学校のヒーロー。2話、4話、16話で登場。
白鳥:マーニーの先輩、白鳥財閥の令嬢。1話、7話、13話、16話で登場。
累:白鳥の友人、1話にて登場。
香坂:生徒会書記、2年生。7話で登場。
宮島小百合:マーニーの学校に勤務する教師。10話、15話に登場。
鈴村蝶子:カーディガンズの1人。12話で登場。
黒屋明彦:雪彦の双子の兄、社交的。13話に登場。
黒屋雪彦:明彦の双子の弟、内向的。13話に登場。
露島:新聞部部長。自腹でニュースサイトを運営し多大な影響力を持つ。16話に登場。
吉沢:新聞部員の1人。16話に登場。
【警察】
毛利刑事:ロイドの後輩刑事。3話で登場。
【再登場しそうなゲスト】
亜羽:ロイドの過去の依頼人。3話で登場。
片岡:大学生、4話で登場。
村枝紗平:政財界のフィクサー。ロイドによれば「黒い噂」で知られる有名人らしい。8話で登場。
野宮真理:ニュース番組の人気キャスター。9話で登場。
舟木真治:宮島の初恋の相手、10話より登場。
光輪:往年のヒーロー「ブリット」を演じた俳優。現在では病を患っている。11話で登場。
鈴村都:蝶子の妹。12話で登場。
【その他ゲスト】
西郷:那智の親友。2話で登場。
徳吉すばる:亜羽の同僚。3話で登場。
望月楓:ラクロス部のイケメン。6話で登場。
謎の女性:望月の周辺に現れた謎の女性。6話で登場。
亀井:村枝の文通相手。8話で登場。
安崎良則:映画会社の社長。11話で登場。
安崎みどり:良則の娘。故人。11話で登場。
ゆりかの祖父:幽斉の中学時代の同級生、緊急入院してしまう。14話に登場。
河野幽斉:祖父の中学時代の同級生。同窓会の主催者。14話に登場。
幽斉の妻:幽斉とは犬猿の仲。14話に登場。
甲本:宮島の大学時代の同級生、宮島曰く「オタクっぽい人」。15話にて登場。
相葉:宮島の大学時代の後輩、宮島曰く「他人の恋人を寝盗る男」。15話にて登場。
甲本の元恋人:相葉に殺されかけたが……秘密が!?15話にて登場。
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