<あらすじ>
大手音響機器メーカーの社長・石峯(竜雷太)は、腹心の部下・和田(鶴見辰吾)の裏切りで社長職を解任される。興奮した石峯は和田につかみかかろうとして転倒し、脚を骨折。車椅子での生活となる。老齢で、リハビリをしようとしない石峯は、常に車椅子に乗っていたが、それこそが人目を欺くための彼の策略だった。1年後、石峯邸の1階で和田が殺害され、その時、石峯は2階の自室にいたと言い張る。都鳥(三上博史)の推理が始まる。
(@nifty tv番組表より)
では、続きから(一部、重複アリ)……
大手音響機器メーカー・石峯テクニカ。
其処でクーデターが行われていた。
社長・石峯に対し、腹心の部下・和田が退陣を迫ったのだ。
後任の社長は和田である。
激怒した石峯は和田に掴みかかり転倒し、足を骨折する。
以後、車椅子での生活を余儀なくされる。
そして、現在。
隣の家の住人が覗き込む中、石峯は今日も車椅子で移動していた。
傍らにはお手伝いの宣子が控えている。
宣子に「管理費が高過ぎる」と告げた石峯は防犯会社を変更するよう指示。
石峯たちがやって来たのは書斎である。
さらに、宣子が席を外した隙に手袋を嵌めると部屋中の貴金属を紙袋に詰めゴミ箱に捨てる。
戻って来た宣子にゴミを捨てるよう指示する石峯。
これで準備は完了だ。
一方、部屋長に呼び出される安永。
「お前ら、今月いっぱいだ」
トトリとのコンビ解消を告げられる安永。
なんでも、トトリは既にこれに納得しているらしい。
その夜、帰路についた安永は公園でトトリと佇む男を見かける。
声をかけた安永に、男は帝都大准教授・羊谷と名乗った。
トトリくんと呼ぶ安永に「トトリ先生だろうが」と凄む羊谷。
他方で「お話をお受け下さりありがとうございます」とトトリには丁寧だ。
どうやら、トトリは羊谷の要請に応じ大学に戻るようだ。
安永はこれこそがコンビ解散の理由と考え、ショックを受ける。
和田のクーデターからちょうど1年となったその日、石峯は和田を自宅に呼び寄せる。
2階で和田を迎える石峯。
エレベータが故障したとの理由により、1階に降りられなかったのだ。
宣子に酒を購入するように言いつけ家から出すと、和田に1階へ書類を取りに行かせる。
1人きりになった石峯は黒い帽子とサングラスに緑のジャンパーを羽織ると、スニーカーを履く。
そして、やおら車椅子から立ち上がった。
石峯は歩けたのだ!!
1階に下りた石峯。
「弱肉強食だよ!!」
言うなり背後から和田を撲殺した。
その後、「1階から窓の割れる音がした。呼びかけたが和田君から返事もない」と宣子に電話で伝える。
さらに、外へと廻り込むと、隣人から見えるように廊下の窓を割り侵入する。
後は書斎を荒らすと、2階へ戻り何食わぬ顔で宣子を出迎えた。
階下へと降りた宣子は和田の死体を発見する。
石峯の狙いは強盗殺人に見せかけることであった。
「これで最後なんですよね……」
トトリと捜査する安永。
だが、トトリは特に感慨もない様子。
石峯と宣子に事情を聞くトトリと安永。
宣子によれば、防犯会社を変更しようとしていた為に、表の防犯カメラも活きていないらしい。
一方、石峯は「和田君に書類を頼まなければ……」と後悔する素振りを見せる。
さらに、貴金属は合計で5000万円の被害だそうだ。
しかし、トトリはこの間にも幾つかの疑問を抱く。
まずは、廊下に置いてあった壺。
次に、殺害現場からのみ貴金属品が消えたことである。
さらに、宣子から石峯に龍太郎という息子がいたことを聞き込む。
だが、龍太郎は3年前に事故で死亡しているらしい。
和田が書斎で殺害されたことを疑問視するトトリ。
割られていた硝子は廊下のものであった。
普通、何かが割れた音がしたならば、様子を窺うものではなかろうか。
何故、和田は廊下に出なかったのか?
つまり、既に殺されていたとするならば、犯人は内部犯行。
さらに、石峯が「壺」ではなく「窓ガラス」が割れたと断言していたことにも不審を抱く。
和田の死により、石峯が社長に復帰した。
トトリは社長室に石峯を訪ねる。
社長業の秘訣を問うトトリに、石峯は「他人の意見に流されるな!!だよ」と語る。
そして「まずはしっかりと自分の足で立つ。足を股の下から覗け。他人と違う視点で物事を捉えよ」と説く。
これを聞いたトトリは和田のクーデターが石峯のプライドをどれだけ傷つけたかを想像。
さらに息子・龍太郎を社長にするつもりは無かったのか……との疑問を抱く。
龍太郎は石峯が年老いてから出来た子供。
後継者として厳しく育成していたそうだ。
ところが、龍太郎は大学入学と共に石峯に反発し家を出た。
そして、3年前に事故死したそうだ。
ちなみに、石峯家には龍太郎が作ったラジオ以外にラジオは無いらしい。
「うわっ!!」
急に大声を上げる安永。
その視線の先には隣の住人が……。
隣の住人は、犯人は黒い帽子に青いジャンパーを身に着けていたと主張。
「青色とは具体的にどんな色だったのか?」尋ねるトトリ。
置物のカエルを指さし、コレと隣人。
「これ、緑色じゃないですか」驚く安永。
トトリは何かを考え込むが……。
その夜、羊谷がトトリを訪ねて来る。
「もう少し早く来てくれないか」と依頼する羊谷だが、トトリは「それは出来ない」と応じない。
そして、その場に何故か参加している安永。
そんな安永にトトリはお礼と称して緑のカッターシャツを贈る。
さらに、翌日石峯を訪ねる際に着用するよう指示を出す。
翌日、石峯の社長室。
青いシャツを着たトトリ、緑のシャツを着た安永。
隣人から「犯人は青いシャツを着ていた」との証言を得たことを伝えるトトリ。
石峯は「それだけ分かっていても犯人が捕まらないのか?」となじる。
「いやぁ、一口に青と言ってもいろいろありますので……」
「おいおい、青といえばそれだろ」と石峯が指したのは……緑の安永である。
街へ出かけたトトリと安永。
早速、実験の開始である。
結果、緑を青と呼ぶ人が居ても、緑と青が並べられた状態で緑を青だと主張する人物は居ないことが証明される。
つまり、石峯は隣人が見たジャンパーの色を知っていたが為に青色の前にも関わらず緑を青と口にしてしまったのだ。
再度、石峯を訪ねるトトリたち。
「嘘を吐くのは大変ですね」と単刀直入に告げる。
自分の事かと色めき立つ石峯だが、トトリが見詰めていたのはテレビ。
そこで流れていたのはマコリンの緊急記者会見であった。
マコリンは本当は29歳だったが、23歳と年齢を誤魔化していたことが露見したのだ。
人を騙し続けるのは労力が必要になりますよ……石峯に向けて伝えるトトリ。
石峯とトトリは睨み合う。
其処へ和田殺害の容疑者が逮捕されたとの報が届く。
愕然とするトトリ……と石峯。
容疑者とされた人物は、石峯宅から盗難された貴金属の1つを質屋で換金しようとして逮捕されたらしい。
容疑者は天から貴金属が降って来たと語っているらしいが……。
翌朝、トトリと安永は林で貴金属を捜す。
トトリは「天から降って来た貴金属がカラスの巣から落ちた物である」と推理したのだ。
光物が好きなカラスの行動範囲内に残りの貴金属類があると考えたのだ。
トトリの見識に感嘆する安永。
ふと「俺が知っているのは、カラスが10羽集まると何になるかぐらいで……」と洩らす。
これに過剰反応を示すトトリ。
自身の知らない何かを安永は知っている……トトリは必死に内容を尋ねるが。
本当に大したことでは……しどろもどろになる安永は周囲を見回し、其処に紙袋に捨てられた貴金属類を発見する。
その日の昼、宣子の部屋にトトリと安永が居た。
宣子によれば、龍太郎は石峯の後を継がない代わりに、ボランティアなど慈善事業で人の役に立って生きて行こうと考えていたらしい。
さらに、其処で龍太郎の筆による「親子」の絵が発見される。
何故か、親子が罵り合うように見える絵である。
龍太郎はこれを石峯に贈り、石峯は一目見て激怒。
結果、宣子に捨てるように命じたらしい。
だが、捨てるに忍びなく、こうして飾っているのだそうだ。
と、唐突に本題に入るトトリ。
紙袋に付着した指紋から、事情聴取すべく宣子が連行されてしまう……。
1人、屋敷に残されている石峯。
其処へトトリと安永が訪れる。
トトリはカラスのエピソードを引き合いに出す。
子カラスに足環をつけたところ、トトリは親カラスに顔を覚えられてしまった。
翌年、同じ親カラスのもとを訪れたところ、襲撃を受けたらしい。
一年たったが復讐心は消えていなかったんですよ……暗に石峯を仄めかす言葉だ。
言葉に詰まり、苛立つ石峯。
そんな石峯に安永は「石嶺テクニカがフィランソロピーで支援している老人ホームのお年寄りが100歳を迎えたとのラジオ番組が今晩あるそうですね〜〜〜流石です!!」と口にし、石峯のご機嫌を取り結ぶ。
「何事も費用対効果だよ」安永へと向き直り、にこやかに語る石峯。
その背後では、トトリが何かを動かしていて……。
翌日、石峯は経営方針発表会を開催。
多くの社員が見守る中で、安永から教えられたラジオ番組を視聴したことについて語る。
100歳になった老人・小泉春のエピソードだ。
其処へトトリが乱入する。
トトリは「和田社長殺害犯が判明した!!」と声高に叫ぶ。
「まず、貴金属を盗んだ人に登場して貰いましょう」
トトリの声に応じ、安永と宣子が入場する。
宣子は石峯に捨てるように頼まれたゴミの重さに不審を抱き、中を確認して貴金属を手に入れた。
だが、和田が殺害され強盗犯の仕業とされたことで恐れをなし、林に捨てたのだ。
問題はココだ。
宣子は何時、貴金属を手に入れたのか?
それは和田の殺害された前日であった。
つまり、石峯は自身で貴金属を捨てたにも関わらず、盗まれたと主張したことになる。
「ゴミを片付けろと言ったに過ぎない。何より立てない以上、殺人は出来ない!!」
激しく抵抗する石峯。
だが、トトリにとって其処は問題ではない。
「石峯さん、立てるんでしょう?」
トトリは石峯が立てることを証明したと主張する。
あの「100歳の老人について」安永が石峯に伝えていたその時。
トトリはラジオをこっそりと棚の上方に置き直したのだ。
宣子は警察に拘留中、石峯がラジオを聞く為には立ち上がって棚の上にまで手を伸ばさなければならない。
車椅子では不可能だ。
「社長の座を奪い返すために和田さんを殺したんですね?」
「違う!!」
トトリの問いを否定する石峯。
「確かに違いますね。あなたは社長の座を取り戻しやるべきことがあった。あなたは2年前、フィランソロピーを始めた。それを続ける為に社長の座が必要だった」
トトリは遂に核心へと切り込む。
「分からなかったのは、何故、あなたがそこまで慈善活動に執着するのか―――すべては龍太郎さんの為だったんですね」
石峯の表情が変わる。
「あなたは龍太郎さんが亡くなられたことでその意志を継ぎ、慈善活動を始めた。それは龍太郎さんの生き方を理解する為だったんですね」
遂にトトリの言葉が石峯を捉えた。
生前の龍太郎は石峯に「お前のようには生きたくない」と告げ、家を出た。
だが、石峯はいつか龍太郎が理解してくれると思っていた。
ところが、龍太郎はあっさりと事故で死亡してしまった。
互いに理解しえなかった為の悲劇であった。
失われた龍太郎、息子が生きた証を残すために石峯は慈善活動を行わなければならなかった。
その為に社長の地位が必要だったのだ。
「だがな、だからと言って私が和田を殺したとは限らんよ」
足掻く石峯にトトリは「親子」の絵を見せる。
「息子さんもあなたの生き方を理解しようとしていたんですね。この絵には正しい見方がたった1つだけあったんですよ」
トトリは正しい絵の見方について語り始める。
まずはしっかりと自分の足で立つ。
そして、股の下から覗き込む。
これを聞かされた石峯は衆人環視の中、車椅子から立ち上がる。
犯行を認めるに他ならないその行為、石峯は股の下から絵を覗き込む。
その絵の中で、親子はしっかりと微笑み合っていた―――。
その日の夜、刑事部屋。
部屋長の前にトトリと安永が居る。
「お前たちの最後の事件も無事解決したなぁ」
感慨深そうな様子の部屋長。
その背後のテレビでは、司会者とトークを続けるマコリンの姿。
「マコリン23歳は無理があったね〜〜〜29歳の不思議ちゃんの方が売れるのでは?」
と司会者。ところが、マコリンは……。
「正直、不思議ちゃんキャラはきついんですよ〜〜〜」
と本音をぶっちゃけ、素の自分を曝け出す。
「やっぱり、自分に素直になると活き活きしますね。トトリ君も向こうでのびのびすればいいですよ」
寂しさから心にもないことを述べる安永。
「えっ?羊谷君の件は1日だけですよ。刑事は続けます」
「でも、コンビは解散って……」
トトリの答えに部屋長を見る安永。
「ああ、あれなぁ……確かにコンビは解散だ」
安永を前に言いにくそうな部屋長だったが、意を決し伝え始める。
実は数々の難事件をトトリが解決したことで上層部でのトトリの評価がさらに上昇。
安永ではもったいない。もっと有能な人間と組ませようとなったらしい。
これを聞かされた安永は、今にも泣き出しそうな顔である。
ところが、此処に来てトトリは安永を選ぶ。
「先輩から学びたいことがある」と主張するトトリ。
これを聞いた部屋長は「本人が言うなら仕方ない。上と掛け合うから待ってろ」と喜び勇んで飛び出して行く。
「俺なんかでいいんですか?」
トトリが自分を選んだことに驚きを隠せない安永。
「ええ、まぁ」
曖昧な返事を口にするトトリ。
「そう言えば、カラスが10羽集まると何になるでしょう、あれ教えてください。僕が知らない動物の知識があるなんて驚きです!!」
トトリの問いかけに言葉を詰まらせる安永。
やがて、ポツリポツリと苦痛に満ちた告白を……。
「カーテンになるんです」
「へ?」
安永の答えに間の抜けた反応を示すトトリ。
「カラスが“カァ”と鳴いて10だから“テン”。だから“カーテン”」
これを聞いたトトリは……絶句。
「他の人と組みます、部屋長、部屋長!!」
叫ぶや否や、部屋の外へと走り出す。
「ちょっ、ちょっ、トトリ君?それはどうなの……」
トトリを追いかける安永。
このコンビ、果たしてどうなることやら。
だが、それは別の話―――エンド。
<感想>
管理人が2012年下半期注目しているドラマの1つ『実験刑事トトリ』が遂に放送開始。
全5回放送予定で、今回はその5話。
つまり、最終話のネタバレ批評(レビュー)となります。
本作は『刑事コロンボ』や『古畑任三郎』に代表される倒叙物ドラマ。
つまり、先に犯人による犯行が描かれ、後に主人公によりその瑕疵を突かれ犯行が暴かれるアレです。
従って、如何にして完全と思われた犯行が暴かれるのかが視聴する上での醍醐味となります。
今回は此処を評価のポイントとし、視聴して行きたいと思います。
果たして、どうだったのか?
4話に続き、相棒の在り方について問われた最終話。
「実験刑事トトリ」自体が「相棒物」であることを考えると、この4話、5話こそがメインと言っても過言ではありません。
4話にて、上を目指すべく相棒を切り捨てた黒田。
そして、我らがトトリがとった行動は……上ではなく安永を選ぶことでした。
良かったです!!
そして、安永自身も今回はトトリのサポートに大活躍。
息の合った連係プレーを見せました。
例えば、ラジオの下り。
あのコンビプレーは見事でした。
でもって、ラストの石峯への追い込みも良かった。
ちなみにマコリンはこういった絡み方だとは……予想外ですが良かった。
さらに、トトリの妻は出ませんでしたね。
ある意味、コロンボの「うちのカミさん」に敬意を表したものだったのかな。
それにしても、これでトトリと安永のコンビが終わるのは惜しい。
ようやくエンジンがかかったところと言う印象。
それは力の入ったネタバレあらすじをご覧頂ければ分かる筈。
何より雄弁に面白かったことを語っていることでしょう。
是非、続編も期待したいです!!
『実験刑事トトリ』についてはノベライズ版も既に発売されています。
ノベライズ版については、本記事下部にアマゾンさんへのリンクをご用意しております。
興味を持たれた方はこちらもチェック!!
◆「実験刑事トトリ」前回までのネタバレ批評(レビュー)はこちら。
・土曜ドラマスペシャル「実験刑事トトリ 実験刑事誕生〜完全犯罪のレシピ」(11月3日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ドラマスペシャル「実験刑事トトリ 第2話(第2回) 女はドレスに罪を隠す」(11月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ドラマスペシャル「実験刑事トトリ 第3話(第3回) 偽りのメロディー〜完全犯罪を調律せよ」(11月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ドラマスペシャル「実験刑事トトリ 第4話(第4回) 僕が傑作を書く時」(11月24日放送)ネタバレ批評(レビュー)
◆関連外部リンク
・「実験刑事トトリ」公式HP(外部サイトに繋がります)
http://www.nhk.or.jp/dramatopics-blog/6000/130999.html
・「実験刑事トトリ」スタッフブログさん公式HP(外部サイトに繋がります)
http://www.nhk.or.jp/drama-blog/1660/
◆関連過去記事
・【ドラマ】異色にして本格!!『実験刑事トトリ』に注目せよ!!
・2012年下半期注目のドラマ『実験刑事トトリ』スタッフさんブログ更新開始される!!
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