ネタバレあります、注意!!
第17話登場人物一覧:
マーニー:主人公にして名探偵。本名は真音(マリオン)。
ロイド(パパ):ロイド探偵事務所所長にしてマーニーの保護者。元刑事らしい(3話)。
エリオット:マーニーの愛猫。
舞城天:マーニーと同じ学校の生徒。
天の大叔父:年嵩の紳士然としたドイツ人。
これまでの登場人物については過去記事リンクの後に記載しています。
<ネタバレあらすじ>
マーニーの愛猫・エリオット。
相変わらず懐く様子を見せない彼にやきもきするマーニー。
さらに、エリオットは最近になってとみに贅沢になっていた。
猫砂も高級品以外受け付けないのだ。
仕方なく、高級猫砂を購入すべくショップを訪れたマーニーだったが、購入直後に唯一の移動手段である自転車がバンクし立ち往生してしまう。
困っているマーニーの前を同じ学校の制服を着た少女が通り過ぎて行く。
何故か少女に興味を惹かれたマーニー。
少女もまたマーニーを気に留めた様子。
とはいえ、一瞬のことで少女はそのまま行き過ぎてしまった。
マーニーはと言えば、えっちらおっちら自転車を押して自宅へ向かう。
ところが、其処へ1台の車がやって来る。
運転席から現れたのは紳士然とした風貌の老人。
その助手席には先の少女が乗っていた。
老人によると少女は大姪にあたる「舞城天」。
その天に頼まれてマーニーを助けに来たと言う。
つまり、車に乗せてあげようとの提案である。
正直、舞とは先程が初対面だが、言葉に甘えることに。
送り届けて貰ったマーニー。
そのまま天を帰すに忍びなく、礼も兼ねてお茶をご馳走することに。
天の大叔父は、天を置くとそのまま車で走り去ってしまった。
マーニーからお茶を振る舞われた天の表情は何処か堅い。
何かあるな……と察したマーニーに、天は依頼を持ちかける。
どうやら、その為に助けてくれたようだ。
天の依頼内容は先の大叔父に関するものであった。
天によれば、彼女の大叔父はドイツ人。
気の好い老人で、世界中を旅行しているらしい。
ところが、この大叔父が最近になって何者かに監視されているような気配を感じると言う。
何か悪いことが起こる予兆ではないかと恐れる天だが……。
助けて貰った恩もある。
マーニーはこの依頼を引き受けることに。
一方、エリオットはといえば、この間も天にべったりで飼い主の意向を著しく裏切っていたのだが、これはまた別の話である。
天の心配を解決すべく、監視の存在が杞憂であると証明しようとするマーニー。
大叔父が滞在中であるという舞城家を訪れることに。
ところが、其処で思いも寄らない展開が待っていた。
(監視するとすれば、私ならこのあたりにカメラを仕掛けるな)
そう見上げれば、其処にはカメラが!!
(監視の為に中継基地が必要だなぁ)
そう振り返れば、如何にも怪しげなワゴン車が停車していたのだ。
冷や汗をかくマーニー。
明らかに天の大叔父は本当に監視されていた。
矢先、外出する天の大叔父と遭遇。
マーニーはこの危機を本人に伝えようとするが……。
何故か、天の大叔父はこれに納得している様子。
特に怯えるでも動揺するでもなく、花屋に立ち寄ると淡々と薔薇を買い求める。
さらに、マーニーを連れて断崖までやって来ると、その薔薇を誰かへと捧げるのであった。
数日後、天から大叔父がまたも旅に出たらしいことを聞かされるマーニー。
だが、天の不安は晴れないようだ。
マーニーは、心配しなくても大丈夫と慰める。
だが、マーニーはその不安が的中していることを知っていた。
とあるニュースサイトに掲載された記事を読んでいたからである。
その記事にはあるドイツ人が遂に逮捕されたとあった。
彼はドイツ軍の将校として大量虐殺を犯し、戦犯として追われていた。
血も涙もない男として経歴を紹介されていた彼。
そんな彼が特定された理由は亡き妻の命日に一輪の薔薇を捧げたことであった。
そう、マーニーが彼と共に行動したあの日こそが彼の素性が確定した日であったのだ―――エンド。
<感想>
「フランケン・ふらん」で知られる木々津克久先生が、2010年の「ヘレンesp」以来2年ぶりとなる「週刊少年チャンピオン」本誌への連載を開始されました!!
連載作品のタイトルは「名探偵マーニー」。
今回はその第17話「天」です。
なんと、17話は16話と同時に掲載。
これはコミックス1巻発売を記念したもの。
しかも、16話はセンターカラーでの登場でした。
この16話と17話が2本揃って読むことで落差を発揮しているんだなぁ。
17話を読まれた方は16話も目にして欲しい。
でもって、その17話。
彼は覚悟してその日を迎えたのでしょう。
サブタイトル「天」の意味は深いですね。
少女・舞城天の名前であると同時に、彼を追い詰めた天の配剤でもある。
天は彼の罪を決して見逃すことなく、彼もまた天の意志に従うことにした。
まさに天網恢恢疎にして漏らさず。
同時に、彼もまた罪の意識を抱え続けていたのではないでしょうか。
常なる逃亡者として世界中を旅し続ける日々は相当の労苦を彼に強いた筈です。
その中で、愛した妻とも死別してしまったのではないでしょうか。
これもまた罰だったのかもしれません。
そして、もしかすると、大姪である「天」の名付けにさえ、そんな彼の意識が絡んでいたのかもしれません。
テーマ的には、戦時中とはいえ過去に大量虐殺を行った彼が、ただ1人の妻の為に薔薇を捧げ逮捕された点は何とも言えないですね。
次回も期待出来そうです。
ちなみに、上にもある通りマーニーのコミックス1巻の発売が判明。
これでいつでもマーニーの活躍を読むことが出来ます。
興味のある方は本記事下部アマゾンさんリンクよりどうぞ!!
木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。
・木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!
さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。
「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。
衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。
既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。
◆「名探偵マーニー」関連過去記事
・「名探偵マーニー」第1話から10話まで(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)まとめ
・「名探偵マーニー」第11話「ブリット」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「名探偵マーニー」第12話「オジイチャン」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「名探偵マーニー」第13話「双子」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「名探偵マーニー」第14話「虫のしらせ」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「名探偵マーニー」第15話「NTR」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「名探偵マーニー」第16話「商売上手」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
◆関連過去記事
・「フランケン・ふらん 最終話(最終回) Dream」ネタバレ批評(レビュー)
・「フランケン・ふらん 59話 BestFriend」ネタバレ批評(レビュー)
・「Phase20」(木々津克久作、「チャンピオンRED 2012年1月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)
・「鋏女(チャンピオンRED 5月号掲載)」ネタバレ批評(レビュー)
・「ヴァンパイア・アナライズ (チャンピオンRED 7月号掲載)」(木々津克久著、秋田書店刊)ネタバレ批評(レビュー)
これまでの登場人物一覧:
【ロイド探偵社】
マーニー:主人公にして名探偵。本名は真音(マリオン)。
ロイド(パパ):ロイド探偵事務所所長にしてマーニーの保護者。元刑事らしい(3話)。
母親:マーニーの母親、不在。事情があるらしい(1話)。
エリオット:マーニーの愛猫。
【学校関係者】
若島津ゆりか:マーニーの友人。4話、5話、9話、10話、14話、16話に登場。
前花:マーニーの友人。
那智先輩:学校のヒーロー。2話、4話、16話で登場。
白鳥:マーニーの先輩、白鳥財閥の令嬢。1話、7話、13話、16話で登場。
累:白鳥の友人、1話にて登場。
香坂:生徒会書記、2年生。7話で登場。
宮島小百合:マーニーの学校に勤務する教師。10話、15話に登場。
鈴村蝶子:カーディガンズの1人。12話で登場。
黒屋明彦:雪彦の双子の兄、社交的。13話に登場。
黒屋雪彦:明彦の双子の弟、内向的。13話に登場。
露島:新聞部部長。自腹でニュースサイトを運営し多大な影響力を持つ。16話に登場。
吉沢:新聞部員の1人。16話に登場。
舞城天:マーニーと同じ学校の生徒。17話に登場。
【警察】
毛利刑事:ロイドの後輩刑事。3話で登場。
【再登場しそうなゲスト】
亜羽:ロイドの過去の依頼人。3話で登場。
片岡:大学生、4話で登場。
村枝紗平:政財界のフィクサー。ロイドによれば「黒い噂」で知られる有名人らしい。8話で登場。
野宮真理:ニュース番組の人気キャスター。9話で登場。
舟木真治:宮島の初恋の相手、10話より登場。
光輪:往年のヒーロー「ブリット」を演じた俳優。現在では病を患っている。11話で登場。
鈴村都:蝶子の妹。12話で登場。
【その他ゲスト】
西郷:那智の親友。2話で登場。
徳吉すばる:亜羽の同僚。3話で登場。
望月楓:ラクロス部のイケメン。6話で登場。
謎の女性:望月の周辺に現れた謎の女性。6話で登場。
亀井:村枝の文通相手。8話で登場。
安崎良則:映画会社の社長。11話で登場。
安崎みどり:良則の娘。故人。11話で登場。
ゆりかの祖父:幽斉の中学時代の同級生、緊急入院してしまう。14話に登場。
河野幽斉:祖父の中学時代の同級生。同窓会の主催者。14話に登場。
幽斉の妻:幽斉とは犬猿の仲。14話に登場。
甲本:宮島の大学時代の同級生、宮島曰く「オタクっぽい人」。15話にて登場。
相葉:宮島の大学時代の後輩、宮島曰く「他人の恋人を寝盗る男」。15話にて登場。
甲本の元恋人:相葉に殺されかけたが……秘密が!?15話にて登場。
天の大叔父:年嵩の紳士然としたドイツ人。17話に登場。
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