ネタバレあります、注意!!
第18話登場人物一覧:
マーニー:主人公にして名探偵。本名は真音(マリオン)。
ロイド(パパ):ロイド探偵事務所所長にしてマーニーの保護者。元刑事らしい(3話)。
エリオット:マーニーの愛猫。
マキちゃん:本名は真希田、マーニーの級友。
マックス鞠野:高名なマジシャン。効果を最大限に発揮するマジックがモットー。18話より登場。
真希田流:マキの姉。18話より登場。
ハービー:流が所持するヌイグルミ。
これまでの登場人物については過去記事リンクの後に記載しています。
<ネタバレあらすじ>
マーニーに級友の1人・マキちゃんから賭けが提案された。
此処に3枚のトランプがある。
1枚は裏表ともハート。
1枚は裏表ともスペード。
1枚は表がハートで裏がスペードになっている。
今からマキが1枚を選ぶが、その裏の記号を当てるのだ。
マーニーが外せばマキからの依頼を無報酬で受けることになる。
これを気軽に受けたマーニー。
マキが抜き出したカードの表はハート。
そして、マーニーは残り2枚の中に裏表ハートのカードを認める。
こうなれば答えは簡単である。
マキが抜き出したカードは表がハートである。
従って裏表ともにスペードはない。
これで残るは2分の1。
次いで、残り2枚の中に裏表ハートのカードがあることを確認しているのだから……。
マキが選んだカードは表がハート、裏がスペードのものとなる。
……筈だった。
ところが、マキがマーニーに示したのは裏表共にハートのカード。
つまり、賭けはマーニーの負けである。
何がどうなっているのかワケが分からないものの、こうしてマーニーは依頼を引き受けることに。
マキの依頼の内容は、高名なマジシャンである「マックス鞠野」を捜し出し連れて来て欲しいとのもの。
マックス鞠野はその名の通り、客に最大限の驚きを与えることがモットーだったらしいが……。
調査自体は労力を要しなかった。
マジシャンズカフェを訪れたマーニーは其処にマックス鞠野の姿を発見する。
マックス鞠野に同行を依頼するマーニー。
これに対しマックスはマキ同様に賭けを提案する。
コインをテーブルで回転させると、これを帽子で覆い隠すマックス。
中のコインの裏表を当てろと言うのだ。
先のマキの件があり、苛立ったマーニーは「どちらでもないんだろ!!」と怒鳴ってしまう。
ところが、これが当たっていたらしい。
マックスは素直に同行に応じるのであった。
こうして負けを認めたマックスが帽子を持ち上げると、其処には立ったままのコインとそれを支えようとしている猫の姿が!!
マーニーはマックスのマジックに驚愕する。
マーニーがマックスを連れて来たのは病院の一室であった。
其処にはマキの姉・真希田流が入院していた。
マキによれば、流は重い病気らしい。
退院出来る可能性は低く、少しでも慰めるべく憧れであったマックスと引き合わせたかったのだ。
さらに、マキと流も姉妹マジシャンとして一世を風靡していたことを知るマーニー。
プロはプロを知るのだろうか……。
事情を知らされたマックスは流を励ます。
流は10数年前にマックスからサインを貰い親切にされた想い出を語る。
なんでも、その際にマックスからヌイグルミまでプレゼントされたらしい。
話が弾むマックスと流だがマキは不満顔。
何故なら、マックスが肝心のマジックを見せてくれないのだ。
それを期待してマックスを呼んだというのに……マキは納得いかない様子。
一方、マックスは流を同業者と認めた上で「半端な物は見せられない」と語る。
マーニーは先にカフェで見せたマックスの力量があれば充分だろうと考えるが……。
数日後、マックスが流のお見舞いに再度やって来た。
彼は「ハービーさえあれば……」と謎の言葉を洩らす。
ところが、流の病室に入るや表情が一変する。
其処にはいろいろな物が置かれていた。
どうやら、マキが姉の為に自宅から流の宝物を運んで来たようだ。
その中にはウサギのヌイグルミなどもあった。
唐突に賭けを持ち出すマックス。
賭けの対象は流が元気になるかどうか。
マックスはハートのトランプを持ち出すと、掌の中で消してしまう。
「これはあなたの生命です。こうして、私が消しました。でも、この大事な生命を既にあなたは持っているんですよ」
謎かけのような言葉に呆気にとられる一同を置いて。
「私はあなたが気付くことに賭けますけどね、では」
と、その場を去ってしまうマックス。
残されたマーニーたちは狐に摘ままれたようなもの。
『ハービーさえあれば……』
だが、マックスの言葉を思い出したマーニーはいち早く我に返る。
まさか……。
だが、そのまさかであった。
ウサギのヌイグルミの名前はマックスが口にした「ハービー」だったのだ。
これこそマックスから流に贈られたヌイグルミであった。
急いでヌイグルミの中身を確認するマーニー。
その中からは1枚のトランプが。
もちろん、柄はハート。
さらに、「真希田流さんへ」とサインまでされていた。
マックスは病室に入ってからヌイグルミには1度も触れていないのにどうして!?
困惑するマキたちにマーニーは驚くべき真相を口にする。
マックスは10年前からこのマジックのタネを仕込んでいたのだ。
彼にとっては実際に効果を発揮するかどうかは別として何にでもタネを仕掛けておく。
そして、効果を発揮するときに回収するのだ。
今回は10年越しに仕掛けたタネが芽吹いたのである。
マックスの名の由来、それは仕掛けたタネを最大限の効果を発揮するところで披露するものであった―――エンド。
<感想>
「フランケン・ふらん」で知られる木々津克久先生が、2010年の「ヘレンesp」以来2年ぶりとなる「週刊少年チャンピオン」本誌への連載を開始されました!!
連載作品のタイトルは「名探偵マーニー」。
今回はその第18話「マジシャン」です。
なんと、18話は19話と同時に掲載。
これはコミックス1巻発売を記念したもの。
しかも、18話はセンターカラーでの登場でした。
この18話と19話が2本揃って読むことで落差を発揮しているんだなぁ。
18話を読まれた方は19話も目にして欲しい。
でもって、その18話。
プロの心得というものでしょうか。
「常在戦場」のような気構えですね。
足を運んだ場所、使えそうな物すべてにタネを仕掛けた。
おそらく、見舞いに訪れた病院の中にも相当数のタネを仕掛けているのでしょう。
そして、何より凄いのはその膨大なタネをすべて覚えていること。
でなければ、効果的な使用は出来ません。
まさに、マックスは本当のプロでした。
そんなプロの心構えを見せつけられたマキと流。
10年越しのマジックが花開いたことはタネがある以上必然ではありますが、同時に陽の目を見なかった可能性も考えれば奇跡でもあります。
この奇跡が行われたことで、同様に流が助かったと考えるのは早計でしょうか。
ただし、少なくとも流に力を与えたのは事実でしょうね。
ちなみに、冒頭のカードもマジックですね。
おそらく、マーニーに「3枚のカードしかない」と思い込ませた時点で勝敗は決していたのでしょう。
3枚目の表がハート、裏がスペードと思われた物が、ハートとスペードの2枚を重ねた物だったのかな。
これでマーニーの推理を都合よくコントロールし外させたものか。
ただ、驚くべきはマックスのマジック。
特に、10年前の時点でハービーに「真希田流さんへ」と書かれたハートのトランプを入れた技量は凄まじいものがあるなぁ。
あれが「マックス鞠野」のサイン入りなら、最初から仕込んでおいたとも考えられるが、流の名前なのでその場でヌイグルミに仕掛けたことになるし。
まさに、マジシャンの面目躍如か。
良い話であり、プロの執念も見せつけられた凄い話でもある。
今回も良かった、次回も期待出来そうです。
ちなみに、上にもある通りマーニーのコミックス1巻の発売が判明。
これでいつでもマーニーの活躍を読むことが出来ます。
興味のある方は本記事下部アマゾンさんリンクよりどうぞ!!
木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。
・木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!
さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。
「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。
衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。
既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。
◆「名探偵マーニー」関連過去記事
・「名探偵マーニー」第1話から10話まで(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)まとめ
・「名探偵マーニー」第11話「ブリット」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「名探偵マーニー」第12話「オジイチャン」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「名探偵マーニー」第13話「双子」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「名探偵マーニー」第14話「虫のしらせ」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「名探偵マーニー」第15話「NTR」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「名探偵マーニー」第16話「商売上手」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「名探偵マーニー」第17話「天」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
◆関連過去記事
・「フランケン・ふらん 最終話(最終回) Dream」ネタバレ批評(レビュー)
・「フランケン・ふらん 59話 BestFriend」ネタバレ批評(レビュー)
・「Phase20」(木々津克久作、「チャンピオンRED 2012年1月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)
・「鋏女(チャンピオンRED 5月号掲載)」ネタバレ批評(レビュー)
・「ヴァンパイア・アナライズ (チャンピオンRED 7月号掲載)」(木々津克久著、秋田書店刊)ネタバレ批評(レビュー)
これまでの登場人物一覧:
【ロイド探偵社】
マーニー:主人公にして名探偵。本名は真音(マリオン)。
ロイド(パパ):ロイド探偵事務所所長にしてマーニーの保護者。元刑事らしい(3話)。
母親:マーニーの母親、不在。事情があるらしい(1話)。
エリオット:マーニーの愛猫。
【学校関係者】
若島津ゆりか:マーニーの友人。4話、5話、9話、10話、14話、16話に登場。
前花:マーニーの友人。
那智先輩:学校のヒーロー。2話、4話、16話で登場。
白鳥:マーニーの先輩、白鳥財閥の令嬢。1話、7話、13話、16話で登場。
累:白鳥の友人、1話にて登場。
香坂:生徒会書記、2年生。7話で登場。
宮島小百合:マーニーの学校に勤務する教師。10話、15話に登場。
鈴村蝶子:カーディガンズの1人。12話で登場。
黒屋明彦:雪彦の双子の兄、社交的。13話に登場。
黒屋雪彦:明彦の双子の弟、内向的。13話に登場。
露島:新聞部部長。自腹でニュースサイトを運営し多大な影響力を持つ。16話に登場。
吉沢:新聞部員の1人。16話に登場。
舞城天:マーニーと同じ学校の生徒。17話に登場。
マキちゃん:本名は真希田、マーニーの級友。
【警察】
毛利刑事:ロイドの後輩刑事。3話で登場。
【再登場しそうなゲスト】
亜羽:ロイドの過去の依頼人。3話で登場。
片岡:大学生、4話で登場。
村枝紗平:政財界のフィクサー。ロイドによれば「黒い噂」で知られる有名人らしい。8話で登場。
野宮真理:ニュース番組の人気キャスター。9話で登場。
舟木真治:宮島の初恋の相手、10話より登場。
光輪:往年のヒーロー「ブリット」を演じた俳優。現在では病を患っている。11話で登場。
鈴村都:蝶子の妹。12話で登場。
マックス鞠野:高名なマジシャン。効果を最大限に発揮するマジックがモットー。18話より登場。
真希田流:マキの姉。18話より登場。
【その他ゲスト】
西郷:那智の親友。2話で登場。
徳吉すばる:亜羽の同僚。3話で登場。
望月楓:ラクロス部のイケメン。6話で登場。
謎の女性:望月の周辺に現れた謎の女性。6話で登場。
亀井:村枝の文通相手。8話で登場。
安崎良則:映画会社の社長。11話で登場。
安崎みどり:良則の娘。故人。11話で登場。
ゆりかの祖父:幽斉の中学時代の同級生、緊急入院してしまう。14話に登場。
河野幽斉:祖父の中学時代の同級生。同窓会の主催者。14話に登場。
幽斉の妻:幽斉とは犬猿の仲。14話に登場。
甲本:宮島の大学時代の同級生、宮島曰く「オタクっぽい人」。15話にて登場。
相葉:宮島の大学時代の後輩、宮島曰く「他人の恋人を寝盗る男」。15話にて登場。
甲本の元恋人:相葉に殺されかけたが……秘密が!?15話にて登場。
天の大叔父:年嵩の紳士然としたドイツ人。17話に登場。
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