2012年12月03日

【2012速報】「2013 本格ミステリ・ベスト10」発表!!

「2013 本格ミステリ・ベスト10」が発表されました!!

果たして気になる結果は?

◆「本格ミステリ・ベスト10 2012」(原書房、探偵小説研究会著 2012年12月3日発売)

注意:各タイトルのリンクは「ネタバレ書評(レビュー)」に繋がっています。

順位国内海外
キングを探せ巡礼者パズル
密室蒐集家死の扉
奇面館の殺人火焔の鎖
幽女の如き怨むもの迷走パズル
体育館の殺人バーニング・ワイヤー
江神二郎の洞察俳優パズル
葬式組曲マシューズ家の毒
アルカトラズ幻想サイモン・アークの事件簿3&フィデリティ・ダヴの大仕事
スチームオペラ(蒸気都市探偵譚)なし
10カマラとアマラの丘彼の個人的な運命


国内編1位は法月綸太郎先生『キングを探せ』。

法月先生、おめでとうございます!!

著者による4年ぶりの長編となった本作、「やはり、来たか」との印象ですね。
妥当な順位でしょう、納得です!!
そして『ミステリが読みたい(以下、「早ミス」と表記)』では2位ということでリベンジも達成。
残る「文春」や「このミス」では『64』や『ソロモンの偽証』など強敵も多いですが、このまま2冠なるか?

2位には大山誠一郎先生『密室蒐集家』。
「密室蒐集家」を主人公にした5作からなる短編集です。
こちらもオススメ!!

そして、3位は綾辻行人先生『奇面館の殺人』。
館シリーズ第9作目が3位にランクイン!!
館シリーズの1作に相応しいトリックと特異な舞台設定が目を惹きました。
ちなみに『早ミス』では8位。

4位には、三津田信三先生先生『幽女の如き怨むもの』。
『早ミス』では1位でしたが、こちらは4位。

5位には期待の新鋭・青崎有吾先生による「第22回鮎川哲也賞」受賞作『体育館の殺人』。
若さ溢れる本格ミステリです。

6位には有栖川有栖先生『江神二郎の洞察』。
流石の貫録です。
これにより10位以内に法月先生、綾辻先生、有栖川先生と新本格の時代を切り開いた御3方が揃ってランクインしたことに。

7位は天祢涼先生『葬式組曲』。
キョウカンカク』でデビューした著者の新作です。
「音宮美夜シリーズ」が大好きな管理人ですが、本作は「う〜〜〜ん」と首を傾げていたので意外な結果でした。
天祢先生と言えば『キョウカンカク』の前日譚を執筆中とのことでしたが、その後の進展は如何に!?

天祢涼先生、『キョウカンカク』の前日譚を執筆中とのこと!!

8位には島田荘司先生『アルカトラズ幻想』。
島田荘司先生の名を耳にすれば思い浮かぶのは名探偵・御手洗潔。
そんな御手洗潔が、コミック誌『モーニング』にて原点火先生作画でコミカライズされたのはエポックメイキングな出来事でした。
これまでにコミカライズされた原作は『糸ノコとジグザグ』と『傘を折る女』の2作品。
今後もコミカライズされる予定とのこと、注目です!!

『糸ノコとジグザグ』(島田荘司原作、原点火画、講談社刊『週刊モーニング』3号連続掲載)ネタバレ批評(レビュー)

『ミタライ ―探偵御手洗潔の事件記録― 傘を折る女』(島田荘司原作、原点火画、講談社刊『週刊モーニング』4号連続掲載)まとめ

9位には芦辺拓先生『スチームオペラ(蒸気都市探偵譚)』。
10位は初野晴先生『カマラとアマラの丘』がそれぞれ選ばれました。

では、10位以降の注目作について。

11位『カラマーゾフの妹』。
第58回江戸川乱歩賞受賞作、『早ミス』では3位。

15位『夏服パースペクティヴ』。
「第31回横溝正史ミステリ大賞」受賞作『消失グラデーション』シリーズ続編。

17位『謎の謎その他の謎』。
リドルストーリーを集めた短編集。『早ミス』では5位。

18位『猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数』。

ちなみに、『64』は22位、『ソロモンの偽証』は23位となっています。
ドラマ化が決定した『ビブリア古書堂の事件手帖3』は29位。

噂は真実だった!!『ビブリア古書堂の事件手帖』(三上延著、メディアワークス刊)月9ドラマ化発表さる!!

全体的にみると、ベスト10は比較的近作(2012年10月発売作品)が大勢を占めた感じ。
そんな中、2011年12月と去年の年末に発売された法月先生『キングを探せ』が1位を掴んだことは大きいように思います。

それと、『早ミス』と『本格ミステリ・ベスト10』を比較すると、10位以内に入ったのが『キング』、『奇面館』、『幽女』の3作のみであることも注目ポイントか。

自称・本格ミステリファンの管理人としては、これが2012年の「本格ミステリ」の不作を指すのか、あるいは豊作だった為に票が割れた結果と見るか―――どう捉えるかで感想が大きく変わって来そう。

あるいは、もう1つ―――「本格ミステリ」自体も豊作だったが、「ミステリ界全体」が豊作だった為に全体のレベルが押し上げられ、「本格」「社会派」「サスペンス」など各ジャンルで偏ることなくランクインしたことなども考えられるか。

個人的には「オススメ作品」も幾つか出て来ているので、第3の理由「全体のレベルが上がった説」を主張したいところ。

では、海外。

1位には、パトリック・クェンティン『巡礼者パズル』。
パトリック・クェンティンは4位の『迷走パズル』でもランクインしていますね。

ところがこの作品、『IN★POCKET』、『早ミス』共に10位以内に入っていません。
それどころか、驚くべきことに『本ミス』の10位以内にランクインした作品すべてが『IN★POCKET』、『早ミス』に挙げられていません。
この時点で、すべてのランキングで10位以内に入る作品は事実上消滅。

これも国内編での考察と同様の理由が挙げられそうです。

大体、こんな感じでしょうか。

ここまでで「2013年(2012年発売作品対象)」のランキングは『週刊文春ミステリーベスト10』と『このミステリーがすごい』を残すのみ。
そこで今後の注目点を。

まずは国内。
注目は『早ミス』と『本ミス』でそれぞれ1位に輝いた『幽女の如き怨むもの』と『キングを探せ』。
いずれかが2冠達成なるか?
『64』と『ソロモンの偽証』も控えており壮絶な争いが予想されるだけに、目が離せない。

同時に、『幽女』、『キング』に『奇面館の殺人』を加えた3作がベスト10皆勤(すべてのランキングで10位以内)を達成できるかも注目。

次に海外。
ベスト10皆勤となる作品は既にない状態。
こうなると、如何に多く他のランキングでも10以内に選ばれたかが広く支持を受けた作品であると判断する上でのポイントか。

現状のところ、この条件を満たすのは『IN★POCKET』と『早ミス』で10位以内に入った『真鍮の評決 リンカーン弁護士』(1位→8位)と『追撃の森』(3位→6位)。
この2作品に注目です。

他ランキングに比べ独自色が強く見られた『本格ミステリ・ベスト10』。
管理人とっては「本格ミステリ」とは次の2条件を満たすかどうか。

・作中にロジックを用いているか?
・そこにサプライズはあるか?

どちらか一方でも構いません。
勿論、両方兼ね備えていればより本格純度の高いミステリと考えます。

その意味で、今回のランキングに入った作品はいずれかの条件を満たしており、さらに上位作品に関しては両方をクリア。
満足いくランキングとなりました。

◆【2012速報】現在までのランキング
【2012速報】『ミステリが読みたい!2013年版』発表!!

【2012速報】「IN★POCKET 文庫翻訳ミステリー・ベスト10 2012」発表!!

◆関連外部リンク(外部サイトに繋がります)
・探偵小説研究会HP
http://www.geocities.co.jp/tanteishosetu_kenkyukai/

◆関連過去記事
2012年(2011年発売)ミステリ書籍ランキングまとめ!!

2011年ミステリ書籍ランキングまとめ!!

2010年ミステリ書籍ランキングまとめ!!

【2011速報】「2012 本格ミステリ・ベスト10」発表!!

【速報】「2011 本格ミステリ・ベスト10」発表!!

上記、ランキング中で気になる本がある方はこちら。


「2013本格ミステリ・ベスト10」です!!
2013本格ミステリ・ベスト10



【関連する記事】
posted by 俺 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ミステリランキング | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック