2012年12月13日

水曜ミステリー9「松本清張没後20年特別企画 事故〜黒い画集〜 疑惑の事故が招く連続殺人!不倫密会の代償点と線を結ぶ捜査が暴く死体移動トリック」(12月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)

水曜ミステリー9「松本清張没後20年特別企画 事故〜黒い画集〜 疑惑の事故が招く連続殺人!不倫密会の代償点と線を結ぶ捜査が暴く死体移動トリック」(12月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<あらすじ>

東京の下町で妻の育代(原日出子)と共に小さな運送会社を切り盛りしている高田京太郎(高橋克実)のもとに、ある晩、従業員が交通事故を起こしたとの連絡が入ってきた。高田と育代が特に目をかけていた宮下健次(斉藤祥太)の運転するトラックが、住宅街で民家の門に突っ込んだというのだ。
翌日、高田がその家に住む山西勝子(野村真美)のもとに謝罪に訪れると、勝子は怒るどころか、事故を起こした宮下のことを気遣い、補償も修理費だけでいいと話す。夜になって大阪出張から帰ってきた勝子の夫・山西省三(近江谷太朗)の対応も同様で、高田はそんな2人に感激する。
事故から5日後、高田は同僚の佐々(松江健)を同乗させるという条件付きで、宮下を仕事に復帰させた。ところが、真夜中に佐々から電話がかかってくる。宮下が山梨県・小淵沢のドライブインでこつ然と姿を消してしまったというのだ。深夜1時半頃に小淵沢のドライブインに着いたが、宮下が電話をかけるというので自分だけ先に建物に入ったところ、そこから宮下の行方がわからなくなってしまったということだった。
翌朝、小淵沢の崖下から宮下の遺体が発見された。身元確認のために小淵沢までやって来た高田は、小淵沢中央署の刑事・中瀬(松澤一之)から、宮下は殺害された可能性があると聞かされる。現場から宮下の携帯は発見されなかった。
宮下の事件の翌日、甲府近郊の和田峠で、浜口久子(山下容莉枝)の遺体が発見された。所持品の中にあった名刺から、久子が「永福探偵社」の調査員であることを知った甲府中央署の刑事・六条(大杉漣)は、早速永福探偵社の社長・田中(近藤芳正)を訪ねる。すると、久子は最近、「光輪土木」の専務・高橋太郎(伊藤正之)の不倫調査を担当していたことが判明。六条は、久子が高橋と何らかのトラブルになったものと推測し、高橋を訪ね事情を聞くが、高橋は自分が素行調査をされていたことに全く気づいていなかった。しかも高橋は、久子の自分の行動に関する調査報告書には、数箇所虚偽の内容があると指摘する。
一方、宮下の事件では、事件当夜に宮下が途中で2回ほど停車していたことが判明した。いずれもほんの2〜3分で、荷崩れの確認をしていたと同乗者の佐々に話していたが、それを聞いた高田は腑に落ちないものを感じる。その夜、宮下たちのトラックは荷崩れを起こすようなものは何も積んでいなかったのだ。さらに、宮下が起こした追突事故についても、現場となった住宅街はどうやっても通るような場所ではなかったことに思い至った高田は、事件当夜の宮下の足取りを洗い直す。すると、宮下が1回目に車を止めた場所の近くから、久子の携帯電話が発見された。その携帯を通じて高田は、久子の妹・亜紀子(京野ことみ)と知り合い、2人で独自に事件を追いかけ始めるが…。
(公式HPより)


では、続きから(一部、あらすじと重複あり)……

事故を起こした宮下と、「永福探偵社」の調査員・久子が何者かに殺害された。
誰が何の為に殺害したのか?

宮下の雇い主・高田と久子の妹・亜紀子が調査を開始する一方で、六条も捜査を続ける。

宮下と久子が同一犯に殺害されたと推理した高田たちは、宮下の起こした事故に注目する。
さらに、亜紀子は久子が宮下に依頼し意図的に事故を起こした可能性に思い当たる。

山西家が事の中心にあると考えた高田は山西に接触。
その妻・勝子について尋ねたところ、山西は渋い顔を示す。

勝子は山西と別居し新生活を始めていたのだ。
「千代田」という料亭で女中をしていたのである。
この口利きをした人物を突き止めた六条は犯人に気付く。

一方、高田と亜紀子は調査を通じて良い雰囲気に。
亜紀子にホテルに誘われた高田だが、ギリギリで思い留まる。

勝子を見張っていれば犯人に辿り着く―――そう考えた高田と亜紀子は張り込みを開始。
そして、遂に勝子に接触する男を目撃する。
男の正体は「永福探偵社」の田中であった。
田中と勝子は不倫していたのだ。

不倫の現場を押さえた高田たちは、犯行を認めるよう促すが田中はこれを拒否。
包丁を手に暴れ回ると、逃げ出そうとする。

ところが、捜査員を連れた六条が駆け付けたことで追い詰められる。
進退窮した田中は高田を人質に事態を打開しようとするが、失敗。
逮捕されるのであった。

事件の全容が明かされた。

夫の浮気に悩んだ勝子は調査を田中に依頼。
ところが、いつしか田中と不倫関係に。

勝子の浮気に気付いた山西はこともあろうに田中に調査を依頼。
田中は上手く誤魔化そうと考え、軽んじていた久子に調査を命じる。
しかし、久子は思ったより剛腕であった。

なかなか尻尾を現さない勝子の浮気相手に業を煮やした久子は宮下を雇いトラックを突っ込ませた。
騒ぎに乗じて屋内の様子を撮影し、田中の存在に気付いたのだ。

久子が退職を申し出たことで、事の露見を察した田中は勝子と2人で口封じを画策。
久子だけではなく、宮下をも殺害したのだ。

久子が提出したとされる「光輪土木」の専務・高橋太郎の調査報告書に虚偽が混じっていたのは、久子が勝子の調査を行っていたことを隠蔽するべく偽造されたものであったこと。
あわよくば、高橋に久子殺害の容疑を向ける為だったらしい。

こうして事件は解決。

亜紀子は郷里に帰ることに。
挨拶もさせて貰えず高田にとっては淡い別れであった。

何気ない日常へ戻ったかに思えた高田だったが……。

テーブルの上を見ると其処には判を押した離婚届が!!
傍には丁寧に興信所の報告書まで添えてある。

どうやら、育代が高田と亜紀子との関係について調査を興信所に依頼していたらしい。
その報告書には抱き合う高田と亜紀子の写真が。
そう、あの思い留まったホテルでの写真だ。
だが、高田は不倫などしていないのである。

にも関わらず、コレだ……。
笑うしかない高田であった―――エンド。

<感想>

原作は松本清張著『事故』(文藝春秋社刊『事故―別冊黒い画集1』収録)。
過去記事にてネタバレ書評(レビュー)がありますね。

『事故』(松本清張著、文芸春秋社刊『事故―別冊黒い画集1』収録)ネタバレ書評(レビュー)

大筋は原作通り。
ただし、大幅に追加要素アリ。

まず、主人公が高田に。
しかも、高田が運送会社の示談交渉人から運送会社の社長に。
さらに、久子の妹・亜紀子というオリジナルキャラを投入。
高田と亜紀子の関係を通じて、もう1つの男女関係を描きました。

ただ、これが些か蛇足気味だった感も否めず。
少なくとも重厚感は損なわれました。
まぁ、それなりに良かったとは思うけど。

全体的にはライトなテイストにまとめあげられていましたね。
これを是とするか否とするかで本作の評価は分かれるでしょう。
ただ、其処までライトだった割にラストのあのオチは無い気がするんだよなぁ。
田中と勝子も絡めて男女関係が難しいことを示したんだろうけど、悲哀よりもギャグみたいだった。
完全にギャグ狙いならアリという向きもあるかもしれないけど、個人的には合わないな。

松本清張先生といえば『十万分の一の偶然』、『熱い空気』や『寒流』もドラマ化が決定しており、こちらも目が離せません。

『十万分の一の偶然』(松本清張著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『寒流』(松本清張著、新潮社刊『黒い画集』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『熱い空気』(松本清張著、文芸春秋社刊『事故―別冊黒い画集1』収録)ネタバレ書評(レビュー)

「家政婦は見た!」がドラマ化決定、タイトルは原作通り『熱い空気』に!!

松本清張先生『寒流』(新潮社刊『黒い画集』収録)がドラマ化されるとのこと!!

<キャスト>

高田京太郎:高橋克実(トラック運送会社「協成貨物」の社長)
浜口亜希子:京野ことみ(永福探偵社に勤める久子の妹)
高田育代:原日出子(高田京太郎の妻)
田中幸雄:近藤芳正(「永福探偵社」所長)
山西勝子:野村真美(専業主婦・トラックに突っ込まれた家の妻)
六条幹男:大杉漣(甲府中央署・刑事)
浜口久子:山下容莉枝(永福探偵社・社員)
宮下健次:斉藤祥太(協成貨物・運転手)
山西省三:近江谷太朗(勝子の夫)
高橋太郎:伊藤正之(光輪土木・専務)
中瀬政信:松澤一之(小淵沢中央署・刑事)
古野正行:坂本 真(小淵沢中央署・刑事)
小野田剛:阿部亮平(甲府中央署・刑事) ほか
(公式HPより、順不同、敬称略)


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【小説】
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