ネタバレあります、注意!!
第20話登場人物一覧:
マーニー:主人公にして名探偵。本名は真音(マリオン)。
ロイド(パパ):ロイド探偵事務所所長にしてマーニーの保護者。元刑事らしい(3話)。
エリオット:マーニーの愛猫。
黒屋雪彦:明彦の双子の弟、内向的。実はある秘密が……13話、20話に登場。
市長:マーニーとロイドが暮らす地域の市長。
阿刀孟:世界的に著名なアニメクリエーター。
瀬尾俊幸:阿刀のマネージメントを担当していたスタッフ。
これまでの登場人物については過去記事リンクの後に記載しています。
<ネタバレあらすじ>
市長に呼び出されたロイドとマーニー。
これまで人里離れた辺鄙な土地に住んでいたことから自治会に参加していなかったことを盾に、半強制的に無料で依頼を引き受けさせられることに。
その依頼の内容は、街中で最近頻発しているラクガキ事件の犯人を解明し落書きを止めさせてほしいとのものだった。
市長は謎のグループによる暗号通信を危惧していたが……。
ロイドはラクガキをストリートアートの一種と判断。
調査対象を美大生や専門学校生に絞り込む。
手分けして聞き込みに向かったマーニーたちだが、其処で面白い情報を入手する。
ラクガキされた絵は「森の中のコーリ」というアニメのキャラクターらしい。
「森の中のコーリ」は「森に暮らすコーリという生き物が街の人々が食事に困っているのを見かね、自身を犠牲にしつつ食料を用意するが、食料を運んでいるところを街の住人に目撃され、欲の深い住人から食料を目当てに追われることになる」ストーリーらしい。
その他のラクガキも同様に同じクリエーターによる作品のキャラクターと判明する。
ここから、マーニーは容疑者は別に居ると判断。
夜の街の治安を影ながら守る男に助力を求める。
その相手とは黒屋雪彦―――13話『双子』で登場したコスプレ好きの自宅警備員である。
雪彦はこの要請を快諾。
今日もヒーローの衣装に身を包み、マーニーと共に監視作業に就いていた。
雪彦の経験から監視地域をある一点に集中したマーニー。
雪彦の勘は的中、容疑者らしい人物をスーパー「ジョスコ」の陰で発見する。
現行犯で捕える為に容疑者らしい男を泳がせるマーニーたち。
すると、意外な展開が待っていた。
容疑者らしい男は別の男と言い争いになったのだ。
どうやら、別の男こそがラクガキ犯らしい。
遂に犯人を取り押さえたマーニーたち。
その正体とは!?
ラクガキ犯の正体は「森の中のコーリ」で知られる世界的に著名なアニメクリエーター・阿刀孟。
阿刀と言い争っていたのは、長年に渡り彼をマネージメントし続けることで支えた瀬尾俊幸であった。
瀬尾によれば、阿刀は職業病から酷使し続けた右腕が使えなくなり引退していた。
最近になって奇矯な行動を取っていたので注意していたところ、残された左腕でラクガキをしていたらしい。
今日に限らず何度も止めようと思っていたが、阿刀はまるで昔に帰ったように楽しそうに絵を描いており止められなかったそうだ。
こうして犯人が判明し事件は解決したかに思われた。
ラクガキ被害の補償についても交渉で何とかなる筈だったが……。
阿刀のネームバリューは物凄いものであった。
ラクガキが阿刀のものと分かった途端、マスコミが殺到。
ラクガキはアート作品と認定された。
さらに連日報道された結果、阿刀のファンがこれを手に入れるべく躍起になったのだ。
オークションが行われ、値段はどんどん吊り上った。
これを耳にした市長は当初の批難は何処へやら。
阿刀にもっとアート作品を描写するよう要請する。
だが、阿刀がこれに応じることは無かった。
阿刀が描いた作品は当初のもののみとなり、値段はさらに高騰することに。
後日、マーニーとロイドは不思議な符号に気付く。
実は阿刀がアートを残した場所はすべて資金難に苦しむ家庭や企業であり、今回の阿刀のアートがきっかけで立ち直れそうになっていた。
もしかすると、それを狙っていたのかもしれない。
言葉にしないものの、そう考えるロイドとマーニーであった―――エンド。
<感想>
「フランケン・ふらん」で知られる木々津克久先生が、2010年の「ヘレンesp」以来2年ぶりとなる「週刊少年チャンピオン」本誌への連載を開始されました!!
連載作品のタイトルは「名探偵マーニー」。
コミックス1巻も発売中です!!
今回はその第20話「ラクガキ」です。
ハートフルな結末でしたね。
一足早いサンタクロースからの贈り物と言えるのでしょうか。
ただし、一筋縄とはいかなさそうです。
まさに、我が身を犠牲に人を助けようとした阿刀。
その代表作「森の中のコーリ」と同じことをしたワケです。
そして、その展開も「コーリが食料目当ての欲深な住民に追われた」ように「更に寄越せと迫られる」とのものでした。
マーニーたちに捕まるまでラクガキを続けていたところをみると、今後も出来る限り助け続けるつもりだったものと思われるのですが……。
ただ、ラクガキと思われた絵が阿刀の作だったからこそ価値が出て人々を救うのだから、いずれはラクガキ犯の正体は明らかにしなければならなかった筈で、そのあたりを阿刀がどう考えていたのかが気になりますね。
それにしても、ラクガキされた場所は個人宅や工場などの壁のようですが、価値に気付かず消してしまった家庭もあったのではないでしょうか。
それを考えると、本当に救おうとしていたのならば価値を伝える時期も工夫を凝らす必要があり、かなり難しいですね。
かと言って、価値が分かってからでは任意に描くワケにもいかないし。
やはり、難しい。
さらに「単なるラクガキとされていた物が、権威によって価値を持ったこと」などから「モノの持つ本当の価値」なども裏テーマにありそうです。
実際、阿刀の絵は当初は単なるラクガキ扱いで評価されていませんでした。
特に誰かの心を打ったなどといったエピソードもなく、作中では美大生に「アートとしては1枚の絵として完結しておらず訴求力が無い」とまで言わしめていましたし。
だが、そんな絵も阿刀の手によるものと分かった途端に価値が出る。
果たして、これは見る側が誤っていたのでしょうか?
少なくとも、絵自体はラクガキとされていた時から何1つ変わらず其処にあるワケですが。
これも難問と言えるでしょう。
それにしても、黒屋雪彦再登場です。
彼は変わりない様子。
彼のお兄さんはお元気なのでしょうか?
あまり、元気でも困るような気もしますが。
さらに、スーパー「ジョスコ」も登場。
これは「ジャスコ」のことですよね。
そして、同様に現実にモチーフを求めていそうなのが今回の阿刀孟。
ジブリファンが狂喜乱舞しそうですが、このモデルは宮崎駿監督ですよね。
ソックリでした。
そう言えば、「森の中のコーリ」は「となりのトトロ」っぽいフォルムだったり。
ちなみに、その宮崎監督の新作発表がちょうど行われました。
タイトルは『風立ちぬ』、2013年夏公開予定とか。
タイミングばっちりでしたね。
そして今回も良かった、次回も期待出来そうです。
ちなみに、上にもある通りマーニーのコミックス1巻の発売が判明。
これでいつでもマーニーの活躍を読むことが出来ます。
興味のある方は本記事下部アマゾンさんリンクよりどうぞ!!
木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。
・木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!
さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。
「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。
衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。
既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。
◆「名探偵マーニー」関連過去記事
・「名探偵マーニー」第1話から10話まで(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)まとめ
・「名探偵マーニー」第11話「ブリット」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「名探偵マーニー」第12話「オジイチャン」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「名探偵マーニー」第13話「双子」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「名探偵マーニー」第14話「虫のしらせ」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「名探偵マーニー」第15話「NTR」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「名探偵マーニー」第16話「商売上手」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「名探偵マーニー」第17話「天」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「名探偵マーニー」第18話「マジシャン」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「名探偵マーニー」第19話「プライド」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
◆関連過去記事
・「フランケン・ふらん 最終話(最終回) Dream」ネタバレ批評(レビュー)
・「フランケン・ふらん 59話 BestFriend」ネタバレ批評(レビュー)
・「Phase20」(木々津克久作、「チャンピオンRED 2012年1月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)
・「鋏女(チャンピオンRED 5月号掲載)」ネタバレ批評(レビュー)
・「ヴァンパイア・アナライズ (チャンピオンRED 7月号掲載)」(木々津克久著、秋田書店刊)ネタバレ批評(レビュー)
これまでの登場人物一覧:
【ロイド探偵社】
マーニー:主人公にして名探偵。本名は真音(マリオン)。
ロイド(パパ):ロイド探偵事務所所長にしてマーニーの保護者。元刑事らしい(3話)。
母親:マーニーの母親、不在。事情があるらしい(1話)。
エリオット:マーニーの愛猫。
【学校関係者】
若島津ゆりか:マーニーの友人。4話、5話、9話、10話、14話、16話に登場。
前花:マーニーの友人。
那智先輩:学校のヒーロー。2話、4話、16話で登場。
白鳥:マーニーの先輩、白鳥財閥の令嬢。1話、7話、13話、16話、19話で登場。
累:白鳥の友人、1話にて登場。
香坂:生徒会書記、2年生。7話で登場。
宮島小百合:マーニーの学校に勤務する教師。10話、15話に登場。
鈴村蝶子:カーディガンズの1人。12話で登場。
黒屋明彦:雪彦の双子の兄、社交的。13話に登場。
黒屋雪彦:明彦の双子の弟、内向的。13話、20話に登場。
露島:新聞部部長。自腹でニュースサイトを運営し多大な影響力を持つ。16話に登場。
吉沢:新聞部員の1人。16話に登場。
舞城天:マーニーと同じ学校の生徒。17話に登場。
マキちゃん:本名は真希田、マーニーの級友。
【警察】
毛利刑事:ロイドの後輩刑事。3話、18話で登場。
【再登場しそうなゲスト】
亜羽:ロイドの過去の依頼人。3話で登場。
片岡:大学生、4話で登場。
村枝紗平:政財界のフィクサー。ロイドによれば「黒い噂」で知られる有名人らしい。8話で登場。
野宮真理:ニュース番組の人気キャスター。9話で登場。
舟木真治:宮島の初恋の相手、10話より登場。
光輪:往年のヒーロー「ブリット」を演じた俳優。現在では病を患っている。11話で登場。
鈴村都:蝶子の妹。12話で登場。
マックス鞠野:高名なマジシャン。効果を最大限に発揮するマジックがモットー。18話より登場。
真希田流:マキの姉。18話より登場。
玄武:大学生。日本有数のセレブで白鳥の知人。19話より登場。
宝蔵院はるか:大学生。玄武のフィアンセ。玄武同様にセレブ。19話より登場。
市長:マーニーとロイドが暮らす地域の市長。20話より登場。
阿刀孟:世界的に著名なアニメクリエーター。20話より登場。
瀬尾俊幸:阿刀のマネージメントを担当していたスタッフ。20話より登場。
【その他ゲスト】
西郷:那智の親友。2話で登場。
徳吉すばる:亜羽の同僚。3話で登場。
望月楓:ラクロス部のイケメン。6話で登場。
謎の女性:望月の周辺に現れた謎の女性。6話で登場。
亀井:村枝の文通相手。8話で登場。
安崎良則:映画会社の社長。11話で登場。
安崎みどり:良則の娘。故人。11話で登場。
ゆりかの祖父:幽斉の中学時代の同級生、緊急入院してしまう。14話に登場。
河野幽斉:祖父の中学時代の同級生。同窓会の主催者。14話に登場。
幽斉の妻:幽斉とは犬猿の仲。14話に登場。
甲本:宮島の大学時代の同級生、宮島曰く「オタクっぽい人」。15話にて登場。
相葉:宮島の大学時代の後輩、宮島曰く「他人の恋人を寝盗る男」。15話にて登場。
甲本の元恋人:相葉に殺されかけたが……秘密が!?15話にて登場。
天の大叔父:年嵩の紳士然としたドイツ人。17話に登場。
はるかの母:はるかの母。健康志向であった筈だが……。19話より登場。
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