2012年12月15日

「空が灰色だから」53話「負けず嫌い」(2012年12月13日掲載)ネタバレ批評(レビュー)

第4巻の発売も近付く阿部共実先生「空が灰色だから」(秋田書店)。
ネット上で話題となっており、1・2巻は今も順調に版を重ねているとの情報も流れています。
1巻が赤色、2巻が黄色、3巻が青色ということで「虹の7色」をイメージしているのでしょうか。
とはいえ、是非とも7巻以上続いて欲しい作品です。

実際、読んでみると不思議な魅力を持つ本作。
面白いものを読んだら語らずにはいられない管理人にとって、十分に語るべき対象となる作品であります。

というわけで、2012年12月13日に掲載された53話「負けず嫌い」のあらすじをまとめておきます。

これを読んで興味を持たれた方は、是非「週刊少年チャンピオン」本誌連載とコミックスにもチャレンジして貰えればオススメした甲斐があるかもしれません。
直に本作を目にして貰えればその不思議な魅力をご理解頂けるかと思います。

では、本作の魅力を出来る限りお伝えするべくネタバレ批評(レビュー)です。

◆2012年12月13日「週刊少年チャンピオン」掲載 53話「負けず嫌い」

とある家庭の朝の風景がある。
登校前の女子高生・紺田は弁当を作り終えると、熱を冷ます作業に入った。

ほっと一息つく瞬間―――だが、紺田はこの時間を利用して液体用洗剤の詰替えを行う。
「時間を無駄にしない自分、素晴らしい」である。
ところが……。

「姉ちゃん、弁当まだ〜〜〜?あれ……姉ちゃん、それ!!」
遅れて起きて来た弟の視線の先には、2つある弁当の1つになみなみと注がれる液体用洗剤が!!
手元を誤り、弁当に注いでしまったのだ。

「食べられねえじゃん、それ」
姉の失態を批難する弟。
「違う!!これは特別な味付けで……じゃあ、いいよ。あんたにこれはあげない、私が食べるから」
なんとか助かった1つを弟に渡すと、失敗した方を自身の物にする紺田。
あくまでも失敗を認めないようだ。
結局、そのまま登校することに。

昼休みがやって来た。
周囲が弁当を広げる中、紺田は立ち尽くしていた。
弟の手前、食べて見せると豪語したが実際に食べるには分が悪い。
なにしろ、洗剤入りなのだ。
やはり、人目に付かないところで処分すべきだろう。

人気のないところと言えば、屋上である。
屋上へと向かった紺田は其処で弁当を捨てようとするが……。

その現場を知り合いの男子生徒・城川原に見咎められてしまう。
城川原は紺田の洗剤入り弁当を強奪。
紺田の制止を振り切り、食べ始めてしまう。

一口食べるなり、脂汗を流し始める城川原。
見ればトリハダも立っている。

「なにも、そこまで……」
思わず洩らす紺田。

「ちげ〜〜〜よ、俺は蟹アレルギーなんだよ」
城川原の手には弁当の具材の1つカニクリームコロッケが握られていた。
アレルギーがあるにも関わらず無理をして食べているのだ。
しかも、脱臼した左腕を用いてである。

読者にすれば「ちげ〜〜〜よ」どころか、なおさら「なにも、そこまで」であろう。

だが、城川原は必死に弁当を食べようと箸を進める。
それがまるで挑むべき壁だとも言うように。
そして、1品1品胃袋に収めて行くのだ。

数十分が経過した。
城川原の顔は青白く染まり、身体は小刻みに震えている。
残すはただ1つのおかずのみ。
だが、箸が進まない。
酷使した腕が言うことを聞かないのだ。

もはや、此処までなのか……城川原が諦めかけたそのとき、紺田が動いた。
城川原の腕の代わりになると、箸を口まで運んだのだ。
奇しくも「あ〜〜〜ん」の姿勢である。
応じるように口を開ける城川原。
こうして、最後の1口が消えた。

食べ終えた達成感に包まれる中、城川原は紺田に告白する。
「好きです。付き合って下さい」と。

これを聞いた紺田は顔を真っ赤にさせ俯く。
悪い気はしていない様子だ。

「これを食べたぐらいで付き合える筈ないだろ。もっと誠意を示してくれないと……」
そう告げる紺田だが、その瞳は潤んでいた―――エンド。

<感想>

2012年12月13日掲載の53話「負けず嫌い」です。

よもやの恋愛モノでしたね。
城川原は負けず嫌いと言うよりは愛の為に克服した感じ。
一方、紺田は当初こそ負けず嫌いですが、最後のアレは照れでしょう。
仮に負けず嫌いだとしても、本心は別にあるのだから城川原の想いは成就しそうです。
そもそも「負けず嫌い」とのサブタイトルから考えると、紺田自身も城川原に好意を抱いていたいた可能性も高いか。
どう転んでも、一足早いクリスマスストーリーに……(遠い目)。

にしても、ラストあれで良かったですね。
てっきり、負けず嫌いが昂じて悲劇的な結末を迎えるかと思いきや割と素直な部類だったのが良かった。
「空が灰色だから」だと、あそこから「紺田に恋人がいた」とか「負けず嫌いの紺田が勢いで本意ではなく手酷く振ってしまう」パターンなどもあり得ただけに、本当に一安心。

そう言えば、最近になって星新一先生の作品ともテーマ選択的な面で近い点もあるなと発見。
人の本質は時代を経ても変わらぬモノ。
これを描く点で同じ道を行く両者が近い視点に立つのは必然なのかもしれません。
ただ、其処からの味付けが両者とも卓越しているからこそ読者の心を動かすのでしょう。

さて、「空が灰色だから」ですが、4巻が発売決定。
さらに同時発売される「阿部共実短編集(仮)」の正式タイトルも判明。
「大好きが虫はタダシくんの 阿部共実短編集」だそうです。
もうタイトルからしてやる気満々です。

確実に言えることは短編集には「大好きが虫はタダシくんの」が収録されるってこと。
これに前回の「あつい冬」もついてくる。
うわあぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。

そんな「空が灰色だから」は「週刊少年チャンピオン」に連載中の漫画。
読むと心がざわついて何処となく落ち着かなくなる作風。

この間から何となく感じていたのですが、本作は星新一先生の作品以外に、過去に「週刊少年チャンピオン」にて連載されていた倉島圭先生「24のひとみ」にテイストが似ていますね。
従来の枠に囚われない世界観は両者の特徴と言えるでしょう。
その味は、古典部シリーズ『氷菓』のアニメ化で話題の米澤穂信先生の著作『儚い羊たちの祝宴』にも通じるモノがありそうです。

『儚い羊たちの祝宴』(米澤穂信著、新潮社刊)ネタバレ批評(レビュー)

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