2013年04月23日

『強運の男』(倉知淳著、講談社メフィスト掲載)

『強運の男』(倉知淳著、講談社メフィスト掲載)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

超豪華執筆陣の「超」最新作!
(アマゾンドットコムさんより)


<感想>

やっぱり、倉知先生はイイ!!
シリアスからコメディまで、千変万化の作家さんです。
惜しむらくは寡作な事か……。

今回は前回の『限定販売特性濃厚プレミアム(以下略)』とはガラッと変わってシリアス調な物語。
そして、最後までシリアスでした。

熟達したミステリ読みには途中で結論が分かると思うけど、其処までの話の運び方が上手い!!
それと、猟師が山の中で少しずつ大きな獲物にあたる話を思い出した。

倉知先生の緩急自在ぶりを味わう為にも読むべし!!
こうなると、猫丸先輩の新作も読みたいぞ!!

<ネタバレあらすじ>

私は1人バーで酒を呑んでいた。
其処へ紳士然とした男が声をかけて来る。

男は余興として賭けを提案して来る。
懐から慣れた手つきでマトリョーシカを取り出すと、5回勝負を申し込む。

まずは「1杯の酒」を賭けてコインの裏表で勝負だ。
2分の1の確率となるが……私は勝負に勝った。
文字通りコップ1杯の酒を呑み、勝利の美酒に酔う私。

ところが、相手の男は次の賭けを提示する。
今度は「金貨」が掛けの対象だ。
1から6までのダイスの目から1つ選び、ダイスを転がしその目が出れば私の勝ちだ。
6分の1の確率である……私はこの勝負にも勝利する。

金貨が手に入ってしまった。
流石に悪いと思った私だが、男は次の賭けを提示する。

今度は「銀時計」である。
確率はさらに上がるが、それにも私は勝利する。

次は「ダイヤのネクタイピン」である。
確率はさらに上がるが、それにも私は勝利する。

流石に怖くなって来た私。
相手の作為を疑うが、相手の男も驚いている様子。

そして、遂に「高級車の鍵」が賭けの対象となった。
ゲームはトランプ。
フルハウスに勝つ手を1回で引ければ私の勝ち、駄目ならば負けだ。
負ければこれまでの商品をすべて返却することになる。

到底勝てるとは思えず、心の底から安心しつつ勝負するが……勝ってしまう。

だが、男は特に悔やんでいる様子はない。
遂に最後の勝負を申し込む。
返却する口実を探していた私はこれに乗る。

まずは乾杯と、男が準備した新たな酒に口をつける私。
それを確認した男、次の賭けの対象は「生命」だと言う。

男と私、用意された酒の中に2分の1の確率で遅行性の毒が投入されているらしい。
そうと知っていれば断っていたが……もう遅い。

そして、私の視界はグラグラと揺れ出し……私は負けてはいけない勝負に負けたことを知った。
意識が遠のいて―――エンド。

◆倉知淳先生関連過去記事
【ネタバレ書評(レビュー)】
『壺中の天国』(倉知淳著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『現金強奪作戦!(但し現地集合)』(倉知淳著、講談社メフィスト掲載)ネタバレ書評(レビュー)

『限定販売特性濃厚プレミアムシュークリーム事件』(倉知淳著、講談社メフィスト掲載)ネタバレ書評(レビュー)

「ミステリ愛。免許皆伝!メフィスト道場 」&「ミステリ魂。校歌斉唱!メフィスト学園」(講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
(収録作『Aカップの男たち』について)

【その他】
倉知淳さんの「猫丸先輩」が舞台化!!

倉知淳先生の作品集「なぎなた」&「こめぐら」は東京創元社さんより9月30日発売!!

『強運の男』が掲載された「メフィスト 2012 VOL.3 (講談社ノベルス)」です!!
メフィスト 2012 VOL.3 (講談社ノベルス)



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posted by 俺 at 11:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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