2012年12月26日

「三億円事件奇譚 モンタージュ」第109話(講談社ヤングマガジン連載中)ネタバレ批評(レビュー)

「三億円事件奇譚 モンタージュ」第109話(講談社ヤングマガジン連載中)ネタバレ批評(レビュー)です!!

三億円事件奇譚 モンタージュ1


登場人物一覧は本記事下部に移動しました。

<第109話あらすじ>

〜〜前回までのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜

沖縄へと到着した大和たちは、響子と出会うことに成功。
さらに鉄也が沖縄に居たとの情報が……。

同じ頃、鈴木の義父は「鈴本」を名乗り、響子たちに接近。
関口二郎とその双子の兄・欽一は水原と夏美の排除を決意する!!
そして、泰成は関口弘美に接触、情報を得ていた。

そんな中、正体を現した鈴本に未来が人質にされてしまう。
さらには、真玉橋までが乗り出して来る。

響子の助力もあり、辛くも虎口を脱した大和たち。
一方、鈴木は天意であろうか、思わぬ形で命を落とす。

同じ頃、大和は響子の処遇について悩んでいた。
そして、ハリーと響子の意外な関係が明らかに。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ハリーから明かされて行く3億円事件の別側面―――それは、響子を驚かすに十分な内容であった。
須黒という黒幕の存在も示唆され、響子は絶句する。

ハリーによれば、須黒に紹介された沢田経由で雄大や響子たちのことは知っていたそうだ。
そして、ハリーの口を借り、須黒の狙いが語られる。

須黒の狙いは「オペレーション・ローラー」にあった。

「つまり、ローラー作戦ですね」
ハリーと響子ではない第3者の声に振り向く2人。
何処から聞いていたのだろうか、其処には大和が立っていた。
大和は東海林の遺したフロッピーディスクの中に資料が残されていたことを語る。

こうして、大和を加えた3人で当時の状況について確認することに。

須黒は沢田同様にノンキャリアの出身であり、さらに上へ進むべく手柄を欲していた。
其処で用意されたのが、ローラー作戦であった。
つまり、3億円事件の捜査の過程で、反抗的な運動家たちを逮捕することこそが目的だったのだ。

ハリーは「雄大たち実行犯は捨て駒に過ぎず口封じされた」と主張。
「だからこそ消息不明になっている」とも付け加える。

響子にとっては、これまで知らされていなかった新事実ばかりである。
あまりの衝撃に押し黙ってしまう。

一方、大和は疑問を抱く。
3億円事件は本当に囮に過ぎなかったのか?

その夜、部屋に戻った大和は1人で振り返ることに。

まず、3億円事件が囮だとするならば、雄大たちはそれを知らなかったのだろうか?
知らなかったとすれば、現金目的となる筈だ。
ところが、当の3億円は手付かずで残されていた。
現金目的ならば残されていることがおかしい。
別の目的があったとしたら、動かぬ証拠となりうるソレを何故、軍艦島で保管する必要があったのか?

何より、響子が無事であることも不審である。
実行犯は口封じされる筈。
実行犯とみなされなかったのかもしれないが、事件直後から今に至るまで泳がせているのは何故か?

3億円事件の真の狙いがローラー作戦だったとして、それを資料に残していた点も不可思議だ。
資料などは真っ先に破棄されているべきものだろう。

そして、須黒は今何処に居るのか?
そもそも、ハリーの言葉はすべてが真実なのか?

思い悩む大和の手には鈴木の手帳が。
其処には沢田名義の土地として北海道夕張市のとある住所が記載されていた―――110話に続く。

<感想>


ローラー作戦の謎!!


沖縄篇第32回。
またも「ローラー作戦」の名前が出て来ました。
ハリーによれば、これこそが3億円事件の主目的であったとのこと。
ですが……大和が悩んでいる通り、不可思議な点が多々あります。
このことから、他にも目的があるような気配……。

須黒の狙いがそれだったとしても、沢田にとっては別の狙いがある可能性もあるし。
特に、わざわざハリーの父・ジョージを登場させていることからも国際的な何かが目的である可能性も。

そもそも、語り手であるハリー自体が信用出来るかどうか不明です。
響子を知っていたことについて、ずっと隠していましたし。

果たして、3億円事件の真の目的は何だったのか?
結果から見れば、利益を得ているのは沢田であり、沢田に関連する何かだったと思われるのですが……。
消えた須黒が鍵を握っているのか?
こうなると、3億円事件当時の社会情勢や世相なども考慮に加える必要があるかもしれませんね。
ローラー作戦以外にも、組織的な狙いが背後にあるのか?

では、此処で大和の疑問について検討していきましょう。

まず、雄大たちは須黒や沢田の狙いを知っていたか?
竜については知らなかった可能性が高いが、雄大は知っていたのではと思われる。
和子を失った雄大にとって金目的で3億円事件を起こす理由が見つからない。
何か別の社会的意義を沢田に打ち明けられていても不思議ではない。
その上で協力していたとなると、口封じされたかどうかも疑問である。

だが、沢田と雄大、竜の間で何らかのトラブルが起こったのは確実。
これにより、3億円が軍艦島で保管されることとなったのではないでしょうか。

響子が無事であったのは、ハリーか竜の配慮の可能性もある。
ローラー作戦について資料が残されていたのも、沢田に対立する立場の人間が残したすれば自然。
やはり、沢田とそれ以外の人物が争っていたと考えるべきか。

そして、消えた須黒は北海道にある沢田の土地が関連しているのか?
まさか、其処に埋まっている……?

こうまとめてみると、沢田が3億円事件を利用してのし上がったとの構図が浮かび上がっているような印象。
全体的には親沢田と反沢田が争い続けている形になるのかな?

う〜〜〜ん、果たしてこれで正しいのだろうか?
大和はローラー作戦自体に疑問を持っているみたいだし。

ちなみに、手帳から北海道という地名が出たことで次の舞台は沖縄から北海道に移動か?
本州には水原と夏美たちが居るし。
とはいえ、水原と夏美には関口兄弟の手が迫っており危機的状況だが……。

さて、109話となっているモンタージュ。
此処で一度、雄大や鉄也の謎あたりについての推論をまとめておこうと思います。
ただ、過去にも同様のことをしながら、割とブレた記憶もあるので、あくまで管理人の予想ということで。

とりあえず、今のところ。

鳴海鉄也が整形した川崎雄大かなぁ……。
年齢の差については戸籍を借りた際に詐称したことも考えられるし。
これで、関口の「今度はその顔」発言や、東海林の「3億円事件の犯人の息子」発言、響子の「鳴海鉄也は3億円事件の犯人ではない」発言との整合性もとれるか。

次に、武雄が施設出身と判明したことから、雄大と和子の子供は彼ではなかろうか。
鉄也が近付いたのもこのため?
ただ、武雄は事情を最近まで知らされていなかったと思われる。

そして、葉子が関口弘美の言う「ヨウちゃん」だとすれば、彼女の娘の可能性が高い。
葉子自身が施設出身との事実も、この推理を支持するだろう。
だとすれば、葉子は沢田と関口弘美の娘の可能性も……。

となると、自動的に未来の出自は当事者同然の立場になる。

で、大和はこれまでの爪を噛む描写から、雄大の血を引いていることが示唆されているので、鉄也の子で正解か。
こうなると、母親が気になる……。

ちなみに、沢田と雄大は過去に軍艦島で凄惨な体験をしている模様。

こんなところか。
ただ、この前提は現代編で登場した雄大が本物であるとの前提に基づいているので、其処が違ってくるとご破算です……。

管理人的に気になっているのは、和子死亡後に雄大がかなり暗黒面に染まっていたこと。
それが、あっさりと鉄也になれるものなのか……鉄也のキャラはどちらかと言えば竜に近い気もする。
そして、あの暗黒面に堕ちた雄大こそは、その後の沢田のキャラに近いんだよなぁ……。
まさか、雄大が沢田と入替っている可能性ないよねぇ……。
実際、銃撃戦の時点で誰が死亡したのかも明らかではないし。
あの時点で既に沢田が殺害されており、現在の沢田とされている人物が整形した雄大であり、現在の雄大とされている人物が整形した竜である可能性……ないかな?
これだと前述の「500円札についた血液」がまた別の意味を持つこともありそうだが……うむむむむむむ。

結局、はっきりしたことはまだ分からないか。
ただひとつ、今後重要となりそうなのは鳴海鉄也の正体と、大和の母。
此処がポイントとなりそうな気がします。

変わって、現在の勢力図はこんな感じ!?

@大和たち(水原含む)
A沢田たち(関口兄弟)
B雄大一派(雄大死亡!?)
C泰成一派(仲間は居るのか?)
D真玉橋(島袋も?)

Aの沢田たちも関口兄弟と沢田の間には含みがある様子。

以上のように争いは3つ巴から5つ巴に。
更なる激化は間違いないか?

とりあえず、今回はここまで。
逃亡し続ける大和と未来の明日はどっちだ!!
110話に期待です!!

ちなみに、2012年12月に「三億円事件奇譚 モンタージュ」最新第10巻が発売予定。
購入希望者は本記事下部のアマゾンさんリンクから是非!!

◆関連過去記事
「ヤングマガジン27号」(講談社刊)より「三億円事件奇譚 モンタージュ」連載開始!!

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「三億円事件奇譚 モンタージュ」第108話(講談社ヤングマガジン連載中)ネタバレ批評(レビュー)

◆登場人物一覧

【現代】

鳴海大和:主人公、三億円事件の犯人の息子と呼ばれるが……
小田切未来:大和の幼馴染み、両親の行方不明後は大和と共に逃亡中

鳴海鉄也:大和の父、五つの首(首、手首、足首)を失くした遺体で発見されるが……
小田切武雄:未来の父、突然姿を消した。関口が行方を知っているらしい……。
小田切葉子:未来の母、突然姿を消した。関口が行方を知っているらしい……。

鈴木泰成:未来の両親の後輩、要所要所にて不穏な動きを見せていたが……。104話にて横溝保の息子と判明。
水原:福岡県警所属の巡査。上司曰く「検挙率100%男」。15話より登場。
夏美:泰成の塾の教え子。大和に一目ぼれする。14話より登場。

土門:過去編の土門その人。足を洗い東海林とは友情を築いていた。47話時点では既に死亡している、病死らしい。享年70歳。
土門あきら:46話で登場した土門の孫娘。未来より1つ年下の17歳。

響子:現代編の響子。沖縄にてバーを経営していた。80話より登場。
キャサリン:響子が経営するバーの女給。81話より登場。

ハリー・スタンレー:元海兵の幹部。現在ではヘリコプター会社を営む。95話より登場。
ケニー:現役の海兵。キャサリンに想いを寄せる。

関口二郎:元祖悪徳警官、眼鏡の男の命令に従い大和と未来を追う。
眼鏡男:関口に指示を与えている男、どうも謎の男と同一人物らしい(42話)。88話にて関口の双子の兄・欽一と判明。

沢田幹事長:19話で登場、謎の男を従えているが……。
謎の男:シルエットのみ登場した沢田の腹心。関口に指示を与える人物と同一人物らしい(42話)。88話にて関口の双子の兄・欽一と判明。

松葉杖の男:30話で登場、小田切家を訪ねたシルエットの人物。48話で川崎雄大と判明。

朝霧:46話で登場、沢田の部下らしい。45話で石川を殺害したのは彼。64話で関口に殺害される。

小柳翔太:61話で登場、負傷した大和と水原を助けた。以後、大和と行動を共にする。
茜:61話で名前のみ登場、翔太の彼女で社会人らしい。69話で大和たちを匿う。

真玉橋:ホスト風の男性だが実は警部だった。フェリーにて大和たちと乗り合わせる。
鈴木:泰成の義父。どうにも行動が腹黒い男。105話で死亡する。
関口弘美:沢田と親しいらしい関口兄弟の養母。過去編で沢田が出入りしていた風俗店の店員か?
島袋:沖縄編で登場した刑事。真玉橋の部下。

森田:1話にて関口と共に現われた捜査員。以降、本編に出番なし。
血塗れの男性:元刑事、1話にて殺害される。これは関口の犯行だった。実は過去篇の東海林。
ボート小屋のオヤジ:軍艦島付近でボート小屋を営んでいた。6話で関口に殺害され、この殺人容疑が大和と未来にかかっている。
土居:18話に登場。ミステリ作家兼コメンテーター。三億円を信じていなかった。
島田:5話より登場。関口の部下だったが、19話で失態を犯し関口に処刑された。
夏美の母:関口と男女の関係にある。
水原の祖母:44話より登場。その自宅は東京での大和たちの活動拠点となっている。
石川:東海林の同僚、45話にて登場。同話にて朝霧に口封じされてしまう。
東海林の息子:45話にて登場。東海林の一人息子だが東海林とは折り合いが悪かったらしい。
高野:65話で登場。関口に協力し証拠を隠滅した。69話で関口に殺害される。

【三億円事件当時】

川崎雄大:22話より登場。三億円事件では白バイ警官役を演じたらしい。和子との間に一子をもうける。
望月竜:23話(22話は名前のみ)より登場。雄大と共に三億円事件を実行した。
響子ギブソン:竜の恋人。竜と共に土門への対策を練っていた。
土門:地元の顔役(地廻り)。竜と対立するが……
東海林:25話にて登場。土門を追う刑事。雄大の機智に興味を持っていた。後に1話で殺害された老刑事が彼と判明(37話)。
沢田慎之介:26話より登場。竜の顔馴染み&雄大の友人、日本の行く末を憂慮していた。28話にて後の幹事長と判明。
横溝:26話より登場。竜の後輩。
和子:27話より登場。雄大と交際中の女性。雄大との子供を妊娠するも事故死。
和子の子供:28話に登場。雄大と和子の子供。未熟児で生まれた。現代篇の誰になるのか?

健:真理のヒモ、関口兄弟を虐待する。後に関口兄弟に殺害される。89話より登場。
真理:関口兄弟を拾った人物、健の恋人。健同様、関口兄弟に殺害される。89話より登場。

須黒:当時の公安課刑事。強引ながらもかなりのやり手。108話より登場。

ジョージ・スタンレー:ハリーの父。裏社会と繋がり暗躍していたらしい。107話より登場。
ハリー・スタンレー:若かりし日のハリー。当時から響子を知っていた。

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