2012年12月29日

「空が灰色だから」54話「さいこうのプレゼント」(2012年12月27日掲載)ネタバレ批評(レビュー)

第4巻の発売も近付く阿部共実先生「空が灰色だから」(秋田書店)。
ネット上で話題となっており、1・2巻は今も順調に版を重ねているとの情報も流れています。
1巻が赤色、2巻が黄色、3巻が青色ということで「虹の7色」をイメージしているのでしょうか。
とはいえ、是非とも7巻以上続いて欲しい作品です。

実際、読んでみると不思議な魅力を持つ本作。
面白いものを読んだら語らずにはいられない管理人にとって、十分に語るべき対象となる作品であります。

というわけで、2012年12月27日に掲載された54話「さいこうのプレゼント」のあらすじをまとめておきます。

これを読んで興味を持たれた方は、是非「週刊少年チャンピオン」本誌連載とコミックスにもチャレンジして貰えればオススメした甲斐があるかもしれません。
直に本作を目にして貰えればその不思議な魅力をご理解頂けるかと思います。

では、本作の魅力を出来る限りお伝えするべくネタバレ批評(レビュー)です。

◆2012年12月27日「週刊少年チャンピオン」掲載 54話「さいこうのプレゼント」

元陸上部の男子高校生・咲村。
彼の周囲には親しい女子が沢山いる。

例えば、普通の同級生。
例えば、真面目な委員長。
例えば、お姉さんタイプの陸上仲間。
例えば、ツンデレな腐れ縁の幼馴染。

その誰もが、甲斐甲斐しく咲村の世話を焼く。

同級生「・・・・・・・・・」
委員長「咲村は何処に行ったぁ!!掃除当番、サボりやがって」
陸上仲間「咲村、陸上部に戻って来いよ」
幼馴染「もう仕方がないなぁ……」

咲村の周囲にはかように女子が多く居たのだ。
そんな咲村の前に新たなタイプの女子が現れた。

その名は影村黒絵―――後輩の黒魔術系女子である。

突然の告白と共に渡されたお守りは明らかに危険な香りが漂うもの。
ラブレターは血文字で「好きです、ころしていえにかざりたいほど好きです」。
手作りのクッキーからは謎の髪の毛が生えている―――しかし、味は上手い。
咲村が逃げれば、文化系の外見とは裏腹な脚力を見せつけ追い付いて来る。
笑えば、何かが引き裂かれるような音と共に悲鳴が聞こえて来る。

咲村は黒絵に対してどう接するべきか戸惑う。

ある日、黒絵は咲村に「やっと材料を揃え完成した手作りの椅子をプレゼントしたい」と話しかけて来る。
其処で家に来て欲しいと云うのだ。

(こいつ、不気味な物を作る割に純粋なんだなぁ……)
そう思いつつも対応に悩み押し黙る咲村。
そんな咲村に黒絵は続ける。

「わたし……先輩が陸上部を辞めたワケ知ってます。怪我したからですよね。でも、負けないでください。わたし……先輩が一生懸命走っている姿が好きなんです!!」
「影村……」
黒絵の告白に胸を打たれる咲村。
と……。

「えへへ……先輩が走る姿、汗をかいた身体が堪らない……ぐへへ」
影村がそれまでに見せたことのないほど、生き生きとした姿で鼻息も荒く語り始める。

「結局、身体が目当てかい!!」
突っ込む咲村だが、「そこまで俺に走って欲しいと望んだ人間はいなかった」と何故か黒絵を認めてしまう。

黒絵の自宅を訪れることになった咲村。
「今日は両親が留守なんですよ……ぐへへ」
再び笑う黒絵だが、その笑いは何故か悲鳴と絶叫が伴う音がした―――エンド。

<感想>

2012年12月27日掲載の54話「さいこうのプレゼント」です。
かなり改変加えてます、本作の真価を楽しむ為には連載を読むべし。

おそらくシリーズ最高の問題作だと思われます。
裏に流れるある可能性に思い当たったとき、あなたは恐怖するでしょう。
背筋がゾッとします、そんな力を持つ作品です。

咲村は王道系モテモテ主人公。
元陸上部にして、同級生、委員長、陸上仲間、幼馴染とフラグを立てつつ学校の人気者。
さらに、怪我で陸上部からの退部を余儀なくされつつ、復活を目指す。
本当に何処からどう見ても王道系の主人公です。

そんな彼の前に現れたのが、これまでにない個性を持った影村黒絵。
果たして、咲村に何が起こったか?

まずは表。

影村黒絵、やることなすこと危険球な彼女ですが、咲村への想いは一途。
そして、最終的に咲村を射止めた……かに見えます。
これについては、黒魔術女子という属性が大きいのかも。
黒絵の乙女心という魔法が咲村の心を動かした……のかもしれない。
うん、真心(魔心?)が咲村を動かしたのか。
そうだ、きっとそうなのだ……と思える。
でも……何処か不安が残る。
その正体とは!?

そして、裏。
不安の正体が分かる、ここからが怖い。

咲村の周囲に居た黒絵以外の恋人候補は4人。
最初から登場しない普通の同級生、真面目な委員長、お姉さんタイプの陸上仲間、ツンデレな腐れ縁の幼馴染。

ところがこの全員が作中から突然に姿を消して行きます。
代わりに咲村には黒絵から「心のこもったプレゼント」が届く。
こんな感じです。

普通の同級生の代わりに「お守り」。
ツンデレな腐れ縁の幼馴染の代わりに「血塗れのラブレター」。
真面目な委員長の代わりに「髪の毛入りクッキー」。
お姉さんタイプの陸上仲間の代わりに「椅子」。

そして、サブタイトルは「さいこうのプレゼント」。
サブタイは「サイコのプレゼント」とかけてるのかもしれない。
さぁ、何が起こったか考えよう。

ね、背筋が凍ったでしょ。
この後、咲村がどうなったのか―――ラブレターの通りになってしまったのか?

いろいろ思うところがあるもののを言葉で表現できないのがもどかしい。
ただ、不思議な世界観とストーリーが展開されたことには間違いない。
これは、やっぱり連載自体に目を通して貰うほかないでしょう。
読め!!

そう言えば、最近になって星新一先生の作品ともテーマ選択的な面で近い点もあるなと発見。
人の本質は時代を経ても変わらぬモノ。
これを描く点で同じ道を行く両者が近い視点に立つのは必然なのかもしれません。
ただ、其処からの味付けが両者とも卓越しているからこそ読者の心を動かすのでしょう。

さて、「空が灰色だから」ですが、4巻が発売決定。
さらに同時発売される「阿部共実短編集(仮)」の正式タイトルも判明。
「大好きが虫はタダシくんの 阿部共実短編集」だそうです。
もうタイトルからしてやる気満々です。

確実に言えることは短編集には「大好きが虫はタダシくんの」が収録されるってこと。
これに前回の「あつい冬」もついてくる。
うわあぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。

そんな「空が灰色だから」は「週刊少年チャンピオン」に連載中の漫画。
読むと心がざわついて何処となく落ち着かなくなる作風。

この間から何となく感じていたのですが、本作は星新一先生の作品以外に、過去に「週刊少年チャンピオン」にて連載されていた倉島圭先生「24のひとみ」にテイストが似ていますね。
従来の枠に囚われない世界観は両者の特徴と言えるでしょう。
その味は、古典部シリーズ『氷菓』のアニメ化で話題の米澤穂信先生の著作『儚い羊たちの祝宴』にも通じるモノがありそうです。

『儚い羊たちの祝宴』(米澤穂信著、新潮社刊)ネタバレ批評(レビュー)

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