ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
すべて新作読切りで、ミステリー傑作集が今年も登場。
一冊で短編集2冊分のおもしろさは保証します!
東野圭吾 湊かなえ 誉田哲也 東川篤哉 笹本稜平 東直己 藤田宜永
門井慶喜 小杉健治 長岡弘樹 深水黎一郎 深町秋生 曽根圭介 若竹七海
ベストセラー作家再び!
(光文社公式HPより)
<感想>
2011年の年末にも出版された『宝石 ザ ミステリー』が今年も発売されました。
2011年の本誌には「姫川玲子シリーズ」の短編『アンダーカヴァー』が掲載。
同様に2012年も「姫川玲子シリーズ」の短編が掲載されました。
その名は『インデックス』。
タイトルの由来は作中でインデックス化されたリストから「皆藤」を抽出したエピソードと思われます。
で、気になるのはこの『インデックス』の時系列が何時か。
なんと、最新長編『ブルーマーダー』よりも後というワケでシリーズ最新のエピソードとなります。
さらに、姫川玲子の去就に関して重要な情報がもたらされていることもあり、ファンにとっては必読の内容となっています。
今泉も登場、さらに井岡も大活躍ですよ!!
映画化された『インビジブルレイン』を鑑賞する前に読むべき作品と言えそうです。
読むべし!!
一方で、映画公開に際しスペシャルドラマも放送決定!!
しかも、2本です!!
その名は「ストロベリーナイト アフター・ザ・インビジブルレイン」&「ストロベリーミッドナイト」!!
こちらも注目!!
・【噂は事実だった】映画公開を控えた「ストロベリーナイト」に2つのスペシャルドラマが存在!!その名は「ストロベリーナイト アフター・ザ・インビジブルレイン」&「ストロベリーミッドナイト」!!
<ネタバレあらすじ>
主犯である木野の逮捕をもって解決した「ブルーマーダー事件」。
・『ブルーマーダー』(誉田哲也著、光文社刊『小説宝石』連載)まとめ
だが、その余波は凄まじかった。
なにしろ、誰がどのようにして殺害されたかどころか正確な被害者の数さえ把握出来ていないのだ。
これは従犯とみられる岩渕や茅場も知り得ていないことであった。
唯一、全体像を知るであろう木野も病床にあり、担当医から事情聴取できる状況ではないと太鼓判を押されるほど。
木野が余命幾許もないことは担当医が語るまでもなく誰の目から見ても明白で、聴取どころか罪を償わせる時間も残されてはいなかった。
たまたま事件解決の為に協力体制をしいていた玲子と勝俣も腐れ縁のライバル同士に戻ることに。
勝俣は別の事件に向かうことになったが、嫌がらせとばかりに玲子に事後処理を残して去って行く。
こうして、玲子は「ブルーマーダー」の被害者を特定することとなった。
被害者として考えられる人物は闇社会の人間ばかり、特定は困難を極めるかと思われた。
溜息を吐く玲子。
そんな玲子の頭を悩ませる案件がもう1つ。
こちらは嬉しさ半分、苦痛半分といったところであったが。
その内容は玲子の本庁捜査一課への復帰である。
ようやく元のポジションに戻れるのだ。
だが、これには条件があった。
当分の間、現状と併任だったのである。
ただでさえ、激務であろう本庁捜査と所轄の特捜班を兼任することは肉体的にも精神的にも苦痛を伴うことが明らかであった。
そんな玲子へ、この処遇を仕組んだ人物から連絡が入る。
その名は今泉。
本庁時代の玲子の上司であり、今は管理官に出世していたその人である。
今泉によれば、玲子に敵対する人物は多く、呼び戻す為には仕方が無かったとのこと。
特に手助けする気はないから戻って来て見せろとのお言葉である。
こうきっぱり言われては従うしかない。
こうして玲子は、この過酷な条件に挑むことになった。
とはいえ、当面は「ブルーマーダー」の被害者特定業務が先だ。
この助っ人にこれまた懐かしい顔が現れた。
井岡である。
相変わらずの井岡節に辟易とする玲子。
こればかりは些かも慣れないようだ。
とりあえず、心強いかどうかは別にして援軍を得て捜査を開始。
勝俣の残した宿題の山は綺麗にインデックス化されていた。
これに目を通した玲子は、50音順で被害者と思しき人物がリストアップされている中で、ただ1人だけこの法則に外れている人物を発見する。
それが皆藤であった。
暴力団組織の組長として名のあった人物らしい。
なんらかの勝俣の意図を感じた玲子は皆藤から捜査をスタートさせる。
こうして、井岡と共に皆藤宅を訪問することに。
応対に現れたのは、皆藤の後妻・留美子とその部下・倉持。
彼らは皆藤が急に姿を消してしまったのは「ブルーマーダー」の所為だと主張。
なんでも、皆藤には別れた先妻との間に娘が1人おり、その娘に会いに行ったまま帰って来なくなったそうだ。
次いで、娘を訪ねたところ皆藤が万歩計をプレゼントされていたことが分かる。
玲子は同じ万歩計を皆藤家で見かけたことを思い出すが……。
さらに、井岡の勘が発揮され皆藤がうつ病にかかっていたことも判明。
「ブルーマーダー」の暗躍により、闇社会が沈静化していたことと併せて玲子はある結論に辿り着く。
再度、皆藤家を訪問する玲子と井岡。
皆藤は「ブルーマーダー」の被害者ではなく、自殺したと断言する。
皆藤は周囲からの組長としての期待に応えられない自身に苦痛を感じていた。
さらに、時代が遷り変わったことや「ブルーマーダー」の暗躍により、思ったように派手に動けなくなった。
このプレッシャーからうつ病にかかった皆藤は発作的に自宅で自殺してしまったのだ。
その証拠に、皆藤が娘からプレゼントされた万歩計は皆藤宅に残されていた。
つまり、皆藤は自宅に戻り外に出ていないことになるのだ。
しかも、皆藤が消えたその日、木野は検査の為に病院におりアリバイがあった。
留美子と倉持は皆藤が自殺したとなると、周囲に悪影響を与えると考え隠そうとしていたのである。
この事実を突き付けられた倉持は、井岡を刃物で襲う。
「危ない!!」
咄嗟に叫ぶ玲子だが、井岡は反応が遅れた。
ところが、その手から例の万歩計が転がり落ちて……。
この万歩計を勢いよく踏んだ倉持は体勢を崩し、刃物は標的を逸れた。
其処を玲子に取り押さえられることに。
こうして、皆藤の自殺、倉持の殺人未遂、留美子の死体遺棄などが明らかになった。
ある意味、井岡の活躍の成果なのだが、それには気付かない玲子。
代わりに「皆藤がうつ病にかかったのは強固な理想があり、それを達成できなかったからだ」と「本庁復帰を求めて止まない」自身の理想と重ね合わせて他人事ではないと感想を洩らすのであった―――エンド。
その後の玲子については次の2編で描かれます(2014年9月現在)。
『お裾分け』にて新生・姫川班が結成され、『夢の中、闇の色』ではあの人が戻って来る!!
・『お裾分け』(誉田哲也著、光文社刊『宝石 ザ ミステリー3』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『夢の中、闇の色』(誉田哲也著、光文社刊『小説宝石 2014年9月号』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・単行本版はこちら。
『インデックス』(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
◆「誉田哲也」先生関連過去記事
【姫川玲子シリーズ】
・シリーズ1作目「ストロベリーナイト」はこちら。
「ストロベリーナイト」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ2作目「ソウルケイジ」はこちら。
「ソウルケイジ」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ3作目、短編集「シンメトリー」はこちら。
「シンメトリー」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ4作目「インビジブルレイン」はこちら。
「インビジブルレイン」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズスピンオフ作品「感染遊戯」です。
「感染遊戯」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『アンダーカヴァー(「宝石 ザ ミステリー」掲載)』(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『女の敵』(誉田哲也著、宝島社刊『誉田哲也 All Works』収録)ネタバレ書評(レビュー)
・『ブルーマーダー』(誉田哲也著、光文社刊『小説宝石』連載)まとめ
・『お裾分け』(誉田哲也著、光文社刊『宝石 ザ ミステリー3』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『夢の中、闇の色』(誉田哲也著、光文社刊『小説宝石 2014年9月号』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
【ジウシリーズ】
・『ジウ 1〜3』(誉田哲也著、中央公論新社刊)ネタバレ書評(レビュー)
【その他】
・『ヒトリシズカ』(誉田哲也著、双葉社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『三十九番』(誉田哲也著、双葉社刊『痛み』収録)ネタバレ書評(レビュー)
・『帰省』(誉田哲也著、小学館刊『東と西 2』収録)ネタバレ書評(レビュー)
・『ドルチェ』(誉田哲也著、新潮社刊)ネタバレ書評
【ドラマ版】
・土曜プレミアム ストロベリーナイト「大ベストセラー小説初ドラマ化!!連続猟奇殺人事件のカギを握る感染死体…真相に迫る孤高の女刑事悲しみの過去と驚愕の結末!!」(11月13日)ネタバレ批評(レビュー)
・連続ドラマ「ストロベリーナイト」(フジテレビ系、2012年)まとめ
・土曜プレミアム「ストロベリーナイト〜アフター・ザ・インビジブルレイン〜女子高生転落死から始まる官僚連続殺人!!携帯に残された暗号、顔無き真犯人?絡まる5つの謎と共に解ける真実とは!?本日公開の映画と連動する衝撃のミステリー(アンダーカヴァー、東京、サイレントマーダー/沈黙怨嗟、左だけ見た場合、プロバブリィギルティ/推定有罪)」(2013年1月26日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・金曜プレステージ「特別企画 ドルチェ ストロベリーナイトの誉田哲也傑作原作を初映像化!重体の幼児消えた母親…白骨死体その女は聖母?魔女?嘘つく女VS心を読む女、女の壮絶取調室開幕」(10月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・金曜プレステージ「壮絶!女のミステリー第3弾 強行犯係・魚住久江〜ドルチェ2 夫は判ってくれない…刺した妻!涙の告白の裏に廃工場の変死体と老舗酒造の悲劇!所轄駆ける女の捜査日誌」(11月15日放送)ネタバレ批評(レビュー)
【コミカライズ】
・『ストロベリーナイト―見えない雨―』第1部(第1話から第11話)まとめ(誉田哲也原作、桑村千宏作画、講談社刊『週刊ヤングマガジン』連載)ネタバレ批評(レビュー)
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