ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
すべて新作読切りで、ミステリー傑作集が今年も登場。
一冊で短編集2冊分のおもしろさは保証します!
東野圭吾 湊かなえ 誉田哲也 東川篤哉 笹本稜平 東直己 藤田宜永
門井慶喜 小杉健治 長岡弘樹 深水黎一郎 深町秋生 曽根圭介 若竹七海
ベストセラー作家再び!
(光文社公式HPより)
<感想>
深水黎一郎先生の「大癋見警部の事件簿シリーズ」の「番外編」です。
・『現場の見取り図 大癋見警部の事件簿(ザ・ベストミステリーズ2012収録)』(深水黎一郎著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
きっと、相変わらずの「大癋見警部」の傍若無人ぶりに笑ってしまうことでしょう。
ラストのオチも強烈でキャラがきちんと仕事をしていますね。
アリです。
この作品も、ネタバレあらすじより本作をきちんと読まれた方が良いでしょう。
オススメです。
<ネタバレあらすじ>
会社のティータイム中に水口が服毒死した。
衆人環視の中での死亡であり、毒を投入する余地もなく他殺の可能性は低いかと思われた。
この事件の捜査に“あの”大癋見警部が携わることに。
早速、関係者が集められ、大癋見警部は「この中に嘘吐きが居る」と断言。
つまりは、水口殺害犯がこの中に居ると宣言したと同じである。
だが、大癋見警部が指摘する犯人はすべて理屈に合わない素っ頓狂なものばかり。
社長犯人説、愛人犯人説、元共同経営者犯人説と悉く関係者自身により否定されてしまう。
遂には関係者たち自身が容疑を晴らすべく推理を始めることに。
水口には薀蓄を語る悪い癖があった。
特に紅茶に関しては同じ薀蓄を繰り返していた。
そうだ、それだ!!
社長たちは犯人を指摘する。
指摘された犯人は水口と同期入社の菊間であった。
水口は紅茶を飲む際に、ソーサーにお湯を注いでから飲んでいた。
自ら口にした薀蓄を実践していたのである。
つまり、犯人は事前にソーサーに毒を塗っておいたのだ。
後は水口が薀蓄を実演すれば終わりである。
もちろん、誰の手にどのソーサーが渡るかは分からない。
だが、他の社員はこんなことをしない。
いつか、毒の塗られたソーサーが水口の手に渡るのをじっと待てば良かったのである。
こうして、菊間は逮捕された。
菊間は「あいつの薀蓄には飽き飽きしていたんだ。都合、500回以上も同じことを聞かされて」とぼやきながら連行されて行った。
さて、事件は無事解決。
ところが、大癋見警部は不満顔。
何故なら、「この中に嘘吐きが居る」と断言した大癋見警部。
その「嘘吐き」とは「犯人を分かっても居ないし、嘘吐きが居るかどうかも理解していないにも関わらず、嘘吐きが居ると断言した大癋見警部自身であった」とのネタを最後の最後にやり損ねたことに関する不満であった―――エンド。
◆関連過去記事
・『現場の見取り図 大癋見警部の事件簿(ザ・ベストミステリーズ2012収録)』(深水黎一郎著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『人間の尊厳と八〇〇メートル(ザ・ベストミステリーズ2011収録)』(深水黎一郎著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『完全犯罪あるいは善人の見えない牙』(深水黎一郎著、東京創元社刊『人間の尊厳と八〇〇メートル』収録)ネタバレ書評(レビュー)
・『特別警戒態勢』(深水黎一郎著、東京創元社刊『人間の尊厳と八〇〇メートル』収録)ネタバレ書評(レビュー)
・『蜜月旅行 LUNE DE MIEL』(深水黎一郎著、東京創元社刊『人間の尊厳と八〇〇メートル』収録)ネタバレ書評(レビュー)
・『五声のリチェルカーレ』(深水黎一郎著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)
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