日本で100番目に早い(たぶん)、「相棒season11(eleven)」第11話「アリス」(1月1日放送)ネタバレ批評(レビュー)。
<ネタバレあらすじ>
今から57年前の1955年12月24日、クリスマスイブ。
東京郊外、早蕨(さわらび)村にある小規模だが贅を尽くした美しいホテルのロビー。
其処に、2人の少女が元気に姿を現した。
宿泊客で橘元子爵の令嬢・瑠璃子(広瀬アリス)とホテルのオーナー、二百郷(におごう)洋蔵(伊藤聡)の娘・朋子(上間美緒)である。
2人はポーターに見送られると、森の中へと散策に出かけていく。
しかし、その最中、瑠璃子は突如として姿を消し、朋子は一人森の中に取り残されてしまった。
瑠璃子は一体どこへ消えてしまったのか?
時は過ぎ、2012年12月24日。
ロンドンのある邸宅。
75歳になった朋子(酒井和歌子)が息を引き取った。
傍らには弁護士の石川(遠藤たつお)がその最期を見守るのであった。
同じ頃、日本は特命係。
暇を持て余す右京(水谷豊)と甲斐(成宮寛貴)の前に大石婦警が荷物を届けにやって来る。
宛名は「特命係 米沢守」。
自宅を留守がちな米沢が私物を受け取る為に「特命係」を利用したらしい。
ほくほく顔で受け取りに現れた米沢とは対照的に、眉を顰める甲斐。
米沢はそんな甲斐の表情にも気付かず「永沢元子爵の備忘録が見つかったそうですよ。凄いですねぇ」と自分の世界に浸っている。
と、朋子の臨終に立ち合った弁護士の石川から右京へ連絡が入る。
実は朋子と右京は旧知の仲であった。
朋子は死の直前、「ヒナギクじゃなかった。茜(波瑠)が危ない。あの子を助けて」という謎の言葉を残していたらしい。
茜は朋子にとって姪にあたる存在。
茜は両親を亡くしてから二百郷家の当主として旧早蕨村にある二百郷家の屋敷で生活しているそうだ。
茜とは一面識もない右京だが、石川の連絡を受けて、さっそく茜が住む二百郷家の屋敷へ甲斐と共に向かうことに。
到着してみると、二百郷家では事件が起こっていた。
飼い犬のタロウが殺害された挙句、何者かが物色した形跡があったのである。
被害に遭ったのは8万円ほどの現金、空き巣と思われた。
家人が留守にした2時間ほどの隙を突かれたらしい。
タロウは改造スタンガンで殺害。
さらに、家人の僅かな隙を突いての犯行に右京は「空き巣ではなく別の目的がある」と判断する。
茜は早くに両親を失い、使用人の久三・佳代夫妻と生活しているようだが……。
久三は右京と甲斐に泊まり込んでくれないかと頼み込む。
これに対し、右京たちは望むところと応じるが……。
右京と朋子は10年ほど前、右京が休暇でロンドンを訪れた際に知り合った。
朋子は右京を見るや、その場に倒れ込んでしまったと言う。
見かねた右京は朋子を救い、そのまま食事を共にした。
朋子によれば、右京を見てある人物を思い出したことがショックだったらしい。
ある人物とは、朋子が女学生時代に憧れを抱いた人物だそうだ。
だが、朋子自身が、おそろしい事件の為にその人物のことを覚えていないらしい。
朋子の弁護士・石川が右京の大学の後輩であることも手伝って、以来、右京と朋子は交際を続けて来たそうだ。
散歩をする右京と甲斐。
其処へ、さわらび郷土資料館の菅井が声をかける。
菅井から焼失した「早蕨ホテル」について聞く右京たち。
ホテルは、朋子の父で茜の祖父である「二百郷洋蔵」が経営していた。
朋子と茜の関係は叔母と姪とはいえ、余り深い物ではないようだが……。
その夜、二百郷家に戻った右京たち。
其処へ、ライターの遠野博明が訪ねて来る。
遠野は神隠しについて調べているらしい。
此処で過去の橘瑠璃子の失踪について聞かされる右京たち。
その日、ポーターに見送られ朋子と瑠璃子は2人で出かけたが、朋子を残し瑠璃子は消えた。
ところが、瑠璃子が失踪した日は彼女を探すどころではなかった。
同日夜に、「早蕨ホテル」が火事で焼失してしまったのだ。
2階に居たらしい朋子は怪我を負いながら救出されたが、朋子の両親である洋蔵らは焼死。
朋子にとって痛ましい事件が立て続けに起こったことになる。
久三は「朋子様はご両親とご親友を一度に亡くされた」と感想を口にする。
石川からの情報で、57年前のホテル焼失について、亡くなる数日前の朋子を訪ねた人物が居たことが判明。
その人物と出会ったことで朋子は何かを思い出したのだろうか?
一方、早蕨ホテルの宿泊者名簿を入手した右京はそれを手掛かりに事件に挑む。
同じ頃、少し離れた草むらの中に一台のバンが停まっていた。
中には数人の屈強な男性。
彼らが聞くのは、屋内の右京と甲斐の声―――盗聴である。
そして、そんな彼らから東京で報告を受ける人物こそ、甲斐峰秋であった。
「面倒なことになったな……」と洩らす峰秋。
それから数時間後。
「年明けにするか……」呟き席を立った初老の人物。
ところが、その前に人影が……悲鳴と怒号、それに続く沈黙。
これが意味するところは……初老の人物の絶命であった。
翌朝、右京は二百郷家の空き巣事件について地元住民に聞き込みを始める。
ところが、二百郷家は地元民から「泥棒の家」と呼ばれていた。
同時刻、1人取り残された甲斐は右京のメモで「茜から目を離さないように」と指示を受けていた。
其処へ米沢から犬殺害の凶器について連絡が。
なんでも、特殊な棒状のスタンガンが使用されたそうだ。
それは出店の人間が使う物らしい。
出店―――それは公安の実働部隊を指していた。
不安に駆られる甲斐だが、その予感は的中。
茜が何者かに襲われる事態が発生する。
調べを終えた右京も合流。
右京は朋子が茜に何かを渡していなかったか尋ねる。
結果、あるスクラップブックを預かっていたことが判明。
スクラップブックは瑠璃子の物であった。
内容は英国式のスクラップブック。
良家の子女にとって手紙は脅迫のネタになりかねず危険なもの。
其処で、日記ではなくスクラップブックという形で記録を残したのだそうだ。
右京はスクラップブックにかかり切り。
疎外感を抱いた甲斐は郷土史資料館へ茜と共に出かけることに。
菅井から情報を入手する甲斐。
早蕨ホテルの焼失事件では、二百郷夫妻以外にもう1人犠牲者があったらしい。
犠牲者は中林秀夫を名乗っていたが、偽名であった。
中林が事件に関係している可能性を考える甲斐だが、その背後に近付く影が……。
「うわっ!!」驚く甲斐。
影の正体は右京であった。
右京は「早蕨ホテル」に事件の鍵があると甲斐に語る。
宿泊客の名簿の中から「永沢成親」の名前を見つけたらしい。
米沢が語っていたあの備忘録が発見された永沢子爵である。
永沢の備忘録にヒントが隠されているかもしれない。
こうして、永沢の備忘録を捜すことに。
ちなみに永沢の備忘録は山岸昭和史記念館に収蔵されているらしい。
早速、向かうことに。
その頃、山岸昭和史記念館は大騒動に見舞われていた。
職員の1人・児島周三郎が殺害され、収蔵品が盗難されたのだ。
児島こそ、あの初老の人物であった。
伊丹たちも出動する中、被害者の同僚によれば、後藤陸軍大臣の手紙などと共に永沢元子爵の備忘録も盗まれたらしい。
館長の吉川が閲覧記録簿を提出。
盗難品と閲覧記録を突き合わすことで容疑者を絞り込もうとする伊丹たちだが、閲覧記録簿を確認し驚愕することに。
其処には「警察庁」の名があったのだ。
右京たちも登場。
右京は永沢元子爵の備忘録が盗難されたと知り、肩を落とす。
ところが、吉川によれば電子データ化されたものが残されていると言う。
永沢の備忘録の内容は次のようなものであった。
フロントで列車の時刻を確かめた永沢。
其処で、法務省の国枝らしき人物を見かけた。
ところが、フロントに確認すると中林秀夫という弁護士だと言う。
世の中には似た人が居るものだと感心したそうだ。
その後、ポーターの傍に立っていた知り合いの朋子嬢と瑠璃子嬢が見送りしてくれた。
この際に「宝物について見つかったかどうか」瑠璃子に尋ねると、瑠璃子は「見つかった」と応じていた。
この瑠璃子の態度に気を良くした永沢はそのままホテルを去ったのだそうだ。
特に重大な内容では無いようだが……。
右京は中林秀夫に注目する。
中林は焼死した偽名の人物である。
右京は、中林が偽名である以上、その正体が「国枝文書」を記した国枝文隆だと推理。
国枝は新警察法の成立に連絡役として密接に関わっていたらしい。
この暗躍について克明に記された物が「国枝文書」と呼ばれる一連の記録。
表沙汰になれば、威信が揺らぎかねない代物であった。
しかし、国枝は消息不明となっており「国枝文書」は噂に過ぎないとされていたが……。
しかも、国枝と二百郷洋蔵が学友であったことも判明。
二百郷洋蔵h学友である国枝を匿っていた可能性がある。
出店の存在、児島の死、国枝文書……明らかに何者かの意志が働いている。
右京と甲斐は「永沢元子爵の備忘録」をコピーすると、茜を連れて夕食を共にすることに。
夕食を終え、甲斐を残し茜と先に店を出る右京。
ところが、其処を何者かに襲撃される。
だが、何時の間にか茜は大石に入替っていた。
その隙に、甲斐は悦子と連れ立ち茜を逃がすのであった。
一方、伊丹たちも捜査が行き詰っていた。
警察庁の何者かが関与しているのは間違いない。
だが、其処から先に一歩も進めないのだ。
その頃、峰秋とその部下たちは善後策について練っていた。
「国枝文書が公開されたら、さまざまな謀略が明らかになってしまう……」
「なんとしても、阻止せねば……」
「彼らは早蕨に戻る筈だ、一刻も早く文書を手に入れ破棄することだ」
閲覧履歴の警察庁は彼らであった。
数時間後、花の里。
危機を脱し、一息つく右京たち。
ところが、大石が携帯電話を取るべく、車に戻ったところをスタンガンで襲われてしまう。
大石はそのまま入院することに。
襲撃犯は大石と茜を間違って襲ったのだ。
このことから、右京は大石と茜が入替っていることを知らない―――出店以外の存在を嗅ぎ取る。
右京は茜に「二百郷家が泥棒の家と呼ばれた理由」を尋ねる。
「早蕨ホテル」の焼失事件後、二百郷家に多くの華族が現れ「泥棒!!」と責め立てたのだそうだ。
戦後、財産税により華族から最大90%近くの財産を税金として没収されていた。
これこそが、華族没落の理由であった。
ところが、早蕨ホテルの利用客は誰1人没落することなくホテルを利用し続けたのだ。
洋蔵と華族の間で何か密約が交わされていたとしたら。
密かに旧華族からなる「清水会」を訪問していた右京。
なんでも、7、8年前に右京と同じことを調べた若い女性が居たらしい。
これこそ、茜であった。
茜は二百郷家が地元で「泥棒」呼ばわりされたことに傷付き、調査を始めた。
当時、生存していた茜の父によれば「二百郷洋蔵は華族の財産隠しに協力していた疑いがあった」らしい。
どうやら、秘密の隠し場所があり、其処に財産などが収蔵されていたそうだ。
秘密の隠し場所には「国枝文書」も隠されいてるのかもしれない。
朋子が予期した茜の危険は「秘密の隠し場所」に関連することだったのだ。
茜は朋子から聞いた瑠璃子についての物語を右京に伝える。
瑠璃子は気丈な人間で、金よりも信念を重んじていたらしい。
それでいて、柔和な性格だったそうだ。
ところが、火事になった年に限っては瑠璃子の様子が違っていた。
瑠璃子は「宝探し」と称して、ホテル中を調べていた。
そして、あの失踪事件の前日、何かに気付いたらしく真っ青な顔をしていたと言う。
ホテルの屋根裏部屋を調べていた……と朋子には告げたそうだが。
その夜、瑠璃子はその両親と何事かで衝突していた。
ここから、永沢の備忘録に繋がる。
瑠璃子は宝物が見つかったと述べていた。
永沢と瑠璃子の遣り取りを見ていた朋子は瑠璃子に「宝物って何?」と尋ねた。
瑠璃子は「朋子と過ごした子供の時間だ」と答えたそうだ。
その夜、ルポライターの遠野がニヤついていた。
その手にはスタンガンが……。
ところが、遠野が風呂へと向かった隙に、その部屋に何者かが侵入する。
何者かは、遠野の背広に盗聴器を仕掛ける。
翌日、右京は角田に依頼し人員を警備の為に配置して貰っていた。
茜は「洋蔵が預かった華族の財産を私的に流用していた事実など存在しないことを証明して欲しい」と右京に申し出る。
同じ頃、甲斐は峰秋から「国枝文書を破棄する」よう命令されていた。
反発する甲斐は、伊丹たちを通じて内村たちを動かす。
こうして、峰秋は内村たちと牽制し合うように。
一方、当時の資料を当たった右京。
23日の午後、郵便配達夫が村道をホテルに戻る瑠璃子の姿を目撃したと証言していたことを突き止める。
同じ郵便配達夫によれば、その直後に二百郷洋蔵ともすれ違っていた。
その日、瑠璃子はホテルの屋根裏部屋を調べたと朋子には告げていたが嘘だったのだ。
これから、瑠璃子が洋蔵の後を尾行し、隠し場所の在処を突き止めたと推理する。
瑠璃子が両親と衝突したのは、隠し財産という不正に気付いたからであろう。
当然、これには永沢たちも関与していたのであろう。
永沢子爵の備忘録の本当の意味は「瑠璃子が華族として永沢たちの不正に納得した」ことを示していた。
瑠璃子は23日のスクラップブックに秘密の隠し場所について記載した筈だ。
早速、調べてみる右京たち。
其処には「動物と人間がお茶を飲んでいる絵」と「朋子さんの花との添え書き」が。
絵は「不思議の国のアリス」のお茶会の挿絵。
朋子さんの花とは誕生花である「雛菊」だろうか。
此処で朋子の最期の言葉を思い出した右京。
朋子は死の床で、真実に気付いた。
つまり、花は雛菊では無かったのだ。
ここで茜が、ホテルの客室にあったレターセットに注目する。
「早蕨ホテル」では「闇に咲く花」として「月下美人」を好んで使用していたのである。
そんな中、遠野がまたも二百郷家を訪れる。
矢先、屋内から盗聴器が発見される。
その頃、右京は外出すると、米沢に連絡を入れ「永沢子爵の備忘録」の閲覧者について調べていた。
帝都大学教授・広重和弘などの名が挙がる中、ある名前に注目する右京。
角田課長にある依頼を。
其処へ、盗聴器について告げるべく甲斐も現れる。
同じ頃、二百郷家の家人がバタバタと倒れて行く。
遠野は「佳代の薬草茶が原因だ」と断定すると、警護の人員に病院へと搬送させる。
残されたのは遠野と茜、2人きりだ。
同じ頃、右京が盗聴器を管理するバンを発見。
バンは早蕨ホテルで月下美人が植えられていた庭に停められていた。
どうやら、盗聴結果かた此処へ辿り着いたらしい。
だが、右京は其処には隠し場所などないと断言。
月下美人が咲くのは夏だ。
だが、お茶会は3月だ。
そして、瑠璃子が秘密の隠し場所に気付いたのは12月。
つまり、実際の月下美人は関係ないのだ。
「テーブルの上、ティーカップだらけじゃないですか。少しは洗えばいいのに」と挿絵を目にした甲斐がぼやく。
「それだ!!」右京は遂に真実に辿り着く。
同時に角田からある調査結果について連絡が入る。
これを見た右京と甲斐は驚く。
その頃、早蕨村に伊丹たちが現れた。
出店について調べているらしい。
慌てて、二百郷家に戻った右京と甲斐。
その前に、茜を人質にした遠野が姿を現す。
遠野は右京と甲斐に手錠をかけると、秘密の隠し場所について謎解きを求める。
お茶会は時が止まったまま。
つまり、二百郷家にある「永遠に6時で止まっている柱時計」こそがポイントであった。
その9時の文字盤に月下美人のマークが刻まれていた。
そして、「やみにさくはな」つまり「8323987」と針を動かす。
要は金庫の数字錠と同じだ。
すると、床下に大きな穴が。
其処には地下へと続く階段が!!
右京と甲斐を連れ、階段を下りると大きな地下室が。
其処には財宝が入っていると思しき、箱の山があった。
これこそ、秘密の隠し場所だ!!
此処で遠野の正体について触れる右京。
遠野は永沢元子爵の子孫であった。
出店以外の存在を知った右京は旧華族の子孫の可能性に思い至った。
右京は閲覧履歴の利用者から「永沢公彦」の名前に注目、角田に依頼し「永沢公彦」の顔写真を手に入れていたのだ。
そして、遠野の正体に気付いた。
ロンドンの朋子を訪ねたのも公彦であった。
朋子からスクラップブックに目を着けた公彦は、遠野を名乗り茜に近付いた。
ところが、肝心の謎が解けない。
そうこうしているうちに、二百郷家で盗難事件が起こった。
焦ったところに、右京たちがやって来た。
さらに焦ったところに、昭和史記年館に右京たちの目が向いた。
このままでは、正体が露見すると考えた公彦は記念館に侵入し、備忘録を盗み出そうとするが、この際に児島を殺害してしまったのだ。
「自分の物を取り戻して何が悪い!!」と叫ぶ公彦。
「はははははははは」
と、突然に右京は笑い始める。
右京は箱の中身が無くなっている可能性を示唆。
これを真に受けた公彦は、そちらに注意が逸れて……。
その隙を見逃す甲斐では無かった。
こうして、永沢公彦が取り押さえられた。
「財産税がかかったのは、あなたたちだけでは無かった筈です!!」
右京の一喝で、公彦は押し黙るのであった。
と、その目に国枝文書が飛び込んで来る。
ところが、其処へ出店のメンバーが押し寄せる。
遠野の背広に盗聴器を仕掛けたのは彼らだったのだ。
銃を手にした彼らに抵抗する甲斐だが、容赦なく銃口が向けられる。
狙い違わず甲斐の胸に突き付けられて……。
相手の本気を察した右京は、咄嗟に照明を破壊し辺りを暗闇に持ち込む。
鳴り響く罵声。
「動くな!!」
其処へ伊丹たちの声が。
出店を追跡し、此処に辿り着いたのだ。
こうして、出店のメンバーは全員検挙された。
肝心の国枝文書だが、水が染み渡りカビが生えていた。
おそらく、復元は不可能だろう。
数日後、右京たちは久三と佳代たちを集め、「瑠璃子の神隠し」と「ホテルの焼失」について謎解きが為された。
永沢元子爵の備忘録、其処には瑠璃子と共にある人物が登場する。
ポーターである。
そして、その正体は久三であった。
郷土資料館の納税記録を調べた結果、戦後の早蕨ホテルは経営難に陥っていた。
ホテルを利用した旧華族たちは、宿泊代金を払い渋るようになった。
その誰もが、財産隠しを行った者たちである。
ポーターであった久三はホテルを救うべく預かった財産を処分し、経営資金に充てるべきだと考えた。
当時、瑠璃子が隠し場所を突き止めたことを察した久三は瑠璃子を問い詰めた。
ところが、瑠璃子は「何も出来はすまい」と久三を侮るように無抵抗であった。
「舐められている」と激怒した久三は、そのまま瑠璃子を死へと追い詰めてしまった。
そして、久三はレンゲ畑にその死体を埋めたのであった。
これについて、右京は「瑠璃子が無抵抗であった理由」について想像を述べる。
事件の前日、瑠璃子は父の不正の上に生活が成り立っていると知った。
その上で、今の生活を捨てることは出来ないと悟ってしまった。
「子供時代の想い出が宝だ」と語っていた瑠璃子。
そんな瑠璃子はそれまでの自分が変わってしまうことを怖れた。
どこかで、自身の死を望んでいたのではなかろうか。
この右京の想像を耳にした久三は誤解を悔い、号泣する。
それにしても、右京は何時、久三の犯行に気付いたのか?
過去の事件を語る際、久三は「朋子様はご両親とご親友を一度に亡くされた」と口にした。
つまり、久三はその日、洋蔵たちが焼死したように瑠璃子も命を落としていたことを知っていたのだ。
これこそが右京に疑念を抱かせたポイントであった。
続いて、ホテルの焼失事件。
ホテルの火事は最上階で発生していた。
だが、朋子は2階に居たとされていたが、火事で怪我をしていた。
つまり、朋子もまた実は最上階に居たのだ。
その前日に「屋根裏部屋を探検した」と語っていた瑠璃子の言葉を信じた朋子。
そして、瑠璃子が姿を消してしまった。
当然、朋子は瑠璃子を探し求める。
失火の原因は、電気の通じていない屋根裏部屋を蝋燭を手に調べていた朋子の過失であった。
ところが、炎に包まれる中、朋子は国枝文隆に救われていた。
国枝は朋子を救い命を落としたのである。
朋子が右京に見た“あの人”とは「国枝文隆」であった。
数日後、逮捕された出店のメンバーの処遇について内村がご満悦であった。
旧華族の隠し財産を狙った賊として処理されることとなり、峰秋に恩を売ることが出来たからだ。
数ヶ月後、茜と右京たちは瑠璃子の墓に参っていた。
久三の証言通りの場所から、瑠璃子の遺体は見つかった。
其処で、茜が瑠璃子の好きだった土地に埋葬したのだ。
一方、久三は時効が成立した後、自らの罪を悔い自殺してしまった。
だが、茜はこの土地で力強く生きて行くことを誓う。
久三の献身は事実であり、それは彼女にとって支えとなる想い出となった。
「どうしてだか、杉下さんには今より前に何処かで会っていたような気がします……」
茜は別れ際にそう呟く。
二百郷家、机の上にはスクラップブックが。
其処には1枚の写真が挟まれている。
写真には右京―――いや、在りし日の国枝の姿が。
それは、瑠璃子と朋子―――2人が「早蕨ホテル」で見かけた彼を本人に気付かれないようこっそりと撮影した物であった。
その写真は宝物であった。
この数日後、朋子と瑠璃子を過酷な運命が襲うのだが、彼女たちはまだその未来を知らない。
ゆえに、少女らしい無邪気さで森の中を駆けて行く―――11話了。
<感想>
シーズン11(eleven)第11話。
さらに1月1日の放送ということで「1」尽くしとなりました。
脚本は昨年の元日スペシャルを「ピエロ」にて飾った太田愛さん。
2年連続元日スペシャルを担当されることに。
では、2013年最初の放送はどうだったのでしょうか。
良かったですね。
サブタイトル「アリス」とは何時までも無垢な少女で居たかった瑠璃子の気持ちを象徴しているのでしょう。
しかし、誰しもが子供のままではいられない。
ゆえに、瑠璃子は間接的に死を選んだ。
それは時を止める呪縛でした。
まさに秘密の隠し場所の時計のように。
久三は罪の意識に囚われた。
朋子もまた両親を失い、国枝に救われた大切な記憶も失った。
二百郷家は盗人の家とありもしない罪の名で呼ばれるように。
その呪縛が国枝生き写しの右京によって、解かれる。
止まった時が動き出すような、秘密の隠し場所の露見とそれに続く推理は素晴らしかった。
茜の覚悟も良かったですね。
ただ、久三が自殺を選んだのは切ないことでした。
瑠璃子への誤解が解けたゆえでしょうか。
佳代さんも辛いだろうなぁ。
ちなみに今後の放送予定について入手した情報を。
12話は予告通り伊丹回だそうです。
そして、再来週となる13話タイトルは「バレンタイン計画」とのこと。
久しぶりの陣川君登場です。
甲斐とは初対面ですね、果たして2人の化学反応や如何に!?
さらに、今年も相棒パンが発売中!!
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個人的に瑠璃子さんは自ら後座すりして自殺したように思いました。
彼女のなかの大人と子供がせめぎあい、一瞬子供に戻ったのではないでしょうか?
あと久三さんの自殺はあれは相棒らしくないオチで残念でした。
事件がすべて終わったあと静かに自然死されたとか
違うまとめ方でもよかったのになぁ・・・と。
「月下美人」の謎解き部分を見逃していたので助かりました。
言葉と数字の鍵。からくり製作を好んだ洋蔵という伏線がここで出てくるのですね。
私は瑠璃子は投身自殺だと思いました。
久三が前に出た瞬間後ろに倒れて行っているので。
彼の姿に、右京のいったことと「施される側」の姿=本来あるべき自分の立場をみたのでしょうか。
誇り高く死を選んだ。そんな気がしました。
良い作品だったと思います。
管理人の“俺”です(^O^)/!!
Re:APさん
瑠璃子については自殺ですね。
自ら川面に倒れ込んで行ったので。
ただし、その契機となったのが久三との遭遇だったのは示唆に富んでいるかもしれません。
そう言った意味で、間接的な自殺であり、久三による他殺とも言えるかも。
瑠璃子については、「現実」と「理想」とがせめぎ合って、あの結末になったとも言えるかもしれませんね。
確かに、久三の自殺は些か急だったかもしれません。
久三も凍り付いた時から解放されたことを表現する為の方法だったかもしれませんね。
Re:ふるさわさん
ネタバレあらすじには記載していませんが、洋蔵のからくり趣味がああいった形で伏線として活かされていたのは良かったですね。
なるほど「華族としての誇り」、あるいは「人としての誇り」ですね。
「華族としての誇り」だとすれば、瑠璃子こそもっとも「華族らしく」それゆえに「華族としての誇りに殉じた」とも言えそうです。
いつもの群集とかがいるスペシャルではなく
地味なお話だったですね。Mr.ラムネもいなかったし、暇課長や伊丹んの存在感が薄れた
今シリーズはいまひとつ私の中では盛り上がりません。真飛さんもキャラが目立つタイプではなく、美和子のほうが面白かったです。
いろんな意味で「相棒」は変貌した、後追いもいいとこですが、過去作を見直してそう思っているのです。
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
相棒パン入手おめでとうございます!!
お味は如何でしたか?
管理人的には「ちょっと濃いかな」とか思います。
でも、その濃さこそが病みつきになりそうだったり……。
その点、「アリス」は淡々とした爽やかな物語でしたね。
一幅の水彩画のような印象です。
確かに、初期と最近ではテイストが異なっている感じはありますね。
個人的には今の路線もいいけど、過去の重厚な路線も好きです。
この作品テイストの幅の広さも「相棒」の魅力なのかも。
相棒ごと、シーズンごとに別のカラーを出すことで懐を広げ、後ほど振り返ったときに、さまざまな物語が存在し、其処から好きな作品を選べればベストかなと思って視聴してます(^O^)/!!
きょう、近畿エリアで再放送していました。
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
本作「アリス」は元日スペシャルに相応しい大作でした。
それだけに、初見では大きな驚きを。
2回目以降の視聴では、より理解が深まり新たな発見に繋がるに違いありません。
まさに再放送の意義に沿う作品と言えるのかもしれませんね。
その意義を果たすにあたって、この記事をお役立て頂ければ嬉しいです(^O^)/!!