<あらすじ>
待ち合わせの時間には秒単位まで正確、手帳に書き込むスケジュールは分刻みと潔癖すぎる性格の東京地検検事・矢場健(舘ひろし)。周囲からは、「ヤバケン」と呼ばれ疎まれているが、検事としての仕事ぶりは超一流で、他人が何と言おうと、自身の信念を曲げずに一つの真実を徹底的に究明する男。
今回、矢場が担当するのは、胡桃沢律子(櫻井淳子)がチンピラ風の男・野崎修二(鈴木亮介)を殴って殺したと自首した殺人事件。胡桃沢は、名門女子高校に勤める教師で、生徒や保護者からの人望も厚く、毎夜繁華街で「見回り先生」としてパトロールをするなど社会貢献もしている人物。
矢場は、事務官の大隈進一郎(河相我聞)と共に、胡桃沢の取り調べを始める。被害者の野崎は半年前まで胡桃沢が勤務する女子高校の学食で働いていたが、女子生徒に対するストーカー行為を行い解雇されていた。生活指導担当だった胡桃沢は、彼の罪を告発し解雇に追い込んだ張本人で、野崎は彼女に恨みを持っていた。事件当夜、野崎と偶然出会ってしまい、近くの工事現場に連れ込まれ、彼から暴力を振るわれた結果、転倒し近くにあった鉄パイプを手にして反撃をしたと話す胡桃沢。
胡桃沢は自首をしており、全面的に犯行を認めているため、簡単に片付くと思われた案件であったが、矢場の下した結論は、10日間の勾留延長であった。状況証拠もそろっており、犯行を裏付ける物証もあり、被疑者が犯行を認めている簡単な案件に、矢場が抱いた疑問とは?事件の真相を究明するために、徹底的な調査を行った矢場が、見つけ出した真実とは一体?
(金曜プレステージ公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)。
矢場のもとに「見回り先生」として知られる明瞭女子学園の胡桃沢教諭が野崎修二殺害の罪で送検されて来た。
胡桃沢は幼児期に児童福祉施設を転々として育ったという苦労人。
本人も罪を認めていたが……。
取り調べを始めた矢場は、胡桃沢の「殺意がなかった」との供述に目を止める。
野崎は鉄パイプに加え、コンクリート片で止めを刺されており、明らかに殺意が認められたのだ。
さらに、几帳面な胡桃沢が犯行後1時間も手を血で汚したままと言うのは考えづらい。
胡桃沢の供述に不審を抱いた矢場は犯行現場を調査することに。
すると、鉄パイプとコンクリート片、野崎の死体の位置関係が離れ過ぎていることに気付く。
しかも、胡桃沢を知る森岡勝巡査によれば、あの日に限って胡桃沢は見回りのルートを変更していたようだ。
森岡巡査に教えられた見回りルートを辿った矢場は胡桃沢が若葉町にあるカフェに毎日定時に訪れていたことに注目。
彼女がカフェから何かを確認していたと推測する。
その前には自動車修理工場が見えた。
しかも、被害者である野崎が最近になって金回りが良くなっていたことも判明。
さらに、犯行当日に現場から明瞭女子学園の生徒が逃げ出したとの情報を入手する。
逃げた生徒は右足に怪我をしていたそうだ。
矢場にとって疑問がどんどん増えて行くが……。
明瞭女子学園を訪ねた矢場。
教頭の如月、学年主任の小早川は矢場を激しく警戒。
そんな中、胡桃沢が受け持つクラスの副担任・石橋は「胡桃沢を信じている、あなたの味方だと伝えてくれ」と繰り返す。
右足の怪我を手掛かりに、逃げた女子生徒と思われる立川里奈を突き止めた矢場。
里奈は何故か“マウス”とあだ名されていた。
高名な教育評論家・立川吾郎の娘だそうだが……里奈の胸元に痣があることに気付く矢場。
しかも、何故か図書館に所蔵された胡桃沢の著作には赤ペンでバツ印が……。
胡桃沢が出勤ルートを遠まわりしていたことも判明。
遠まわりのルートを探ると、若葉町の自動車修理工場から運ばれた物と思われる鉄材が見つかる。
それは天野清美という廃品回収業者の女性が運んだものであった。
夫は交通事故で入院しているらしい。
さらに、天野宅を立川里奈が見張っていたことも判明。
胡桃沢が定時にカフェを訪れていたのは、廃品回収にやって来る天野清美を見ていたようだ。
立川里奈に接触しようとする矢場を妨害する石橋。
矢場は石橋が何らかの目的を持って行動していると看破する。
立川家を訪ねる矢場だが、吾郎は里奈を庇う。
どうやら、吾郎と里奈は義理の親娘らしい。
吾郎はイメージアップの為だけに、里奈を養女として引き取ったようだ。
里奈がマウスと呼ばれていたのは吾郎の教育理論の実験台とされていたからだったのだ。
さらに、胸の痣から虐待まで疑われるが……。
天野清美の評判はかなり悪い。
夫の天野武敏も怠け者で妻に仕事を任せ遊び呆けていた。
ところが、数ヶ月前に交通事故に遭い入院中らしい。
矢先、里奈が姿を消してしまう。
これを知った矢場は里奈を捜し、保護することに。
矢場のマイペースな姿に癒された里奈は心を打ち明ける。
里奈にとって、信頼できる人物は胡桃沢だけであった。
野崎のストーカー事件について真実を明かす里奈。
被害生徒は石橋と交際しており、その事実により脅迫されていたのだ。
だが、石橋は一切これに対処せず、被害生徒は胡桃沢に相談を持ちかけた。
そこで胡桃沢は被害生徒の将来を慮り、ストーカー事件に偽装したのだ。
胡桃沢の著作にバツ印を入れたのも、里奈であった。
最近になって、胡桃沢に急に遠ざけられるようになったのが原因らしい。
胡桃沢の急変を気にかけた里奈は、これを尾行し天野清美に辿り着いたそうだ。
胡桃沢は天野清美を見て泣いていたと言う。
それからも胡桃沢の尾行を続けた里奈、それは犯行当日も続いていた。
尾行していたが一度見失い、再び発見したときには胡桃沢の前で野崎が死んでいたらしい。
そのとき、胡桃沢は何かを隠していたそうだが……。
さらに、野崎が天野清美宅を訪問していたとの事実も判明する。
天野清美宅を訪問した矢場。
だが、清美は何も知らないと突っぱねる。
翌朝、石橋を問い詰める矢場。
矢場は石橋が車を売り払い、その金を野崎に渡したことを追及する。
石橋はこれを認めるが、野崎殺害は否定する。
野崎が天野清美にボランティアを名乗り近付いていたことが明らかになる。
どうやら、天野武敏の交通事故示談金が入ったことを知り、それを目当てに接近していたようだが……。
ふとした拍子に、天野清美が折鶴を子供に渡す姿を目撃する矢場。
かなり特徴的な物だが……。
次いで、天野武敏を病院に訪ねた矢場。
看護師によれば、よく野崎も訪ねて来ていたらしい。
「時計」や「幸福を招く金のトロフィー」などを土産に持って来ていたそうだ。
いずれも石橋が野崎に取り上げられたもののようだ。
さらに、40代の女性も見舞いに来ていたらしい。
その見舞客が残したとされる折鶴を目にした矢場は驚く。
それは清美の折鶴と同じであった。
天野清美の過去を調べ始めた矢場。
清美は過去に児童福祉施設を営んでいたが、失火が原因ですべてを失っていた。
失火の理由は清美の過失とされていたが……。
矢場は河ざらいを指示。
一方で、清美から胡桃沢についての真実を聞く。
再度、現場検証を行う矢場。
其処には胡桃沢の姿も。
河ざらいの結果、トロフィーが発見されたことを告げると胡桃沢の顔色が変わる。
トロフィーは胡桃沢が捨てた物であった。
さらに矢場は、数十年前に起こった児童福祉施設の失火事件について語る。
胡桃沢は清美の施設で一時期引き取られていたことがあった。
胡桃沢は清美を慕っていたが、嘘を吐いたことを叱られ恨むようになっていた。
そこで、別の子供が起こした失火の責任を清美に押し付けたのだ。
以降、清美はすべてを失ってしまう。
胡桃沢は親切な里親に育てられることに。
だが、清美への後悔の念が残り続けた。
数十年後、胡桃沢は清美と再会する。
だが、清美は胡桃沢を恨みこれを拒否した。
尚更、罪の意識を深めた胡桃沢は清美を陰ながら見守ることに。
そして、野崎が清美に近付いていることを知った。
野崎は「時計」と「トロフィー」で武敏の信頼を勝ち取ると、金を勝手に奪い去った。
これに清美は怒り狂った。
清美は野崎を問い詰めたが、野崎は「うるせえなぁ、殺しちまうぞ」と脅しつけて来た。
この言葉にさらに怒りを募らせた清美は野崎を手にしたトロフィーで殺害してしまう。
トロフィーを忘れ、その場を逃げ去る清美。
現場に辿り着いた胡桃沢は何が起こったのか察した。
トロフィーの形状は特徴的ですぐに凶器が分かってしまう。
そこで、鉄パイプとコンクリート片を用い、野崎の顔を潰したのだ。
そこへ里奈がやって来てしまった。
胡桃沢は過去の自分のように里奈に嘘を吐かせるワケにはいかないと、見たままを口にするよう告げたのであった。
これに対し「それこそ嘘ですよ」と指摘する矢場。
さらに、苛められっ子である里奈が必死に勇気を振り絞り署名活動を行っていたことを知らせる。
しかも、清美も「胡桃沢の嘘は許せなかったが、自身の弱さにも問題があった」と述べていた。
これを受けて、胡桃沢は「あなたに会えて良かった」と矢場に向け泣き崩れるのであった―――エンド。
<感想>
原作なし、オリジナル作品の第2弾です。
前作は2012年2月24日の放送なので、11ヶ月ぶりの新作となりました。
前作については過去記事があるので興味のある方はどうぞ!!
・金曜プレステージ「ヤバい検事 矢場健〜ヤバケンの暴走捜査〜(ヤバい検事!矢場健 超A型&潔癖症…気になる男ヤバケン大暴走依頼人を撲殺!!犯人は女弁護士!?密室に仕組まれた冤罪殺人の罠!追跡“ネオンの死角”シャンパンタワーに秘めた親子愛)」(2月24日放送)ネタバレ批評(レビュー)
では、ドラマの感想を。
前回に比べると伏線の綿密さこそ無くなりましたが、面白さは変わらずでしたね。
不思議な魅力のあるドラマです。
ただ、矢場のキャラクター説明のエピソードに異議ありですね。
それぞれ少しずつ微妙にずれてるような気がするけど、特に吊革。
吊革が全部埋まってて、隣の人が吊革2つ独占していたら、矢場でなくても声をかけてしまう可能性が高いと思う。
あれだったら、他の場所の吊革は空いてるけど、矢場はあくまであの位置に拘って、あの位置の吊革の権利を主張する流れの方がらしい気も。
でもって「他の位置に動けばいいじゃないですか」ぐらいのことを言われつつ「権利は権利だ」とか主張する方が矢場らしいのでは。
その点、特に矢場の個性を表現するエピソードとは言い切れないですね。
それと、胡桃沢の今後が気になりますね。
たぶん、胡桃沢の罪は死体損壊と犯人隠匿と証拠隠滅。
ちなみに、すべて故意犯。
よって、教員免許も没収されるだろうし、父兄の反対もあるから教師は続けられないだろうなぁ。
免許なしだとすると塾講師かフリースクールの教師。
「見回り先生」のキャリアがある胡桃沢だとフリースクールを開校した方が生徒に喜ばれそうだ。
生徒に親身になってくれる先生らしいし適性がありそうだ。
気になるなぁ……。
さて、ドラマ全体としての結論ですが十分に及第点と言えるでしょう。
次回にも是非、期待です!!
2013年1月26日追記:
1日経過して、冷静になってみると少し気にかかる点が出て来ました。
そもそも、何でも几帳面で納得できなければ譲らない性格の筈の矢場が「里奈の虐待について放置」したり「如月や小早川の隠蔽工作を告発しなかった」り「石橋の責任を追及しない」のは不思議な気がする。
どうなっているのだろうか……。
ここらもキャラがブレているような気がする原因なんだよなぁ……。
でも、不思議に面白いのは何故だろう!?
追記終わり
<キャスト>
舘ひろし
原沙知絵
櫻井淳子
河相我聞
○
大空眞弓
○
山田帆風
鈴木亮介
辻本伸太郎
○
矢崎滋 ほか
(公式HPより、順不同、敬称略)
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