ネタバレあります、注意!!
第22話登場人物一覧:
マーニー:主人公にして名探偵。本名は真音(マリオン)。
ロイド(パパ):ロイド探偵事務所所長にしてマーニーの保護者。元刑事らしい(3話)。
エリオット:マーニーの愛猫。
木の崎順也:『悪意の天国』で知られる往年の名監督。その正体は誰も知らない。
君津和臣:化粧品メーカーの重役。今回の依頼人。22話にて登場。
日出有吉:???、22話にて登場。
武頼:ロイドの先輩。22話にて登場。
累:白鳥の友人。1話、22話にて登場。
これまでの登場人物については過去記事リンクの後に記載しています。
<ネタバレあらすじ>
レンタルビデオ店を訪れたロイドとマーニー。
マーニーが数本を選ぶ中、ロイドは『悪意の天国』という一本の古い作品に手を出す。
「これはハズレだねぇ」
その夜、レンタルして来た作品を鑑賞していたマーニーは自分の感性に合う作品に出会えずガッカリしていた。
「これ見てもいいか?」
そんなマーニーに静かにオススメを提案するロイド。
もちろん、『悪意の天国』である。
数時間後、其処には感動の涙を流し続けるマーニーの姿があった。
すっかり、作品の虜となったマーニーにロイドは作品のプロフィールについて教える。
30年ほど前の作品で、監督は木ノ崎順也という往年の名監督らしい。
今では、姿を消してしまい幻の監督とされていたが……。
翌日、ロイドのもとへ先輩探偵の武頼から電話が入る。
当の木ノ崎順也監督に関する依頼を紹介したいらしい。
ロイドはマーニーにも調査に参加するか確認してみる。
すると、マーニーには木ノ崎監督に強い興味がある様子。
こうして、ロイドとマーニーの2人で依頼人を訪ねることとなった。
今回の依頼人は子供用化粧品で躍進した化粧品会社の重役・君津和臣。
実は社長に代わり会社を運営する影の立役者と呼ばれる実力者だ。
君津によれば、社長は木ノ崎監督の大ファン。
そんな社長に、最近になって木ノ崎監督が見つかったので新作をお願いしないかとの話が持ち込まれたらしい。
最初は疑っていた社長だが、木ノ崎監督を名乗る男は当時の事情に精通しており、本人以外には知らないことも知っていた。
すっかり信じ込んだ社長は、木ノ崎監督の新作に入れ挙げているのだそうだ。
だが、木ノ崎監督を名乗る男は特に撮影を始めるでもなく、貰った金を使い夜な夜な遊び呆けているらしい。
もしも、ニセモノならば大変なことになる。
そこで、この木ノ崎監督の正体を突き止めて欲しいとの依頼である。
木ノ崎監督に興味を抱いてたマーニーたちは一も二もなく引き受けることに。
早速、撮影所へと出向いたロイドとマーニー。
狙いは当時を知る人物から、木ノ崎監督に関する情報を得ることだ。
と、マーニーはそこで白鳥と親しい累(1話に登場)を見つける。
累はアイドルだったのだ。
例の盗撮事件を解決したマーニーに感謝していると語る累。
そこで、マーニーは累の伝手で情報を調べて貰うことに。
累は古株である所属事務所の社長に木ノ崎監督について尋ねる。
だが、社長の反応は鈍い。
それどころか、「木ノ崎監督では碌な作品は出来ない」と妙なことを口にする。
結局、情報らしい情報は得られないマーニー。
それは、ロイドも同じであった。
木ノ崎監督を名乗る男に記者を名乗って面会したロイド。
だが、男の語る内容は監督として関わってなければ知り得る筈の無い内容であった。
ただ1つ、木ノ崎監督唯一の駄作と評される『もうしません』についてのみは微妙に話を避けるのであった。
手詰まりになったマーニーたちだが、ふと撮影所に侵入しようとするファンを見かけあることを閃く。
その夜、木ノ崎監督を名乗る男に接触するマーニーたち。
「あなたは木ノ崎監督ではありませんね」
ずばり、核心に切り込む。
関係者が知らなくても、熱心なファンならば何か知っているかもしれない。
そう考えたマーニーは、木ノ崎監督を追い続けていたファンを調べ確認を取ったのだ。
本物の木ノ崎監督は既に死亡していた。
現在、木ノ崎監督を名乗る男は日出有吉という木ノ崎組の助監督であった。
日出が『もうしません』についてのみ話が出来なかったのは制作に関わっていなかったからである。
だが、此処から意外な真実が。
実は木ノ崎監督は碌に仕事をしていなかった。
現場にも出ずに、女優に手をだし酒を飲んで遊んでいたのだそうだ。
木ノ崎監督の名で評価された作品は、すべて日出の手による作品であった。
木ノ崎が監督したのは唯一の駄作『もうしません』のみであった。
だから、日出は監督レベルでしか知らないエピソードも語れたし、彼が参加しなかった『もうしません』は駄作になったのだ。
木ノ崎監督は日出を放してくれず、日出名義の作品は制作されることもなかったのだ。
日出は「一度、監督の真似をしてみたかったんです」と呟く。
だが、それは映画に対する裏切りでしかなかった。
それに気付いた日出は「明日からはこれまで通りに真摯に向き合うつもりだ」と述べる。
日出と別れ、帰路に着くマーニーとロイド。
真実を報告すれば、日出は詐欺師とされ処分を受けるだろう。
当然、映画製作も立ち消えになってしまう。
悩むロイドにマーニーは告げる。
「嘘はダメだけど、真実を告げる順番を変えるのはいいよね」と。
木ノ崎監督の真実を先に報告することで、日出の優秀さを伝えようと言うのだ。
もともと依頼人は、日出と同じようにナンバー1に悩まされ続けている君津である。
似たような境遇であれば、同情が生まれる公算は高かった。
「お前も成長したなぁ……」
娘の提案に目を細めるロイド―――エンド。
<感想>
「フランケン・ふらん」で知られる木々津克久先生が、2010年の「ヘレンesp」以来2年ぶりとなる「週刊少年チャンピオン」本誌への連載を開始されました!!
連載作品のタイトルは「名探偵マーニー」。
コミックス1巻も発売中です!!
今回はその第22話「ニセモノ」です。
今回も良かった!!
「ニセモノ」でありながら、実質「ホンモノ」である日出。
「ホンモノ」でありながら、実質「ニセモノ」である木ノ崎。
この諧謔的な顛末は流石、マーニーならではですね。
真摯に映画に向き合い、真の功労者である日出。
それに、君津の境遇を絡めて来るのには驚いた。
アリです!!
君津も事情を理解して、「ホンモノ」の「ホンモノ」である日出に「木ノ崎」ではなく「日出有吉」として映画製作の機会を与えてくれているとイイナぁ……。
そうすれば、日出名義の傑作が生まれるかもしれない。
日出も少しは報われるかも。
「ホンモノ」と「ニセモノ」と言えば、今週の「空が灰色だから」ともテーマ的に連動しているとも言えなくもないですね。
累の再登場も良かった。
1話以来ですね。
そして、累の社長は本物の木ノ崎監督を知っていたからこそ、あの台詞に繋がったんですね。
此処でも伏線が張られていました。
関係者は日出の貢献を知っていたということでしょう。
次回も期待です!!
マーニーと言えば、ヒッチコックの映画『マーニー』を思い起こします。
そして、2013年1月8日に歌手のリリー・アレンさんが第2子を出産されました。
映画にちなんで、そのお子さんの名前がマーニーだそうです。
ちなみに、上にもある通りマーニーのコミックス1巻の発売中。
これでいつでもマーニーの活躍を読むことが出来ます。
興味のある方は本記事下部アマゾンさんリンクよりどうぞ!!
木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。
・木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!
さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。
「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。
衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。
既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。
◆「名探偵マーニー」関連過去記事
・「名探偵マーニー」第1話から20話まで(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)まとめ
・名探偵マーニー」第21話「ラッキーバード」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
◆関連過去記事
・「フランケン・ふらん 最終話(最終回) Dream」ネタバレ批評(レビュー)
・「フランケン・ふらん 59話 BestFriend」ネタバレ批評(レビュー)
・「Phase20」(木々津克久作、「チャンピオンRED 2012年1月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)
・「鋏女(チャンピオンRED 5月号掲載)」ネタバレ批評(レビュー)
・「ヴァンパイア・アナライズ (チャンピオンRED 7月号掲載)」(木々津克久著、秋田書店刊)ネタバレ批評(レビュー)
これまでの登場人物一覧:
【ロイド探偵社】
マーニー:主人公にして名探偵。本名は真音(マリオン)。
ロイド(パパ):ロイド探偵事務所所長にしてマーニーの保護者。元刑事らしい(3話)。
母親:マーニーの母親、不在。事情があるらしい(1話)。
エリオット:マーニーの愛猫。
【学校関係者】
若島津ゆりか:マーニーの友人。4話、5話、9話、10話、14話、16話に登場。
前花:マーニーの友人。
那智先輩:学校のヒーロー。2話、4話、16話で登場。
白鳥:マーニーの先輩、白鳥財閥の令嬢。1話、7話、13話、16話、19話、21話で登場。
累:白鳥の友人。1話、22話にて登場。
香坂:生徒会書記、2年生。7話で登場。
宮島小百合:マーニーの学校に勤務する教師。10話、15話、21話に登場。
鈴村蝶子:カーディガンズの1人。12話で登場。
黒屋明彦:雪彦の双子の兄、社交的。13話に登場。
黒屋雪彦:明彦の双子の弟、内向的。13話、20話に登場。
露島:新聞部部長。自腹でニュースサイトを運営し多大な影響力を持つ。16話に登場。
吉沢:新聞部員の1人。16話に登場。
舞城天:マーニーと同じ学校の生徒。17話に登場。
マキちゃん:本名は真希田、マーニーの級友。
【警察&探偵】
毛利刑事:ロイドの後輩刑事。3話、18話で登場。
武頼:ロイドの先輩。22話にて登場。
【再登場しそうなゲスト】
亜羽:ロイドの過去の依頼人。3話で登場。
片岡:大学生、4話で登場。
村枝紗平:政財界のフィクサー。ロイドによれば「黒い噂」で知られる有名人らしい。8話で登場。
野宮真理:ニュース番組の人気キャスター。9話で登場。
舟木真治:宮島の初恋の相手、10話、21話(名前のみ)に登場。
光輪:往年のヒーロー「ブリット」を演じた俳優。現在では病を患っている。11話で登場。
鈴村都:蝶子の妹。12話で登場。
マックス鞠野:高名なマジシャン。効果を最大限に発揮するマジックがモットー。18話より登場。
真希田流:マキの姉。18話より登場。
玄武:大学生。日本有数のセレブで白鳥の知人。19話より登場。
宝蔵院はるか:大学生。玄武のフィアンセ。玄武同様にセレブ。19話より登場。
市長:マーニーとロイドが暮らす地域の市長。20話より登場。
阿刀孟:世界的に著名なアニメクリエーター。20話より登場。
瀬尾俊幸:阿刀のマネージメントを担当していたスタッフ。20話より登場。
ラッキー:白鳥が保護した「首なし鶏」。21話に登場。
君津和臣:化粧品メーカーの重役。今回の依頼人。22話にて登場。
日出有吉:木ノ崎順也の功績はこの人物の物であった。22話にて登場。
【その他ゲスト】
西郷:那智の親友。2話で登場。
徳吉すばる:亜羽の同僚。3話で登場。
望月楓:ラクロス部のイケメン。6話で登場。
謎の女性:望月の周辺に現れた謎の女性。6話で登場。
亀井:村枝の文通相手。8話で登場。
安崎良則:映画会社の社長。11話で登場。
安崎みどり:良則の娘。故人。11話で登場。
ゆりかの祖父:幽斉の中学時代の同級生、緊急入院してしまう。14話に登場。
河野幽斉:祖父の中学時代の同級生。同窓会の主催者。14話に登場。
幽斉の妻:幽斉とは犬猿の仲。14話に登場。
甲本:宮島の大学時代の同級生、宮島曰く「オタクっぽい人」。15話にて登場。
相葉:宮島の大学時代の後輩、宮島曰く「他人の恋人を寝盗る男」。15話にて登場。
甲本の元恋人:相葉に殺されかけたが……秘密が!?15話にて登場。
天の大叔父:年嵩の紳士然としたドイツ人。17話に登場。
はるかの母:はるかの母。健康志向であった筈だが……。19話より登場。
木ノ崎順也:『悪意の天国』で知られる往年の名監督。その正体は誰も知らない。
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