<29話あらすじ>
〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜〜
エル文化大学に通う女子大生・原田愛理はシャーロッキアン。
同じくシャーロッキアン(ホームズ譚の実在を信じる熱狂的なファン)である車教授と親交を結ぶことに。
ここから愛理の見つけて来た謎に車が挑むとの名コンビが結成された。
やがて、愛理と車教授の間には愛が芽生える。
だが、車は亡き妻を想うばかりに素直になれない。
そんな中、愛理が病気の為に倒れてしまう。
此処に至り、車は愛理への気持ちを告白。
2人は相思相愛の仲になるのであった。
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・「カレーの問題(前編)」はこちら。
「シャーロッキアン!」第28話「カレーの問題」(池田邦彦著、双葉社刊「漫画アクション」連載)ネタバレ批評(レビュー)
愛理が向かった先は―――もちろん、車教授のもとである。
愛理から花丘の話を聞いた車教授は、花丘の夫が『海軍条約文書事件』を引き合いに出したのだと指摘する。
ハドスン夫人がチキンカレーをふるまう描写があるのだ。
だとしても、何故、古い肉なのだろうか?
これについても、車は語る。
当時、イギリスでは毎週土曜日に週単位で給料や家賃の支払いを行っていた。
当然、食材などの買い出しも土日に済ますことが多かった。
ところが、チキンカレーを用意したのは木曜日。
となれば、鮮度の面で不安が残る。
シャーロッキアンの間では「だからこそハドスン夫人はチキンカレーにしたのだ」と定説になっていた。
これを花丘の夫は引用したのだ。
「それにしても……新妻に対してあまりに配慮に欠ける台詞ではないか」と憤る愛理。
これに対して、車は花丘の夫が妻に何らかのメッセージを伝えたいのだろうと推測する。
こうして、車に教えられた愛理が花丘にあるアドバイスを……。
その晩のこと。
花丘宅の近くにある公園で愛理は1人、報告を待っていた。
其処へ車も現れる。
アドバイスしたものの、正しいかどうか気になっているらしい。
一方、花丘宅。
夫の前に並べられたのは、これまでの本格テイストとは違い家庭的な何の変哲もないカレーライス。
恥ずかしそうに「これが私の家のカレーなの」と語る花丘。
夫はこれを聞くや、目を細め「これが食べたかったんだ!!」と大喜び。
外食の多い花丘の夫は家庭の味に飢えていたのだ。
こうして、花丘家の危機は去った。
顛末を電話で聞いた愛理は喜ぶ。
これに車もほっと胸を撫で下ろす。
車は口にする―――「夫婦は他人同士だからこそ、互いが自分を見せ合わなければならない」と。
そして、「夫婦だからこそ、その中で自然と互いに歩み寄って行くのだ」と。
これを聞いた愛理は幸せそうな顔で車の肩に身体を寄せるのであった。
2人は夜の街に消えて行く―――エンド。
<感想>
シャーロッキアンの意外な真実を縦軸に、車教授と愛理の関係を横軸に置いた作品「シャーロッキアン!」が堂々の完結から半年ほどで帰還となりました。
そして、新シーズン第1話は前後編の「カレーの問題」。
今回はその後編です。
やはり、『海軍条約文書事件』でしたね。
そして、花丘の夫の不満もほぼ前編での予測通り。
妻の努力を評価しつつ、素のままの妻、家庭的な味を求めているとの予想でした。
良かったです!!
そして、花丘のコンプレックス解決法ですが、夫婦で語り合うとの直球にしてベストな方法だったのも良し。
ただし、「チキンカレー」は必ずしも好意的な意味ではなかったようですね。
前回批評(レビュー)では「ハドスン夫人の工夫を褒め称えたように、妻の工夫を褒めた」と予測していましたが、これは異なっていました。
花丘の夫、思った以上にダイレクトな人だ……。
ある意味、車教授の意図に沿う人物ではある。
でもって、ある意味、花丘夫妻が代表した男女の関係は車と愛理にも当てはまるんですね。
だから、愛理は必死になったのでしょうか。
それを知っていたからこそ、車も問題解決に協力したとも言えそうです。
久しぶりの「シャーロッキアン!」となりましたが、「そう、これがそうだよ!!」と思い出すような物語の展開に思わず熱くなりました。
やっぱり、いいなぁ。
次回にも期待です!!
ちなみに「ホームズ」と「料理」といえば、「朝日新聞出版」より『シャーロック・ホームズ家の料理読本』という本が文庫化されています。
<あらすじ>
ベーカー街221B。ここで名探偵ホームズとワトソンのため、長年料理の腕をふるってきた下宿の女主人・ハドソン夫人が、引退後、彼らの好きだった料理のレシピと、当時の思い出を語る。二人が好きだったビールのスープ、スコットランド・ヤードの警部たちに出したマコロン・ガトー、ホームズが旅に出るときのお弁当に必ず入れるチーズと玉ねぎのパイ、イギリスならではの臓物料理の数々。『シャーロック・ホームズ』のパスティーシュ小説のようでありながら、ヴィクトリア朝全盛期のロンドンの食文化・風俗の貴重な記録でもあるユニークな一冊。
(公式HPより)
なかなか興味深い一冊と言えそう。
他に面白いところだと、「ホームズ」と「チキン」と言えば、青森には「シャモロック・ホームズ」という「シャーロック・ホームズ」をもじった軍鶏のブランドが存在。
興味のある方は本記事下部にアマゾンさんへのリンクがあるのでどうぞ!!
◆関連過去記事
・1話から27話までのまとめです。
「シャーロッキアン!」(池田邦彦著、双葉社刊「漫画アクション」連載)まとめ
・「シャーロッキアン!」第28話「カレーの問題」(池田邦彦著、双葉社刊「漫画アクション」連載)ネタバレ批評(レビュー)
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