2013年03月04日

「Q.E.D.証明終了 金星(「月刊少年マガジン+(プラス)」2013年5号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス)」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了 金星(「月刊少年マガジン+(プラス)」2013年5号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス)」連載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
燈馬想:言わずと知れた主人公。
水原可奈:言わずと知れたヒロイン。

陽垣:水島殺害事件の担当検事。笹塚とは知り合いのようだが……。
水島:被害者、何者かに殺害された。
火道:水島殺害の容疑者、水島と交際していた。
木目:水島と同じサークルのメンバー。第一発見者。
土屋:水島と同じサークルのメンバー。水島の部屋の向かい側に住む。
金山:水島の隣室の住人、水島とはトラブルを起こしていた。
海王荘の大家:木目、土屋と共に水島の死体を発見した。

笹塚:可奈の父・水原警部の腹心の部下。陽垣とは知人のようだが……。

とある本がある。
内容は「金星が何故、大きく光って見えるか?」について、キャラクターが説明してくれるとのもの。
だが、読者は「ヒーローも登場しないし、面白くない」と投げ捨ててしまう……。

2棟が並んで建っている海王荘。
従って、東棟の玄関からは西棟のベランダ越しに中が覗けるようになっていた。

その東棟2階の住人・土屋を木目が訪ねた。
2人は共に同じサークルの仲間、これから西棟に住むサークルの会長である水島に呼び出されていた。
とはいえ、気が重い。
水島と彼らとは犬猿の仲であった。

土屋が自宅の扉を開けて、木目を招き入れようとしたそのとき、木目が叫んだ。
その視線は土屋宅の対面にある水島の自宅を見詰めている。
木目によれば、水島が誰かに頭を殴られ殺されたらしい。
遅れて土屋がそちらを見遣ると、水島宅の開いたドアが。
そして、手前には頭部こそ見えないが倒れ込んだ水島がらしき姿も見える。

慌てた2人は水島宅に駆け付けることに。
ところが、水島宅の玄関には鍵がかかっている様子でビクともしない。
木目は備え付けの消火器を土屋に手渡し見張りを任せると、大家を呼びに向かう。

数分後、戻って来た木目たち。
大家により鍵が開けられ、「中に犯人が居るかも」と木目に告げられた土屋は思い切り扉を押し開く。
すると、中には誰も居ない―――奥で死体となっていた水島以外には。

こうして事件が発生。
容疑者として、水島の交際相手の女性・火道が逮捕された。
火道のアリバイが不確かであったこと、凶器とみられるバットが火道の所持品から発見されたことが理由である。

動機は金銭トラブル。
火道は実家こそ資産家であったが、女子アナになる夢の為に実家とは没交流になっており、アルバイトで生計を立てていた。
この金を水島に貸していたのである。
ところが、水島はなかなか返済しようとしない。
これに業を煮やしての犯行に違いない―――と思われたが……。

火道の犯行に疑問を抱く人物が居た。
担当である女性検事・陽垣である。

まず、女性の犯行方法としてはバットによる撲殺は体力的に火道には難しいと思われること。
次に、凶器のバットにはシリアルナンバーが施されており、その持ち主の証言から海王荘付近のゴミ捨て場に捨てられていたことが分かったこと。
海王荘は火道の自宅から遠い。
偶然、バットを手に入れるのは考えにくいと思われたのだ。

陽垣は笹塚刑事に相談し、燈馬想に協力を求めることに。
もちろん、想の傍らには可奈も同行している。

この依頼を引き受けた想。
一方、可奈は想に依頼した理由を訊かれた陽垣が頬を染めたのを見逃さなかった。
陽垣は想に気があるに違いない―――そう考えた可奈は陽垣を監視するべく助手を買って出る。

そもそも、木目や土屋の証言通りならば、水島殺害の犯人は海王荘から忽然と姿を消したことになる。
これが可能なのは同じ海王荘の住人しかいない。

そこで、水島の隣人・金山の証言。
金山は水島と隣人トラブルを抱えていた。
仕事に疲れた金山が自宅に戻っても、隣で大騒ぎされるので怒鳴り込んでみれば、火道を連れ込んでいる……ということが多々あったそうだ。
だが、殺してはいないと主張した。

次いで、第一発見者である木目と土屋の証言。
彼らによれば、水島は女ったらし。
サークルを作ったのも、女性と出会う為らしい。
木目と土屋もそれを期待してサークルに加入したが、もてるのは水島ばかり。
嫌気がさして、それ以来は合コンにも参加していないらしい。
にも関わらず、何を思ったのか水島はツイッターなどで木目たちを名指しで非難していたそうだが……。
火道、金山の犯行の可能性について触れるも特に新しい情報は得られなかった。

それから数日後、金山の所持品から水島の血に塗れた衣服が発見される。
金山はコインランドリーで何者かに混ぜられたと訴えるが……。

想は関係者を一同に集め、謎解きを開始する。

犯人は当初、火道に水島殺害の罪を着せるつもりであった。
ところが、陽垣と可奈からシリアルナンバー入りのバットの件を聞き、これが難しいと知った。
同時に、金山の件を聞かされた犯人はスケープゴートを金山に切り替えた。
コインランドリーで金山が外した隙に、証拠となる衣服を洗濯物に紛れ込ませたのだ。

これが出来たのは、木目と土屋の2人である。
だが、2人には水島殺害時にアリバイがある筈だが……。

しかし、このアリバイは犯人により偽装された物であった。
犯人は先に水島を殺害。
玄関付近にあった鏡つきのクローゼットを全開にし、玄関前に重ねた。
その上で、玄関から脱出し鍵を架けた。
その後、土屋宅を訪問すると敢えて水島宅に注目を向けさせる。
このとき、土屋の目に映ったのは鏡の中の光景で扉が開いているように見える。
犯人はそのまま土屋を誘導し、水島の部屋へ。
大家を呼び鍵を開けさせ、この際に土屋にプレッシャーを与え勢いよく扉を開かせた。
勢いよく開かれた扉に押され、クローゼットは閉まる。
後は、犯人が屋内を確認する振りをしつつ、持っている鍵をもとの位置に戻せば終わりである。

つまり……犯人は木目しかいない。

この指摘を受け「土屋にも犯行が可能だ!!」と主張する木目。
だが、「土屋宅からは死角となる水島が後頭部を殴られ殺害された」ことを口にしていたことで罪を認めるのであった。

後日、陽垣の取り調べにて。
「水島は悪い奴だったんだよ。だから、ヒーローが成敗しないといけないでしょ」
木目は悪びれることもなく供述する。

「何故、水島が悪なのか」と問う陽垣に、「女を誑かしていたからだよ」と木目。
「では、助けなければならない筈の女性の火道さんに罪を着せたのは?」
「水島に騙されたから仕方ないんだよ、同じ悪でしょ」
「あのね、火道さんも金山さんも自分で一生懸命生きていて、悪でもなんでもないのよ。そんな人に罪を着せて何とも思わないの?」
これにも特に反応を示さない木目。

木目たちがサークルに加入したにも関わらず、初回しか参加しなかったからと会費を滞納していたこと。
この立替を水島が行っていたこと。
その為に火道に借金していたこと。
その鬱憤がツイッターでの木目たちへの批難に繋がっていたこと。
これらを伝える陽垣だが、やはり木目は反応しない……。

冒頭にて、あの読者が投げ出してしまった本の内容に戻る。
「金星が大きく輝く理由」それは「太陽に一番距離が近い為にその光を反射させていた」為。
特にヒーローも登場しないこの本、投げ捨ててしまったその持ち主の名は「木目」であった。

事件が解決したその夜、可奈は陽垣の姿を見かける。
その隣には笹塚が立っていた。
よく見れば、笹塚と会話を交わす陽垣の頬は赤く染まっている。
ちょうど、想への依頼理由を尋ねられた時のように。
あのとき、陽垣は「笹塚に紹介されて」と口にしていた。
そう、陽垣が頬を染めた理由は想への恋慕ではなく、笹塚への恋慕ゆえだったのだ―――エンド。

<感想>

「月刊少年マガジン+」2013年5号掲載分です。

まさに「人は己の見たいものを見る。よって、見る人により見えるモノが変わる。もちろん、それが真実だとは限らない」との物語でしたね。

「金星についての本」のように「星の成り立ちについて」がテーマだった筈なのに、木目は「ヒーローが出ないのは面白くない」と自身の嗜好を優先し、その本質を理解しようとしませんでした。
これは木目の水島観にも繋がるモノがあり、木目にとって居心地のいい事実を作り上げるとそこから逸脱する事実は認めようとしませんでした。
相手を理解しようとせず、自分本位なヒーローごっこに走ったのもその所為でしょう。

可奈も陽垣を誤解し、想を巡るライバルとして警戒してしまいました。
これも同様。
可奈は想を大切に思うがゆえに、いつ同じように想を大切に思う人間が出て来ても不思議ではないと警戒してた。
それゆえに、陽垣の中にありもしない姿を見出した。

結局、人は自分が見たいように物を見てしまうのかもしれません。

これレビュワーにも言えそう。
「アレが無いから低評価」「コレがあるから高評価」というのも結局は「木目と同じく嗜好を優先させている」に過ぎないのかも。
その作品の本質を理解した上で、的確に批評できればベストなのでしょうね。
これが難しい……。

キャラクター名や建物名が太陽系の惑星から名付けられている点も面白かった。
ここらは遊び心ですね。

ただ、トリック面はやはり厳しいか。
特にクローゼットの鏡を利用したところで、ドアが開いているように見えるかどうかは難しいだろうし。
仮に木目の思惑が上手く行ったとしても「土屋たちが目撃したときに誰も居ないが扉は開いていて、駆け付けたところ扉が閉まってた」となるから、結果として「犯人は一度逃げた後に現場へ戻って扉を閉めて再度逃げ出した」筋書きになってしまう。
そもそも成立しない気も……。

全体的にテーマがなかなか良かっただけに、トリックの粗さが印象に残りました。
次回に期待です!!

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