2013年02月12日

『エリカ 女性秘匿捜査官・原麻希』(吉川英梨著、宝島社刊)

『エリカ 女性秘匿捜査官・原麻希』(吉川英梨著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

ドラマ化で話題の人気警察小説シリーズ!
「子持ち刑事ハラマキがカッコいい!女性も共感できる警察小説の傑作です」(女優・瀬戸朝香さん)

史上最凶の犯罪脚本家、通称“背望会リクルーター”を逮捕するという使命を受けた警視庁捜査一課所属刑事・原麻希。彼女のもとに、河川敷でリクルーターの自殺体があがったとの連絡が入る。他殺を疑い、捜査を進める麻希だが、テロ集団背望会のフォロワーを名乗る「続・背望会」から、囚われのテロリスト・アゲハの釈放を要求する脅迫メールが届き……。『アゲハ』ドラマ化で話題の、人気警察小説シリーズです。

目次

プロローグ
チャプター1 宣戦布告
チャプター2 朝霞市荒川河川敷男性焼死事件
チャプター3 続・背望会アゲハ釈放要求テロ脅迫事件
チャプター4 首都非常事態宣言
チャプター5 製薬会社研究員子息誘拐事件
チャプター6 渡れない橋
エピローグ
(宝島社公式HPより)


<感想>

『女性秘匿捜査官・原麻希』シリーズ長編4作目(短編を含めれば5作目)にして最新作(2013年1月現在)。

シリーズには他に『アゲハ 女性秘匿捜査官・原麻希』、『スワン 女性秘匿捜査官・原麻希』、『マリア 女性秘匿捜査官・原麻希』と短編『18番テーブルの幽霊』(宝島社刊『しあわせなミステリー』収録)が存在する。

さて、本作。

流石にこの展開はないんじゃないのかなぁ……。
前回が新展開への繋ぎとの印象がありましたが、この展開へ繋げる為だったとするとなぁ。

折角、新展開になったと思いきや、前回からの新登場キャラをあっさり退場させてしまうのはなぁ……。
こういうのは数回レギュラーキャラとして活躍させておいて「実は……」としないと意外でもなんでもないし……。
思い入れもまだ芽生えるほどではなく「ああ……」としか感想が。

リクルーターについても「やっぱりなぁ……」としか言えない。

でもって、今回によりラストの幅がかなり狭まった気が……。
リクルーターと麻希については、惹かれつつも相容れないことは決まってるし。
よって、麻希と決着後にリクルーターが死亡することははっきりしてるしなぁ……。
こうなると、考えられる結末は2つ。

1つ、麻希は夫と家族のもとへ戻る。
2つ、夫と別れ独立する。

どちらだろうなぁ……ときどき思い出したように「家族愛」を描いているので1の筈なんだけど。
ただ、本シリーズは各個人が独立しているからなぁ……2になっても不思議ではない。

それと、このシリーズの特徴とも言えるけど、此処まで「実は」「実は」が続くと流石に疲れた。
特に今回はそれが顕著だったような気がする。
楽しむ余裕もあまりない。
展開に翻弄され過ぎて、ぐったりだ。

急展開が続くとは言え、ジェットコースター的展開とも違うし。
なんなんだろう……。

正直、本作についても首を捻る出来で、前作同様にシリーズファン以外は特に読まなくても良いかもしれない。
その分、今度こそ次作に期待。
おそらく次作かその次くらいがシリーズのクライマックスの筈。

ちなみにネタバレあらすじはかなり簡略化してます。
実際はもっと煩雑ですが、大事な点だけを抽出するとこんな感じです。
良ければシリーズに目を通した上で、本作を読んでみて下さい。

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
原麻希:主人公。フルネームで「ハラマキ」と呼ばれることを嫌う。
健太:麻希の義理の息子。パン屋の娘に夢中。
菜月:麻希と則夫の実娘。リクルーターに次代の希望と目されている。
則夫:麻希の夫、実は凄腕。
達也:麻希の元彼氏。リクルーターを追う。
伊達警視正:総理経験者を父に持つエリート。
桜井満:SAT隊員。警視総監の娘婿。
日浦和也:背望会リクルーター。麻希の宿敵。黒子と眼の色素沈着が偽装であると判明した。
日浦弘行:和也の兄弟。
アゲハ:背望会のリーダー。現在は収監されている。

伊達の指導のもと、対リクルーターを目的に特別対策課が設置。
麻希も異動することに。

矢先、当のリクルーターこと日浦和也が死体で発見された。
身元不明の焼死体と、以前に採取したリクルーターのDNAとを比較したところ、同一人物と確認されたのだ。

麻希は宿敵を失ったことで、喪失感を抱いてしまう。

一方、壊滅した筈の背望会が復活。
続背望会として、テロ活動を開始した。
彼らの目的は、旧リーダー・アゲハの解放である。
解放か、徹底抗戦か―――こうして首脳部は頭を悩ませることに。

喪失感を抱え続ける麻希だったが、命を狙われ始める。
どうやら、続背望会の仕業のようだ。
身を守るべく犯人を追うことに。

その最中、SATに所属する桜井満の正体に気付いてしまう。
桜井の正体こそ、死んだとされたリクルーター・日浦和也であった。

DNAを確認したにも関わらず一体どういうことなのか?
日浦和也の過去を追った麻希は和也に兄弟が居ることを突き止める。
その名は日浦弘行―――麻希は彼こそがリクルーターであると断定する。

リクルーターの正体は日浦和也ではなく、日浦弘行だったのだ。
焼死したのは日浦和也だったのである。

さらに日浦兄弟の過去を調べた麻希は伊達が関与していることに気付く。
伊達が弘行のDNAを和也のソレとすり替えたのだ。

伊達は父親の隠し子であり、伊達の父には正妻との間に息子が居た。
本来ならば、その人物が後継者となる筈であった。
ところが、その人物が不審死を遂げていたのである。

もちろん、リクルーターの仕業だ。
実は、伊達は日浦弘行と交換殺人の約束を結んでいた。
伊達は日浦和也を殺すよう依頼されていたのである。

だが、わざわざ手を汚す必要は無い。
伊達は無視を決め込んでいた。
ところが、リクルーターはそれを許す人物ではなかった。

あの日、伊達は和也に襲われた。
其処にリクルーターが現れ、伊達を助けた。
伊達は和也を殺害した。

リクルーターに弱味を握られた伊達はこれを殺害するべく、麻希を煽ることに。
リクルーターと因縁のある麻希に殺害させようとしたのだ。
其処で続背望会を動かし、麻希を狙わせたのである。

麻希は伊達と対決する。
だが、伊達に隙を突かれ殺されそうになる。
危機一髪、飛び込んで来たのは……SATの制服である。
彼により伊達は取り押さえられることに。

一瞬、ある人物を思い浮かべた麻希は喜びのあまり胸を高鳴らせる。
だが、その人物の正体は麻希の夫・則夫であった。
がっかりする麻希は自身の気持ちに戸惑う。

伊達は逮捕された。
だが一方で、アゲハは解放されリクルーターも国外に逃亡した。
すべては則夫の手配であった。

麻希はなおさら気落ちする。
麻希の中にはリクルーターへの想いが高まっていたのだ。
それは禁断の感情であった―――エンド。

◆関連過去記事
『アゲハ 女性秘匿捜査官・原麻希』(吉川英梨著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『スワン 女性秘匿捜査官・原麻希』(吉川英梨著、宝島社刊)ネタバレ書評(レビュー)

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