2013年02月02日

『ミタライ ―探偵御手洗潔の事件記録― 山高帽のイカロス』第1話(島田荘司原作、原点火画、講談社刊『週刊モーニング』4号連続掲載)ネタバレ批評(レビュー)

『ミタライ ―探偵御手洗潔の事件記録― 山高帽のイカロス』第1話(島田荘司原作、原点火画、講談社刊『週刊モーニング』4号連続掲載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
御手洗潔:名探偵。
石岡:御手洗の助手にしてベストパートナー。
湯浅真:事件の目撃者。
赤松稲平:画家。人は空を飛べると信じていた。
氷室志乃:赤松の妻、企業家。

人は空を飛ぶことが出来る―――そう信じた画家が居た。
彼はその想いを自身で多くの絵にした。
その画家の名は赤松稲平。
そして、彼もまた思わぬ形で空を飛んだのである。
赤松稲平が電線に引っかかった状態で発見されたのだ……。

数日前に遡る。
相変わらずの御手洗と石岡の前に、湯浅真という依頼人が現れた。
湯浅は赤松の飲み仲間で、飛んで消えた赤松を捜して欲しいと依頼する。

湯浅によれば、普段から赤松は「人は空を飛ぶことが出来る」と主張し続けてたそうだ。
なんでも、赤松自身も寝ながら何度となく空を飛んだと語っていたそうだ。

それは、夢でしょ……とツッコミかける石岡。
だが、湯浅は赤松の会話の内容が夢とは思えぬクオリティだったと譲らない。

さらに、ビルの壁に何処へと続くでもなく浮いたような扉があることに触れる湯浅。
あれこそ、空を飛び人々の為の扉であると主張する。
赤松の談としてだが、赤松の妻で企業家の氷室志乃も、赤松の前であの扉を開けそのまま消えたのだそうだ。
つまり、志乃も空が飛べると言いたいらしい。

流石にそれは見間違いでは……と述べる石岡だが、そのときの赤松は酒こそ飲んでいたが見間違うほど酒に弱くは無いと繰り返す。

湯浅の話に興味を持った御手洗は、赤松が「どう消えたのか」について促す。

それは数日前、赤松がその生活力の無さから妻・志乃に離婚を切り出され、意気消沈していた日のことだそうだ。
いつもの如く、赤松に付き合っていた湯浅。
だが、その日は盛り上がらず、赤松はトレードマークの山高帽を忘れ帰宅してしまった。

不安になった湯浅は赤松宅を訪ねる。
と、屋内から赤松の呻き声が聞こえたかと思うと、窓を開ける音がしたらしい。
まさか、赤松が空を飛んだのか?
驚いた湯浅は、扉をぶち破り屋内へ。

ところが、案の定、中には誰も居なかった。
窓からはだらんとロープらしきものがベッドへ向けてぶら下がっていただけだったのである。
赤松は空へと消えてしまった……。
以降、赤松の消息は杳として知れず、湯浅は御手洗に依頼を持ち込んだのだ。

これを聞いた御手洗は調査に乗り出すことに。
まずは赤松宅だ。

室内をグルリと眺めた御手洗。
扉こそ付け替えられたものの、その他は全く同じらしい。
やはり、窓からはロープらしきものがベッドへ向けてぶら下がっていたが……。

御手洗は弾かれた様に動き出す。
何かに気付いたのだ。
「急げば間に合うかもしれない」そう語る御手洗の真意とは―――2話に続く。

<感想>

『ミタライ ―探偵御手洗潔の事件記録―』の第3弾。
今回、コミカライズ化されたのは短編集『御手洗潔のダンス』に収録された『山高帽のイカロス』。
その第1話でした。
原作短編『山高帽のイカロス』に興味のある方は、こちらをどうぞ!!

『山高帽のイカロス』(島田荘司著、講談社刊『御手洗潔のダンス』収録)ネタバレ書評(レビュー)

今回の御手洗は「空を飛んだ男の謎」に挑みます。
果たして、男は本当に空を飛んだのか?

コミカライズ版、なかなか意欲的な作品になってますね。
原作の肝とも言えるあのロープのくだりをどうするのか、気になっていましたがきっちり描写されていました。
しかも、それとなく背景に埋没させるような表現法で。
あれは良かった。

ラストの御手洗の台詞「間に合うかもしれない」も良かったですね。
おそらく、読者には「(赤松を助けることが)間に合う」と思わせておいて、その実、「(犯人を捕まえるのに)間に合う」という意味だと思います。
あれも良かった。

もっとも、ひょっとすると、さらにオリジナル展開に繋げる為の台詞かもしれないけど。
それはそれで、興味があるのでアリです。

4話で1エピソードを描くので「起承転結」が重要となりますが、導入それ自体としても非常に完成度の高いものであったと思われます。
次回にも注目です!!

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