<あらすじ>
青山病院総合内科教授の早乙女美砂(真矢みき)はある日、事務長の田上収(徳井優)から痙攣と嘔吐で運び込まれた少年、一之瀬信哉(佐藤瑠生亮)の診察をするよう指示を受ける。美砂は別の医師から信哉の診療を引き継ぎ、母親のゆり子(大河内奈々子)から状況を聞くことに。美砂は今現れている症状の治療をするだけでなく信哉の人間関係にまで視野を広げて原因を探ろうとするが、ゆり子には全く理解されない。
数日後、検査結果を聞きに来た信哉の言動がおかしいことが気になった美砂は、ゆり子にこの数日間の様子を聞く。すると彼女は指定された量の倍の薬を信哉に飲ませていたことが判明した。美砂はすぐに脳外科に連絡を取り、精密検査を受けさせた。すると信哉の体からは別の不審な症状が複数みつかった。
その日の午後、美砂は理事長室に呼ばれた。青山病院理事長の高遠(中尾彬)は信哉の父・秀記(石橋保)が勤める会社の社長でもある。高遠は信哉の病名を端的に述べよと強要するが、美砂は診療方針の結論が出ていないと真っ向から反発。美砂が高遠に歯向かったという噂はすぐに病院中に広まった。外科教授の菅原(勝村政信)は同僚として、美砂のパートナーとして、そして高遠の親戚として美砂を諭す。翌日、美砂は院長・桐生(柄本明)同席のもと田上から信哉の担当を外すと宣告された。
新たに信哉の担当となった小児科医の藤田(斎藤歩)は退院を許可したが、信哉は自宅に戻ってすぐ昏倒し再び救急外来に運び込まれた。美砂は敢えてカンファレンスで信哉の一件を取り上げ、藤田の反感を買う。藤田は何とかして美砂を陥れようと彼女の経歴を洗い、彼女が国際医師団として赴任していたアフガニスタンで夫とお腹の子を同時に失い、重度のうつ状態に陥っていた過去を突き止めた。一方、美砂は看護師長・山田(清水めぐみ)の助けを借りてある行動に出る。
(月曜ゴールデン公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)。
青山病院にて医者を勤める美砂。
美砂は過去に紛争地域で夫を亡くしており、その際に妊娠していた子供を流産していた。
以降、戦争神経症を患っており、これと闘い続けていた。
今は、青山病院の院長である桐生と、同僚医師で交際相手である菅原に支えられて日夜、患者と向き合う日々を送っている。
矢先、美砂に部長への昇進話が持ち上がる。
女性部長に対して助成金を授ける制度が採用された為である。
そんな美砂のもとに、一之瀬信哉という男児が運ばれて来た。
信哉には頭部に外傷があり、手術の必要性があった。
どうやら、虐待の可能性も疑われたが……。
信哉の父・一之瀬秀記の勤務する会社のボスであり、青山病院の理事長でもある高遠はスキャンダルを嫌い、美砂の報告を信じようとしない。
それどころか、美砂を嫌い排除しようとし始める。
信哉の母のゆり子もまた、虐待を疑う美砂に拒否反応を示す。
「下町育ちの私がここまで来るのにどれだけ大変だったか!!あなたに分かる筈がないんです!!」
美砂に対し叫ぶゆり子。
其処には信哉を想う母親の姿はない。
高遠の意向で担当を外された美砂。
代わりの担当となったのは菅原と藤田。
藤田は美砂に敵意を剥き出しにする。
直後に、信哉が病室から消えてしまう。
これを捜す美砂。
何かにひどく怯える信哉は美砂の診察室に居た。
こうして、美砂は信哉から真相を聞くことに。
信哉はゆり子から虐待を受けていた。
母であるゆり子に甘えたい盛りの信哉。
料理中に抱き着くが、邪魔をしたとして殴られてしまう。
そのまま転がった信哉は柱の角で頭を打ち付けてしまう。
泣き出す信哉だが、ゆり子は駆け寄りもしない。
ある日、1階に居るよう厳しく言い含められていた信哉。
たまたま2階に忘れ物をしたことを思い出し、駆け上がったところ、ゆり子は「約束を破った」と激怒。
信哉を殴ると、階下に突き飛ばした。
頭を強くうち、痛みを訴える信哉だが、ゆり子は駆け寄りもしない。
さらに、信哉への虐待は続く。
外出しようとするゆり子。
寂しがる信哉は精神的な不安から、ゆり子の着ていたスーツに嘔吐してしまう。
またも、殴られる信哉。
ついには気絶してしまう。
数度に渡り似たようなことが繰り返されたことで、信哉は頭部に外傷を受けた。
これこそが原因だったのだ。
美砂は、これまでにも似たようなことがあったのならば、信哉を診察した病院があった筈と考えるように。
こうして、周囲の病院に信哉の受診履歴を確認する。
だが、結果は空振りに終わる。
肩を落とす美砂に、菅原は偽名を使用した可能性を指摘。
これにより、美砂はもう一度調べ始める。
菅原により信哉の手術が行われた。
手術は成功し、ゆり子は喜ぶ。
その陰で、美砂を憎む藤田は、美砂の過去を高遠に告げ口する。
これを知り怒った菅原は藤田を殴ってしまう。
菅原は微妙な立場に追いやられることに。
その頃、美砂はゆり子が一之瀬ではなく「橋本信哉」と偽名を用いて受診させていた事実を突き止める。
美砂を嫌う高遠は、戦争神経症を理由に美砂を懲戒免職処分にするべく動き始めた。
これに対し、美砂を買う院長の桐生と菅原は必死に説得、押し留める。
美砂はゆり子を呼び出し対決する。
手術は成功したが、再度同じことが起こりかねないと主張する美砂。
偽名により受診した事実を突き付ける。
「あの日の為に用意した80万円のスーツにあの子は吐いたのよ」
信哉が殴られたのは、高遠の妻主催のチャリティバザーの日であった。
体面を考えて用意した80万円のスーツを台無しにされたことにカッとなり殴りつけてしまったのだ。
隙を見せれば高遠に嫌われ夫が出世出来なくなる―――そう考えたゆり子は必死に隙を潰そうとしていたのだ。
その隙こそが、信哉になってしまっていたのである。
これを陰で聞いていた秀記は、ゆり子に離婚を言い渡すとその場を去ってしまう。
すべてを失ったと嘆くゆり子。
そんなゆり子の姿を見た美砂は、秀記の後を追う。
秀記は高遠にすべてを告白し、許しを請うていた。
会社に傷がつかない方法を考えろと秀記に詰め寄る高遠。
其処へ美砂が飛び込んで来る。
美砂は夫として秀記にも責任があると追及する。
さらに、信哉への虐待を報告する義務があると告げ、これと引き換えに離婚の撤回を求める。
これに、高遠は美砂の過去を用い懲戒免職を匂わせプレッシャーをかける。
だが、美砂は逆に高遠のプレッシャーこそが一之瀬家を追い詰めたと主張する。
そして、導き出された結論は……。
秀記は会社を辞めることを決意し、家族を選ぶことに。
一方、助成金の決定通知書が届いた―――対象は美砂である。
高遠の意志に背くことになると慌てる事務長の田上だが……。
当の高遠は今回の事件で美砂が勝ったことを認め「私は勝者が好きだ」とこれを許すのであった。
これにより、美砂は部長になり、菅原とは上司と部下の関係となった。
「どうも、君からは離れられそうにない」と口にする菅原。
「これからも宜しく」と美砂―――エンド。
<感想>
「女医・早乙女美砂」シリーズ第1弾。
オリジナルです、原作はありません。
『ガラスの階段』と聞いて津村節子先生の同名作品が思い浮かびましたが、本作とは無関係です。
津村節子先生は吉村昭先生の奥様で小説家。
ちなみに『ガラスの階段』(文藝春秋社刊)のあらすじは次の通り。
<あらすじ>
十数年かけて一流デザイナーへの階段を昇りつめてきた志津子には、人に知られれば一瞬のうちにその地位を失うことになる悪夢のような生い立ちがあった。(鶴岡冬一)
(文藝春秋社公式HPより)
おおっ、なんとなく本ドラマに通じる点がある。
やっぱり「ガラスの階段」のイメージは「踏みしめられるが、危く脆い」として共通のようです。
では、ドラマの感想をば。
幾つか気になる点こそありましたが、全体的になかなか良かったですね。
美砂があれほど必死に信哉を守ろうとしたのは、亡くした子供への後悔が為さしめるものなのでしょうね。
そんな美砂の身を案じ続ける菅原はイイ奴です。
そして、ゆり子がまた凄かったなぁ……。
ゆり子は「秀記の為」と主張していましたが、あれはどうも「自身が上流階級入りする為」にしか見えない。
でもって、おそらくその事実に自分自身で気付いていない。
結果、美砂に対し反発することが逆に自身を追い詰めているようにも見えた。
そう言えば、一旦はまとまったかに見える一之瀬家ですがこれから先が問題ですね。
秀記とゆり子の絆が試されそうです。
乗り越えることが出来るか?
作中でのゆり子の言動を見る限りでは、甚だ疑問ではあります。
すべては「子は鎹」、信哉の活躍にかかっていそうです。
一方、美砂と信哉の間にいつあれほど強固な絆が芽生えていたのか―――とか。
藤田はどうなったのか―――とか。
ここらは気になりました。
特に藤田はあれだけのことをやったからには何らかの決着があっても良さそうなものでしたね。
高遠は人の好き嫌いが激しい人だそうなので、美砂を推せば藤田が排除されそうですが……。
高遠は美砂を「劇薬のようだ」と評しましたが、ある意味自身がそうと言えそう。
それにしても、てっきり「高遠のプレッシャーに負けた秀記がゆり子を虐待、これに傷付いたゆり子が信哉を虐待した」との連鎖虐待を疑っていただけに、逆に王道のストーリーには驚かされました。
でも、今作の場合、変に凝るよりはシンプルかつストレートな方が視聴者の心を打つので良かったと思います。
結論として、続編も視てみたいと思えるドラマでした。
<キャスト>
早乙女美砂(青山病院総合内科教授):真矢みき
○
菅原一仁(青山病院脳外科教授):勝村政信
一之瀬ゆり子(元モデル、秀記の妻):大河内奈々子
○
田上 収(青山病院事務長):徳井 優
一之瀬秀記(グレープ社執行役員):石橋 保
藤田正人(青山病院小児科教授):齋藤 歩
山田和代(青山病院スタッフ・看護師長):清水めぐみ
一之瀬信哉(一之瀬夫妻の一人息子):佐藤瑠生亮
○
高遠伍郎(グレープ社会長。青山病院理事長):中尾 彬
桐生正顕(青山病院院長):柄本 明 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)
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