<あらすじ>
10年前、小樽の海で発見された身元不明の遺体が、美里(蒼井優)という女性だと判明する。木島(池内博之)という暴力団関係者が自殺する間際、茜(蒼井=二役)の兄で建設会社専務・淳介(平岳大)殺害を自供し、美里の遺体を小樽の海に遺棄したことも認めた。しかし、その証言には不自然な点があった。渡(三浦)は、美里と茜が酷似していること、その茜が桐生(伊藤英明)と一緒だったことを思い出す。そんな折、渡ががんで余命いくばくもないことが息子・良一(平岡祐太)に知られてしまう。捜索をやめるよう懇願する良一に渡は、この事件に対する強い思いを告白する。そして、渡は桐生に接触。木島の証言の不自然な点を指摘し、美里を殺害し小樽の海へ遺棄したのはあなたではないか、と指摘する。動じる気配のない桐生に対して、渡は「必ず真実を突き止めます」と言い放つ。
(@nifty tv番組表より)
では、続きから(一部、重複アリ)……
・第1夜のあらすじはこちら。
テレビ朝日開局55周年記念 二夜連続ドラマスペシャル「最も遠い銀河 第一夜 衝撃のミステリー初映像化!海に消えた白骨死体の女!東京〜小樽〜ソウル、未解決殺人を追う7000キロの捜査!!余命6ヶ月の刑事が暴く失踪殺人の罠」(2月2日放送)ネタバレ批評(レビュー)
桐生には野望があった。
亡き美里の為にホテルを建てることである―――。
その野望を実現すべく桐生はのし上がろうとしていた。
その前に立ちはだかる壁は高く厚い。
清家淳介が何者かに殺害され、木島が自殺した。
木島は死の直前に「淳介に江畑美里を殺害された。だから、復讐した。美里の遺体は自分が海に遺棄した」と言い遺していた。
本当に木島の犯行なのか―――疑う渡たちだが、淳介を嫌い茜を後継者にしようとする清家淳蔵の圧力により捜査は打ち切られてしまう。
これにより、事件はすべて木島の犯行として終わりを告げようとしていた。
組織だった捜査は出来ない。
渡は、彼が余命幾許もないことを知った息子・良一や早乙女と共に個人的に調べ始める。
一方、淳介と結びサンライズ実業の実権を狙っていた吹田はこの事件の背後に桐生がいると考え、その排除を目論む。
桐生のコンペ参加を妨害すると共に、周藤や葛城を強力に推したのだ。
周藤はこれまでも桐生を妨害し続けていた。
これに対し、桐生は吹田が闇社会の人間であることを突き止め、サンライズ実業から手を退かせることに成功する。
並行し、茜との距離をどんどん縮めていくことに。
遂には恋人になることに成功する。
茜の婚約者としてサンライズ実業を支配しようと考える桐生。
だが、それは桐生にとって大きな負担でもあった。
桐生は自身と同じく影を持つ李京愛に癒しを求める。
共に一夜を過ごすことに。
実は李京愛を愛していた葛城は、桐生に嫉妬していたことを告白すると自殺する。
葛城はその相反する気持ちから、周藤の卑劣な遣り口を憎んでおりその証拠を遺していた。
こうして、周藤も退場することとなり、桐生の野望を阻む壁は消えた。
清家淳蔵は桐生を茜の婿に相応しいを認め、これを支援し始める。
当然、その中には桐生に仇為す者への排除も含まれている……。
同じ頃、渡たちは捜査を進め、新たな事実を掴んで行く。
桐生と美里、木島が家族同然の仲間であったこと。
桐生たちは孤独な生い立ちを抱えていたこと。
桐生の夢が建築家になりホテルを建てること、美里の夢が桐生の建てたホテルと目にすることであったこと。
この夢を桐生に叶えさせるために、美里が夜の仕事をしながら働き大学の費用を捻出していたこと。
その過程で美里は茜に似ていたことから淳介に目を着けられ、薬漬けにされ死亡してしまったこと。
これにより、桐生は淳介を恨んでいたこと。
渡は桐生こそが美里の復讐を果たすべく淳介を殺害したと考えるように。
しかし、渡は病気に倒れ入院してしまう。
時間は余り残されていないのだ……。
焦った渡は病室を抜け出し桐生に詰め寄るが、またも倒れてしまう。
緊急入院した渡は良一を通じ桐生を病室に呼び出す。
桐生は渡が長くないと知り、病室へ。
渡は桐生の半生について語り始める。
桐生と美里が過去に愛し合っていたこと。
桐生たちが李京愛からペンダントを買ったこと。
これがきっかけで桐生と李京愛が知り合ったこと。
美里が桐生の学費の為に働きに出て、清家淳介の餌食になってしまったこと。
清家淳介により、美里は死亡してしまったこと。
死亡した美里を、桐生が昔の仲間だった幸治に船を借り、小樽の海に葬ったこと。
真相を知った木島は淳介を殺害した―――表向きそうなっている。
だが、本当だろうか?
渡が知る桐生は、必ず自身の手で決着をつける人間であった。
5枚のコインを用意した渡。
自分の質問に「YES」なら「表」、「NO」なら「裏」で置くように依頼する。
あなたは美里さんを殺していない。
あなたは美里さんを小樽の海に沈めた。
あなたは清家淳介を殺した。
あなたは茜さんの本当の幸せを考えることが出来る。
あなたはどんなことがあっても生きて行く。
コインを置き終わった桐生。
確認した渡は1枚だけが「NO」を示していることに気付く。
それは最後の1枚であった。
渡はそのまま意識を失い、死亡してしまう。
桐生はあの夜、淳介を殺したことを思い出す。
木島は桐生の罪を被り、自殺したのである。
桐生は小樽へと向かう。
そんな桐生の前に良一が。
良一は渡が死亡したことを告げ「コインは全部表でなければならない」と言い遺したと伝える。
黙って受け取る桐生だが……。
その夜、桐生は茜や京愛に別れを口にすると、美里を葬った日のように船を出し船ごと焼身自殺する。
美里の眠る海―――そこが桐生の“帰るべき地”だったのだ。
時が過ぎ―――渡の墓前に1組の家族があった。
渡の妻・鈴子と良一……それに早乙女である。
早乙女のお腹は大きく膨らんでいる、妊娠しているのだ。
どうやら、良一と早乙女は結ばれたようだ。
茜は専務としてサンライズ実業を支えている。
時折、桐生のことを思い出しているようだ。
そして、李京愛は1人の男の子を連れていた。
その父親は亡き桐生その人である―――エンド。
<感想>
ドラマ原作は白川道先生の同名タイトル『最も遠い銀河』(幻冬舎刊)。
原作は過去にネタバレ書評(レビュー)していますね。
興味のある方はどうぞ!!
・『最も遠い銀河』(白川道著、幻冬舎刊)ネタバレ書評(レビュー)
こちらのドラマ版。
では、早速感想を!!
大胆な改変があったなぁ……。
まさか、桐生が淳介殺害犯に変更されてしまうとは思わなかった。
淳介の予定を木島に伝えたことで結果として手引きした形になったが、淳介殺害は木島の独断で、率先して手は下してはいなかった筈なのに。
これにより、原作のテーマが完全に死んだ。
原作では渡と桐生の人間ドラマはもちろん、「日陰」と「日向」の対立も軸となっており、これは格差の象徴を示していた。
ただし、これも1つの対立軸に過ぎないことが示唆されており、「日向」であってもハンデがあり、「日陰」であっても「満たされること」もあるとされていた。
決して、単純な「日向」と「日陰」で割り切れる問題ではない―――そんな意味も込められていた筈。
その体現者である桐生が殺人者になってしまうのでは、意味がない。
さらに、5枚のコインのくだりは改変されながらも再現されていたが、「幸治が美里を沈め、幸治の父が美里を引き上げたことに因縁を感じた」からこそ桐生の心が折れ、渡のコインへと繋がるのに、あれを省略されてしまうと桐生がコインに応じた意味がよく分からなくなってしまう。
だったらなんで第1夜にて、幸治の父が登場したり、美里を遺棄した際の幸治の映像などが出て来たのだろうか―――此処に繋げる為だと思っていただけに分からない。
李京愛と桐生の間の子供についても改変されていました。
原作だと生まれたのは「美朝」。
これでお分かりのように、劇中にて何度も繰り返された「李京愛が語る詩」は此処に繋がっていたと思われましたが……。
これを端折ると、何の為に京愛が詩を度々読み上げたのか分からなくなるのだが……。
それと、これは第1夜の感想で述べたけど、原作ではラスト直前の病室のくだりまで渡と桐生が互いの存在を知りながらも出会いません。
だからこそ、病室のシーンが最高潮となるのですが。
この点もこの作品の魅力の1つだと思うので無くなってしまったのは明らかなマイナス。
そういえば、早乙女の存在も原作とドラマ版の改変点の1つ。
どうもエピソードの取捨選択に難があり、原作と比較すると全体的に改悪のような気がする。
今回のドラマを視る限り、原作と異なり、周藤と葛城、堀峰は原作に比べ軽くなっているので一切をカットしても差し障り無さそう。
あるいは台詞の説明だけで「こういった妨害があったんだ」程度で終わらせればよかったのではないか。
その代わりに上記の根幹に関わりかねないエピソードは描くべきだったと思う。
あるいはドラマのまとめ方ならば、木島関連のエピソードを追加しても良かったと思う。
これも第1夜の感想で述べましたが、設定だけを借りた別物と言ってもいいかもしれないなぁ。
ところどころは原作通りなんだけど継ぎ接ぎされている上にかなり改変されており、この改変が何処に焦点があるのか分からない印象。
ともかく全体的に分かりにくいのも難だと思う。
こちらは構成に原因があるのではないか。
読み返すことの出来る書籍媒体と違い、ドラマの場合は録画していない限りは視直すことが出来ない。
つまり、構成はよくよく考えるべきだと思われるが、本作はこれが錯綜し過ぎていると思う。
渡パートと桐生パートが並列して進むのはともかく、これに李京愛パートや早乙女パートも混ざるので筋が把握しにくい。
もともと、4巻に渡る原作をかなり端折り改変したとはいえ無理に時間内に収めているので、登場人物紹介でも見ない限り人物設定が理解しづらい。
葛城の親友設定や自殺も唐突過ぎて、公式の人物紹介を確認していない限りポカーンだと思う。
こんな感じの事が2夜にまたがり続くので余計に分かり辛い。
これならば、せっかく2夜あるのだから、1夜目を桐生以外、つまり渡とその他人物視点のパートとしラスト付近まで描くことで謎を提示し、2夜目にて桐生視点にて1夜目の出来事を追いつつラストまで描き謎を解明する形にした方が良かったのではないか。
1夜目で他者視点から描かれた謎の人物・桐生の実像に2夜目で迫る手法だ。
その方がすっきりしたと思うが。
正直、原作のエピソードを用いてはいるが、肝心な点が抜け落ちており別物の印象だった。
ドラマ単体としても、前述した構成の点で難があったように思う。
原作についてはオススメ出来るレベルの作品であり、そのドラマ化ならばもう少し何とかなったのではないかと思うと惜しい。
◆関連過去記事
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生い立ちの暗さ、光と影、恋愛を越えた愛や絆を表現するにはやはり連続ドラマでないと限界があるんでしょうか。
言いたいこと、表現したいことは何となくわかるけど、何か伝わりにくい作品でした。
ミキヤの自殺やリケイアイさんと桐生の関係性など、すごく大事なとこのはずなのにさらっと表現しすぎではないかと感じました。
でもきっと素晴らしい原作なんだろうということはわかりましたので、ぜひ本で読みたいです。
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
原作に比較すると、軽かったように感じられましたね。
確かに時間が不足していたような気もします。
原作が4巻に渡る長編なので。
深い人間関係を描くには説得力のあるエピソードが必要不可欠。
一応、キャラクターとエピソードの取捨選択によってはもう少しまとまったかもしれません。
感想でも述べましたが、ドラマ版では葛城たちをカットしても良かったかもしれない。
その分、桐生と木島、美里の関係を描写すれば良かったかも。
原作は、その文体自体に魅力があるので、読んでみて頂きたいです。
それと、ドラマにもありましたが「5枚のコイン」のくだりがオススメです。
4巻に渡って読んでいると、あのシーンでグッと来ます(^O^)/!!
書き込みは二度目になります。
見ていてよくわからなかった点があるのですが、李京愛はハルに助けられたあとに、ペンダントを買ってもらったのでしょうか。
いまいち、時系列がわかりませんでした…。
その後、ハルと李京愛はいつ再会したのでしょうか?
テレビでは、どこかのお店で会ったのが最初だと思うのですが、李京愛のリアクションも薄かったですし、あれが再会ではないですよね?
似顔絵も作ってあれだけ一生懸命探していたのに、これといった再会のシーンがなかったと思うのですが私が見逃しているのでしょうか・・・。
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
ドラマ版については仰る通りの時系列になるかと思われます。
桐生と京愛の再会についてですが、おそらくパーティーの席上で紹介されていたシーンがそれにあたるかと思います。
原作でも同じようなシーンにて再会していたので。
原作では素直に驚きを表現していたのですが、ドラマ版は控え目な表現に終始していましたね。
当時の京愛は、桐生への想いを心に秘めつつも直接的な行動には示していなかったものと考えています。