ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
名士の家庭はややこしい。長男が詐欺事件を起こせば、次男は……。
(新潮社公式HPより)
<感想>
麻耶雄嵩先生「おじさんシリーズ」の短編です。
シリーズとしては3作目ですね。
そんな本作なのですが……直球過ぎるのが逆に怖い。
今回に限っては特におじさんも暗躍していないし。
一体、何がどうなっているのか。
逆に裏がありそうな感じ。
これはシリーズが1冊にまとまったときに意外な展開が待っていそうな予感。
<ネタバレあらすじ>
・前作はこちら。
『転校性と放火魔』(麻耶雄嵩著、新潮社『小説新潮 2012年02月号』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
俺には何でも屋の叔父が居る。
俺の両親からは疎まれる叔父だが、気の優しい良い人である。
一方、地元にて病院を経営する枇杷家。
父親である均、後妻の葉子、長男の理、次男の司、そして均の弟である則高。
後妻の葉子は理、司とは血が繋がっていない。
均は理を後継者として考えていた。
理は後継者として、都会の大学病院へ進学した。
次男の司は絵の道を志しており、均からは反対されていたが、葉子や則高はこれを支持していたが……。
矢先、理が詐欺事件を働き、追われる身となった。
長男が追われたことで、均は次男の司に期待をかけ始める。
だが、司は画家をどうしても諦めきれない。
そんな折、均が首吊り死体で発見された。
遺体の第一発見者は司本人である。
索状痕以外の紐の痕跡が見受けられたことから自殺に偽装した他殺と判明。
捜査が開始され、各自の証言から犯行時刻が絞り込まれた。
特に司と則高の証言により、自宅の時点では均が生きていたことが証明された。
結果、司と叔父さんが容疑者となることに。
俺は、あの優しい叔父さんが人を殺す筈がないと信じるが……。
俺がちらりとでも疑ってしまったことを察した叔父さんは真犯人を暴くと主張。
叔父さんが指摘した真犯人は則高と葉子であった。
2人は均に隠れ、不倫の関係を結んでいたのだ。
しかも、病院の経営権を狙っていた。
そこで、理が消え唯一の後継者となった司を排除しようと画家になるよう応援していたのだ。
均殺害時のアリバイについては、自宅時点で既に殺されていたとすれば辻褄が合う。
司が則高と共に目撃した均……そのときには既に死体だったのだ。
では、動いていたのは何故か?
それは葉子による二人羽織であった―――エンド。
◆関連過去記事
【メルカトル鮎シリーズ】
・「メルカトルかく語りき」(麻耶雄嵩著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「メフィスト 2010 VOL.1」より「メルカトルかく語りき 第二篇 九州旅行」(講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「メフィスト 2010 VOL.3」より「メルカトルかく語りき 最終篇 収束」(麻耶雄嵩著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『メルカトル鮎 悪人狩り「第1話 囁くもの(メフィスト2011 vol.3掲載)」』(麻耶雄嵩著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
【木更津シリーズ】
・『弦楽器、打楽器とチェレスタのための殺人』第1話(麻耶雄嵩著、光文社刊『小説宝石』2012年10月号掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『弦楽器、打楽器とチェレスタのための殺人』第2話(麻耶雄嵩著、光文社刊『小説宝石』2013年1月号掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『弦楽器、打楽器とチェレスタのための殺人』第3話(麻耶雄嵩著、光文社刊『小説宝石』2013年4月号掲載)ネタバレ書評(レビュー)
【おじさんシリーズ】
・『失くした御守』(麻耶雄嵩著、新潮社『Mystery Seller(ミステリーセラー)』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・『転校性と放火魔』(麻耶雄嵩著、新潮社『小説新潮 2012年02月号』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
【その他】
・「貴族探偵」(集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「隻眼の少女」(麻耶雄嵩著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・話題の新作「TRICK×LOGIC(トリックロジック)」収録シナリオが明らかに!!
・オール讀物増刊「オールスイリ」(文藝春秋社刊)を読んで(米澤穂信「軽い雨」&麻耶雄嵩「少年探偵団と神様」ネタバレ書評)
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