<あらすじ>
不眠症の治療中で内勤扱いになっていた神奈川県警捜査一課の澤村慶司(反町隆史)は、捜査一課長の谷口(橋爪功)に急きょ呼び出される。世間を騒がしている猟奇殺人事件の3件目が住宅街の公園で発生し、その応援に駆り出されたのだった。遺体の首に深々と食い込んだピアノ線による絞殺と思われたが、柄に舌を出したような奇妙なマークが刻まれているナイフが遺体の首に突き立てられているところが3件とも共通しており、犯行手口はそれぞれ異なるものの同一犯による犯行が疑われた。それと同時に澤村と谷口は10年前の連続殺人事件を思い出していた。
殺害後の遺体の首に“舌”が刻印されたナイフが突き刺されていることが、10年前の未解決事件と酷似していることは捜査会議でも確認された。刺殺、毒殺、絞殺と犯行手口を変える点も共通していたが、10年前の被害者は若い女性ばかり4名だったのに対し、今回は3人とも男性が被害者となっているところが相違点と言えた。管理官の西浦(相島一之)は模倣犯の可能性を指摘したが、ナイフと刻印のことは10年前も今回も公表されておらず、谷口は同一犯の犯行であるという見方を前提に捜査を進めるよう指示した。
澤村は内勤扱いになっていたころに別の事件で知り合った臨海警察署の女性刑事の永沢初美(比嘉愛未)とパートナーを組むことになる。自己紹介すら拒絶する澤村に初美はあっけにとられる。
遺体確認に現れた殺された男の元妻あゆみ(高瀬媛子)に澤村が話を聞き出そうとすると、管理官の西浦と係長の菊村(飯田基祐)が割って入り、露骨にあゆみを容疑者扱いしたような質問を繰り返す。澤村は西浦を裏へ呼び出し、現場に口を突っ込むなと言うと西浦は澤村の胸ぐらをつかみ、上司に対しての態度じゃないと言い返すが、澤村は意に介さず逆に西浦を壁にたたき付け、尊敬に値しない人間は上司と認めないと二人は衝突するが、谷口のおかげで事なきを得る。
谷口は澤村にそろそろ普通の仕事のやり方を覚えた方がいい。そうでないと澤村の鬼塚(片岡鶴太郎)の二の舞になるぞと諭す。鬼塚は澤村と同じアパートに住む、かつてコンビを組んだ尊敬する先輩刑事だった。が、あることをキッカケに警察を辞めていた。
その夜、澤村は鬼塚に事件に関してのアドバイスを求めようと部屋を訪ねるが、現場を退いた自分の刑事の勘は鈍ってしまったと断わられる。自分は辞めたことは後悔していないが、お前は絶対に刑事は辞めるなと鬼塚は澤村に冗談めかしながら忠告するのだった…。
(金曜プレステージ公式HPより)
では、続きから(一部、あらすじと重複あり)……
10年前の連続殺人事件と同じ犯行手口により、3件の殺人が起こった。
1人目の被害者・神田正行。刺殺。
2人目の被害者・青葉渉。薬殺。
3人目の被害者・長倉礼二。絞殺。
神田は20年前に、喧嘩の仲裁に入った小学校教師の畑野康代を刺殺していた。
青葉は特に前歴なし。
長倉についても特に問題ないかと思われていたが、その自宅から10年前の被害者たちの写真が見つかる。
長倉の妻・あゆみの証言により、長倉こそが10年前の未解決事件の犯人であることが判明する。
ナイフの柄に刻まれた舌を出したようなマークはピアノであった。
長倉は幼児期の母親の死がトラウマになっていたのだ。
長倉の母はピアノに関係していた。
澤村は元刑事で尊敬する先輩・鬼塚に相談を持ちかける。
鬼塚は、4年前に起こったある事件の捜査を中断するよう圧力をかけた当時の柏原刑事部長を殴り退職していた。
正義を重んじる鬼塚のような刑事になることこそが、澤村の目標であった。
捜査を進める過程で、青葉が薬物のバイヤーだったことが判明。
この薬物の常用者が神田であったことも判明。
1件目と2件目の犯行が繋がったのである。
だが、3件目とは繋がらない。
プロファイラーの橋詰は「自身を正義と信じる犯人が関わりのあった罪人を裁いている」と分析する。
その影で「刑事を名乗る何者か」が被害者たちを調べていたことも分かる。
その人物こそが犯人なのだろうか。
矢先、4人目の被害者として石田要が焼死体で発見される。
現場には「あと1人」との予告が残されていた。
石田はある殺人事件の容疑者であった。
代議士の杉本の秘書をしていた石田は杉本の政敵を殺害したのだ。
だが、圧力がかかったことで捜査は中断されていた。
この事件こそが鬼塚が柏原を殴りつけた事件であった。
捜査を続ける澤村。
畑野康代に恋人が居たことが判明。
イニシャルはTらしいが……。
さらに谷口が畑野宅を訪問していたことも突き止める。
畑野の縁の地、野外音楽堂を訪ねた澤村。
其処でライフルの弾丸を発見する。
どうやら、犯人からの予告らしい。
次は射殺する気のようだ。
その夜、鬼塚に谷口について相談した澤村。
鬼塚は「相棒を大切にな、若い姉ちゃんだとしてもよ」と助言を与える。
翌日、刑事を名乗っていた人物について調べ始めた澤村。
ところが、思いも寄らない人物の名前が挙がりショックを受けることに。
ショックを受けた澤村は狭間千恵美のもとを訪れる。
彼女こそは澤村が守らなければならない相手であった。
7年前、幼かった千恵美はナイフを突きつけられ人質にされていた。
犯人に対し、銃を持った澤村が対抗した。
上司である谷口は「発砲を否定」、鬼塚は「発砲を容認」した。
だが、澤村は撃てなかった。
結果、千恵美は咽喉をナイフで切られ、一命を取り留めたが声を失った。
もう2度とあんな悲劇を繰り返させない。
そう決意した澤村は谷口を呼び出す。
谷村は澤村の推論を認める。
畑野康代の恋人は鬼塚であった。
そして、刑事を名乗り調査を進めていたのも鬼塚だったのだ。
谷口が1人で調べていたことには理由がある。
そう考えた澤村は谷口を問い詰める。
4年前、鬼塚が柏原を殴りつけたのは、谷口の言葉が原因であった。
過去、婚約者が殺害されても司法の正義を信じた鬼塚。
そんな鬼塚に正義を捨てて、圧力に屈するよう命じたのだ。
これに絶望した鬼塚は退職することとなったのだ。
だとすれば、鬼塚の狙う最後の1人の正体は―――。
その頃、西浦は議員の杉本の警戒を強めていた。
だが、澤村が向かった先は、柏原のもとであった。
一方、谷口もまた柏原の前へ。
同じ頃、鬼塚は高層ビルの屋上からライフルを構えていた。
そのスコープに柏原らしき人物が映る。
引き金を引く鬼塚、銃弾は標的に命中し倒れ込む。
だが、鬼塚は驚愕することに。
柏原は谷口に入替っていた。
その鬼塚の背後には銃を構えた澤村が。
澤村の相棒が若い女性、すなわち初美だったことを知っていた―――それも鬼塚の犯行を示していたのだ。
鬼塚は何度となく、澤村にヒントを与えていたのである。
鬼塚と対峙する澤村、互いに銃を向け合う。
其処へ初美が駆け付けて……隙を突かれた澤村は鬼塚に撃たれてしまう。
鬼塚は初美を人質に取り、柏原を連れて来るよう要求する。
その間にも、防弾チョッキを着ていた谷口たちが鬼塚を取り囲む。
だが、鬼塚は怯まない。
そんな鬼塚に、澤村は再度銃を向ける。
「撃て、澤村。迷わずに撃て!!」
叫ぶ鬼塚だが、澤村はあくまで銃ではなく説得を試みる。
「亡き康代さんが愛した鬼塚に戻ってくれ!!」
澤村の心からの叫びに、過去を思い出した鬼塚。
涙ながらに自殺の道を選ぶのであった。
こうして、また1つ澤村が背負う想いが増えた。
そんな澤村に千恵美が微笑みかける。
そして、澤村と初美の相棒関係は続く―――エンド。
<感想>
堂場瞬一先生『逸脱』(角川書店刊)のドラマ化。
過去にネタバレ書評(レビュー)していますね。
・『逸脱』(堂場瞬一著、角川書店刊)ネタバレ書評(レビュー)
『逸脱』は「捜査一課・澤村慶司」シリーズの1つ。
シリーズには本作に加え『歪』があり、そちらでは『逸脱』のその後の世界が描かれています。
さらに完結編である『執着 捜査一課・澤村慶司』が2013年2月28日発売予定。
では、ドラマ版感想を。
ほぼドラマオリジナルでしたね。
原作に比較すると原案くらいの改変振りでした。
共通していたのは一部の初期設定くらいか。
でも、良かったと思います。
柄のマークも原作だと校章だったのが、ドラマだとピアノのマークになってた。
鬼塚の動機も最期も大幅改変。
そもそも、原作だと鬼塚は死亡していないし。
10年前の未解決事件の犯人も原作だと複数犯だったのが、ドラマは単独犯に変更。
全体的に原作に比べ、ドラマ版はマイルドになっていた印象。
でも、コレはコレで良かった気がします。
個人的には、むしろ原作よりも良かったかも。
鬼塚をクローズアップしたのが良かったし。
これと澤村がきちんと向き合っていたし。
原作だと澤村が一匹狼で、初美の存在意義が不明だったし。
ただ、橋詰については原作の方がいい味だしてたな。
原作にもストックがあることですし、思わせぶりなラストもあるし、シリーズ化希望したいですね!!
◆「堂場瞬一先生」関連過去記事
【書評(レビュー)】
・鳴沢了シリーズの1作「讐雨 刑事・鳴沢了」の書評です。
「讐雨 刑事・鳴沢了」(堂場瞬一著、中央公論新社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「棘の街」(堂場瞬一著、幻冬舎刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『裂壊 警視庁失踪課・高城賢吾』(堂場瞬一著、中央公論新社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『逸脱』(堂場瞬一著、角川書店刊)ネタバレ書評(レビュー)
【ドラマ批評(レビュー)】
・金曜プレステージ「ミステリー特別企画!刑事・鳴沢了2〜偽りの聖母〜 美しすぎる女知事VS親子三代敏腕刑事!謎の連続殺人に秘められた女の愛憎劇死に彩られた闇の園」(5月20日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜プレミアム 刑事・鳴沢了〜ベストセラー初映像化!東京テロ史上最悪の24時間「不死身の刑事VS青梅新宿…連続爆破テロ犯人質は都民1300万人!迫るタイムリミット」(5月29日)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「棘の街〜白骨死体は初恋の人の愛息!母親失格!帰郷刑事待つ同窓生の暗い秘密」(6月18日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「アナザーフェイス 刑事総務課・大友鉄 容疑者5万人の密室育メンの別の顔」(5月26日放送)ネタバレ批評(レビュー)
<キャスト>
澤村慶司:反町隆史
永沢初美:比嘉愛未
鬼塚修平:片岡鶴太郎
橋詰真之:ムロツヨシ
西浦喬:相島一之
浅羽克己:白竜
菊村勇夫:飯田基祐
武生仁:本城丸裕
柏原一光:窪園純一
狭間千恵美:日向ななみ
谷口吾郎:橋爪功 ほか
(敬称略、順不同、公式HPより)
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しかしブラフターゲットの議員の所属政党が平成革命の会、対立していた若手議員が子沢山で討論だか演説が得意
なぜでしょうかどこかの市長の顔が浮かぶんですが(笑)
久々の2サスってだけで、満足しております!!
不出来な作品であろうが、見る見ないにかかわらず、決まった時間に2サスをやっているということに安心感があることを再認識しました。
管理人の“俺”です(^O^)/!!
Re:花さん
>今回は片岡さんが〜〜〜
今回、片岡鶴太郎さんが凄く良かった!!
やっぱり、牛尾刑事と比較しちゃいますよね。
そして、鬼塚の雰囲気がドラマをグッと盛り上げていました。
>しかしブラフターゲット〜〜〜
なるほど、モチーフのあるキャラだったんですね〜〜〜。
言われて、気付きました(^O^)/!!
Re:ピエロさん
>久々の2サス〜〜〜
そう言えば、2月上旬は「2時間サスペンス」の放送回数自体が少なかったですね。
中旬からは通常放送に戻るらしいので、期待(^O^)/!!