ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
警察小説新シリーズ!すべては、最高の刑事になるために
10年前の未解決事件を模倣した連続殺人。立て続けに3人の惨殺体が見つかった。県警捜査一課・澤村は、コンビを組む初美とプロファイリング担当の橋詰と犯人を追うが、上司と激しく衝突し孤立を深める。澤村は過去に自分が犯した失態により心に大きな傷を抱えていた。トラウマを払拭すべく澤村が捜査に邁進する中、さらに4人目の犠牲が出てしまう。被害者の共通点を洗うと、浮かび上がってきたのは意外な人物だった――。
(角川書店公式HPより)
<感想>
『逸脱』は「捜査一課・澤村慶司」シリーズの1つ。
シリーズには本作に加え『歪』があり、そちらでは『逸脱』のその後の世界が描かれています。
さらに完結編である『執着 捜査一課・澤村慶司』が2013年2月28日発売予定。
鬼塚は、もう1人の澤村だったんですね。
ラストには驚きました。
全体としては、澤村のキャラクターが肌に合うかどうかで楽しめるかどうかが分かれるかもしれない。
澤村については割と王道っぽいキャラクターの為に、訴求力が弱いかも。
ただ、その分、飄々として掴み所のない橋詰がイイ!!
堂場先生のファンならば楽しめる筈。
ファンは読むべし!!
<ネタバレあらすじ>
澤村慶司は「最高の刑事」を目指す男。
だが、過去に銃に関わるトラウマがあり、それ以来は銃が撃てなくなっていた。
その分、他でフォローしてみせると意気込む澤村だが……。
そんな澤村の前に、10年前の未解決事件と同様の手口の連続殺人事件が。
被害者は首筋にナイフを突き立てられ絶命していた。
そして、ナイフの柄には謎の紋章が描かれていた……。
この捜査に、澤村はその相棒の初美、プロファイリング担当の橋詰と共に挑む。
天才肌の澤村は個人プレイに走り上層部と対立しつつ、真相へと迫る。
調べるうちに、澤村も知る元刑事の鬼塚の存在が浮上。
現代に復活した犯人の正体は鬼塚だったのだ。
鬼塚は澤村同様に個人プレイに走りがちなタイプであった。
だが、その実力は非常に高く、だからこそ周囲からも一目置かれていたのだ。
ところが、1つの失敗が原因で評価が急落した。
結果、鬼塚は刑事を退職せざるを得なくなる。
今回の連続殺人事件はその復讐だったのだ。
鬼塚の動機を知った澤村は、今度は鬼塚を追い込んだ署長が狙われると判断。
狙撃されかけた署長を助けることに。
これにより、鬼塚の恨みを買った澤村は付け狙われてしまう。
爆弾を仕掛けたと予告してくる鬼塚、これを止めるには澤村が犠牲になる他ない。
こうして、澤村は鬼塚と対決することに。
橋詰の協力を得て、鬼塚との決戦へ。
場所は廃校―――ナイフの柄に描かれた紋章は校章であった。
すべては此処へと導く為のヒントだったのである。
待ち構える鬼塚に挑む澤村。
だが、銃を撃てない澤村はたちまち大ピンチに陥ってしまう。
そんな澤村を救ったのは橋詰であった。
得意のアーチェリーにより、鬼塚を射抜いたのだ。
思わぬ橋詰の奇襲に鬼塚はダメージを受け、澤村に逮捕されることに。
橋詰は今回こそ澤村がトラウマを乗り越える良い機会だったのに……と洩らす。
これに苛立った澤村は橋詰を黙らせるべく拳を奮うのであった。
後に衝撃的な事実が判明する。
鬼塚は10年前の未解決事件の犯人たちを殺害していた。
その上で引き継いだのだ。
今回の被害者の1人も、10年前の未解決事件の犯人であった。
鬼塚は自身の嗅覚で、組織が辿り着けなかった犯人を突き止め葬っていたのであった。
鬼塚の能力は確かに優れていた。
だが、用い方を誤ったのだ。
自身と似る鬼塚の結末に戦慄を覚える澤村であった―――エンド。
・金曜プレステージ「堂場瞬一サスペンス 逸脱〜捜査一課・澤村慶司〜 10年前の再来?猟奇的殺人事件に捜査一課のアウトロー刑事が挑む!ピアノの音色がカギを握る…死体は警察への挑戦状」(2月15日放送)ネタバレ批評(レビュー)
◆「堂場瞬一先生」関連過去記事
【書評(レビュー)】
・鳴沢了シリーズの1作「讐雨 刑事・鳴沢了」の書評です。
「讐雨 刑事・鳴沢了」(堂場瞬一著、中央公論新社刊)ネタバレ書評(レビュー)
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・『裂壊 警視庁失踪課・高城賢吾』(堂場瞬一著、中央公論新社刊)ネタバレ書評(レビュー)
【ドラマ批評(レビュー)】
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・土曜ワイド劇場「棘の街〜白骨死体は初恋の人の愛息!母親失格!帰郷刑事待つ同窓生の暗い秘密」(6月18日放送)ネタバレ批評(レビュー)
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