<あらすじ>
会津松平藩馬廻りの三百石藩士・笹原伊三郎(田村正和)は、藩きっての剣の達人。その腕を先代に見込まれ婿養子として笹原家に入った伊三郎は20数年、気難しい妻・すが(梶芽衣子)の尻に敷かれ、じっと我慢を重ねながら生きてきた。
そんな伊三郎のもとに突然、会津藩側用人・高橋外記(北村有起哉)が訪れた。側用人がわざわざ訪ねてくるなど、笹原家はじまって以来のこと…。戸惑う伊三郎に、外記はなんと、主君・松平正容(大杉漣)の側室・お市の方(仲間由紀恵)を、伊三郎の長男・与五郎(緒方直人)の妻として差し遣わすことに決まったと告げる。この拝領は殿の御内意、つまり命令だった。
上意とはいえ、その拝領は伊三郎にとって、到底受け入れがたいものだった。息子たちには自らの不幸な結婚生活の二の舞だけはさせたくない、愛のある結婚をさせたいと常々、願っていたからだ。聞けば、お市の方は正容との間に男子を生みながらも、若い側室の出現に逆上し、殿の胸倉をつかむほどの大騒ぎを起こしたため暇を出されたという。そんな嫁を喜んで迎えられるはずもない。
親友である国廻り支配・浅野帯刀(松平健)に相談を持ちかけた、伊三郎。のらりくらりと時間をかけて沙汰やみとなることを期待するしかないと考え、督促のため再訪した外記に対し、「恐れ多いゆえ、なにゆえご辞退を…」と低頭する。
だが、当の与五郎が突如、「拙者は、拝領をお受けしたい」と言い出したのだ。与五郎は大奥に上がる前のお市の方を偶然、見かけたことがあり、心に強い印象を残していたという。与五郎当人が受けるといってしまっては、伊三郎も致し方ない。こうして、笹原家は拝領妻を受けることとなった。
まもなく、お市の方から格下げになった“いち”と、与五郎の婚儀が執り行われた。花嫁のいちは、主君の寵愛を受けて一子をもうけた女とは思えないほど楚々とした美しい女性だった。そしてそれからというもの、いちは口うるさいすがのいじめにも耐え、嫁として慎ましく仕えた。
そんな“嫁の鑑”のようないちが、なぜ藩主につかみかかるような乱暴な行いに出たのか、伊三郎もそこだけは合点がいかない。伊三郎が与五郎に真相を聞いてみると、いちが悲壮なまでの思いを秘めて大奥に上がっていたことがわかり…!?
その後も与五郎といちの夫婦仲はいたって睦まじく、伊三郎はいちのことを“三国一の花嫁”だと思うようになっていった。このまま平和な日々が続くと信じ、伊三郎は与五郎に家督を譲り、役目を引退。いちは、娘・とみを出産した。
ところがある日、幸せな日常が急変した…! 正容の嫡子・正甫が病死し、いちが側室だったときに生んだ容貞が世継ぎと決まったのだ。つまり、いちは、“御世継ぎ様のご生母”となってしまった。世継ぎの母を、一家臣の妻として打ち捨てておくことはできない…。藩の重臣たちは、与五郎にいちを城に返上するよう命じた。それは、殿の御内意でもあると…。
理不尽で血も涙もない藩の仕打ちに、伊三郎は激怒した。そして息子夫婦の愛の深さに心を打たれた伊三郎は、笹原家を守ることだけに生きてきたこれまでの人生を捨て、与五郎と共に上意に逆らう決意を固めるのだが…!?
(公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……
藩主のあまりに身勝手極まる命令に反発する伊三郎。
愛するいちと離れたくない与五郎。
共に笹原家と引き換えにしてもいちを渡さないと主張する。
これを受けて、家老の柳瀬三左衛門や高橋外記が圧力をかける。
累が及ぶことを怖れた笹原一族のまとめ役・笹原監物は伊三郎の妻・すがと与五郎の弟・文蔵を使い騙し討ち同前にいちを連れ去ることに。
これに対し、伊三郎と与五郎は徹底抗戦を決意する。
屋敷を枕に討死を決めた伊三郎と与五郎。
すがと文蔵はとみを置いて逃げ出してしまった。
そこで、とみの世話役として柳瀬より送り込まれたきくへとみを預けることに。
一方、状況は伊三郎の予測通りの展開となりつつあった。
松平正容自身の意向もあり、主命を軽視したとして討手を差し向けることに決まる。
そして夜半、伊三郎と与五郎の前に高橋外記が手勢と共に現れた。
秘策があるのか自信を見せる外記。
その正体はすぐに知れた。
外記はいちを連れて来ていたのだ。
ご生母として伊三郎たちの助命をするか、このまま伊三郎たちを見殺しにするか選べと言うのだ。
もしも助命嘆願すれば、与五郎の妻ではなく生母となることを認めることとなる。
かといって、見殺しにすることも出来ない。
追い詰められたいちはその場で自決してしまう。
これを見た与五郎は半狂乱となり無防備にいちへと駆け寄る。
そんな与五郎に外記は無情な一撃を加える。
哀れ、与五郎はいちと重なり合うように絶命した。
息子夫婦の無惨な死に逆上した伊三郎は、外記とその手勢を怒りのままに皆殺しにすることに。
翌朝、与五郎夫婦の墓を作る伊三郎の前にとみを抱いたきくが。
きくからとみを受け取る伊三郎。
もはや、この世に2人のみの風情である。
とみを連れた伊三郎は一路、江戸を目指す。
幕府に藩の非道を訴え出る為である。
追っ手を避けつつ国境を目指す伊三郎。
遂に木戸まで辿り着くが……。
其処に待ち受けていたのは親友・浅野帯刀であった。
国廻り支配である帯刀は不正に出奔する者、侵入する者の排除が職務である。
伊三郎とは相反する立場となっていた。
結果、伊三郎は帯刀と一騎討ちせざるを得なくなる。
対峙する2人、暫しの静寂の後、決着はついた。
斬ったのは伊三郎、斬られたのは帯刀であった。
帯刀は伊三郎の心情を察し、かといって職務を捨てることも出来ず、敢えて斬られたのだ。
こうして、与五郎やいちに続き帯刀の遺志をも背負った伊三郎。
改めて目的を果たすことを決意する―――が、そんな伊三郎の耳に甲高い破裂音が。
鉄砲であった。
藩は伊三郎を抹殺すべく鉄砲まで持ち出して来たのだ。
鉄砲は狙い違わず、伊三郎を貫く。
瀕死の身体を支えつつ、鉄砲隊に斬り込む伊三郎。
だが、満身創痍の身に鉛の弾を撃ち込まれて行く。
「とみ……」
遺される孫のことを想いつつ、伊三郎は落命してしまう。
少し離れた地にて、泣き出すとみを抱える人影があった……きくである。
きくは1人遺されたとみを抱いたまま、その場を去るのであった―――エンド。
<感想>
映画「上意討ち 拝領妻始末」のリメイクです。
・映画「上意討ち 拝領妻始末」がドラマリメイク決定!!&「上意討ち 拝領妻始末」ネタバレあらすじ
「上意討ち 拝領妻始末」は1967年に公開された映画。
滝口康彦先生『拝領妻始末』(講談社刊)が原作。
『拝領妻始末』については、講談社文庫の『一命』にも収録。
これでお分かりになる通り、滝口康彦先生と言えば、2011年にリメイクされた映画「一命」の原作者でもあります。
・「一命」(2011年、日本)ネタバレ批評(レビュー)
原作本来は森鴎外『阿部一族』などに見られる「封建社会の悲劇」「武士の悲哀」「組織に潰される個人の尊厳」「絶対権力者の恐ろしさ」「権力を持つ者の責任」などを描いた作品と思われますが、本ドラマでは「夫婦の愛」「家族の愛」と「それに殉じる者たちへの鎮魂歌」とも言うべき作品となっています。
以上のように、大きな社会風刺や時代風刺から、個人的なテーマに改変したのは驚きでした。
ですが、これが上手く作品とマッチしており、また主演の田村正和さんたちの熱演もあって物凄く良かった。
特に梶芽衣子さん、凄かった。
内容としては、きくがとみをあのまま育てて行くことになるのでしょう。
それにより、与五郎といちの愛の証拠もこの世に残った。
テーマ的にこういった結論になりそうです。
◆関連過去記事
・「一命」(2011年、日本)ネタバレ批評(レビュー)
・映画「上意討ち 拝領妻始末」がドラマリメイク決定!!&「上意討ち 拝領妻始末」ネタバレあらすじ
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