ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
進化し続ける湊かなえの新たなる代表作!
元英語講師の梨花、結婚後、子供ができずに悩む美雪、絵画講師の紗月。3人の女性の人生に影を落とす謎の男「K」。感動のミステリ
主人公は3人の女性。両親を亡くし、愛する祖母もガンで入院中、さらに講師として働いていた英会話スクールが破綻し金銭的に困っている梨花、建設会社で働いていたが、伯父夫婦のすすめで営業職の和弥と結婚した美雪、公民館で水彩画教室の講師をしつつ、和菓子屋でバイトをしている紗月(さつき)。この3人の視点で構成された傑作ミステリー。湊かなえの「新たな代表作」として、胸をはって刊行いたします。(ON)
(文藝春秋社公式HPより)
<感想>
美雪、沙月、梨花……3人の女性視点による物語。
物語自体に「ある大きな仕掛け」が施されています。
ヒントは「雪月花」、そして3人の名前。
タイトル『花の鎖』、その「鎖」こと「連鎖」の意味が分かったときに驚きがあなたを包み込むでしょう。
とはいえ、普段の湊先生の作品に比べると破壊力は……あまりかも。
ちょっと思っていたのとは方向性は違うかな。
どちらかと言えば、湊先生の作風は短編でこそ力を発揮するのでは!?
そんな本作『花の鎖』ですが、フジテレビさんにてスペシャルドラマ化されるそうです。
キャストについてもかなり豪華な様子。
・湊かなえ先生原作『花の鎖』がスペシャルドラマ化か!!
早ければ2013年4月に放送されるとの噂も出ていますが……果たして。
こちらも要注目です!!
それと、ネタバレあらすじですが、まとめ易いようにかなり改変しつつ簡略化してます。
大筋は押さえられていると思いますが、やっぱり本作それ自体を読むことをお勧めします。
<ネタバレあらすじ>
梨花は追い詰められていた。
梨花の両親は既にこの世には無い。
2人はともに山登りに出かけ、そのまま帰って来なかったのである。
以来、祖母と2人で生きて来た。
ところが、その祖母が病気にかかり手術が必要となった。
だが、治療費が捻出できない。
梨花は英会話教室に勤務していたが、勤務先が倒産していたからである。
困り果てた梨花は、以前から花を贈って来ており資金援助の申し出があった謎の人物「K」を頼ることに。
果たして「K」の正体は?
美雪は長年憧れていた和也とお見合いの末に結婚し満ち足りていた。
和也は美雪の従兄である陽介とも親友であり、陽介が設計事務所を起こすのに従い独立した。
ところが、和也が設計した美術館の図面の権利を陽介に奪われてしまう。
しかも、和也自身も陽介に誘われた登山で命を落とす結果に。
すべて陽介に嵌められた……そう考えた美雪は陽介を恨み、これと絶縁することとなった。
沙月は大学時代に山岳部に参加し先輩の浩一と恋に落ちる。
だが、彼と自身に因縁があることが発覚し、別れることに。
その後、夫となる相手と出会い結婚。
浩一はといえば、沙月の友人と結婚してしまう。
一方、謎の人物「K」の正体を追う梨花はある真実に辿り着く。
「K」の正体は沙月の元恋人・浩一であった。
そして、沙月こそは梨花の母。
さらに、美雪こそは梨花の祖母であったのだ。
同一時間軸上にあるように描かれた物語は「美雪→沙月→梨花」と3世代に渡る親娘の物語だったのだ。
そう、沙月が浩一と別れを決断した因縁とは、浩一が陽介の息子だったこと。
浩一と沙月は親が仇同士だったのだ。
ところが、別れて数年後に浩一が白血病であることが判明。
適合するドナーが見つからずに困っていたところ、絶縁したとはいえ親族だったからであろうか沙月と浩一が合致することが分かる。
美雪の手前、表立っての協力は憚られたが、元恋人を死なせるには忍びなかった沙月はドナーとして協力した。
これにより、浩一は助かった。
以降、感謝の気持ちを表すために浩一は「K」として花を贈り続けた。
浩一の死後はその息子が不本意ながらそれを引き継ぐことに。
だからこそ、梨花に対し資金援助の話も出ていたのだ。
真相を知った梨花は、美雪の気持ちを理解するように。
当の美雪は和也の無念を晴らすべく、本当は彼が設計した美術館にある絵を飾るよう浩一の息子に要求する。
その絵とは、和也が美術館の設計に携わる契機となったものであった。
この願いは叶えられることとなった。
結局、真相は公に明かされることは無い。
だが、美術館に飾られた絵を眺める美雪と梨花は満足していた―――エンド。
・秋のスペシャルドラマ「秋の特別サスペンス 湊かなえ原作 花の鎖 ベストセラー待望のドラマ化!夫の疑惑死 謎の男Kに狂わされた3人の女達!毎年届く謎の花束…家族の秘密 冒頭60分に潜むワナ!衝撃のラストに震撼」(9月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)
◆関連過去記事
【ネタバレ書評(レビュー)】
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(湊かなえ先生『望郷、夢の国』についてネタバレ書評)
・『長井優介へ』(湊かなえ著、文藝春秋社刊『別冊 文芸春秋 2012年7月号』)ネタバレ書評(レビュー)
・『白ゆき姫殺人事件』(湊かなえ著、集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)
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【ドラマ】
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【その他情報】
・“本の雑誌”こと「ダ・ヴィンチ」にて湊かなえ先生特集が掲載、しかも古屋兎丸先生によるコミック版「贖罪」も!!
・2010年公開ミステリ系映画(「告白」、「悪人」、「インシテミル」)、DVD化続々
・湊かなえ先生『贖罪』がドラマ化!!
・湊かなえ先生原作『二十年後の宿題』(『往復書簡』収録)が映画化!!そこには意外なエピソードが……
・湊かなえ先生がドラマシナリオを!!フジテレビ系列土曜ドラマ「高校入試」に注目か!?
・【ドラマ情報】湊かなえ先生『夜行観覧車』(双葉社刊)がTBS系金曜23時枠にて連続ドラマ化決定!!
・湊かなえ先生原作『花の鎖』がスペシャルドラマ化か!!
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- 『陰の季節』(横山秀夫著、文藝春秋社刊『陰の季節』収録)
湊かなえさんの本はよくドラマや映画になりますね。映像化して映えるということでしょうね。
でも「花の鎖」は話の展開が叙述トリック的な感じで進んでいくのでどんなふうにドラマにするのか不思議でもあり楽しみでもあります。
放映されたら2時間ドラマの方を訪れてみますね。
こんばんわ!!
お久しぶりです、管理人の“俺”です(^O^)/!!
>湊かなえさんの本はよくドラマや映画に〜〜〜
湊先生作品は確かに映像化すると映えるものが多いですね。
特に長編にその傾向が強いように思います。
>「花の鎖」は話の展開が〜〜〜
ご指摘の通り、『花の鎖』は3人の主人公の意外な関係性も大きなポイントなので、この表現法は気になりますね。
此処は大事にして欲しいところ。
>放映されたら2時間ドラマの方〜〜〜
是非是非、お待ちしてます(^O^)/!!
ドラマ版『花の鎖』楽しみですね!!