ネタバレあります、注意!!
<ネタバレあらすじ>
登場人物一覧:
藤村月:陽一の父が再婚したことで、陽一の義妹となった。犯罪心理学と観相学を駆使する天才少女。
藤村陽一:警視庁捜査一課勤務、35歳。
陽一の父:犯罪心理学者。多くの事件解決に寄与した。
岡田良子:今回の事件の被害者と思われる人物。だが、死体が発見されていない。
岡田修:今回の事件の被疑者と思われる人物。だが、証拠が見つかっていない。
藤村陽一は刑事。
父は高名な犯罪心理学者でアメリカに滞在している。
そんな陽一の父が再婚した。
相手は中国系アメリカ人の女性らしい。
こうして、陽一には知らないうちに義妹が出来た。
父の再婚相手に連れ子が居たのだ。
名は華月霞、今は藤村月だ。
そんな月が来日することとなった。
陽一は未だ見ぬ義妹との出会いを明日に控え、些か緊張していたが……。
帰宅した陽一、部屋の鍵が開いている。
何故だ……?
警戒しながら部屋に入ると、其処には仮面を着けた謎の人物が!!
身構える陽一に、相手は「陽一が自分に警戒していること」を分析して口にする。
呆気にとられる陽一。
実はその謎の人物こそ、義理の妹である月であった。
「何故、空港に迎えに来なかったのか」と問い詰める月。
そう言われて、陽一はハタと時差の存在に気付く。
1日勘違いしていたのだ。
咄嗟に謝罪する陽一の姿を目にした月は「クスリ」と微笑むのであった。
その夜、「早速、魔女っ娘の洗礼を受けたか」と父に笑われる陽一。
父によれば、月は「犯罪心理学と観相学の天才」らしい。
「捜査に困ったら助けを求めるように」と助言される。
翌朝、昨日のこともあり、ついつい深く寝入ってしまったようだ。
どうやら、枕元で何か映像を再生している音がするが……。
慌てて飛び起きた陽一の目に飛び込んで来たのは、捜査資料用の動画をチェックする月の姿であった。
取り調べを受けてる被疑者を見た月は「この人が犯人ね」と断言する。
「なんで、そんなことが分かるんだ」とツッコミかける陽一だが、そもそもパスワードをかけていた筈なのに、どうやって動画を再生できたのか?
驚く陽一に月はあっさりと「簡単だった」と感想を告げる。
デスクトップの壁紙が「地球と月」だったことから、パスワードがその距離を示しているとすぐに見抜かれたらしい。
月の慧眼に驚愕する陽一だが、驚きはコレに留まらなかった。
なんと、月は捜査にも関わって来たのだ。
どうやら、父が既に口を利いていたらしい。
今回の事件は月が目を通していた動画の被疑者・岡田修がその母・岡田良子を殺害したと考えられていた。
だが、被害者の遺体自体が発見されておらず、決め手に欠けていた。
月は岡田修の取り調べを行うことに。
幾つか質問を始める月。
その度に修は表情や態度から嘘を見抜かれてしまう。
これにより「良子の預金を黙って使ってしまった修がガーデニング中の良子を後方から殺害した」との事件像が浮かび上がる。
しかも、どうやら「森に埋めた」らしい。
良子の死体が発見されない限り、修の犯行は立証できない。
だが、森を捜すには途轍もない手間がかかる。
躊躇する陽一だったが、月は「それも簡単に解決する」と主張する。
修と共に埋めたとみられる森にやって来た陽一と月。
月は周囲を見渡すやカトレアを見つけ、其処に良子が埋められていると断定する。
良子はガーデニング中に殺害された。
胸ポケットに植物の種を入れていても不思議ではない。
良子の胸ポケットに収められていたカトレアが発芽していたのだ。
修の表情を見れば、この月の指摘が正しいことは明らかであった。
早速、掘り返された結果、良子の遺体が発見される。
「この化物がぁぁぁぁぁぁぁぁ」
自身の罪が露見した修は、月に対し罵声を浴びせる。
その瞬間、月の脳裏に幼い自分に同様の台詞を浴びせ虐待する父の姿が。
嫌われても仕方が無いよね……肩を落とす月。
そんな月の肩に手が添えられる。
陽一である。
「よくやったな!!」
満面の笑顔で労いの言葉をかける陽一に、月も自然と微笑むのであった―――2話に続く。
<感想>
先頃完結した「幇間探偵しゃろく」でお馴染みの青木朋先生が宮崎克先生とタッグを組み、新たなミステリコミックの連載を「ビッグコミックオリジナル 増刊号」で開始されました。
タイトルは「月は囁く」。
捜査官・藤村陽一とその義妹・藤村月が犯罪事件を解決する物語。
では、その1話を読んだ感想を。
なかなか良かったですね。
多少、淡泊すぎて漫画にしてはインパクトが薄い面もありますが、その分、シナリオが理解し易い印象。
月は父親に対しトラウマがある様子。
その天才的な力により、父に虐待されていたのかな。
結局、父と母はこれが原因で離婚。
そして、母が陽一の父と再婚といった流れか。
月としては離婚の原因が自身にあると考えて、以来、人と距離を置くようになったか。
ところが、無邪気な陽一に癒されていく展開か。
イイですね。
最終的には月がトラウマとなった父と和解する(乗り越える)展開もありそうかな。
サブタイトル「月は囁き、花は語る」も良かったですね。
まさに、その通り。
月が真相を囁き、カトレアの花が真実を語りました。
ここも良し。
1つ気になったのは「死体が見つかっていないのに事件として捜査出来るのか」。
どうなのかな?
そして、全体的に漫画版「ライ・トゥー・ミー」的な印象も。
これに陽一と月の義兄妹キャラクターを加えたのが本作か。
興味を抱かれた方は是非、『ビッグコミックオリジナル 増刊号』にて本作を確認されたし。
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