2013年02月25日

『ミタライ ―探偵御手洗潔の事件記録― 山高帽のイカロス』最終話(第4話)(島田荘司原作、原点火画、講談社刊『週刊モーニング』4号連続掲載)ネタバレ批評(レビュー)

『ミタライ ―探偵御手洗潔の事件記録― 山高帽のイカロス』最終話(第4話)(島田荘司原作、原点火画、講談社刊『週刊モーニング』4号連続掲載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
御手洗潔:名探偵。
石岡:御手洗の助手にしてベストパートナー。
湯浅真:事件の目撃者。
赤松稲平:画家。人は空を飛べると信じていた。2話にて死体で発見される。
氷室志乃:赤松の妻、企業家。2話にて公園を放心状態で彷徨っているところを保護された。
古川:志乃の秘書。3話時点で消息不明になっている。
後亀山刑事:担当刑事。
田崎刑事:担当刑事。

・前回までのあらすじはこちら。
『ミタライ ―探偵御手洗潔の事件記録― 山高帽のイカロス』第3話(島田荘司原作、原点火画、講談社刊『週刊モーニング』4号連続掲載)ネタバレ批評(レビュー)

御手洗の語る真相は驚くべき物であった。

氷室志乃は生活力のない夫・赤松に愛想を尽かし、これを秘書の古川と共に殺害した。
だが、この犯行はまことに行き当たりばったりなものであった。
現に犯行直後に思いもよらぬ人物が現れた―――赤松を訪ねて来た湯浅である。

これに驚いた志乃と古川は、赤松の死体をベッドの下に隠すと窓から脱出した。
ところが何たることか、一向に赤松の死体は発見されない。
そうこうしている内に御手洗たちが会社に訪ねて来ることに。
この際、御手洗の口から赤松の行方を問う言葉を聞いた志乃たちは焦りを募らせる。

何とかしなければ……打開策を求めた志乃たちは赤松の死体が未だ発見されていないことを利用して、秘密裏に死体を処分してしまおうと考えた。
幸い赤松の死体からはロープが屋外へと伸びていた。
其処で屋上からこれを引き摺り上げる方法が採用されることに。

此処までの推理をマネキンを赤松の死体に見立て実演してみせる御手洗。
ところが、肝心のマネキンが窓のサッシに引っ掛かり動かない。

あの夜は此処で古川に思わぬ奇想が芽生えた。
古川はこれを実行に移すべく向かいのビルに移動、すぐ脇を走る電車に輪にしたロープを引っかけた。

御手洗も同じようにロープを電車へと投げかける。
電車の進行方向上にロープが巻きとられて行き……そのとき、御手洗が小さな悲鳴を上げた。
その腕にはロープが絡まっている。
もちろん、電車は止まらない。
御手洗の腕がロープに締め付けられて……飛んだ。
目を背ける石岡だったが、そんな石岡の様子を気にかけることもなく御手洗は失われた筈の腕を振って見せる。
先の飛んだ腕はマネキンの腕であった。

あの夜の古川にも同じことが起こったのだ。
だが、こちらは本物である。
この光景を目の当たりにした志乃は精神の均衡を崩した。
古川は治療すべく病院への道を急ぎ、電車事故に遭い絶命した。
引き千切られた古川の腕は電車と共に終点まで。
そして……ロープにより運び出された赤松は電線の上で宙ぶらりんとなった。

これこそが事件の真相だったのだ。

では、赤松が志乃の会社で目撃した空を飛んだ志乃の正体は何か?
これも簡単であった。

衣装室の扉には鏡が据えられている。
廊下越しにトイレへと向かった志乃の姿がそこに映り、如何にも何もないところへ消えたように見えたのだ。
そして、赤松が飛行用の出入り口だと述べていた宙に浮くドアは……。
何のことは無い、災害時の緊急脱出用ドアであった。

数ヶ月後、この事件が発端となり赤松の絵が売れるようになった。
精神の均衡を崩した志乃は入院している。
その費用は赤松の絵の販売代金から賄われている。
赤松は死して初めて、妻に対して金銭的に支えることが出来るようになったのである―――『山高帽のイカロス』了。

<感想>

『ミタライ ―探偵御手洗潔の事件記録―』の第3弾。
今回、コミカライズ化されたのは短編集『御手洗潔のダンス』に収録された『山高帽のイカロス』。
その最終話となる第4話でした。
原作短編『山高帽のイカロス』に興味のある方は、こちらをどうぞ!!

『山高帽のイカロス』(島田荘司著、講談社刊『御手洗潔のダンス』収録)ネタバレ書評(レビュー)

今回の御手洗は「空を飛んだ男の謎」に挑みます。
果たして、男は本当に空を飛んだのか?

最終話ということで「起承転結」の「結」の回。
すべての真相が明かされました。

それまで志乃により生活を支えて貰っていた赤松が、死後になって自身を殺した志乃を支えるようになったとの結末がなんとも皮肉に溢れていましたね。
良かったです!!

漫画版『山高帽のイカロス』はこれで終了を迎えましたが、『ミタライ』自体はまだまだ続きます。
既に次のコミカライズの準備に入られたとのこと。
何でも「松崎レオナ」登場らしい。
レオナが登場する作品といえば『暗闇坂の人喰いの木』『水晶のピラミッド』『アトポス』『ハリウッド・サーティフィケイト』『さらば遠い輝き』『レオナからの三通の手紙』だそうだけど、此の中のどれかかな。
これまでのところ『ミタライ』は短編が原作となっていたけど前半3作は長編なので無いかな。
果たして、どの作品だろう……とドキドキ。
楽しみに待ちたいところ。

◆『ミタライ ―探偵御手洗潔の事件記録― 山高帽のイカロス』関連過去記事
『ミタライ ―探偵御手洗潔の事件記録― 山高帽のイカロス』第1話(島田荘司原作、原点火画、講談社刊『週刊モーニング』4号連続掲載)ネタバレ批評(レビュー)

『ミタライ ―探偵御手洗潔の事件記録― 山高帽のイカロス』第2話(島田荘司原作、原点火画、講談社刊『週刊モーニング』4号連続掲載)ネタバレ批評(レビュー)

『ミタライ ―探偵御手洗潔の事件記録― 山高帽のイカロス』第3話(島田荘司原作、原点火画、講談社刊『週刊モーニング』4号連続掲載)ネタバレ批評(レビュー)

◆関連過去記事
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posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画批評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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