2013年03月25日

「シャーロッキアン!」第33話「騎士と漱石」(池田邦彦著、双葉社刊「漫画アクション」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「シャーロッキアン!」第33話「騎士と漱石」(池田邦彦著、双葉社刊「漫画アクション」連載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

シャーロッキアン!1


<33話あらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜〜

エル文化大学に通う女子大生・原田愛理はシャーロッキアン。
同じくシャーロッキアン(ホームズ譚の実在を信じる熱狂的なファン)である車教授と親交を結ぶことに。
ここから愛理の見つけて来た謎に車が挑むとの名コンビが結成された。

やがて、愛理と車教授の間には愛が芽生える。
だが、車は亡き妻を想うばかりに素直になれない。

そんな中、愛理が病気の為に倒れてしまう。
此処に至り、車は愛理への気持ちを告白。
2人は相思相愛の仲になるのであった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

夜の街、普段と打って変わって着飾った衣装の愛理が慌てて何処かへ向かっている。
その頬は赤く上気し、雰囲気からは嬉しそうな様子が見て取れる。
一体、何処へ―――いやいや、こんな表情の愛理が向かう先と言えば1つしかない。

愛理が息を切らせつつ現れたのは、車たち「シャーロッキアン」の定例会であった。
生憎、メンバーは全員が揃っている。

遅れて来た愛理を見た彼らは「我らがアイリーン・アドラー」と呼びかける。
愛理の才気と名前にかけたものだ。

そんな中、ふと話題に上ったのは「ナイト・オブ・ベイカーストリート」。
つまり、「ベイカー街の騎士」のこと。

「ナイト・オブ・ベイカーストリート」とは車たちが所属する「シャーロック・ホームズ・アソシエイション」が主催する論文大会のこと。
この大会に優勝することは大変、名誉なことなのだ。

メンバーたちはこれに愛理が参加してはどうかと持ちかける。
だが、愛理には学生の本分である学業にて提出期限が迫る論文があった。
そちらのテーマは夏目漱石について。
到底、2つをこなすことは出来ないと断るのだが……。
愛理の返答を聞いた車は寂しげな表情に。

これを目にした愛理は車の為にチャレンジを決意する。
なんと、1つの論文で両方に通用する物を仕上げて見せると決めたのだ。

そして、用意した論文とは……なんと、シャーロック・ホームズと漱石が過去に出会っていたとのものであった。
しかも、聖典にはない「自分はこれからもシャーロック・ホームズであり続ける」との言葉をホームズが漱石にかけたと主張したのだ。

「ナイト・オブ・ベイカーストリート」発表会当日。
壇上にて論文を読み上げる愛理。

イギリスに留学した漱石だったが、名誉を第一と考える彼にとって異郷の地はまさに過酷であった。
遂に精神を病んでしまう。
そんな中、名誉を重んじる漱石が理解できない相手が現れた。
それが騎士叙勲を断ったホームズであった。
理由を聞こうとホームズと面会した漱石は、彼から「賞など関係ない。シャーロック・ホームズはシャーロック・ホームズだ。自分はこれからもシャーロック・ホームズであり続ける」と告げられたのだ。
これに感銘を受けた漱石は後の大文人への道を歩き始めた……そうまとめたものであった。

これが大好評。
大賞を受賞することに。
大喜びする愛理、車教授も愛理を抱きしめて受賞を祝う。

さて、授賞式。
だが、愛理は車から「辞退するように」と言い含められる。
もともと、「ナイト・オブ・ベイカーストリート」はホームズが騎士叙勲を断ったエピソードがもとになっている。
つまり、断ることが慣例だったのである。

折角、受賞したにも関わらず断らざるを得ない愛理。
だが、車教授の笑顔こそが彼女にとってのご褒美であった。

とはいえ後日、愛理は文学部の教授に理解して貰えず論文再提出を言い渡されてしまうのであった―――34話へ続く。

<感想>

シャーロッキアンの意外な真実を縦軸に、車教授と愛理の関係を横軸に置いた作品「シャーロッキアン!」が堂々の完結から半年ほどで帰還となりました。
そんな新シーズン第6話は「騎士と漱石」。

騎士叙勲を受けながら断ったホームズのエピソードをもとに、当時国費留学していた漱石と重ね合わせることで新たなエピソードを生み出しました。
良かったですね!!

ちなみに、このホームズと漱石が出会っていたとの説。
作中でも上げられていましたが、山田風太郎先生の短編『黄色い下宿人』や島田荘司先生『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』などでも扱われています。
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パスティーシュものと言えば、光文社さんの『シャーロック・ホームズに愛をこめて』も有名ですね。

それにしても、愛理と車教授がアツアツのラブラブですね。
う〜〜〜ん、この調子は逆に怖い気も。
2人の間に波乱が来るのかもしれないなぁ。
それこそが第4シーズンラストに繋がるのか。

次回にも要注目です!!

◆関連過去記事
・1話から27話までのまとめです。
「シャーロッキアン!」(池田邦彦著、双葉社刊「漫画アクション」連載)まとめ

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