ネタバレあります、注意!!
第1話登場人物一覧:
三好善美:主人公、善行ポイントを集めている。
九條:上司に解雇通告を受けた男。
謎の少女:善美が助けた謎の少女、実は……。
<ネタバレあらすじ>
とある夜、1人の女子高生がビルから転落した。
下には段ボール箱が積まれており、落下した女子高生は無事。
段ボール箱に収納されていた風船が空へと舞い上がる中、女子高生は「駄目だ……私では救えない」と洩らす。
果たして、彼女の正体は―――物語は発端へと遡る。
主人公・三好善美は眼鏡が特徴的な普通の女子高生……とはちょっと違っていた。
通学すべくバスに乗車した善美は、乗り合わせた老婆に席を譲る。
此処までは普通の光景……だが、此処からが違っていた。
善美は老婆に手にした「すまいるメモ」へのサインを求める。
驚くべきことに、其処にはビッシリとこれまでに善美が行った善行が記されていた。
善美は率先して人助けを行う代わりに、助けた相手からサインを貰い善行ポイント(自称)を貯めていたのだ。
そのポイントも10万善(善美の作った単位)に近付きつつあったが……。
学校に到着した善美。
教科書を忘れた隣席の男子学生に教科書を貸してはポイントに。
消しゴムを忘れた隣席の男子学生に消しゴムを貸してはポイントに。
……と、着々とポイントを重ねて行く。
放課後に入り、野球部が投げたボールが誤って校長室の窓ガラスを割る様子を横目に見つつ、下校する善美。
これからコンビニのバイトへと向かうのだ。
その途中、善美は木に風船が引っ掛かり困り果てた様子の少女を見つける。
見かねた善美は手助けすることに。
もちろん、ポイント狙いである。
風船を受け取った少女は元気に駆け去って行く―――これが大きな影響を与えることになろうとは知る由もない。
コンビニに到着した善美、其処へ善行ポイントを貯めるチャンスが。
コンビニの先輩が合コンに行きたいので、夜勤を交代して欲しいと頼み込んで来たのだ。
サインを貰う代わりに、了承する善美。
これまた、大きな影響を与えることになるのだが知る由もない。
その夜、先輩に代わりコンビニに詰める善美。
コンビニ強盗の報道が為される中、先輩からは合コン成功の報告がメールで届く。
此処までは特に問題が無かった、此処までは。
と、善美の前に刃物を手にした男が現れたのだ。
まさか、件のコンビニ強盗?
色めき立つ善美だが、相手はそれとは別人だと語る。
それならば……と思い直すように説得する善美だが、男は「既に人を殺してしまった」と述べる。
何でも、勤務先で急に解雇を告げられ争う内に誤って殺してしまったらしい。
自棄になった様子の男は刃物を振り回す。
その姿を店内に居た別の客が携帯カメラで撮影してしまい……。
これに刺激された男は一層、激しく刃物を振り回し続ける。
その際、レジ前のおでんが引っくり返ってしまう。
おでんの出汁に足を取られた男、手にした刃物はレジに居た善美の顔へと吸い込まれるように……。
終わった……死を覚悟する善美。
その前で、世界はスピードを落として行き……静止した。
何が起こったか分からない善美の前に現れたのは、昼間の風船少女。
少女は自身が神だと伝えると、風船の礼を善美にしたいと告げる。
この状況で善美の望むことはただ1つである。
このピンチを回避することしかあり得ない。
これに少女は時を巻き戻し、善美がレジに入らないようにすれば良いと提案する。
だが、善美はこれに納得しない。
代わりの人間が被害を蒙ってしまうと考えたのだ。
物事を根本から解決するべきだと主張する善美に少女は1日の猶予を与えることに。
つまり、今日の初めに時を巻き戻すこととしたのである。
ところが、これには大きな問題があった。
時の修正力の影響で、同じ日を10回繰り返すこととなったのだ……。
あの日と同じ朝を迎えた善美。
今日何が起こるかは知っている、上手く立ち回れば善行ポイントを稼ぐことが出来るとご満悦である。
そして、同じことはあの強盗の身の上にも起こっていて……。
その日の善美は明らかに異なっていた。
1周目の経験を活かし、悉く先回りを重ねて行く。
校長室へ飛び込む筈だったボールはグラブを構えていた善美により阻止された。
街へ繰り出せば、あの夜に報道されていた強盗を発見。
野球部の協力もあり、先回りして未遂のうちに捕まえることに成功する。
この変化には、善美が校長室へのボールダイブを阻止したことが影響しているようだ。
1周目に風船少女と出会った場所へ向かう善美。
だが、風船少女は其処には居ない。
そこでそのままコンビニへ。
先と同じく、レジに立っていた先輩に合コンに参加する為の交代を頼み込まれた善美はこれを了承。
だが、交代は夕方からと条件をつけた。
その間に善美のもとへやって来たあの刃物男を捜す為である。
なんとしても、止めなければならないのだ。
とはいえ、刃物男は何処に居るのだろう?
その頃、当の刃物男はといえば―――。
刃物男、その本名は九條と言う。
九條はあの夜の記憶があるにも関わらず、同じ1日を繰り返していることに困惑していた。
このまま行けば上司に解雇を告げられ、誤って殺してしまいかねない。
どうしたものか……と考えあぐねていると、ばったり善美に出会う。
九條の職場と善美のコンビニは隣合わせだったのだ。
昨夜の記憶を保持している善美から事情説明を受けた九條。
やり直すことが出来ると知り、今度こそ失敗しないと誓う。
これで、すべてが上手く行くと胸を撫で下ろす善美。
ところが、その夜―――。
1周目と同じく先輩と交代した善美。
そんな善美のもとに先輩からメールが。
「合コン成功」の報告かと思いきや、どうも様子がおかしい。
訝しがる善美、その前に何やら取り乱した様子の九條が。
悲劇は回避された筈だったが……慌てる九條によれば「彼に解雇通告する筈だった上司が既に死んでいた」らしい。
上司に呼び出された九條、呼び出し時刻に応じて上司のもとへ向かうと上司が何者かに殺害されていたのだそうだ。
しかも、その背中には近頃話題の通り魔殺人犯による犯行声明代わりのマークが残されていた。
何がどうなっているのか?
混乱が拍車をかける中、2周目が終わり3周目へ突入する―――2話に続く。
<感想>
「月刊コミックブレイド」にて連載が開始されたヤマモトマナブ先生の作品です。
「善行をポイント化することが生きがいの女子高生が、ひょんなことから同じ1日を10回繰り返す」ことになる作品。
その中で「如何にして皆をハッピーにするか」がポイントの模様。
「ミステリ」で1日を繰り返すと云えば、思い浮かぶのは西澤保彦先生『七回死んだ男』。
あれは間違いなく名作です。
・『七回死んだ男』(西澤保彦著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
最近でこの系統と言えば、「ひぐらしの鳴く頃に」もこれと同じ系統かな。
どちらかと言えば本作は「ひぐらし」に近いかもしれない。
そんな中、本作「リピートアフターミー」の特徴は「善行ポイント」が存在していること。
「1日を繰り返す」タイプの作品だと「最後の1日まではどう足掻いても問題解決が為されない」ことは既に分かっています。
これは本作の冒頭でビルから転落した善美が洩らす台詞からも判明。
おそらく、どう立ち回っても回避できない二律背反的な状況が成立してしまったものと思われます。
善美の親友や野球部員など、誰かを助ければ誰かが助からない状況か。
これに対し、10万ポイントが何らかの救済に繋がっているのは間違いなさそう。
おそらく結末としては「何度挑戦しても事態は改善されず冒頭の諦めシーンへ、其処からラスト10回目がスタートし善行10万ポイントと引き換えに神様が奇跡を起こしベストな形に繋がる」と言ったパターンが予想されます。
如何にこの結末へと繋げるのか?
おそらく構成的に全10話から11話、長くても12話と思われます。
その分、結末へ向けて綺麗に伏線を配している筈。
伏線好きな読者には堪らない本作、次回にも期待!!
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