<あらすじ>
人骨を専門に研究している人類学者で大学准教授の岬久美子(大塚寧々)は、警視庁現場資料班の加治川(渡辺いっけい)から、奇妙な頭蓋骨の鑑定を依頼される。それは、顔半分と後頭部が緑色に染まった“緑色の骨”だった。何者かに刺殺された女性・足立苑子(中村綾)が使用していたコインロッカーから、5000万円の札束と共に発見されたのだ。
鑑定に取りかかった久美子は、この不思議な緑の着色は、遺体が置かれていた場所にあった何らかの色素が骨に付着したものと分析。また、頭蓋骨や歯の状態から、死後10年ほど経過した30代半ばの男性と鑑定する。だが、スーパーインポーズ法を使って男性の失踪人データと照合してみても、該当者は見つからなかった。
その頃、苑子が遺した5000万円の線から殺人事件を追っていた捜査一課の高村管理官(佐戸井けん太)は、ある手掛かりをもとに、久美子の教え子である徳田楓(仲村瑠璃亜)と江成文香(寺島咲)に聞き込みを行う。すると突然、楓が過呼吸の発作を起こして倒れてしまった。
久美子からの連絡を受け、楓の母・恵津子(床嶋佳子)とその友人・宮内正美(山下容莉枝)が病院に駆けつけてくる。だが、遅れてやって来た文香の母・由紀乃(伊藤かずえ)と顔を合わせたとたん、3人の間に複雑な空気が流れた。高校時代からの親友だという恵津子、由紀乃、正美だが、現在の彼女たちの間には何らかの深刻な問題が横たわっているように、久美子には見えた。
そんな久美子に、文香が衝撃の事実を打ち明ける。なんと10年前に、資産家の娘である文香と間違われ、楓が誘拐されていたのだ。ホテルチェーン創業者一族の娘で文香の母の由紀乃が、その婿養子で社長の江成勇(冨家規政)が立て替えた身代金5000万円を犯人側に渡したことで、楓は解放された。だが5000万円を奪って逃げた誘拐犯は、いまだに逮捕されていないという。
高村管理官は、足立苑子が隠していた5000万円が10年前の身代金の紙幣ナンバーと一致したため、苑子と緑の頭蓋骨の男が10年前の誘拐事件の共犯だと推理し、骨の身元の特定を急ぐよう久美子に指示する。そこで久美子が頭蓋骨を使った“復顔”作業に挑むと、そこから意外な人物の顔が浮かび上がった!
(土曜ワイド劇場公式HPより)
では、続きから(一部、あらすじと重複あり)……
足立苑子が何者かに殺害され、その所持品から人骨と5000万円が発見された。
5000万円の出所を調べた高村は過去の誘拐事件に辿り着く。
それは資産家の娘・文香と間違われ、一般家庭の娘・楓が誘拐された事件。
文香の母・由紀乃、楓の母・恵津子、それに正美を加えた3人は学生時代からの親友。
だが、誘拐事件が原因で恵津子と由紀乃の間には大きな溝が出来てしまった。
恵津子が友情の証として由紀乃に贈った「青いエターナルブーケ」も飾られなくなったほどだそうだ。
久美子は誘拐犯が楓のピーナッツバターアレルギーに配慮していたことを聞き、楓の身近な人物の犯行であると考える。
さらに、足立苑子が由紀乃の夫・江成勇の愛人であったことが判明する。
一方、復顔の結果から遺骨の主が菅原昭博だと判明するが……。
矢先、正美が死亡してしまう。
この犯人として楓が連行されるが、何故か楓は黙秘を貫く。
高村は、過去の誘拐事件が菅原、足立苑子と正美による犯行であり、仲間割れが起き殺人にまで発展したと考える。
この過程で浮かび上がったのが、平山泰正という老人。
平山は既に故人となっていたが、彼にゆかりのある土地から菅原の胴体の骨が発見される。
その胸骨には青い着色料が残されていたが……。
真相に辿り着いた久美子は関係者を一同に集め、事件を説明し始める。
「不可変領域というものがある」と語る久美子。
親子などに受け継がれる骨の共通部分のことらしい。
久美子は文香の頭部を触った際に、菅原昭博の頭部と同じ物を感じ取っていた。
つまり、菅原と文香は親子だったのだ。
由紀乃は正美を通じて紹介されたアルバイト先で菅原昭博と出会い、これと交際した。
そして、その子供を妊娠した。
だが、昭博に捨てられ、妊娠を隠し江成勇と結婚したのだ。
勇は文香を自身の子供であると信じ込んでいたが、異なっていたのだ。
ところが10年前、金に困った菅原昭博は文香の出生の秘密をネタに由紀乃を脅迫した。
遂に、菅原は文香を誘拐し金を払わせようとまで言い出す。
窮した由紀乃は、文香の代わりに楓を誘拐するよう提案する。
こうして、誘拐事件が発生したのだ。
菅原が誘拐と身代金受取に成功したのは、由紀乃の手引きがあったこそであった。
では、そんな菅原を殺害したのは誰か?
菅原の胸骨に残された着色料の正体は花びらに色を付ける染料であった。
そして……その色は青。
そう、由紀乃が恵津子に贈られたエターナルブーケである。
由紀乃がエターナルブーケを飾らなくなった理由は、菅原殺害時にこれが破壊されてしまったからであった。
そこへ平山泰正が訪問し、由紀乃を庇ったのだ。
平山は文香と楓の存在に精神的に救われていた。
2人を救うべく、由紀乃の犯行を隠蔽したのである。
由紀乃はあとを平山に任せ、海外に渡航した。
そして、最近になって帰国。
菅原の遺体が気にかかった由紀乃は埋めた土地へと向かう。
ところが、これを足立苑子が尾行していた。
苑子はこうして菅原の死体に行き着いた。
そこでこれを利用し由紀乃を脅迫し殺害されたのだ。
その後、復顔から遺体が菅原だと気付いた正美は由紀乃に自首を勧めた。
由紀乃は正美と揉み合う内に転落し、正美は死亡してしまったのだ。
これを楓が目撃してしまい、文香の為に黙秘を貫いたのである。
すべては由紀乃による犯行であった。
由紀乃を批判する恵津子。
そんな恵津子に亡き正美の本意を伝える久美子。
正美は30年前の恵津子、由紀乃との「また旅行しよう」との約束を守ろうとしていた。
3人で旅行に出かけるようプランまで立てていたのだ。
これを久美子から聞かされた恵津子と由紀乃は友情を再確認するのであった。
恵津子は逮捕された。
恵津子と由紀乃の友情は、その娘である楓と文香に引き継がれるのであった―――エンド。
<感想>
「人類学者・岬久美子の殺人鑑定!」シリーズ第3弾です。
前作である第1弾の放送が2011年8月6日だったので、実に1年6ヶ月ぶりの新作となりました。
前作はこちら。
・土曜ワイド劇場「人類学者・岬久美子の殺人鑑定! 死者を蘇らせるワインの謎!?殺人犯は12倍速で白骨化する!!」(8月6日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「遺跡発掘ミステリー 人類学者・岬久美子の殺人鑑定!砂浜をさまよう白骨死体!?22年前の殺人を六万年前の花粉が解く」(9月4日放送)ネタバレ批評(レビュー)
では、ドラマ感想から。
「女性同士の友情」がテーマかな。
これに「隣の芝生は青い」が加わり、嫉妬や憎悪が絡む。
ただ、余りにこれに説得力があり過ぎた。
終盤で、正美を介して「友情による美談」にしようとしているが、それが「負の感情を表現した演出」に追い付いていない。
一方で、「親世代の友情を子世代で受け継ぐ」とのコンセプトはアリだと思うので、もっと説得力のある展開にすべきだったのではないだろうか。
何より、どう見ても由紀乃1人に周囲が振り回されてるのは間違いない。
確かに由紀乃1人が悪いワケではないが、周囲を巻き込む分岐点とも言うべき選択に悉く関わっているのが痛い。
それを恵津子、正美たちとの友情で美談にしようとするのには無理がある。
あくまで「親世代で達成できなかった友情を子世代が継ぐ」で良かったのに。
というワケで、ドラマとしては正直微妙。
特にラストで損をしているタイプだと思う。
厳しく評価すれば、深夜1時まで頑張った甲斐は無かった印象。
早めに寝るのもアリだったかもしれない。
もしかすると、放送時間が繰り下げになった影響でハードルが上がった所為かなぁ。
いや、そう思いたいだけかも……う〜〜〜ん。
あまりに悪い点のみ思い当たるのもどうかと思うので「良い点」にも触れて行こう!!
まず、専門知識が事件解決に絡んでいる点。
これは良かった。
次に、キャスト。
大塚寧々さん熱演されていましたね。
渡辺いっけいさんも良かった。
床嶋佳子さん、伊藤かずえさん、山下容莉枝さん、3人ともそれぞれに役に成りきっていて良かった。
それだけに内容が惜しまれるなぁ……。
どちらかと言えば、メインテーマに関わる見せ方に無理があったような感じか。
決して完成度それ自体は低くないと思うだけに、次回作に期待!!
<キャスト>
岬久美子:大塚寧々
加治川法雄:渡辺いっけい
徳田恵津子:床嶋佳子
江成由紀乃:伊藤かずえ
宮内正美:山下容莉枝
守屋直樹:渋江譲二
平山泰正:本田博太郎
高村新平:佐戸井けん太
菅原昭博:KONTA
足立苑子:中村 綾 ほか
(敬称略、順不同、公式HPより)
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管理人さんがご指摘しているように、気持ち「まとめ方に無理がある」部分はありましたが・・・。
娘世代の友情のシーンは最後の見せ場かなと思います。ようやく過去から解き放たれたという感じがありましたし。
久美子は骨を調べていく内に、事件の真相に迫っていき、「自分がここまで関わっていいのか?」と思い悩むのですが、そこで「背中を押す」役割を果たすのが加治川さんです。今回もしっかりその部分が活かされていましたし、内容は悪くないです。
守屋くんは最初と比べてたくましくなったと感じます。第1作で、砂に埋まっていた死体の一部を見て腰を抜かしていたあの頃が懐かしいです。
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
今日で放送から2日経過したのですが、落ち着いて考えてみると、確かになかなか良かったような気もします。
やっぱり、放送時間繰り下げでハードルを上げ過ぎたのが原因かなぁ……と少し反省してます。
視聴時の感情って大事なんだなと再認識したり。
感想でも述べた通り不満点もありますが、子世代については「あの展開だからこそ、まとまったのかな」と思うところもあります。
仰る通り「親世代の過去から子世代が解放された見せ場である」というご指摘にも納得です。
キャスト良かったですね。
加治川さんはもちろん、守屋君も要所要所で登場して盛り上げていました。
本作は守屋君の成長譚でもあるんですよね。
どうも、放送時間とラストで印象が左右されたのかな。
次回にも期待したいですね(^O^)/!!
特に平山(本田博太郎)の心情が良かったです。
でも、由紀乃(伊藤かずえ)の身代わり誘拐の計画は相当に悪質であり恵津子(床嶋佳子)としては、絶対に許せないところです。なのにエンディングで無理やり曖昧にされて納得出来ませんでした。
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
キャスト、良かったですよね!!
大塚寧々さん、渡辺いっけいさん、床嶋佳子さん、伊藤かずえさん、山下容莉枝さんと熱演されていました。
そして仰る通り、本田博太郎さん。
管理人は「その男、副署長」で本田博太郎さんのファンになったので、本田さん登場シーンでは凄く喜びました。
やっぱり、本田さんはいい味出してます。
もう少し、出演シーンを多くしても良かったと思うくらい。
キャストについては文句なしだったと思います(^O^)/!!
その分、ドラマ的にラストとの間で落差があったかも。
ご指摘の通り、特に由紀乃の行動は許容できない点がありました。
もう少し、由紀乃の行動についてフォロー可能な動機付けか、菅原に騙された、あるいは身代わり誘拐自体は計画のみで実行するつもりが無かったなどのエクスキューズがあればラストも素直に視られたのかもしれません。