2013年04月18日

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録 74話「二笑亭」(「月刊少年マガジン」2013年5月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「C.M.B. 森羅博物館の事件目録 74話「二笑亭」(「月刊少年マガジン」2013年5月号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
森羅:主人公。C.M.B.の指輪の主。多大な影響力を持つ。
七瀬立樹:森羅のパートナー。身体を動かすことが得意。
鯨崎警部:森羅が信頼する警部。

深川冬綺:理香の兄、過去に失火で両親を失っているが……。
深川理香:冬綺の妹、両親を死に至らしめたとして兄を恨んでいる。
仲町夫妻:冬綺と理香の母の実妹とその夫。


建築士と現場監督が頭を抱えていた。
彼らが担当した建物がありえないほどに奇抜なモノだったのだ。
奇妙に大きな窓を筆頭に、収納機能があるとは思えない収納など、ともかく無駄が多かった。
だが、施主の命令は絶対である。
そして、その施主こそが「粋」を口にする深川冬綺であった。

森羅と立樹のもとを依頼人が訪れた。
依頼者は冬綺の妹・深川理香とその母方の叔母夫妻である仲町夫婦。
理香は冬綺がワケの分からない建物の為に資産を無駄に浪費していると主張。
冬綺の目的を突き止めた上で、この暴走を止めて欲しいと希望する。
これは仲町夫妻の希望でもあるらしい。

理香にとって冬綺は両親の仇。
過去、学生であった冬綺は自室から火事を起こし両親を焼き殺していた。
冬綺は理香だけを助け出していたのである。

だが、当の冬綺はこれを否定。
自室が出火元ではないと主張していたのである。
冬綺は屋内を充たす煙に目を覚まし、家族を助けようとした。
そのとき、母の「こっちは大丈夫。理香を」との声を聴き、理香だけを助け出したのだそうだ。

ところが、この供述に反し、火元は冬綺の部屋と断定。
両親もまた寝室で焼死していたことから、冬綺の供述は嘘と判断された。
だが、冬綺は未成年であったことと、故意ではないと考えられたことから重い罪には問われなかったのである。
その後、冬綺を許せなかった理香は叔母である仲町夫妻に引き取られ、彼らを後見人として成長したのである。

この際に、深川家の資産は冬綺と理香とに等分されていた。
その資産が冬綺の道楽により消耗されようとしているのだ。

冬綺の意図に興味を抱いた森羅は立樹と共に現地へ。
其処は郊外の辺鄙な場所にあった。
近くには人家らしいものは見当たらない。
そんな土地にポツンと奇妙な家が建っていたのである。

だが、森羅は建物を見るなり「二笑亭」と呟く。
これに驚く様子を見せる冬綺。
どうやら当たっていたらしい。

理香は森羅に「二笑亭」について説明を求める。
「二笑亭」は深川に生活していた地主・渡辺金蔵が建てた自宅。
当時としても奇異に見えるその外観と同様に用を為さない内装により異端視されたらしい。
これを建てる為に多くの資産を投入し、愛想を尽かした家族は渡辺を置いて家を出たそうだ。
さらに、最終的には渡辺が当時非常に価値のあった電話を無料で返上したことで、家族から強制入院させられるとの結末に終わっていた。

これを聞いた理香は冬綺に対し逆上。
ところが、冬綺は特に気に留めるでもなく理香に泊まるよう誘う。
冬綺の暴走を止める為に宿泊することに同意する理香。
これを見ていた森羅は「目的を達成出来たら、この建物の設計図が欲しい」と冬綺にねだる。

そして、その夜に事件が起こった。
冬綺が自室で何者かに襲われ気絶、その隙に理香の部屋から出火したのだ。
冬綺は入院、理香は自室を逃げ出し無事であった。
奇しくも、理香は過去の冬綺と同じ立場に立ったのである。
当然、理香による犯行が疑われたが……理香はあのときの冬綺と同じく犯行を否定する。
これを受けて森羅は「設計図を貰う時が来た」と、入院した冬綺の病室に関係者を集める。

呼び出された理香と仲町夫妻。
其処には鯨崎警部の姿もあった。

その前で森羅は、冬綺の予想が外れたことが事態を複雑にしたことを告げる。
冬綺の予想では、襲われ気絶するのは理香で火元は冬綺の部屋の筈だったのだ。
ところが、実際は冬綺が襲われ、火元は理香の部屋となった。

冬綺は「二笑亭」のレプリカを建設することで放蕩三昧を装い、財産を狙う犯人たちを精神的に追い詰め罠にかけることが目的だったらしい。

犯人は一体誰なのか?
全員が息を飲む中で、森羅が指摘したのは仲町夫妻であった。
過去の冬綺が犯したとされる失火も夫妻の犯行らしい。

森羅によれば、発煙筒などで煙を起こしターゲット(過去の冬綺や現在の理香)に逃げるように唆すと、部屋を出たところを見計らい侵入し、放火したのだ。
これにより、冬綺も理香も罠に嵌められたのである。
これが出来るのは過去の冬綺が母の声と聞き間違えたことから、母方の叔母である仲町夫妻しかいないのだ。

だが、仲町夫妻は証拠が無いと犯行を否定する。
しかし……証拠はあった。
それも動かぬ証拠が。

冬綺の目的は犯人を罠にかけることにあった。
そして、その為にレプリカの「二笑亭」が建築された。
だが、オリジナルが建築された当時ならばいざ知らず、建築基準法が存在する現在では建築許可がまず下りない。
だが、実際に施工は行われた。
これはどういうことか。

そう、冬綺は許可を受けるにあたり、住宅としてではなくロケのセットして申請したのだ。
そして、許可を得ていたのである。
だから、人里離れた土地に建築したのだ。

そして、ロケのセットということは……カメラがつきものだ。
仲町夫妻の犯行はすべて録画されていた。
まさに動かぬ証拠である。

森羅は冬綺の予想が外れる可能性も見越して、鯨崎警部に協力を依頼。
これにより冬綺は助け出され、カメラの映像も回収出来たのである。

こうして、仲町夫妻は逮捕された。

「なんでこれまで言ってくれなかったの?」
ベッドに横たわる兄に問う理香。
「言っても届かなかっただろ……別の世界に居たんだから。でも、やっと同じ世界に帰って来た」
冬綺はようやく家族を取り戻したのだ―――エンド。

<感想>

「月刊少年マガジン」2013年5月号掲載分「74話 二笑亭」です。

今回も良かったですね。
冬綺は仲町夫妻の犯行に気付いており、その魔手から理香を救おうとタイミングを見計らっていた。
そして、ようやく家族を取り戻せたワケですね。

ただ、少しだけ気になる点があったり。

まず、過去の冬綺や現在の理香のように煙に騙された者が外へ逃げたとすると、出入り口付近が彼らに塞がれてしまうので仲町夫妻は犯行後に脱出出来ないような気がする。
騒ぎを聞きつけた人々も加わる筈だし……やっぱり逃げられないような。
さらに、実際に出火するまでのタイムラグが大き過ぎるのも問題だと思う。
このトリックはかなり難しいものだと思う。

さらに、冬綺の当初の計画通りならば、カメラを仕掛けるのは理香の部屋ではなく冬綺の部屋になる筈なんだけど、なんで犯行現場を録画出来たのだろうか……。
全部の部屋にカメラが仕掛けられていたということでいいうのかな?

この辺りがモヤモヤするかな。
とはいえ、テーマにはグッと来ました。
次回にも期待!!

ちなみに「二笑亭」についてのエピソードは実話です。
興味のある方は『定本 二笑亭綺譚』に詳しいので、アマゾンさんのリンクからどうぞ!!

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